北京ジェノサイド五輪の泥流…正念場迎える奴隷解放運動

外交的ボイコットの潮流に習近平は先手を打った。だが同時に「勝利の証としての祭典」も消滅。虐殺五輪の開幕予定日まで4ヵ月、ウイグル人奴隷の解放を目指す執念の戦いが始まる。
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「かつて毛沢東は独立を約束したが、中国は約束を守る国ではない。いま世界中で一帯一路を唱えているが、それはやがて我々のモンゴル、ウイグル、チベットになるということです」

南モンゴルクリルタイのオルホノド・ダイチン幹事長は、祖国の悲劇を回顧して強く警告した。世界モンゴル人連盟のチメド・ジャルガルさんも同様に訴える。
▽スピーチするジャルガルさん10月2日(撮影:真さん)
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「建国72年間の歴史を振り返ってみると中国共産党政府は本当に残酷であり、世界に侵略と虐殺を広げている国です」

東京・渋谷区で10月2日、CCPから弾圧を受ける諸国民らによる大規模デモが行われた。忌まわしき中共の建国記念日、いわゆる国慶節に合わせた活動が今年は更に熱を帯びた。



「きょう10月2日はガンジーの誕生日でもあります。私達はチベットやウイグル、南モンゴルで何が起きているか世界に訴え続けます。それを非暴力的に行うことは私達の結論です」

SFT日本のツェリン・ドルジェ代表のスピーチには、インドに逃れたチベット難民2世らしい味付けが施されていた。恒例となりつつある国慶節の反CCP活動だが、今年目立ったのは香港勢だ。
▽デモ行進に参加したチーム香港10月2日(AFP)
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「日本でこうしたデモが続けられることは大切だと思っています。香港人の思いも一緒に乗せて、これらも続けていきたい。ただ、中国政府からの多大な妨害で、香港に居る方々にも苦しみを与えてしまう」

Stand with HKのウィリアム・リー代表は、意義を語ると同時に懸念を露わにした。楊海英教授によると、デモに参加したモンゴル人の家族が中共当局に拘束され、脅されていることが判明したという。
▽香港の最新情勢語るリー代表10月2日(撮影:真さん)
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極めて深刻な問題だ。当日はNHKの取材班もカメラを回していたが、放送では全く触れなかった。同居する中共宣伝機関に素材映像を丸ごと提供している疑いも捨て切れない。

【ボイコット運動の先頭に立つ東京】

「中国政府にオリンピックを開催させてはなりません。文明の恥、歴史の汚点として記憶されることになります」

日本ウイグル協会の于田ケリム会長は語気を強めた。今年の国慶節反CCPデモには、大きなテーマが付け加えられている。差し迫った北京冬季五輪のボイコット問題だ。
▽英ピカデリーサーカスの反CCP集会10月1日(SNS)
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欧州を中心に10月1日に各地で一斉抗議が催されたが、その中でもボイコットを全面に掲げた東京の活動は際立っていた。成功裡に終わった東京五輪の余韻を感じる。

「東京のオリパラは、多くの人々の努力で開催された素晴らしい大会でした。来年に予定される北京五輪は、多様性を尊重する大会になるのでしょうか?」

もちろん答えはNOだ。13年前がそうだったようにCCP主催の五輪は、大規模弾圧の幕間劇でしかない。1936年のベルリン五輪と比較することも不適切である。



チベット支援団体などはボイコットの足掛かりとしてスポンサー企業に狙いを定め、攻勢を強めている。独では保険大手「アリアンツ」のミュンヘン本社前で10月4日、大規模な抗議が行われた。

「アリアンツやシーメンスのような国際的な大企業は、スポンサーとして中国を支援すべきではない。支援すれば、民主主義国やそれらの企業が中国政府の行為を支持していると示唆することになる」

抗議の先頭に立った欧州東トルキスタン連合の代表は、そう訴えた。アリアンツ社は声明の公表を約束したが、未だ回答はなく、頰被りしたまま時が過ぎるのを待つようだ。
▽独アリアンツ本社前の抗議10月4日(WUC)
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ウイグル人排除が表面化した民泊大手Airbnb(エアビーアンドビー)など他のスポンサーも同様である。各社とも完全無視を貫く不遜な態度で、事態の好転には至っていない。

その中で五輪反対派が新たに打ち出したのが、各国テレビ大手への呼び掛けだった。

【虐殺五輪の隠れたスポンサー】

「あなた方の会社は、チャイナによる深刻な人権侵害を正当化し、当局の“スポーツウォッシュ”に加担するという深刻なリスクを抱えている」

9月7日、世界各国の主な人権団体が連名で北京冬季五輪の放送停止を求める書簡を公表した。チベット・東トルキスタン支援者を軸に200団体が連帯する過去にない規模の大きさとなった。

米NBCや英BBCなどの国営放送局を対象に名指しで最高幹部に呼び掛けている。中共宣伝工作機関と提携する我が国のNHKがリストから漏れているのは少し残念だ。
▽中共宣伝工作機関が入る渋谷区のビル(file)
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公開書簡に記された“スポーツウォッシュ”とは、人気競技を利用して問題を隠蔽する手法を指す。似非エコ企業を揶揄する「グリーンウォッシュ」に因んだ造語である。

五輪放送権の売り上げは、IOCの総収入の73%を占める。隠れた大スポンサーがTVメディアで、特に米NBCの寄与度が高い。放送局への攻勢は、IOCの銀行口座を直撃する名案とも評価される。
▽五輪博物館前のボイコット集会6月(AFP)
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直前での競技放映中止はIOCとの契約上難しく、各放送局はスポンサー企業と同様に無視することだろう。こうした事態に備え、米共和党のロムニー上院議員は今年3月、折衷案を提唱していた。

「中継権を持つNBCは開会式の替わりに人権弾圧に関するドキュメンタリー番組を流すべきだ」(3月15日付けNYT)

中共は“党威発揚”を賭けて盛大な五輪開会式を開く。それを狙い撃ちして潰すことには意味がある。不可能なら次善策として開会式前後にジェノサイド特番を組んでも面白い。
▽『シルクロードの死神』BBC’98年OA
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BBCは過去に東トルキスタン核実験の惨状を追った傑作ドキュメント『シルクロードの死神』を制作。新たな番組を作らずとも、再放送するだけで効果が期待できるが、局内の良識派が勝るとは限らない。

2008年の北京夏季五輪では、放送権を持つ大手メディアが中共に媚び、チベット大虐殺を隠蔽する暴挙に出た。一度血で染まった手を二度染め上げることは容易い。

【哀しき奴隷たちを檻から解き放て】

IOCは9月29日、北京冬季五輪の観客を支那国内の居住者に限定すると発表した。表向きは感染対策だが、高まるボイコット論に対抗して先手を打った格好だ。

羽生結弦選手プレー時のプーさん排除が主な理由で、副次的にボイコット論の鎮静化にも繋がる。各国政府関係者の開会式出席はなく、まともな首脳ならば特別待遇の招待を嫌うだろう。
▽某国で発売されたフィギュア(ゴゴ通)
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プーチン大統領は早々と参列を明言したが、’08年のようにブッシュら欧米首脳が雪崩を打って北京に詣でることはない。ただし、習近平が個別に釣り上げて出席を確約させる危険性は残る。

「『新型コロナに打ち勝った証し』としての五輪は、2022年2月の北京冬季大会に移ることが濃厚となる。曲折の挙句に民主主義国家ができなかった大イベントを、中国が達成して世界にアピールする…」

参照:時事通信2月28日『東京断念なら「コロナ克服五輪」の舞台は北京に』

東京五輪開催が危ぶまれていた春先、日本政府関係者の多くがそう危惧していたという。習近平の狙いは明白で、突如湧き出た我が国の五輪反対論勢力もCCPの指導方針に沿うものだった。
▽黄熊とバッハ“血の契約書”2月(RFA)
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それが一転、海外からの観客ゼロを打ち出すとは想像できなかった。少なくとも感染症対策を理由に掲げた時点で「人類が勝利した証しの祭典」には成り得ない。

ボイコット論の小さな輪を大きな輪に変えたチベット・ウイグル支援団体の努力を讃えたい。13年前のリベンジを果たしたとは言えないまでも、中共指導部を追い込んで一部であれ、その野望を砕いた。
▽英ウェストミンスター橋の横断幕6月(FT)
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もちろん求める形態は、主要国選手の不参加を含むフルボイコットだ。北京エリアの不明瞭な感染者数を理由に1年延期。先送りに伴い代替地の選定を進め、虐殺五輪の開催を完全に阻む。

同時に、政府関係者の派遣を禁止した各国に対して賛辞を送ると共に、新たな措置の検討を求める。外交的ボイコットは、ひとつの手段であって目的ではない。
▽強制労働に抗議するウイグル支援団体inパリ10月2日(WUC)
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ボイコット運動の目標は、激化する民族浄化を食い止め、死の淵にあるウイグル人らを救い出すことだ。ここを履き違えると、外交的ボイコットは政治家のポーズで終わってしまう。

単なる国際スポーツイベント開催の是非ではない。原点に立ち返って訴える。中共の暴政に加担するか、それとも人道主義を貫いて抗うか…これは21世紀における奴隷解放の国際闘争でもある。



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参照:
□岩田真さんFacebook『2021.10.2中華人民共和国建国72周年 北京人権弾圧五輪反対連帯デモ〜アルバム』
□No Beijing 2022HP9月7日『Beijing 2022 Joint Broadcasters Letter September 2021』
□2022年北京人権弾圧五輪の開催に抗議する実行委員会HP

参考記事:
□AFP10月3日『北京冬季五輪のボイコット訴え、東京都内でデモ』
□産経新聞10月2日『都内で反中デモ「人権弾圧国家での五輪にNO!」』
□大紀元10月2日『北京冬季五輪のボイコット訴え…都内でデモ 岸田新政権の人権問題対応に注目』
□パユル10月5日『Hundreds march in London to protest Chinese National day』
□ロイター10月5日『西側企業は北京五輪スポンサーを降りよ、ウイグル人らが独でデモ』
□東スポ9月10日『中継やめろ!200の人権団体がテレビ局に北京五輪の放送中止を要求 IOCの責任も追及』
□AP通信10月4日『Beijing Olympics open in 4 months; human rights talk absent』
□NYタイムズ3月15日『The Right Way to Boycott the Beijing Olympics』

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