2人のキムは日本を目指す…KAL機爆破と寸又峡事件

金賢姫と金嬉老…当時の社会に衝撃を与えた2人の来日が取り沙汰されている。韓国の“英雄”と北朝鮮の“裏切り者”。2つの事件の報道を振り返ると、我が国のメディアの歪みが見えてくる… 
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「相手の返事を待っているところで、まだ結論は出ていない」

KAL機爆破事件の実行犯・金賢姫元工作員の来日が現実味を帯びてきた。3月5日、中井洽拉致問題担当相は、関係閣僚と具体的な協議を続けていたことを公表。早ければ4月中にも訪日が実現する。

金賢姫元工作員は、死刑囚だったことに加え、昭和62年のKAL機爆破後にバーレーンに入国した際、日本の偽造パスポートを所持していた。旅券法違反容疑の公訴時効はまだ成立していない。
▼昨年3月の会見で姿を見せた金賢姫元工作員(産経新聞)
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「入国について、配慮してほしい」

中井拉致問題担当相は、千葉景子に対して特例を求めると共に、警察当局にも取り調べでの配慮を要請。外務省を通じて韓国政府に招致の希望を伝えたという。現在、ボールは韓国側に投げられた状態だ。

「横田めぐみさんの両親が面会を望んでいる。日本に来てもらい話を聞く意味がある」
▼発言する中井拉致問題担当相2月17日(産経新聞)
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2月17日に国会内で開かれた政府の拉致問題関係政策会議で、中井拉致問題担当相は、金賢姫元工作員が「横田めぐみさんと会ったことがある」と証言していたことを明らかにし、来日実現に意欲を示していた。

これを受けて、2月23日、警察庁の担当者がソウルで金賢姫元工作員と面会した。警察庁は過去にも面会をしているが、今回は横田めぐみさんら日本人拉致被害者の情報を聴いたという。
▼中学時代の横田めぐみさん
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時事通信は、今年1月に韓国誌の『月刊朝鮮』が金元工作員の証言を掲載したことを受け、中井拉致担当相が関係省庁に事実の調査を指示。その後、報告が上がってきたと報じている。

しかし、それは完全な誤りだ。

【新証言のスクープ記事は埋もれた】

「横田めぐみさんと会った」という金賢姫元工作員の証言については昨年4月30日の時点で、産経新聞が伝えている。金元工作員は具体的に、こう語っていた。

「工作員教育を受けた1980年代初めに平壌の招待所で、めぐみさんから日本語を学んだ同僚の紹介で、めぐみさんと何回か会って話をした」

参照: 産経新聞21年4月30日『80年代初期に「めぐみさんと会った」金元工作員が注目の新証言』

記事によると証言の情報源は、日本政府関係者。外務省の当局者が平成21年4月28日にソウル市内で金元工作員と極秘に面会し、新証言を得たものだった。
▼会見場に向う金賢姫元工作員 昨3月11日(産経)
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極秘接触から僅か2日後の速報スクープだ。産経新聞は同時に横田滋・早紀江さんに感想を求め、横田夫妻は金元工作員の来日を期待するコメントを寄せている。

しかし産経新聞のスクープ以降、他の報道機関は後追い取材を怠り、新証言は画期的であったにも関わらず、埋没してしまった。拉致事件に対する既存メディア全般の低調ぶりを示すケースだ。
▼「めぐみへの誓い」制作発表時の横田夫妻(産経)
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一方、このスクープの前月に韓国・プザンで実現した飯塚繁雄さん耕一郎さんと金賢姫元工作員の対面は大きく報道された。金元工作員が12年ぶりに公の場に登場したこともあり、関心の高さを窺わせた。

「めぐみさんは同僚工作員の金淑姫(キム・スクヒ)に日本語を教え、2人が一緒に写した写真を見た。韓国人と結婚して娘を産み、入院したこともあるが、病状は深刻ではないと聞いた」
▼飯塚耕一郎氏と対面した金賢姫元工作員(産経)
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対面後の会見で金元工作員は、耕一郎の母・田口八重子さんへの想いを語ると共に、横田めぐみさんについても触れた。ただし全て同僚工作員らを通じた伝聞情報だった。

なぜ、この時に横田めぐみさんと直接会っていたことを証言しなかったのか…疑問は残るが、日本語研修で平壌市外の招待所にいた時期が重なっているなど、接触の可能性は高いと見られているのだ。
▼横田めぐみさん北朝鮮でのスナップ
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横田めぐみさんに関する新たな証言に期待すると同時に、膠着状態にある拉致事件に再びスポットライトが当てられる良い機会になるだろう。金賢姫元工作員の早期来日を歓迎する。

その一方で、好ましからぬ殺人鬼の来日も同時期に囁かれた…

【無法入国を千葉景子が認める恐れも】

昭和43年、静岡の寸又峡温泉で人質を取って籠城した在日2世のライフル魔・金嬉老が、3月中に日本政府へ入国を要請することが判明した。共同通信が2月末、韓国からの情報として伝えたものだ。

「死ぬ前に母親の墓参りをしたい」
▼韓国で暮らす金嬉老 昨年3月(KHRO.com)
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現在、韓国・プザンに住み、81歳になった金嬉老は、墓参を理由に日本への渡航を希望。我が国の法務省に嘆願書を送る他、韓国政府にも日本入国を後押しするよう陳情するという。

金嬉老は、事件から31年後の平成11年に金嬉老は仮釈放されたが、その際、我が国に再入国しないとの条件が付され、在日特権の永住資格も失った。また金嬉老は韓国でも殺人未遂・放火で有罪が確定している。

「一般論では、懲役刑などが確定している場合は上陸拒否事由に該当する」
▼ライフル魔・金嬉老(共同通信)
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3月2日の閣議後の会見で千葉景子は、一般的な事例として入管難民法に抵触するとの見方を示した。しかし、同時に、特例措置の発動に含みを持たせる発言もしていた。

「(要請があった段階で)政府全体として検討するものと思うが、お答えする状況にない」

金嬉老の再入国は100%不可能な筈だが、今は千葉景子が法相のイスに座るアナーキーな状況だ。千葉の思想信条を考慮すれば、金嬉老の“無法再入国”は充分に有り得るだろう。
▼金嬉老が常連だったプザンの店舗(産経新聞)
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近年でもテレビ朝日が寸又峡事件を美化するドキュメンタリーを放映するなど、反日ファシストにとって金嬉老は未だ利用価値のある人物だ。寿命が尽きる前に“再利用”を試みる勢力が少なからず存在する。

殺人鬼に過ぎない金嬉老は、事件発生から今日に至るまで「反日ヒーロー」という歪んだ幻想の中に生きている。

【左翼が声援したライフル魔の籠城】

近藤安広など複数の偽装日本人名を使っていた金嬉老は、権禧老という本名を持つ在日韓国人2世。昭和3年に静岡で生まれ、15歳で逮捕されたのを皮切りに、窃盗や強盗を繰り返す、根っからの犯罪者だった。

39歳の時、借金トラブルから清水市のクラブで19歳の少年ら暴力団構成員2人を射殺。その後、ライフルとダイナマイトを手に寸又峡の旅館に押し入り、16人を人質に籠城した。昭和43年2月22日のことだ。
▼旅館に籠城する金嬉老S43年(産経新聞)
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凶暴な男の凶悪な事件だが、籠城を続ける金嬉老が在日差別を声高に叫んだことから、異様な展開を辿る。刑事が差別的な発言をしたと難癖をつけて謝罪を強要。謝罪会見が繰り返しテレビで放映された。

取材が過熱する中、事件を差別問題にすり替えた金嬉老の作戦に、在日韓国人が呼応。更に宇野重吉ら文化人が理解を示す声明を発表するなどメディアを巻き込んで暴走する。
▼報道陣による金嬉老インタビュー(朝日新聞)
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差別を叫べば凶悪犯でさえも支持者が現れるという悪しきケースの見本だが、昭和43年5月に書かれた『文化防衛論』の中で、三島由紀夫は、こう論じている。

「社会的な事件というものは、古代の童謡のように、次に来るべき時代を寓意的に象徴することがままあるが、金嬉老事件は(略)或る時代を予言するようなすこぶる寓意的な起こり方をした」
▼主張を繰り返す金嬉老(毎日新聞)
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「それは三つの主題を持っている。すなわち『人質にされた日本人』という主題と、『抑圧されて激発する異民族』と『日本人を平和的にしか救出しえない国家権力』という主題と、この三つである」

何か、その後明らかとなる拉致事件を予見するかのような指摘だ。

【借金絡みの犯行と大規模な国家テロ】

寸又峡の籠城事件は発生から88時間で漸く決着したが、裁判の過程でも在日差別が取り上げられ、金嬉老を“反日のヒーロー”として祭り上げる傾向は止まらなかった。

更に服役後も韓国を中心に釈放運動が展開され、金大中も嘆願書の署名に参加。内外の支援活動もあって金嬉老は平成11年に仮釈放され、韓国で盛大に迎えられた。日本人殺し=英雄という短絡的な扱いだ。
▼韓国で会見する金嬉老(時事)
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帰国の翌年に金嬉老は親密になった女性の夫に逆上。殺人未遂・放火・監禁の容疑で逮捕された。これによって「民族差別と戦った英雄」という化けの皮は剥がれ、凶暴な性質の男であることが判った。

それでも韓国には金嬉老の支援者が残り、我が国の中にも未だに担ぎ上げる勢力がある。元から金嬉老の人格など無関係で、反日の為の道具・材料に過ぎないのだ。
▼籠城した旅館のパネル展示(読売新聞)
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金嬉老と金賢姫…2人が引き起こした事件は、いずれも当時の社会に大きな衝撃を与えた。しかし、2つの事件は質的に異なるものと認識した上でも、メディアの扱い方は対照的だった。

寸又峡事件は、金嬉老の個人的な動機による犯罪に過ぎないが、根底にあるのは在日差別だと日本社会そのものに罪があったかのように扱われ、メディアで拡大・再生産され続けている。

一方のKAL機爆破事件は、北朝鮮の国家テロだ。しかし北朝鮮が南の謀略と言い張り、それに同調する勢力も多かったことから、メディアが揃って北朝鮮を糾弾するには至らず、国家犯罪は曖昧にされた。
▼金浦空港に移送された金賢姫元工作員87年
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爆破事件の4年後、金賢姫元工作員の日本語教育係・李恩恵が田口八重子さんである疑いが浮上しても、メディアが徹底追跡することはなかった。

旅券の偽造では在日工作員の暗躍も判明。そこには我が国に広がる北朝鮮のネットワークがあった。もし追及取材が続いていれば、小泉訪朝を待たず、拉致事件は脚光を浴びていただろう。
▼在日工作員に拉致された田口八重子さん
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嘘の拡大と真実の封印…

我が国にとって朝鮮半島は、北であれ南であれ、奇妙な屈折率を持つプリズムとなり続けている。



  〆
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参考記事:
■スポニチ3月2日『金嬉老の日本渡航要請…千葉法相「答える状況にない」
■共同通信2月27日『金嬉老氏、日本に入国許可要請へ 韓国在住の元受刑者』
■読売新聞2月20日『金嬉老事件42年、現場の旅館で記事や写真展示』

■読売新聞3月5日『金賢姫元工作員来日へ協議、公安委員長は配慮要請』
■産経新聞3月5日『金賢姫元工作員の招致で中井国家公安委員長「当然取り調べ」 旅券法違反容疑の案件』
■読売新聞2月24日『金元工作員に警察庁担当者面会、来日調整か』
■時事通信2月17日『「めぐみさんと会った」=金元工作員の証言を確認-中井担当相』

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