チベット撹乱情報の綱渡り…人道上の危機を救え

なぜ3月14日の“暴動”では、ラサ中心部に空白地帯が生まれたのか…深まる疑惑。一方、亡命政府はペロシ議長訪問に湧き、都内にも雪山獅子旗の大波が出現した。
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チベット東部カム地方のカンゼ周辺では激しい抵抗運動が続き、3月20日にも、一斉抗議が行なわれた模様だ。シナ軍事占領下で甘孜蔵族自治州と呼ばれる同地域の北部には、カンゼ僧院を中心に多数のチベット寺院が存在する。

中共軍が大規模侵攻する中、僧侶は投獄・拷問を覚悟して必死の抵抗を試みている。このエリアでは、3月17日までにカンゼ・ダルツェ僧院のジャンパ・ツプテン前僧院長を始め、相次いで僧侶が不法拘束された。
▼カム地方の都市に「人民戦争」の標語(ロイター)
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信仰と生活が不可分のチベット人にとって、高僧の逮捕は決して沈黙できない非常事態だ。中共侵略政府による僧侶拉致は、住民の激烈な抵抗を招き、混迷は出口の見えない隘路に陥っている。

また未成年者の虐殺が行なわれたことも、チベット人の怒りに火を点けているようだ。

3月16日にチベット住民への無差別射撃が発生したアバのキルティ寺附近で、16歳の少女が犠牲になったことが明らかになった。TCHRD(チベット人権民主センター)は少女の写真を入手し、公開に踏み切っている。
▼犠牲になったチベット人少女(Phayul.com)
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虐殺されたのは、離れた村から町に出てきた学生のルンダプツォ(Lhundup Tso)さんで、死因は頭を撃たれたことによるものだった。

ルンダプツォさんは学業優秀な生徒で、村から選ばれて町の学校で学んでいた模様だ。いったい何故、そのような少女がシナ人官憲の魔の手に掛からなければならないのか…

欧米先進国を中心に市民レベルでの中共非難が高まる中、中共当局が“暴動”を演出したのではないか、という疑惑が相次いで浮上している。

【浮上する中共の捏造ヤラセ疑惑】

3月14日に起きたラサ大虐殺でシナ人警官がチベット人に扮装して暴れていた…という暴露談が注目を集めている。
▼疑惑の男の拡大写真(大紀元)
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22日付けの大紀元が報じたもので、“暴動”の写真を見たタイ華僑の女性が、その中に顔見知りのシナ人警官が大型の刀を手にしているのを確認したという。ロイターが直後に配信した新華社経由の写真だ。

確かに異様な写真だった。当方もロイターの配信を確認していたが、顔がハッキリ写り過ぎていて、後に逮捕の証拠写真となる可能性が大きいと判断し、掲載を見送った経緯がある。
▼配信された写真(ロイター経由)
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証言したタイ華僑の女性は、ラサで現地警官と親しくなり、他の警官の顔も記憶。更に14日当日、保護名目で派出所に居た際、刀を持ったシナ人警官が戻って来たのも目撃しているという。

この女性証言に関して各チベット支援グループは何ら見解を発表していない。未確認なのだ。ただし、シナ人が当日、僧侶に扮装して商店襲撃を行なっていたという証言が漏れ伝わっているのは事実だ。

日本人ならば、南京攻略戦で便衣兵が我が軍を悩ませた歴史を思い出すだろう。扮装しての混乱拡大はシナの伝統戦術である。

またYouTubeでは『Riot in Tibet (Fake)』と題する動画がアップされている。動画は長く、説明が英文なのでポイントを以下に要約する。

①なぜ被害男性がヘルメット着用していたのか?
→ラサではヘルメットを被る者は殆どいないという。

②攻撃者たちはどこから来たのか?
→画面左には群衆がいるが、その誰もが襲撃に参加せず、全ての攻撃者は画面右から現れる。

③逃げた被害者はなぜ、ゆっくり歩道を歩いているのか?
→被害者は画面右側に逃れるが、映像の最後で、その前を攻撃者が目もくれずに歩いている。
▼何事もなく擦れ違う攻撃者と被害者
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この映像に限らず、中共の党宣伝機関が配信した“暴動フィルム”には疑惑の目が向けられている。誰が撮影したか、ソースが余りにも不鮮明なのだ。

【ラサ中心部に生まれた空白地帯】

中共侵略政府が散布した“暴動フィルム”は、画質から推測すると市販のビデオカメラで、その殆どが商店の反対側の上階から撮影されている。

しかし、暴徒が暴れ回る中で、至近距離の窓から乗り出してカメラを延々と回すことが果たして可能なのか?
▼党TV局が流した3月14日の映像
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そもそも3月10日の時点でラサ市内では僧侶による平和的抗議が起こり、11日には僧侶救出を求める群衆に治安部隊が催涙弾を放ち、緊張が高まっていた。

既に治安部隊が大量動員されていたのだ。その中、圧倒的な武力を持つ治安機関が、なぜ“暴徒の襲撃”を許したのか?

商店の被害が続出したのは、ジョカン寺周辺のバルコル(八角街)だった。抵抗運動の中心にあったのがジョカン寺である。
▼治安部隊はどこに消えたのか?
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なぜ、大量投入された治安部隊が、最大のホットポイントに配置されていなかったのか、疑問だ。党の宣伝機関が提供した“暴動フィルム”は他方で、ラサ治安当局の責任者が無能だったことを明かす「失態の証拠映像」に他ならない。

また全焼など壊滅的な被害を受けた商店の多くが、ムスリムの店だったという報告もある。 チベット住民の怒りの矛先が、なぜシナ人ではなくムスリムに向かったのか…当局が暴動を演出したとすれば、 シナ人商店を避け、ムスリムの店が大打撃を受けた事も、合理的に説明できるだろう。

これら「暴動演出」に関する推量とは別に、3月14日の大虐殺開始前に、中共侵略政府が制圧部隊を送り込んでいのは事実である。AP通信は最近になって、3月12日にラサ近郊で撮影された写真を配信した。
▼僧院に迫る中共部隊3月12日(AP通信)
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ラサ市の西45㌔のタクツェにあるガンデン大僧院の様子を撮影したものだ。僧侶と中共治安部隊が僧院の入口付近で対峙している。このガンデン大僧院はチベット密教ゲルグ派の総本山で、格式も高い。

そして、もう1枚の写真では、僧侶の既に影はなく、治安部隊員が境内で隊列を組んでいる模様が写っている。どうらや突入し、制圧したようだ。
▼僧院内に侵入した中共部隊3月12日(AP通信)
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近郊の主要な寺院を武力で制圧しながら、ラサ中心部に“空白地帯”があったことは、不可解極まりない。

わが国の五輪乞食メディアは、何ら検証もせずに中共プロパガンダ映像を垂れ流し続けているが、今やラサの“暴動”自体にも疑いの目が向けられているのだ。

一方、悲しみ暮れるチベット世界だが、先日、少しだけ勇気が与えられた…

【ペロシ登場に嗚咽したチベット人】

「この悲しい時、私たちは、今チベットで何が起きているのか、その真実の眩しい光を解き放つ為に、ここに来たのです」

3月21日、チベット亡命政府のあるインド北部マクロードガンジ(上ダラムサラ)で、米国のナンシー・ペロシ下院議長は力強く訴えた。マダム・スピーカーは続けて、こう主張した。

「世界はチベットで起きていることを知る必要がある」「チベット民衆を救うことは宿命だ」
▼法王猊下とペロシ下院議長(AP通信)
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ペロシ下院議長の演説は、マクロードガンジの法王猊下私邸横にあるツクラカン寺院で、行なわれた。外国の政府高官としては、3月14日の大虐殺後、ダライ・ラマ14世法王猊下と初めて面会したことになる。

主要国の首脳が沈黙する中、この訪問が、どれほど亡命チベット人に勇気を与えたことか。ある亡命チベット男性は、AFP通信の取材を受けている最中、堪え切れずに泣き崩れた。
▼取材中に嗚咽するチベット男性(AFP)
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マクロードガンジの町は、飛行機で簡単に行ける場所ではない。デリーの空港から車で約8時間。最後には断崖絶壁の細い道を通らないと辿り着けない。

現地に暮らす亡命チベット人は、そんな僻地までペロシ議長が足を運んでくれたことに感激しているのだ。
▼境内で演説するペロシ議長(AP通信)
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さらにペロシ下院議長は、こう熱く語った。

「チベット情勢は世界の良心に対する挑戦だ」
「チベット弾圧に世界が反対の声を上げなければ、私たちは人権について意見する道徳的な資格を失うことになる」


正にその通りだ。我が国のエセ人権屋は、この発言を正座して拝聴すべきである。かつて下院選挙で米民主党が勝利した際、筑紫哲也を始め反日ファシストは、鬼の首を取ったかのように雀躍した。

そして下院議長に就任したナンシー・ペロシは、米左派の女ボス・人権リベラルの重鎮だった。しかし、同時にマダム・スピーカーは、古くからの熱心なチベット支援者でもあったのだ。
参照:平成18年11月13日付エントリ『リベラルの仮面を剥ぐ…新下院議長の反中過激発言』
▼大歓迎を受けるペロシ訪問団(AFP)
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リベラリストがチベット支援に取り組むのは、決して矛盾した態度ではない。人権問題は元来、左派の守備範囲で、 欧米各国のチベット支援者にはリベラルな傾向を持つ者も多い。

シナ軍事侵略国家を心の宗主国と仰ぎ、銃を握る側を支持する我が国の所謂リベラルが異常なのだ。世界から孤立した左派。その正体は、繰り返し述べていきたように、左派を偽装した反日ファシストである。

ペロシ議長以外の有力な政治家連中が沈黙を保つ中、22日も世界各国でチベット救済・中共抗議デモが繰り広げられた。
▼ソフィア中共大使館前での抗議(ロイター)
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連日の抗議が続くNYの国連本部前の他、変わった所ではブルガリアの首都ソフィアでも中共大使館前で激しいデモが繰り広げられた。

そして、我が国でも大規模なチベット支援デモが行なわれた。

【最も深刻な人道上の危機を救え】

3月22日東京・六本木。午前と午後の2回に渡る連続抗議デモだ。第1弾は「主権回復を目指す会」などの呼びかけによるもので、17日の豪雨の抗議に続く抗議活動である。

相変わらず警視庁は中共大使館前をブロックしていたが、かなりの人数が大使館前まで到達できた模様だ。その抗議活動に関しては、AFPが写真入りで世界に配信している。
▼ナイスなプラカードを持つ男性(AFP)
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そして、午後1時過ぎからはチベットTSNJ(チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン)主催の抗議集会・デモが行なわれた。所用を済ませ、筆者もスモールな雪山獅子旗を持ち、午後1時前に三河台公園に駆け付けた。
▼行進前の抗議集会(筆者撮影)
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少々不安があったが、公園内には既に大勢の参加者がいた。朝日新聞は22日午後に「抗議者70人」としてデモの写真入り記事を配信。ミスリードを狙ったが、現在は訂正している。
参照:朝日新聞22日配信記事(魚拓)

それでも朝日は「参加者は約1,000人」と記述。主催者発表では、約2,000人である。沖縄の集会では主催者発表を根拠に強弁し、一方では公安発表を根拠とする見事なダブル・スタンダードだ。

屋外にいる多数の人数を、個人の視点で判断するのは難しい。ただし、六本木通りに出た際、余りのデモ隊列の長さに驚いた。
▼六本木通りでのデモ行進(筆者撮影)
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また最終集合地点の公園に着いた時、既に大勢が園内に居たが、デモ最後尾の到着まで4~5分かかったと記憶する。現在、チベット全域で進行している事態の深刻さに胸を痛めている日本人が多いことを改めて知った。

現場で数人の知り合いと再会したが、その内4人はマクロードガンジ滞在経験者だった。聞く所によると、Mixiのチベット関連コミュニティなどで、熱心な参加呼びかけが行なわれていたという。
▼デモ行進の模様(ロイター)
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熱心なチベット・サポーターが各地から参集したことは心強いが、やや閉鎖的なのが気になる。こうした抗議活動は、従来のチベット支援者に留まらず、幅広い層からの支持と参加が不可欠である。
▼行進後の集会(筆者撮影)
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現在、チベット全土で起きている虐殺・弾圧は、ダルフール問題同様に、この地球上で最も深刻な人道上の危機に他ならない。

問われているのは、それを黙って見逃すか、否か、なのだ。


  〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります

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【Side story】
拙ブログのレギュラーコメンテータの一人・花うさぎ様らも参加されたとのリポートがありました。先日の悪天候の中の抗議に続き、お疲れさまです。

ちなみに3月17日の抗議もAP通信が参加者の写真を世界に向けて配信しています。22日の抗議活動にも参加し、メディアから注目されていた男性です。
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参照:
TSNJ blog『3/22 デモ無事終了しました。ありがとうございました』

参考記事:
■Phayul.com3月23日『Tibet: schoolchildren among dead in Chinese police ‘massacre’』
■AFPBB3月22日『都内、中国政府に対する抗議デモに約600人参加』
■大紀元3月22日『チベット弾圧:チベット人に扮した警察官がデモ隊を扇動』
■ICT3月21日『Speaker Pelosi Calls for Investigation into Developments in Tibet, Asks World to Speak Out Against China's Oppression』
■読売新聞3月21日『ペロシ米下院議長がダライ・ラマ14世と会談、支持を表明』
■AFPBB3月21日『ペロシ米下院議長、ダライ・ラマ14世と会談』

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