中共が踏んだアフリカの地雷…ダルフールで非難加速

パリで大規模な国際会合が開かれた。ダルフール問題には、有名ミュージシャンも加勢して非難が集中。虐殺支援国・中共への風圧は更に高まっている。
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「沈黙は死をもたらす」

6月25日、パリ・エリゼ宮で開かれたダルフール紛争国際会議で、仏のサルコジ大統領は、問題解決に向けて強い意思を示した。さらに、こう宣言する。

「(ダルフールの)状況を無視することは、紛争に加担するに等しい。決断の不在、対応の欠如は受け入れられないことだとわれわれは知っている」
▽ダルフール国際会議(AFP)
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ダルフール問題に関する大規模国際会議は、先のハイリゲンダム・サミットで大枠が決まり、今回開催の運びとなった。フランスの肝いりである。

エリゼ宮には、米国のライス国務長官を始め、約20ヵ国の外相及び高官が参加。我が国からは岩屋毅外務副大臣が出席した。議長は、ダルフール強硬派の仏クシュネル外相だ。
▽出席した岩屋毅外務副大臣(ロイター)
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ダルフール大虐殺での軍事面・資金面で支える中共は、外相を派遣せず、高官(副大臣格)をパリに送ってお茶を濁したようだ。また会議には国連事務総長の潘基文も姿を見せた。

潘基文は「ダルフール紛争は気候変動が原因だ」との論文を6月16日付けの米国紙に発表し、世界から失笑されたばかりだった。
▽パリ会議での潘基文・左端(AFP)
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パリ・ダルフール会議は、虐殺を続けるスーダン政府と、反政府勢力を和平のテーブルに付かせることを目標としている。解決には国際社会、そして主要国の後押しが必要だ。

ダルフール問題をめぐっては、6月中旬に大きな動きがあった。

【スーダンPKO2週間で暗雲】

6月17日、スーダンのバシル大統領は、首都ハルツームを訪れたUN代表団に対し、平和維持部隊の受け入れを確約した。部隊はUNとAU(アフリカ連合)の合同で、規模は2万3,000人と発表された。

しかし、口約束だけ事態は何ら進展していない。

パリ・ダルフール会議には、スーダン政府高官も姿を見せないばかりか、推進役となるAUも代表派遣を見送った。問題解決に向けた具体的な一歩を築くことが出来なかったのだ。
▽訓練するAU部隊(AFP)
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やや焦りがあったのか、サルコジ大統領の発言は、脅し口調で猛々しいものだった。

「スーダンは協力すれば、われわれから多大な支援が得られ、拒否すれば我々が断固たる態度を取るであろうことを知るべきだ」

強硬手段の示唆だ。一方でそれは、スーダンへの武器輸出を続け、虐殺政権を支援する中共にインパクトを与える言葉でもある。
▽仏クシュネル外相とライス長官(AFP)
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「ダルフール争における責任を、国際社会は真に果たしてきたと思わない」

米国のライス長官も前日のサルコジ大統領との会談で、そう語り、20万人の犠牲者と200万人超の難民を生んだことに国際社会が無力であったことを反省し、決意を示した。

しかし、一方で100万人を軽く超す餓死者を出した金正日を対話の相手にするのであれば、説得力ゼロだ。ライスの対ダルフール姿勢を決定付けているのは、米国で盛上がる「セーブ・ダルフール」の動きである。

【非難決議に逆ギレする中共】

米国下院は、ダルフール問題に関する強烈な決議を本会議で採択した。6月5日のことだ。それはスーダン政府を直接非難するものではなく、バックにいる中共を牽制する内容だった。

「ダルフールでの大量虐殺をやめさせるように影響力を行使することを中国政府に求める」

賛成票410、反対票0…採択された決議のポイントは、7000万ドル相当を超す武器支援や、100億ドルに達するスーダンへの投資額など具体的な数字を挙げ、中共を公式に非難している点だ。
▽中共製武器を操るスーダン兵(AFP)
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更に、提案者のジョン・タナー議員(民主党)は、同決議案審議の際に、こう述べていた。

「このままだと北京五輪はジェノサイド五輪となる」

だが、この決議案に対して中共当局は「粗暴な内政干渉だ」と反発し、軽く一蹴している。見習う必要はないが、ホンダ決議案に対するリアクションとしては参考になるだろう。

しかも、ホンダ決議案は、捏造に基づく60年前の創作話であり、一方のダルフール問題は、現在も続く悲劇だ。比較することすら出来ないレベルの違いである。
▽中共兵器で破壊された村(CBS)
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ヨーロッパ及び米国で熱を帯びるダルフール問題だが、相変わらず我が国では“無風状態”が続いている。朝日新聞もパリ会議を報じたが、逆に沈静化を狙った記事だった…

【朝日もダルフールで火消しに躍起】

6月25日のパリ・ダルフール会議に関して中共プロパガンダ紙の『朝日新聞』は逸早く報じた。実に意外である。しかし、よく読んでみると、ダルフール紛争に懐疑的な論調でまとめている。

ただ、現地で活動する国際救援団体「国境なき医師団」スーダン問題副担当のガブリエル・トルジヨ氏(36)は「現地の状況は改善に向かっており、西欧諸国の介入はかえって混乱を招く。現地の援助担当者が軍と同一視されて攻撃されかねない」と仏政府の方針変更に懸念を表明した。(朝日新聞6月25日)

さすがダルフールで虐殺する側に立つ非道新聞だ。どうしても国際的な介入を避けたいようである。

基本的な知識だが、今回のパリ・ダルフール会議を主導したのは「国境なき医師団」創始者の仏クシュネル外相である。その時点で整合性が付かなくなっている…
▽議長を務めたクシュネル仏外相(AP)
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「国境なき医師団」は、国際合同部隊の派遣はスーダン政府軍との武力衝突に必ず発展するというリアルな視点で捉えている。その際には現在続いている人道活動もストップする事態になると懸念しているのだ。

国境なき医師団のトルヒーヨ医師は、4月のインタビューで、朝日新聞に掲載された発言と同じ主旨のコメントをしているが、続きがある。

「現在は飢餓も感染症も大きな問題にはなっていません。しかし、治安については非常に心配です。皮肉にも、昨年5月に和平協定が調印されて以来、戦闘が再開しています」
参照:『国境なき医師団』ニュース4月23日

▽ダルフール難民キャンプ2月(AFP)
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改善に向かっているのは飢餓と感染症で、治安に関してはレッドゾーンに入ったままである。更に『国境なき医師団』は、隣国チャドに被害が拡大していることを強く警告している。

この問題は、人権派を自称してきたサヨクの欺瞞体質がハッキリ分かるケースだ。

【ダルフールも米国の陰謀だと…】

未だに、わが国の左派言論人や反日メディアがダルフール問題を直視せず、発言を控えている。中には米国内のダルフール非難は、イラク問題から煙に巻く陰謀だと言いたい向きもあるようだ。

「アメリカの陰謀」…難解なテーマは陰謀論に持ち込めばOKという安易な思考ルーチンである。

米国ではこの春先から一気にダルフール問題への注目度があがり、非難キャンペーンが加速している。その背後には何があったのか?
▽米で行なわれたダルフール救済デモ
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宮崎正弘氏は5月末のリポートで、最もラディカルな米国のダルフール関係団体「SAVE DARFUR」は、米国の主要な宗教団体が結集したものだと明かしている。

そこに加わっているのは、ユダヤ系組織やイスラム教会、更に米国で圧倒数を誇るエバンジェリカル(福音伝導派)など錚々たる組織だそうだ。

彼らが結集した背景にあるのは「ジェノサイドを見逃したことへの反省」である。ダルフール大虐殺が最も酷かった時期は2003年春から2004年にかけてだった。
▽炎上するダルフール地方の村
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ちょうどその頃、米国の関心はイラク戦争に集中し、米メディアはアフリカ中央部で起きている悲劇に目を向けなかったのだ。見逃していたのである。

現在の関心の高さは、その反省であり“リバウンド”の様相が濃い。知識人を中心に「深く自戒している」というのが真相のようだ。

【ハリウッドが声を上げ始めた】

今月12日、米国でダルフール救済を訴えるCDが発売された。ジョン・レノンの楽曲をU2など有名バンドがアレンジしたトリビュート・アルバム『Instant Karma』。

そこにはアムネスティのキャンペーンの一環として多数のミュージシャンが参加している。日本では6月27日に『MAKE SOME NOISE』というタイトルで発売される。
▽日本盤CDジャケット
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タイトルは「声をあげよう」という意味で、アムネスティによるキャンペーンのキャッチフレーズでもある。発売元ワーナーの公式HPを見ると、ダルフール問題の基礎知識まで解説されている。
参照:『MAKE SOME NOISE』公式ページ

これまで反日メディアが無視し続けているニュースの解説が、CDブックレットには掲載されている…本末転倒の異常事態である。米国でダルフール問題の先頭に立っているのは意外にも音楽家や俳優陣だ。
▽カンヌに現れた『オーシャンズ13』俳優陣
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8月日本公開の映画『オーシャンズ13』もキャンペーンを推進し、カンヌでも出演者がダルフール救済を呼びかけた。プロデューサーは5月の時点で900万ドルの義援金を掻き集め、話題になった。

ちなみに北京五輪芸術顧問であることから非難の的となったスピルバーグ監督は、反省して100万ドルを提供したという。

これらが単にスーダン政府非難を行なっているのであれば、中共も冷や汗を流す程度で済むだろう。しかし、状況は北京にとって最悪だ。

【IOC会長の異例のコメント】

米国のダルフール救済キャンペーンの特徴は、下院本会議決議に見られるよう中共非難に直結。さらに北京五輪への異議を挟み込んでいることだ。

急先鋒の団体『SAVE DARFUR』は、中共とスーダンの繋がりを強調し「致命的な連携」と表現。ストレートに問題を中共にリンケージさせているのだ。北京は充分に警戒し始めているだろう。
▽『SAVE DARFUR』HPより
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参照:『SAVE DARFUR』HP

ハリウッド関係者の中でダルフール救済の先頭に立ち、「ジェノサイド五輪」の名付け親でもある女優のミア・ファローは、新たに北京を悩ませるキャンペーンを計画中だ。

北京五輪開催予定日のちょうど1年前にあたる8月8日から反虐殺を訴える聖火リレーを行ない、アフリカ・欧州・アジアを巡らせるという。更に、9月の国連総会にあわせて米国内でも聖火を走らせる。

そのゴールは米国の中共大使館だ。
▽先頭に立つミア・ファロー
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ただし五輪ボイコットは直接呼びかけないという。北京五輪開催を支持している訳ではなく、五輪を逆手にとって追い込む戦術だ。虐殺五輪の開催をキャンペーンの頂点に持って行く計算だろう。

6月23日、IOCのロゲ会長は独メディアに対し「ボイコット運動は間違った行為だ」と発言した。五輪のドンとしては当たり前だ。だがそれは、敢えてロゲ会長がコメントするまで逆風が高まっていることを示す。

異例の発言と言って良い。
▽『SAVE DARFUR』制作のポスター
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宮崎正弘氏は「反日キャンペーン」なんぞ何処かへ吹き飛ばす、大々的な「反中国キャンペーン」が世界的規模で始まった…と指摘しているが、その動きをロゲ会長の発言が裏打ちしている。

一旦は中共寄りにシフトしたハリウッドも、再び数年前の反中共姿勢に戻る可能性すら出てきているのではないか?
▽バシル大統領と胡錦濤(AFP)
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国際社会が「スーダン=中共」に向ける眼差しは、日増しに厳しくなっている。中共は思わぬ所、遠いアフリカで“地雷”を踏んでしまった。それは既に炸裂し、世界各地で延焼…自業自得である。

どこまで中共が耐えられるのか…北京五輪の開催予定日まであと1年1ヵ月だ。


     〆
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参考記事:
AFPBB6月25日『パリでダルフール紛争国際会議「断固とした態度を」とサルコジ大統領』
朝日新聞6月25に値『仏、積極介入へ方針転換ダルフール問題で外相級会合』
AFPBB6月18日 スーダン大統領、国連・AU部隊「無条件」受け入れを確約
産経新聞6月14日『米女優、“聖火リレー”で中国に抗議』
イザ6月7日『米下院 ダルフール問題で中国抗議決議』

参照:
宮崎正弘の国際ニュース・早読み5月31日
救え!!ダルフール難民

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