アンチ靖国参拝論の袋小路…ご注進報道は肩透かし

安倍首相が靖国春季例大祭で真榊を奉納。メディアは一斉に報じたが、なぜ今だったのか?今回もご注進報道風だったが中共は小声非難。そこに反靖国参拝論者の限界が見えた。
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大騒ぎする必要はあるのだろうか?

靖国神社の初の例大祭に合わせ、安倍首相が真榊(まさかき)を奉納していたことが明らかになった。真榊は神道の重要な神具のひとつで、三種の神器をあしらい、神事の際に祭壇の左右に配置して神域を築く。

首相による真榊奉納は中曽根元首相以来、実に22年ぶりだという。安倍首相は靖国神社参拝に関して、明言しない方針を保っているが、真榊奉納は、参拝に変わるものと見られてる。
▽真榊(JNN)
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靖国神社によれば、安倍首相に春季例大祭への参列案内状と真榊奉納を求め、応じたものだった。マスコミ報道を受け、安倍首相は8日夜、奉納に関連して記者団に、こう語っている。

「国のため戦って亡くなられた方々に敬意を表し、ご冥福をお祈りする。その思いを持ち続けていきたい」
▽記者団の囲み8日(共同通信)
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本来は堂々と参拝すべきところだが、明言しない方針を取った以上、英霊に感謝を捧げるには、真榊奉納は神道的な儀礼に基づく一つの選択肢だ。靖国神社側も歓迎の意向を示している。

「首相になり参拝を控える中、お気持ちを示されたのだと思う。ありがたい」

これでは例大祭に安倍首相が参拝しなかったことを明かしているのと同然だ。しかし、神道儀礼に則って奉納が行なわれたことには大きな意義があるだろう。

【なぜ4月23日に判らなかったのか?】

昨年の自民党総裁選直前、当時の安倍官房長官が春の例大祭直前に参拝していたことが明らかになった。それは安倍官房長官周辺からのマスコミリークだったと言われている。

では、なぜ例大祭の真榊奉納が今になって明らかになったのか?

8日午前、官邸で記者から質問を投げかけられた安倍首相は、沈黙を守っていた。真榊奉納に関してコメントしたのは、夜の官邸記者団の囲みの際だった。

質問を受けた安倍首相は、奉納の事実については「否定も肯定もしない」と答えている。首相周辺がリークしたのではないようだ。
▽画像:ANN
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各新聞社の記事がウェブ上に掲載された時間を見ると、朝日新聞と読売新聞がほぼ同時刻の午前3時過ぎにアップしている。それよりも早かったのは地方紙だ。つまり、共同通信の“抜き”である。

その情報がどこから出てきたのか、明示されていないが、春の例大祭中にも安倍首相が真榊を奉納していたことは判っていたはずだった。

「内閣総理大臣 安倍晋三」と木札に記された真榊は、靖国神社本殿に昇殿する為の階段の脇に並べられていた。今年の春の例大祭では、4月23日に超党派の議員39人が靖国神社を参拝している。
▽超党派議員の4月23日参拝(ロイター)
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昇殿した際の階段脇に木札つきの真榊は置かれていたはずだ。誰も気が付かなかったという事はないだろう。靖国参拝に批判的なメディアも階段横から写真を撮影している…

また、多くの一般の昇殿参拝者もいた。ただ、筆者が前に昇殿参拝した際には、横の詰め所から移動し、階段を昇った記憶はないのだが…

それでも階段脇に備えられた真榊は、一般参拝客が柏手を打つ拝殿からも見える距離にある。例大祭から2週間余り、誰も気が付かなかったのはミステリアスだ。
▽4月23日昇殿する議員(毎日新聞)
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8日に突然、報道された背景として考えられるのが、関連するイベントとの組み合わせだ。

【真榊奉納報道の奇妙なタイミング】

5月8日、日本遺族会による「靖国勉強会」初会合の都内・九段会館で開かれた。この勉強会は、同会会長・古賀誠の肝いりで設置されたもので、真の目的は甲種英霊(いわゆるA級戦犯)の強制排除である。

この会合が8日に開かれることは早くから分かっていた。推測だが、安倍首相の真榊奉納に関する“抜き”は「靖国勉強会」初会合を睨んだものだったのではないか?
▽会場入り口に置かれた案内(JNN)
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マスコミの常套手段に「合わせ技」がある。地味なイベントでも、関連ニュースを組み合わせると、大きく報道することが出来るのだ。読売新聞『首相の「真榊料」奉納、野党批判で靖国問題再燃の気配』と題した記事などが良い参考例である。

今回の真榊奉納報道は、遺族会会合のタイミングを狙ったもののように感じられる。

「遺族会は、これまでどおりでは済まない」

初会合で古賀誠は、そう述べて甲種英霊の強制排除に意欲を滲ませたという。アノ凄みのある顔で、こんなセリフを吐かれると脅し以外の何ものでもないが、反対論は根強いという。
▽報道陣に囲まれる古賀誠(JNN)
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理由は不明だが、古賀誠は会合の途中で退席し、その後、会長抜きで話し合いが進められた。会場には多くの報道陣が詰め掛けていたが、一部メディアが“期待した内容”ではなかったようだ。

反日メディアは肩透かしを喰らった格好である。大きく報じたのはTBSくらいだった。

その一方で、首相の真榊奉納報道は、初めから“ご注進報道”のスタイルを整えていた…

【ご注進報道の限界が見えた…】

真榊奉納について時事通信は第1報で、こう伝えていた。

…しかし、首相の肩書を使った奉納には中韓の反発も予想され、日中間で調整されている安倍首相の年内訪中や、来年の胡錦濤国家主席の訪日に影響を及ぼす可能性もある。
▽春季例大祭での島村元農水相ら(ロイター)
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通信社は事実を的確に伝えるのが本旨で、可能性を論じる必要性はない。また、慰安婦問題では真っ当な主張を繰り返している読売新聞も、こう書いている。

今回の内閣総理大臣名での奉納に対し、中国などからの反発も予想され、調整が進められている首相の訪中や中国の胡錦濤国家主席の来日にも影響を与える可能性がある。

単語レベルでも殆ど時事通信と同じ…ナベツネが反靖国姿勢から、こと靖国報道に限って読売の論調は、朝日並みの親中路線を取らざるを得ないようだ。

“ご注進報道”とは、日本国内で大きく取り上げられない話題を反日国家にリークし、火のない所に煙を上げる手法だが、今回も類似ケースと言える。

TBSは、中韓が反応したことを喜んで大々的に報じ、延焼させようと必死だ。中共は外交部スポークスマンの姜瑜(キョウ・ユ)が因縁をつけた。相変わらず「靖国」と聞くと脊髄反射する。
▽定例会見で答える姜瑜(JNN)
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余談だが、反日メディアは、中共の報道官が偉そうに文句を言う映像を流す度に、シナ嫌いの日本人が増えていることに気付いていないようだ。

一方の韓国は外交通商省が正式に不快感を表明した。

「域内の平和と安定の元になる正しい歴史認識の確立に逆行する」

お榊を供える神道儀礼の意味も分からずに、ただ「安倍首相=靖国」の関係性だけで逆上しているようだ。反日メディアが期待したリアクションとしてはお粗末なものである。
▽TBSが報じる韓国報道(JNN)
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TBSは「韓国メディアは、朝からこのニュースを報じ…」と伝えているが、ウェブ版を調べた限りでは、さほど大きな扱いではない。聯合ニュースにしても極端に短い記事だ。

ひと昔前なら「韓国では大騒ぎだ」とマスコミが報じれば、深刻に捉える者も多かったろうが、ネット時代は様子が異なる。“ご注進報道”の反復で延焼させる手法には、もう限界が来ているようだ。

特亜のリアクションは微弱だったが、野党は久々に熱のこもった反応ぶりを見せている。しかし、そこにもアンチ靖国派の限界が見て取れた。

【完全に消えた“アジアの反発論”】

正月をハワイで過ごす民主党の鳩山由紀夫は奉納報道を受けて、こう答えた。

「それが美しい国造りへの首相の行為なのか。あまりにも姑息だ」

慰安婦ビジネスの先駆者・福島瑞穂も似たようなセリフを吐いている。

「ご都合主義の二枚舌の姑息なやり方は、国民と外国の信頼を踏みにじるものです」
▽「こそく」と難癖つける瑞穂(JNN)
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偶然だったのか…2人の口から出た非難のキーワードは「姑息」だった。理路整然とした批判材料としては説得力に欠ける。子供じみた単なる「言い掛かり」に過ぎない。

昨年の小泉参拝の前後に巻き起こったアンチ靖国派の最大の論拠は“アジア諸国の強い反対”だった。「中韓がダメというからダメ」でという理屈である。

ところが、その論法を今や使えなくなっていることが判明した。「アジアの国の人々が…」などと言っていたのは、完全な虚言だった。

昨夏と異なるのは、北京の一握りの政治家が方針を変えただけだ。盧武鉉の返礼訪日は実現せず、日韓外交は小泉時代と大差がない。

その中で野党が「アジアにリンクさせた靖国反対論」を取り下げたことは、自らが“北京の拡声器”だった事実を明白に物語っている。
▽野党議員も例大祭で参拝(ロイター)
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野党3党は8日、政教分離の憲法違反として安倍首相を追及する方針を固めたという。昔懐かしい「政教分離論」の堂々たる復活だ。

政教分離→アジア外交→政教分離

朝日新聞も5月9日付けの社説で、さっそく真榊奉納に噛み付いた。しかし、昨年の反靖国キャンペーンで繰り返した「アジアの国々の人たちの心を踏み躙る云々」という主張は、ものの見事に消えている。毎日新聞の社説も同様だ。

【政治論争から靖国神社を救い出せ】

反日ファシストが好んで使う「アジアの人々」が、特定国のごく僅かな者たちであることは、既に暴かれている。更に細かく言えば、それは中共の指導者層だ。

“靖国問題”とは最初から北京・中南海の問題である。

一部の識者は「靖国カード」は、今、我が国の手の内にあると説く。森本敏氏は講演で、こう語っていたという。

「中国は日本に異常なほど気を使っている。靖国問題は逆転し、いまや靖国は日本側のカードになった」

また手嶋龍一氏は、靖国に拘る中共の態度は、中共自身を追い込む結果になったと指摘している。

「日本国首相の靖国参拝」の「値段」は、小泉さんの頑なともいえる姿勢によって、ほとんど天井まで高騰しました。(『インテリジェンス武器なき戦争』158頁)

首相官邸に程近い靖国神社に総理が出向けば、それだけで北京は狂騒状態に陥る。対支外交で行き詰まった時、靖国参拝は脅しのカードになり得るだろう。
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だが、これ以上、靖国神社を政治問題の焦点にする愚は避けたい。国の為に戦い散華された方々を、どう顕彰し、どう敬い讃えるかは、あくまでも日本人の内面的な問題。

外国人が口を挟む余地は僅かにもない。

靖国に限らず、神社に相応しいのは厳粛な風景だ。九段の坂が、反日メディアの雑音から逃れ、再び静寂を取り戻すことを祈る。
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     〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
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参考記事:
読売新聞5月7日『首相が靖国に真榊料奉納、先月の例大祭に「総理大臣」名で』

時事通信5月8日『首相が靖国神社に供物=「総理大臣」名、私費で5万円-春季例大祭に合わせ』

イザ12月19日【春夏秋冬】日本の切り札、靖国カード

朝日新聞 5月9日社説 『首相と靖国―抜け出せぬジレンマ』

毎日新聞5月9日社説『首相と靖国 もう「参拝せず」と明言しては』

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