武漢ウイルス情報戦の黄昏…感染0号患者が現れた夏

“冷凍食品犯人説”は味方の援護乏しく破綻した。中共が苦し紛れに煽る米軍実験室起源説もカウンターを喰らって自爆。武漢ウイルス自然由来説破綻のカウントダウンが始まった。
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「第三国で徹底調査するので現物を引き渡せ」

国境を越える武漢ウイルスを巡ってインドとガンボジアの“局地紛争”が勃発した。ことの発端は7月27日にカンボジア保健省が出した声明だった。

「インドから輸入した水牛肉の輸送コンテナから複数のウイルスが見つかった」
▽押収されたインド産水牛肉7月(Khmer Times)
押収されたインド産水牛肉7月(Khmer Times).jpg

カンボジア税関当局はインドからの冷凍肉の全面禁輸を発表。これに対し、インド大使館と摘発された商社が激怒。シンガポールの研究機関で再調査する方針を示して“陽性肉”の引き渡しを求めた。

「それでは時間が掛かり過ぎる」(カンボジア側)
「何言ってんだ。その冷凍肉を輸出したのは4月だぞ」(インド側)

紛争は激化すると見られたが、検査した“陽性肉”が既に焼却処分されていることが判明。カンボジア側はあっさり折れ、8月3日までに禁輸措置は撤回された。
▽全て焼却された謎の“陽性肉”7月(Khmer Times)
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いったい何をしたかったのか不明だが、派手な論争を巻き起こすことで中共のプロパガンダ拡散に協力した格好だ。“陽性肉”問題は瞬間的にせよ、国際通信社が伝えて世界に知られる所となった。

フン・セン独裁政権が続くカンボジアは中共の衛星国に成り下がって久しい。騒ぎ立てることで大きな見返りがあったのか、ゴリゴリの親中派アーダーン首相が率いるニュージーランドのケースと似ている。
▽北京を詣でるNZアーダーン首相'19年(ロイター)
北京詣するアーダーン首相'19年(ロイター).png

準鎖国体制を敷いたNZの最大都市オークランドで昨年8月、3ヵ月ぶりの新規感染者が出現。感染者が冷凍貯蔵施設で働いていたことを根拠に保健局トップが「輸入食品犯人説」を公然と唱えた。

1週間後、その保健局トップはあっさりと持論を撤回するが、冷凍食品が媒介したとする最初のニュースは世界を駆け巡った。手を叩いて喜んだのは中共である。

【“冷凍食品説”支持したWHOの罪禍】

昨春に武漢実験室起源説が勃興して以降、中共は自らが被害者に成り変わる奇計を練った。その中で採用されたのが、輸入食品によって国内に入り込んで来たというシナリオだった。

「世界初の発見例だ」

中共当局は誇らし気に発表した。「2ヵ月間感染ゼロ」と派手に宣伝していた北京で昨年6月に大規模なクラスターが発生。嘘がバレた中共は、感染ルートを輸入食品と結論付けて、被害者役を演じた。
▽感染源と名指しされた北京の海産物市場’20年(NHK)
感染源とされた北京の海産物市場NHK.jpg

この冷凍食品原因説は当初、国際社会から無視されたもののNZの当局者発言で俄かに注目される。本邦の大手メディアでも科学的知見から同意する声が取り上げられた。実験室起源説の否定論とは対照的だ。

参照:日経新聞20年8月30日『新型コロナウイルス、冷凍でも感染力維持』

そして冷凍食品説を強力にバックアップしたのがWHOだった。ピーター・ダザックが牽引した現地調査チームは、武漢で開いた2月9日の会見で、中共の主張に寄り添う姿勢を見せた。

「さらなる研究が必要である」
▽冷凍食品説に寄り添ったWHO調査団の会見2月9日(AFP)
2月9日、中国・武漢市内で記者会見する世界保健機関(WHO)のピーター・ベンエンバレク氏(AFP.jpg

冷凍食品からヒトへの感染について今後も研究を重ねると表明したのだ。一方で、武漢ウイルス研究所の追加調査は不必要と言明し、実験室起源説を葬り去った。

「COVID-19は、食品を媒介するノロウイルスやA型肝炎と違い、ヒトからヒトに広がる呼吸器疾患だ」

米国は、WHOダザック・チームの調査報告に猛反発した。会見の10日後、FDA(米国食品医薬品局)は農務省・CDCと連名の声明を発表。食品原因説を真っ向から否定した。

「1億件を超す世界中の症例から、食品やパッケージが感染の原因になったという疫学的な証拠はない」
▽輸入冷凍食品を扱う北京のスーパー20年8月(EPA)
EPA20年8月輸入冷凍食品を扱う北京のスーパー.jpg

FDAは、ウイルスの“死骸の断片”にも反応するPCR検査の問題点を柔く指摘する。だが、中共は北京の市場で数十人が冷凍食品から感染したと主張し、地方では生きたウイルスも検出されていると訴える。

中共は今でも冷凍食品からの感染報告を続け、禁輸措置を乱発しているが、援軍は少なく、尻窄み感は否めない。そこで新たにシフトしたのが、実験室起源説だ。無謀な転身、もうヤケ糞気味である。

【中共が施設メンテに執着する理由】

「フォート・デトリックにどんな秘密が隠されているのか、米国は世界に説明する義務がある」

武漢実験室起源説の再燃に警戒感を強めた中共は5月末、報道官にそう言わせた。フォート・デトリックとは、メリーランド州にある米陸軍の感染症医学研究所を指す。
▽フォート・デトリック感染症医学研究所(file)
フォートの米陸軍感染症医学研究所.png

この施設が’19年7月に緊急閉鎖されたことから、中共指導部は昨年から度々ターゲットにしてきた。武漢研究所疑惑への意趣返しであるが、最近になってキャンペーンに本腰を入れ始めた。

2年前の夏に全米で急増した電子タバコ関連の肺機能障害が今回のパンデミックの始まりだと言うのだ。しかし、患者の急増エリアは米南部などで研究所のあるメリーランド州とは離れている。
▽濃い緑色が患者の多発地域(米CDC)
濃い緑色が患者の多発地域米CDC.png

検証するに値しないディスインフォメーションだ。それでも中共が躍起になって拡散する実験室起源説が、施設の管理不備に伴うフォート・デトリックの一時閉鎖に執着していることが興味を惹く。

大東亜戦争中に誕生したフォート・デトリックは一部老朽化が進み、豪雨で廃水処理施設が破損。米CDCは’19年7月に研究所の運用停止を命じた。ただし、漏洩による周辺の健康被害はなかったという。
▽’60年代のフォート・デトリック施設内(wiki)
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施設の老朽化に起因する一時的な措置だ。なぜ中共が施設管理の問題に拘るのか少々疑問だったが、米議員の武漢研に関する最新の調査報告で、その謎が解けた。

「施設が稼働した直後のオーバーホールは異常だ」

米下院外交委員会の共和党トップであるマイク・マッコール議員は、8月2日に公表したリポートで、新たな疑惑を提起した。武漢研究所は’19年7月に大規模改修の予算を計上したことが判った。
▽共和党M・マッコール下院議員(英メール紙file)
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総額は約150万ドルで、空気浄化と廃棄物処理のシステムに関連するものだった。武漢研BSL4実験室の稼働開始は’18年1月。その1年半後に大規模なメンテナンスを行うことは不自然だ。

「これらのシステムがパンデミック発生前にどれだけ機能していたのか?」

報告書は武漢研での漏洩を前提に、発生から拡散に至るまでの新しいタイムラインを導き出す。

【“バイデン審判”まで1ヵ月を切る】

「我々は2019年8月下旬から9月上旬にかけてウイルスが漏洩したと考えている」

報告書によると’19年9月12日未明に武漢研究所のウイルス関連データが突如、外部から閲覧不可能になったという。この件に関するバットウーマン石正麗の説明は二転三転し、最終的には回答を拒絶した。
▽北京の会合に招かれた石正麗’20年9月(中新社)
北京のフォーラムに招かれた石’20年9月(中新社).jpg

武漢市で’19年10月に開催されたワールド・ミリタリーゲームスにも言及。参加した外国人選手が武漢肺炎と似た症状で治療を受けた事例は、過去にも一部証言があったものだ。

「2年半に渡る衛星写真を分析した結果、’19年9〜10月に武漢市内の5つの病院で駐車場が相対的に多く埋まってることが判った」
▽’18年10月=393台 ‘19年10月714台(米ABC)
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ボストン大とハーバード大の共同研究に基づくデータだ。武漢研職員の通勤用シャトルバス経路など追加要素もある模様だが、オリジナルは昨年6月に発表されたものだ。

参照:AFP’20年6月10日『新型コロナ、19年夏に発生していた可能性 研究』

同研究は「デジタル伝染病学」という新しい分野で、SNSの単語や検索量も加味し、流行の始まりから拡大傾向を解析。「下痢」に関する用語が多かったことから季節性肺炎とは異なるとの見方を示した。
▽交通量と百度検索数のグラフ(論文より)
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この論文の特徴は、敵を招き寄せたことだ。報道各紙は、査読を受けていない予備調査だと強調。中共側も科学的根拠のない無価値な研究と猛批判した。実験室起源説に対するリアクションと似ている。

「二段三段跳びの推論で、この証拠自体が何の説明にもならない」

WHOの緊急対応責任者マイク・ライアンも会見で頭ごなしに否定した。CCPの代理人が躍起になって火消しに励んでいる印象だ。批判を浴び、共同研究の最終版は査読を経ずに葬られてしまったのか。
▽テドロスの懐刀M・ライアン20年9月(ロイター)
テドロスの懐刀M・ライアン20年9月(ロイター).jpg

この共同研究も米下院外交委のリポートも、9月上旬までに武漢で流行が始まっていたとする分析は同じだ。武漢研の技術者3人が発症した11月より2ヵ月早く、タイムラインは書き換えられた。

そこで取り扱いが複雑になるのが、同年9月18日に武漢・天河国際空港で実施された中共軍の新型コロナ対策演習である。ワールドゲームスで外国選手団が新型コロナを持ち込んだという想定だった。
▽新型コロナ対策演習の説明’19年9月18日(湖北経視)
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関連エントリ:令和2年3月2日『新型コロナ武漢軍事演習の謎…暗黒実験室を揺るがす政変』

演習は極秘ではなく、ローカルの党宣伝機関が写真付きで伝えている。武漢でSARSに似た感染症が流行っていたとしたら、その最中に新型コロナ対策と銘打った演習を行うだろうか。解釈が難しい。

外交委の共和党議員によると、今回発表した報告書は一部で、9月中に完全版を出すという。是非、謎の軍事演習にも踏み込んでも貰いたいが、現状では決定打に欠ける。

「バイデン民主党政権と中国側が“談合”して、中身の緩い報告書を発表しないように牽制した動きだ」
▽更に影が薄くなったバイデン8月3日(AP)
更に影が薄くなったバイデン8月3日(AP).png

福井県立大の島田洋一教授は外交委報告書の発表について、そう読み解く。バイデンは5月末、90日間で起源調査をまとめるよう情報機関に指示した。期限は8月末で、既に1ヵ月を切った。

焦点は、実験室起源説を補強するスモークガンではない。もう一方の自然由来説の立証である。1年半以上も捕捉できない中間宿主を残り3週間足らずで見付け、科学的な分析を添えることは、まず不可能だ。



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参照:
□米下院外交委HP8月1日『McCaul Releases Addendum to Origins of COVID-19 Report』
□米下院外交委HP8月『the origins of covid-19: An investigation of the Wuhan institute of the virology(PDF)』
□FDA(米国食品医薬品局)HP2月18日『COVID-19 Update: USDA, FDA Underscore Current Epidemiologic and Scientific Information Indicating No Transmission of COVID-19 Through Food or Food Packaging』
□米CDC HP’20年11月27日『Outbreak of Lung Injury Associated with the Use of E-Cigarette, or Vaping, Products』

参考記事:
□産経新聞8月3日『新型コロナ「武漢の研究所から流出」と指摘 米共和党が報告書』
□ZAKZAK8月3日『「コロナは武漢研究所から流出」米共和党が衝撃の報告書 ロイター報道 識者「バイデン政権と中国側の“談合”を強く牽制」』
□英メール8月2日『Damning Republican report into Wuhan lab claims COVID LEAKED out in September 2019 shortly after it tried to improve air safety and waste treatment systems』
□FOXニュース8月2日『Rep. McCaul on House GOP's bombshell Wuhan lab report: 'Greatest cover-up in human history’』
□大紀元8月2日『<中共ウイルス>武漢ウイルス研究所、感染拡大前に改修入札を公募=米下院委員会報告書』
□AP通信7月27日『Cambodia seizes virus-contaminated meat imported from India』
□Khmer Times7月28日『Bone of contention: C-19 find on frozen imported meat sparks controversy』
□Khmer Times8月3日『Customs ban thaw: Cambodia to continue importing frozen meat from India』
□ブルームバーグ8月19日『輸入食品介したウイルス拡散懸念する中国-NZは可能性を否定』
□時事通信20年12月1日『輸入冷凍食品からコロナ相次ぐ「武漢起源説」否定の思惑も?―中国』
□中央日報8月2日『中国の居直り…「米電子たばこ肺疾患患者から新型コロナ起源」』

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