暴動報道で霞む六四記念日…新たな「黄雀行動」を急げ

米暴動を煽る報道の氾濫は6月4日に頂点を迎え、六四追悼は霞んだ。香港支援の号砲も虚しく、時間切れが迫る。邪悪な罠から民主派を救い出す21世紀版の「黄雀行動」が急務だ。
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「戦車の前に男の人が立ちはだかる写真が印象に残っています。今、香港人がその戦車の前に立とうとしているのだと思います」

天安門事件の犠牲者追悼“集会”に参加した16歳の女子高校生は、そう語った。6月4日夜、香港中心部のビクトリア公園に数千人の市民が集まった。

政治的な動機で集会が禁じられる中、個人が三々五々訪れたというスタイルだ。繁華街では散発的な衝突も起きたが、公園内の“集会”は概ね平静で、危惧された流血の事態は回避された。
▽約6000人が参集したビクトリア公園6月4日(AFP)
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「香港島には約2,000人、旺角などのエリアにも1,000人規模の機動隊が動員される」(6月3日付けSCMP紙)

香港当局は地元メディアを通じ、六四追悼集会の鎮圧を警告していた。波乱を覚悟しながら、ビクトリア公園などに駆け付けた香港民主派の気骨を讃えたい。

それでも過去最多18万人規模に膨れ上がった昨年の集会とは比ぶべくもない。香港の武漢ウイルス禍は終息したが、当局はソーシャル・ディスタンス規定を悪用。9人以上の集会禁止を延長した。
▽参加者が灯す追悼のロウソク6月4日(AFP)
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禁止措置の期限を6月4日までとしたことは、実に挑発的だった。見え透いた六四追悼潰しである。市民の集会を規制する一方、国歌条例案の採択で議会を開催するという矛盾も気に掛けない。

「30年間追悼に参加してきたが今年は特に重要だ。何故なら香港は今、同じ政権からあの時の北京と似た圧力を掛けられている」

“集会”に参加した74歳の男性は、そう訴えた。31年前の「北京の春」が束の間だったように、香港の自由も間もなく終わる。残念だが、来年の6月4日に追悼行事が無事に催される可能性は低いだろう。
▽「天滅中共」のNGワード化は必至…(AP)
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リミットは最も長く見積もっても4ヵ月後。早ければ盛夏前にも重大な転換点を迎える。事態は切迫しているのだ。

【反CCP迫撃砲は埋没した…】

「CCP(中共)による非武装の一般国民の虐殺は忘れられることのない悲劇だ」

米国務省は6月4日、第二次天安門事件31周年に合わせ、声明を発表。民族・宗教的マイノリティーの迫害停止を求めると同時に、香港の「一国二制度」を約束した英中連合宣言の遵守を呼び掛けた。

更にポンペオ国務長官は、王丹氏ら民主化運動の元リーダーら4人と対面したことを公表した。王丹氏によると米国務長官との正式な面会は異例で、これが初めてだという。
▽王丹氏(中央)らと対面したポンペオ長官6月2日(FNN)
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「CCPは情報統制と残虐行為で生き残った」

オルタガス報道官は別の声明で、そう指摘した。チャイナと中共の慎重な使い分けは、ペンス副大統領演説の特徴だったが、国務省の公式見解でもCCPという表現が目立つようになった。

「香港には最早充分な自治はなく、我々が提供してきた特別扱いに値しない。チャイナは『一国二制度』を『一国一制度』に置き換えた」

香港に対する優遇措置廃止とWHO脱退を宣言した5月29日のトランプ大統領会見は極めて重要で、歴史的なものだった。批判に抗って武漢ウイルスと明言したのも、この時である。
▽会見するトランプ大統領5月29日(ブルームバーグ)
ブルームバーグトランプ大統領の記者会見(ホワイトハウスで、5月29日).jpg

しかし、メディアの扱いは低調だ。米CNNは自局への襲撃事件を省みず、暴動関連報道で大興奮。本来、習近平に剥くべき牙をトランプ大統領に剥け、袋叩きに精を出す。

ミネアポリスから米各地に飛び火した暴動に喜んでいるのは、米民主党系メディアだけではない。CCTVなど中共の宣伝機関はトップ級で連日大々的に伝えている模様だ。
▽厳戒態勢のNY市中心部6月1日(新華社)
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「米国の暴動で地元政府がどのように対応しているか注視している」

香港行政トップの林鄭月娥も喜びを隠し切れない。北京に飛び発つ前の会見で、トランプ政権を「ダブルスタンダード」と批判した。迂闊に本音を漏らす時点で、政治家失格である。

【静かな6・4中共大使館前の異様】

「アンティファや類似の過激なグループがデモを乗っ取り、暴力行為を扇動した証拠がある。外国勢力も入り込んでいる」

米国のウィリアム・バー司法長官は、そう明言した。大統領によるアンティファのテロ組織指定方針に沿った強硬姿勢だが、連邦捜査当局の動きは不透明で、ブラフに過ぎないとの見方も多い。
▽ホワイトハウスに接近する抗議デモ隊5月31日(ロイター)
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アンティファを背後で操っている国があるとすればロシアで、中共暗躍の線は微かだろう。中共が鉄砲玉を野に放つのは、長野支那人騒擾事件など例外的で、手口はもっと狡猾だ。

一連の暴動で、中共の望む通りに動いたのはメディアだった。トランプ大統領が首都に米軍部隊投入を示唆した際は、ホワイトハウス周辺が今にも天安門化するかのような騒ぎ方だった。
▽ワシントン近郊で待機する米陸軍部隊6月3日(WSJ)
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六四記念日が迫る中、北京の指導部にとって好都合な展開だ。それに伴い、習近平は強制排除を予告していた香港の追悼集会弾圧を急遽撤回。結局、香港でもワシントンD.C.でも大規模衝突は起きなかった。

トランプ大統領の計算通りだったら、天才的だ。重武装の米正規兵による弾圧を期待してた中共は肩透かしを喰らい、国内向けの煽り報道は、今後の香港民主派弾圧との違いを浮き彫りにする結果を招く。
▽撤収準備を進める米陸軍部隊6月5日(AP)
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ただし、中共指導部が目論む“六四隠し”は半ば成功した。毎年6月4日は非公認の国際反中共デーで、抗議活動は我が国と台湾国を皮切りにデリー、欧州、北米へと地球を1周する。
▽都内・中共大使館前の抗議活動6月4日(AFP)
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都内・港区の中共大使館前では、有志による抗議が行われ、台北でもほぼ平年通りに開かれた。しかし武漢ウイルス禍の長期化により、都市封鎖が続くデリーを始め、欧米の反中共抗議は霞んだ。

逆に、アムステルダムやパリなど欧州の首都では米大使館に向けた抗議デモが続発。殆ど取り上げられなかった6・4反中共抗議とは対照的だ。倒錯した世界観、ある種の世紀末的様相である。
▽ベルリン米大使館前の抗議5月31日(EPA)
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各国プロ市民のルーティンワークと受け流せるが、本物の人道上の危機に目を瞑る連中には、吐き気を催す。香港を救えるのか否か、いま国際社会は瀬戸際に立たされているのだ。

【勇敢なる香港魂の「黄雀行動」】

「チャイナが香港の人々の恐怖を正当化する為に突き進むのなら、英国は肩を竦めて見捨てることは出来ない。我々は義務を負い、代替案を提供するだろう」

武漢肺炎から生還した英ジョンソン首相は、タイムズ紙への寄稿文で、力強く訴えた。英政府は危機を睨み、香港市民300万人に対し、英市民権取得の道を拓く方針を打ち出した。

現在、約35万人の香港人がBNO(英海外市民)のパスポートを保有。260万人が取得資格を持つ。ノービザ滞在など優遇は限定的だが、それを移民規則の大幅改正で国籍付与にまで広げるという。
▽香港の抗議者が掲げるBNO旅券(BBC)
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またラーブ外相は、香港人の大規模脱出を視野に入れ、米豪などファイブ・アイズと協議を進めていると明かした。単なる北京への牽制ではなく、具体的な準備に入った模様だ。

「香港人を支援する我々の決意は変わっていない」

台湾国の蔡英文総統は5月末、香港人を救済する人道的「行動計画」策定に取り組むことを表明。住居の提供を含む、大規模な移住支援策になる見通しである。
▽台北銅鑼湾書店を訪れた蔡総統5月29日(中央社)
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一連の民主派弾圧を受け、昨年は5,000人を超す香港人が台湾国に移住した。生活様式や言語系統から最も相応しい移住国の一つで、既にファイブ・アイズと連携して協議を始めている可能性も高い。

NYT紙は昨年12月、台湾に香港活動家の移住を支援するグループが存在すると伝えた。脱出資金の援助や水先案内を務める包括的な極秘支援で、新たな「黄雀行動」とも呼ばれる。
▽天安門広場で演説する柴玲氏’89年5月(File)
天安門広場で演説するさ柴玲氏89年5月(File).png

六四大屠殺で柴玲氏やウアルカイシ氏ら学生リーダーは消息不明となった。全世界が安否を懸念する中、彼らは忽然と香港に現れ、フランスやカナダに旅立った。

謎の脱出劇は暫く後になって有志による「黄雀行動」の成果だったと明かされる。「黄雀行動」とは、古い詩に詠まれた罠から雀を救う少年に因んだネーミングだ。
▽六四追悼集会の司徒華氏2010年(File)
六四追悼集会の司徒華氏2010年(File).jpg

尽力したのは香港民主運動の元祖・司徒華氏が率いた「支聯会」のメンバー達だった。極秘の移送ルートなど今でも公にされない部分が多いが、救出活動は6・4以前に始まっていた。

司徒華氏らが英邁だったのは、中共指導部が一切妥協せず、武力制圧に踏み切ると確信していたことだ。希望的観測を捨て、共産党の邪悪な本性を見抜いたリアリストである。
▽天安門広場に近い長安街の惨劇’89年(File)
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話し合いの余地は元から存在しない。習近平指導部がより強硬・凶悪な手段で香港を蹂躙することは確実だ。今なら地下ルートに頼らず、合法的に民主派を安全地帯に移送できる。

故郷の香港を「大切な我が家」と民主派は呼ぶ。我が家を離れることは断腸の思いだろうが、捨て去るのではない。将来のレコンキスタに夢を繋ぎ、生き残ることが肝要だ。
▽ビクトリア公園の六四追悼“集会”6月4日(ロイター)
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そして、31年前のように民間有志に丸投げするのではなく、先進各国が一丸となって新たな「黄雀行動」を支えなければならない。



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参考記事:
□産経新聞6月4日『香港で天安門追悼集会 1万人以上が参加 「香港人は戦車の前に」』
□BBC6月5日『香港で天安門事件の追悼集会 数万人が公園に集結』
□WSJ5月20日『香港の天安門追悼集会、開催不透明に 当局が集会禁止延長』
□BBC6月3日『英首相、香港人のため移民規則変更を検討 国家安全法に反発』
□時事通信6月2日『香港300万人に市民権も 中国が安全法導入なら―英首相』
□時事通信5月28日『台湾総統、香港人への人道的「行動計画」策定を表明』
□ロイター6月5日『米ホワイトハウスが天安門31年で声明、中国に人権尊重を要求』
□大紀元6月3日『<米騒乱>暴動を強調する中国メディア 参加者に寄り添う警官の姿に触れず』
□産経新聞6月4日『天安門事件31年 米国務長官、元リーダーと会談 中国に説明要求』
□AFP6月2日『香港行政長官、米国を「ダブルスタンダード」と批判 抗議行動への対応めぐり』
□読売新聞6月5日『米の抗議デモ「極左や過激派が扇動、証拠ある」…司法長官』
□BBC19年5月23日『六四30週年:通向自由香港的「黃雀行動」』
□新唐人TV19年12月9日『新版「黃雀行動」在台灣 助200港人避難』
□大紀元2011年1月13日『死去した香港民主運動の重鎮、天安門事件リーダーの国外救出に初の裏証言』
□AFP6月4日『天安門事件から31年、中国大使館前で民主派グループが抗議デモ』

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