華為技術の蒼ざめた5月…被災地で暗躍した覆面諜報員

大震災の直後、華為は“技術者”を福島に送り込んだ。身分を偽った諜報員が合法的に入国し、活動する…米国が警鐘を鳴らす「安全保障上の重大リスク」とは通信傍受に限らない。
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住まいは約10億円相当の大豪邸。“監視役”付きなら市内のどこでも自由に移動できる…これが華為技術(ファーウェイ)CFO・孟晩舟の今の暮らしぶりだ。とても保釈中の身分とは思えない。

身柄の引き渡しを実行するのか、それとも国外退去を決着するのか。米国の次の一手は、昨年12月にカナダで逮捕された孟晩舟の処置だが、本格的な審理開始は9月で、それまで水面下の攻防が続く。
▽バンクーバーの自宅を出る孟晩舟5月8日(AFP)
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孟晩舟はイラン制裁違反に関連する詐欺容疑など23件の罪状で米司法省から起訴され、身柄送還の正式要請も出された。これに対し、孟晩舟側は「市民権の侵害」だとしてカナダ政府を提訴している。

空港での逮捕劇が「カナダ人権憲章」に著しく反するのだという。中共のエリートが“人権”を盾に喚く光景は倒錯の極みだ。報復で不当拘束された2人のカナダ人とは対照的である。
▽2人の解放を訴えるカナダ市民3月(ロイター)
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拘束された元外交官のマイケル・コブリグ氏ら2人は、所在不明の刑務所に送られ、消息を絶った。後にカナダ領事が面会に漕ぎ着けたが、消灯不可の独房に押し込められ、尋問に晒されていることが判った。

国家機密の窃盗に関わるスパイ容疑という逮捕理由も、絵に描いたようなデッチ上げ。しかも“容疑”の決定は今年3月で“正式な逮捕”は5月だった。これぞ「恣意的な拘束」である。
▽拘束されたコブリグ氏とスパバ氏(ロイター)
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今さら中共の司法システムを非難した所で何の目新しさもない。だが、捜査機関と司法が共産党の下で一体化していることが、華為技術問題の根幹のひとつだ。

先進国で民間企業が違法な情報収集をすれば即摘発。また集めたデータを当局に丸ごと提供することもない。ところが華為の場合は逆で、中共指導部の庇護を受け、党に情報を垂れ流す…
▽深圳の華為技術本社(file)
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一度奪われた情報は取り戻せない。華為技術の危険性が認知されたことで無際限の拡大にはブレーキは掛かったが、世界中にバラ撒かれたリスクの完全除去は、まだ先だ。

【米下院告発から7年目の結実】

トランプ大統領は5月15日、IT技術などの保護に係わる大統領令に署名。これを受けて米商務省は、政府の許可なく米企業からの部品調達を禁じる規制リストに華為技術及び関連68社を追加した。

「敵対的な国が管理監督する企業が製造した情報技術を米国内で無制限に使用することは、機密を脆弱にすると共に敵対国の力を増大させ、容認できないリスクをもたらす」

大統領令には、そう記される。具体的な国名はなかったものの「敵対的な国」が中共であることは明らかだ。更に商務省が華為を「国が管理監督する企業」と位置付けた意味は大きい。
▽会見するロス商務長官(AP file)
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解釈の余地はなく、抜け道はなくなった。ブラックリスト入りで華為の命運はほぼ決まったが、それ以上にグーグルの対応は素早く、各国のIT大手に衝撃を与えた。

ハイテク冷戦、米中5G戦争…内外のメディアは貿易摩擦の最前線と捉え、トランプ政権による「対中政策」にスポットライトを当てるが、実際の様相は異なる。
▽取引の猶予期間は90日と設定(file)
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米当局に捜査は数年前のオバマ時代に遡る。当初、本丸と目されたのは、中興通訊(ZTE)だった。イランへの精密機器輸出を巡る疑惑だ。その過程で、捜査線上に華為が浮かぶ。

対イラン制裁違反に絡む疑惑をロイターが2013年にスクープする。これが香港スカイコム・テック社を通じた華為の不正輸出で、孟晩舟の起訴に直結する。
▽裁判所を後にする孟晩舟1月29日(AP)
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そして2016年春、米商務省は華為の米国法人に対し、対イラン輸出に係わる情報の提出を求めた。頻繁に訪米していた孟晩舟は、これに前後して、入国を控えるようになった模様だ。

いずれもトランプ大統領が就任する以前の動きである。ホワイトハウスでも商務省でもない。米議会こそが追及の急先鋒で、下院特別委が報告書で強く警鐘を鳴らしたのは、2012年のことだった。

「HuaweiやZTEの製品は、中国のスパイ活動やサイバー攻撃に利用される恐れがあり、米企業や政府機関は採用すべきではない」
▽米の排除は違法と訴える華為幹部ら3月(ロイター)
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またペンタゴンによる2社と中共軍の密接な関係指摘は2011年だ。米国の本格的な排除は、むしろ遅すぎたとも言えるだろう。

【華為会長を「英雄」と讃える愚策】

「Huaweiは事実上、中国共産党の情報収集機関だ」

共和党のトム・コットン上院議員は今年1月、華為制裁法案を提出した際の声明で、そう指摘した。こうした率直な物言いは最早、対中強硬派だけに限らない。

「Huaweiは中国共産党との繋がりも深く、同社機器を経由する米国の情報は危険に晒されている」
▽報道番組で発言するポンペオ長官(CNBC)
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5月23日にテレビ出演したポンペオ国務長官の発言だ。トランプ大統領は通商協議でディールの材料にする可能性に含みを持たせるが、後戻りは出来ないだろう。

昨年の中興通訊(ZTE)制裁は、米支首脳会談で習近平と取引した結果、巨額の罰金支払いや幹部の刷新を条件に禁輸措置を解除した。だが、華為技術が同じルートを辿ることは難しい。

「中興通訊のように、米国の求めに応じて経営陣を刷新したり、監視を受け入れたりするようなことはしない」

華為のCEO・任正非は5月18日、日本メディア各社の共同取材に応じた際、そう宣言した。米側が態度を翻したとしても、5G環境の構築で協力することはないと言う。
▽“独占取材”に答える任正非5月18日(朝日)
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任正非の発言は抑制が効いているものの米国への反論大会に過ぎず、報道価値は乏しい。こうした共同取材を我が国のメディア各社がセットし、弁明を拡散する状況こそが、華為の危険性を示す。

米制裁発動から間もなく、任正非は中共の宣伝機関に大々的に取り上げられ、反論が垂れ流されたという。中共指導部がCEOをメーンにしたプロパガンダ戦略に舵を切ったのである。
▽中共宣伝機関で放言する任正非
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「まるで中国のメディアが華為一色に染まった形だ」

有力な支那ウォッチャーの1人である遠藤誉教授も驚く。遠藤教授によると昨年12月に孟晩舟が逮捕された時、支那国内での取り上げ方は控え目で、CCTVの報道も淡白だったと回想する。

それが一転、今年なって頻繁に登場し始め、一部の宣伝機関では「民族の英雄」と呼び、祭り上げているという。華為側は共産党との関係を全否定するが、これでは逆に関係性を証明することになる。
▽CCTVによる任正非応援特番
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中共のプロパガンダとしては、やや雑だ。それでも今後、我が国の親中メディアでは、任正非をキーマンにした華為擁護が続く恐れが高い。

【原発周辺に侵入した“技術者”】

「私の誇りは日本行きの飛行機に乗ったこと」

カナダ人報復拘束など逮捕劇の騒ぎが冷めやらぬ頃、複数の日本紙で「孟晩舟の日記」なるものが紹介された。日記は’18年12月19日付けで、その2日後に外国メディアに公開する異様さが鼻につく。
▽東京新聞の記事添付写真(AP)
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これ程あからさまな印象操作も珍しい。「都内在住の日本人」が東日本大地震当時の感謝の気持ちを手紙に綴り、受け取った孟晩舟が7年前を思い出して感慨に耽るといった内容である。

「同容疑者のものとする日記を本紙に公開した」(12月22日付け東京新聞)

「日記の提供」を受けて記事化したのは、中共からの迂回資金提供が暴露された毎日新聞など反日・親中メディアばかり。しかも、華為の本社は広東だが、記事はどれも北京発だ。
▽北京市内の華為テナント(AP)
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唐突過ぎる孟晩舟の“人柄紹介”は不自然でしかなく、手紙を送った日本人が実在するのかも不明。各紙は美談仕立てで伝えるが、その日記の中に背筋が凍る記述があった。

「華為のエンジニアは保護服を着て福島へ向かい、通信設備を修理しました」

厳しい立ち入り制限で報道関係者もブロックされたエリアに「華為の技術者」が続々と侵入していたのだ。殆どが技術者に化けた中共情報機関のエージェントだったと推定する。
▽福島・双葉町の立ち入り制限エリア’18年(AFP)
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当時の民主党悪夢政権は、台湾国からの救援隊を足止めし、中共の隊員を優先して入国させた。酷い人命軽視に批判が集まったが、中共の救援隊は表の部隊でしかなかったのだ。

政府が発表していない原発周辺の状況が、刻々と中共に提供されたはずである。そして技術者役のエージェントは福島以外の被災地にも入り込み、現地調査を行なったと考えられる。
▽通信事業大手の復旧作業(file)
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華為の問題は、スマホなどの端末よりも通信基地局を通じた情報収集が危険視される。“余計なチップ”を使った傍受等いわゆるシギントが中心だ。

しかし、技術者に仮装した諜報員によるヒューミントも深刻だ。華為を組み込んだ通信基地局には保守点検・定期メンテの名目で「技術者」が本国から派遣される。
▽上海家電展示会の華為ブース’18年(ロイター)
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本物のエンジニアか覆面の諜報員か、特定して排除することは出来ない。自衛隊施設に隣接する基地局にも連中は合法的に入り、活動を続ける。観光客に紛れたエージェントとは立場も役割も違う。

「安全保障の観点からも軍事面からも極めて危険だ」
▽記者団に答えるトランプ大統領5月23日(共同)
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妥協策をチラつかせる一方、トランプ大統領は5月23日、改めて強い警告を発した。米当局が長期捜査の末に導き出した結論を軽視すべきではない。

華為の商品がショーケースから消えるというビジネスの話題ではなく、これは重大にして純粋な国防問題だ。



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参考記事:
□産経新聞5月24日『トランプ氏、ファーウェイは「極めて危険」 中国と「取引」も示唆』
□ロイター5月24日『ファーウェイ問題、米中通商合意の一環で解決も=トランプ大統領』
□日経新聞5月18日『「ZTEのようなことしない」 ファーウェイCEO一問一答』
□ニューズウィーク5月22日『Huawei一色に染まった中国メディア──創設者が語った本音』
□Snkei Biz(Bloomberg)5月20日『厚遇 カナダ大邸宅に転居 ファーウェイ副会長の保釈条件変更』
□日経新聞1月17日『米超党派議員、ファーウェイ・ZTE標的の制裁法案』
□日経新聞12月14日『反ファーウェイ 米、15年来の警戒』
□東京新聞12月22日『日本人からの手紙が私の心を温めた。 ファーウェイ、孟容疑者の日記公開』
□毎日新聞12月21日『「日本人から励ましの手紙」保釈のファーウェイCFOが日記公表』
□中央日報12月14日『東日本大地震の放射能流出時、日本入りしたファーウェイ皇太女・孟晩舟副会長』

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年金問題、安倍、自助努力
2019年06月21日 21:06

 大量懲戒請求  背景に「ヘイトブログ」
  賛同した女性 「洗脳状態だった」
女性がこのブログと出合ったのは2015年、過激な文言が並ぶブログ内の記述に危機感をあおられたと話す。
しだいに女性はブログからの「指示」を楽しみに待つようになり、「日本を守るために」と指示を実行していったという
女性は「ブログに不安感と恐怖感をあおられた。洗脳状態だった」などと主張し、「現在は請求したことを後悔しており、謝罪文を送付して一部の弁護士とは和解した。 よく考えたら、馬鹿なレイシストに騙されただけだった」と語った

女性があおられたとするのは「余命三年時事日記」と題された匿名の筆者によるブログ。
(今井滋雄 羽賀芳和 鈴木金三 青林堂 千葉麗子)

複数の関係者によると、ブログの管理人(東京都板橋区高島平2丁目) は70歳代で元タクシー運転手だという。ブログの投稿欄を通じて取材を申し入れたが、23日現在で返答はない


#ナチス礼賛で話題の高須克弥「僕は確信した。ナチスは素晴らしい。ヒトラーは私心のない本物の愛国者だ」   #村本大輔
#松本人志「丸山穂高議員は不良品」
#年金問題で追及された安倍、財政審意見書から「将来の年金給付水準の低下」「自助努力を促す」との文言を削除するよう命令

www.hokade.jp 自民 安倍 佐伯伸之 竹田力 懲戒請求 山口県警OB 余命時事 ファーウェイ
 [神奈川・外村和隆・東京大学大学院]

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