|
日本から大勢の報道陣が詰め掛けた日朝ハノイ交渉は実質3時間。対北支援の道を北朝鮮が閉ざした。制裁強化に加え、我が国は北の不誠実を理由に6ヵ国協議に揺さぶりをかけるべきだ。 2日目の会合は僅か45分で幕を閉じた。 1年1ヵ月ぶりに開かれた日朝交渉は、大方の予想を覆す異常な展開となった。メディアや識者は、協議が難航するとの見方を示していたが、実際は「難航」でも「決裂」でもなかった。 テーブルに着いただけで終わりだ。 3月6日、日朝の実務者は非公式協議を行い、2日間の日程と議題を確認した。1日目は拉致問題、2日目は日朝正常化。この時点では拉致問題がテーマとして設定されることに異議はなかったはずだ。 ハノイの日本大使館を舞台にした1日目の拉致問題協議。その冒頭で双方の代表者=チーフ・ネゴシエーターである原口幸市大使と宋日昊(ソン・イルホ)は、握手を交わした。 あるテレビ報道で、このシーンの一部始終が放映されていたが、報道陣に促されて仕方なしに手を伸ばしたものだった。2人の代表者に笑顔はない。その後の展開を予感させるシンボリックな場面であった。 「小雨が降っていたようですが、雨が上がりました」 冒頭で宋日昊は、こう述べてやや愛想良く振る舞ったが、それもカメラが見守っている時だけの演技だ。 こうした会談では報道陣が会議場・会議室に呼び込まれ、テレビカメラやパチカメが冒頭の一部を撮影する。いわゆる“頭撮り”だ。その後、報道陣をシャットアウトしとところで実際の交渉が始められることになる。 【秘密警察幹部はいなかった…】 8日付け『産経新聞』によると、報道陣が去った後に、激しいやり取りが続いたという。原口大使は、基本的な日本の立場である、拉致被害者の帰国、詳しい再調査、容疑者の引き渡し等を伝えたはずだ。 これに対して宋日昊ら北側代表団は、ニセ遺骨の返還を求めてきたという。従来通りの姿勢だ。 だが、2時間半という協議時間は、原則論を述べあっただけならば少々長過ぎる。日本側は、警察庁の捜査を受ける形で拉致容疑者の引き渡しなどを強く求めたのではないか? 相手を怒らせた要素もあったようで、午前の協議の終了間際、宋日昊は声を荒げたという。 「これ以上、議論することの意義に疑念がある。午後の協議は予定通り開催しない」 北側代表団は一方的に席を立ち、北朝鮮大使館に引き蘢ったまま出て来なかった。一部のメディアは、北朝鮮代表団の中に権限を持つ人物が含まれていなかった、と伝えている。 ▽北朝鮮代表団(AFP) 日本大使館に足を踏み入れたのは、北朝鮮代表団は5人。そのうちの1人は通訳兼記録係と見られるが、その他のメンバーにも拉致事件を担当する国家安全保衛部の影はなかった… 踏み込んだ内容に対処できる人員はゼロだったと見る。更に今回は、北朝鮮大使館の奥にも保衛部の大物は配置されていなかったように思える。 ▽北朝鮮大使館敷地内の様子(ロイター) 【北の狙いは日米対応の温度差】 宋日昊らが棄て台詞を吐いて日本大使館を去った後も、日本側は協議の継続を求め、日没直前になって参事官が北朝鮮大使館に入った。参事官級の折衝だ。 どの程度の時間、話し合われたか不明だが、参事官が大使館を出たのは、日がとっぷり暮れた後だった。その場で合意をみたのは翌日の協議再開だけだったと報じられている。 ▽北朝鮮大使館を出る参事官の車(時事通信) 黒幕がいれば多少は違った展開になっていただろう… 日朝作業部会2日目の協議は舞台を北朝鮮大使館に移して行われたが、実質的な話し合いは行われず、1時間にも満たずに幕となった。これで日朝ハノイ作業部会は全日程を終えた。 北朝鮮側が言い掛かりでしかない蒙昧な主張を述べ、何ら誠意を見せなかったことに憤る。相変わらず、まともな国家ではない。国際社会のルールを守れないならず者集団だ。 日朝交渉に実りがなかったものの、原口大使らが正常化交渉をエサにせず、あくまでも拉致問題を入り口にして譲らなかったことは正しい。これまでの日本外交の拙さは、難航すると支援=カネをチラつかせて体裁を整えてきたことだった。 日本側に非もなければ、交渉スタイルに間違いもない。堂々と北を非難し、帰国すれば良いだろう。「1円も払わない」という主張を貫徹する時だ。日本国内の親北派の声など馬耳東風で構わない。 悪どいのは北朝鮮である。端から突っ込んだ話し合いを行う腹づもりはなかったのだろう。まことに不誠実な態度であるが、今回の北朝鮮の狙いは、米朝、日朝の温度差を際立たせることにあったようだ。 その意味では、またしても嵌められたという感は否めない… 【やはり交渉日時の設定は不可解】 日朝作業部会に先立ってNYでは、米朝作業部会が行われた。 奇妙な交渉だった。双方はムードの良さを強調していたが、実質的な成果はこれまでの所、明らかになっていない。米朝交渉の怪しい部分については改めて検証するが、今回のNY会合では拉致問題もテーマとして話し合われたとされる。 「かなりの時間を割いた」 閉幕後、ヒル次官補はこう述べ、拉致問題をめぐる議論を一定時間行ったかのように語っていた。しかし、日朝作業部会で北朝鮮は従来通り「解決済み」との姿勢を崩さなかった。 金桂冠と宋日昊が、異なる態度を示すことはない。ならば、どちらかが嘘を付いていることになろう。ストレートに考えれば、NYの交渉当事者の発言に嘘が潜んでる。 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「(ヒルは)めぐみさんが何処にいるか、問い掛けることはなかった」と批判している。恐らく、一切話し合わなかったのだ… そもそも日朝・米朝2つの作業部会のスケジュール設定がおかしかった。日朝が先に行われていれば、北の硬直化した態度表明を受けて、米朝の作業部会が行われることになった。 その事態を避けたのだ。米国は日朝作業部会の成り行きを事前に解っていたのではないか? 米東部時間とハノイ時間のタイムラグから、正確な日時が判り難いのだが、日本時間の7日朝に米朝作業部会が終わってヒルが会見。その直後から日朝作業部会がスタートしている。 実際には平行せず、米朝の協議がすべて終わってから、日朝の交渉が始まったのだ。このことから日朝交渉の成り行きをまったく影響受けない時刻設定だったことが分かるだろう。 初めから日朝交渉の不調は、見透かされていた…茶番に付き合わされた格好だ。 いよいよ6ヵ国協議を放り出す時期が来たのかも知れない。 【6ヵ国協議の意味は喪失している】 次回の6ヵ国協議は3月19日からの開催で確定している。その事前折衝は早くも来週末から始まる。 今回の日朝作業部会も、北朝鮮にとっては2・13合意に基づいて開催したという既成事実だけが重要だったように見える。形ばかりの会合を開き、次の6ヵ国協議が滞りなく開かれけば、良いのだ。 しかし、既に6ヵ国協議に存在意義も存在理由もない。 6ヵ国協議がスタートした理由は実に簡単だ。 第2次核クライシスの勃発後、北朝鮮は米国に対して直接対話を強く求めていた。それに対しブッシュ政権はクリントン合意の反省から、2国間対話を拒絶。折衷案として他国間協議が設けられた。 それが6ヵ国協議というマルチのテーブルだ。中韓がそこに乗っかり、我が国も応じた。更に、ロシアも引き込まれる形で参加した。いわば連帯保証人である。 だが、米朝の直接交渉が始まった今、6ヵ国協議は設置当初の意味を喪っている。米朝のバイの会合があれば、マルチは不要なのだ。 6ヵ国協議が北朝鮮の非核化プロセスに欠かせないとする意見もあるが、実績はどうか?3年間の断続的な協議の果てに、北朝鮮は核実験強行まで進んでしまった。何ら歯止めにはならなかったのだ。 更に今後、北朝鮮が合意を履行し、一部の核施設をシャットダウンさせたとしても、北朝鮮全土の踏査が行われない限り、非核化達成と見なしてならない。 そこまで進展する可能性は、過去の北朝鮮の対応から見れても、現行の検証システムからも、あり得ないだろう。 IAEAは査察対象の監視作業は出来ても、踏み込んだ調査を行う権限は限られている。特別査察は政治的なハードルが高く、軍事独裁国家に対しては自ずから限界がある。 今後、6ヵ国協議は非核化の実行を促すテーブルと言うよりも、支援の分担を話し合う場に変わるのではないだろうか…。 【支援額ゼロで協議を揺さぶれ】 ハノイの日朝作業部会で成果があったとすれば、我が国が支援の乗り出す機会を北朝鮮側が率先して潰したことだ。約束した100万トン相当のエネルギー支援は、米中ロ韓の4ヵ国が分担することになる。 日本国内では、支援を行わないことについて一部から再び「孤立化」をキーワードにした対北柔軟路線の声があがるだろう。だが、北と素直に応対していないのは、我が国だけではない。 16日からロシア・北朝鮮の作業部会が行われるが、これも熱意のないものだ。議題は「北東アジアの平和・安全メカニズム」で、実になげやりなテーマ設定である。 そのロシアに積極的に支援する気がないのは明らかだ。 25万トン相当をロシアが支援する場合、負担額は約6,000万ドル。原油高でボロ儲けしている産油国ロシアにとっては軽いようにも見えるが、ロシアも北朝鮮の債権国だ。 ▽ロシア代表ロシュコフ外務次官(AFP) 借金の返済を突っぱねられている中で、素直に無償援助に応じる国ではない。米国がどうやってロシアを説得するのか見物である。実質的には米中韓3ヵ国の負担となる公算も高い。 そうなると今度は米議会がクレームを付けてくる可能性もある。2月28日、米公聴会で分担金額について追及されたヒル次官補は、苦しい言い訳をしていた。 「日朝2国間の懸念が解決され、日本が加われば、米国の(負担)割合は20%になる」 日本が支援に回れば25%が20%になって「お安くなります」と弁明していたのだ。これが30%以上の負担になれば、2・13合意の見直し論が高まることも予想される。 複数の識者が、合意で打ち出された支援策で鍵になるのは日本だと指摘しているが、決して見当違いではない。我が国が強硬な態度を保てば、合意を頓挫させることも不可能ではない。 我が国が選ぶ道はひとつだ。 絶対にビタ一文も払わない。その意志を貫き通せば、6ヵ国協議の枠組みそのものを揺さぶることできる。更に、合意を頓挫させることも不可能ではない。 そして6ヵ国協議をなし崩し的に終わらせて、米朝のバイに委ねればいい。勝手にやれ、という態度だ。 我が国は追加制裁で独自の圧力を加えるべきである。北朝鮮は、飴をしゃぶらせて大人しくなるような国ではない。変革を生み出すのは北風だけだ。 拉致問題の解決、そして非核化への早道は、金正日政権の打倒以外にない。 〆 最後まで読んで頂き有り難うございます♪ クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります ↓ |
| << 前記事(2007/03/07) | ブログのトップへ | 後記事(2007/03/09) >> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
CNNネット−安倍首相の謝罪の必要なし、74%
慰安婦: CNNネット投票で日本に有利な結果続出 「安倍首相の謝罪の必要なし」74% 米国のニュース専門テレビ局CNNが行っているインターネット投票で、日本の安倍晋三首相が旧日本軍の「従軍慰安婦」問題について謝罪& ...続きを見る |
草莽崛起 ーPRID... 2007/03/09 03:42 |
日朝作業部会、日本の不動の姿勢示せた=首相(ロイター)
今、下のような記事を読んでいる。 ...続きを見る |
3番目の落書き帳 2007/03/09 04:32 |
核武装・軍事制裁の世論調査をせよ!
ハノイでの日朝国交正常化に関する作業部会が8日何ら進展がなく一応終了した。 ...続きを見る |
Empire of the Sun太陽の... 2007/03/09 15:10 |
第1回日朝作業部会終る、ガッカリするな!いい手はある!
ハノイで行われた2日間の日朝作業部会は終わった。全くの進展が無いということになったが、これは最初から判っていたことである。 米朝作業部会が思ったより順調に進んだので、今のところ日本と国交正常化を急ぐ必要も無いわけである。日本の制裁などは、北朝鮮にと... ...続きを見る |
やぶにらみトーク 2007/03/10 21:05 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
拉致被害者家族の方々が許してくれるのなら、決裂。北朝鮮にビタ一文払わない。その態度が最善の選択肢だと思います。「米朝二国間協議、勝手にしなさい」。「韓国さん、身を削って援助してお挙げなさい」。これしか無いです。首都東京で、日本国民の税金で設営されている公園野外音楽堂で反日集会を開かれ、拳を突き上げての反日デモを為され、税金を使って警察にこれを警護させる。アメリカ連邦議会では、半世紀以上も前の朝鮮人売春婦が、日本軍の強制連行によるものかの様に取り上げられ、非難謝罪要求決議が採択されようとしています。更に尚、アメリカの新聞紙上では(今上)天皇陛下の謝罪要求まで為されて来ました。朝鮮人、アメリカ人、そして日本国内売国奴、成り済まし日本人共、『大概にせいよ!』と言う気になりませんか?明日、改めて遊びに来ます。取り合えず、壱番乗り、かな? |
神谷晃良 2007/03/09 00:47 |
>日本国内では、支援を行わないことについて一部から再び「孤立化」をキーワードにした対北柔軟路線の声があがるだろう。だが、北と素直に応対していないのは、我が国だけではない。 |
北之茂良助 2007/03/09 01:08 |
神谷晃良さま |
山椒小粒 2007/03/09 04:36 |
はじめまして いつも拝見さしていただいています。日本はピョンヤン宣言を破棄して帰国すべきです。無駄です。 |
春の道草 2007/03/09 05:49 |
日朝作業部会の「進展せず」という結果は日本にとってベストの展開だった…下手な合意を見たところで、どうせ反故にされるのだから。 |
ごんべえ 2007/03/09 06:58 |
日朝、米朝の部会の時間差については、確か以前にも触れておられたと記憶していますが、北朝鮮の狡猾なところでしょうね。 |
ごんべえ 2007/03/09 07:19 |
茶番の六カ国協議は北が生き延びる為の時間稼ぎを行っただけ。それにしても素人でも判断出来るのに、日本政府って無能揃いだ。もはや圧力、武力しかないのは分かりきっている。米国も本気では無い。利権が無いから米国も武力介入しないのでしょう。日米軍事同盟は見直して、核を含めた軍備を日本は真剣に考えるべきだ。 |
HOIDO 2007/03/09 08:47 |
おはようございます。 |
現役保険営業マン 2007/03/09 09:28 |
本日NHKで、 |
fuyuneko 2007/03/09 09:40 |
山椒小粒さま こちらでみれますよ。 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007030800679 しかし本当に許せない事ですよ! |
トスネ 2007/03/09 10:11 |
ピヨンヤン宣言など日本の「お遊び文書」誰が作ったのか知りませんが「無茶苦茶」なもの、北朝鮮の過去に日本がする事など何もない、あえて言えば現在の北朝鮮地域に残してきた日本施設と個人財産を返して貰う事位でしょう。 |
古田 2007/03/09 10:12 |
北の嫌がることを日本国内でじゃんじゃん推進すればよいだけのこと。 |
日時計 2007/03/09 10:25 |
★北朝鮮の嫌がること |
憂国防人 2007/03/09 10:38 |
一日も早い日朝国交回復を心から祈ります。 |
ジェラード 2007/03/09 11:50 |
一日も早い日朝国交回復を心から祈ります。 |
ジェラード 2007/03/09 11:51 |
言わずと知れた北海道新聞の社説です. |
fuyuneko 2007/03/09 12:45 |
>fuyuneko氏 |
北之茂良助 2007/03/09 13:15 |
北之茂良助殿 |
fuyuneko 2007/03/09 13:27 |
トスネさま |
山椒小粒 2007/03/09 13:39 |
おっしゃるとおり 協議の存在意義なんてあるのかな。 |
駱駝 2007/03/09 14:40 |
トスネさん 山椒小粒さん |
fuyuneko 2007/03/09 15:27 |
>15:27fuyuneko氏 |
北之茂良助 2007/03/09 15:44 |
アメリカは、アジアでの日本の台頭防止と自らの影響力低下を避けるため、ポイズンピル(北朝鮮支援)を飲んだのでしょう。 |
じょーい 2007/03/09 16:53 |
北之茂良助殿 |
fuyuneko 2007/03/09 17:29 |
コメント有り難うございます。 |
アネモネ 2007/03/09 18:49 |
アネモネ様 |
職人 2007/03/09 19:47 |
トスネ様、ナイスアシスト。ありがとうございました。 |
神谷姶良 2007/03/09 23:33 |
訂正、名前を間違えました。 |
神谷晃良 2007/03/09 23:34 |
| << 前記事(2007/03/07) | ブログのトップへ | 後記事(2007/03/09) >> |