トランプ復活演説の攻撃力…誤変換されるキャンセル文化

復活のトランプ大演説で“真の敵”の輪郭が鮮明に浮かび上がった。熱烈な支持者と米史の偉人を同時攻撃するキャンセル・カルチャー。反米自虐史観の固定化を謀る勢力の根は深い。
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「ほんの数日前、バイデンは自分がホワイトハウスに入った際に『ワクチンはなかった』と言った。彼はワクチンがないと言った。面白いね。もう一回言ってくれよ、ジョー」

学校の“週休6日制”発言が飛び出したCNNの放送で、バイデンは国内のワクチン不足を痛烈に批判した。既に2,000万人以上が接種を終え、自らも12月中旬に1回目の接種を受けている。
▽ワクチン接種されるバイデン12月21日(ロイター)
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「これは、ワクチン接種が痛くないことを示している」

トランプ前大統領はユーモアを交えて、そう皮肉った。懐かしさと切なさの同居する久々のトランプ節だ。1時間半に及んだ2月28日のCPAC大演説は、大トリに相応しい力強さを秘めていた。

「バイデンは就任1ヵ月にして米国史上最悪の大統領となった。たった1ヵ月間で『アメリカファースト』を『アメリカラスト』に変えた」

手元にあるペーパーに殆ど目を落とさず、聴衆の反応を探りながら、淀みなく語り続ける。このロング・スピーチを事実上の大統領による一般教書演説と讃える支持者も居る。
▽CPACで演説するトランプ前大統領2月28日(ABC)
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まさかの事態だ。施政方針と呼ぶには内容がバラエティに富んでいたが、公の場でのトランプ復活演説が、バイデンの一般教書演説より先になるとは、世界中の誰もが予想していなかっただろう。

早くも3月だ。年頭教書とも表現される大統領の重要演説は、今なおスケジュールさえ決まっていない。一部メディアが伝える感染症対策法案優先との言い訳は、白々しい嘘だ。
▽CNNホールに現れたバイデン2月17日(ロイター)
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通常、米大統領の一般教書演説は1月下旬の火曜日に行われる。就任直後は2月になるが、3月初めの時点で目処すら立たないケースは異例である。大幅遅延の本当の理由は何なのか…

この異常事態が話題にすらなっていないことに恐怖感を覚える。2年前、ペロシの妨害工作でトランプ大統領の演説が1週間延期になった時、主流メディアは大統領失格とばかりの罵声を浴びせた。
▽背後で演説原稿を破るペロシ’20年2月5日(時事)
時事一般教書演説の原稿を破るペロシ下院議長(右)(アメリカ・ワシントン)2020年02月05日.jpg

ちなみにペロシが原稿を破ったのは昨年の一般教書演説だ。日米メディアは「米国分断を象徴するシーン」と煽ったが、実際は気性が荒い老女のヒステリーである。

【左派の専制政治を生む不正選挙システム】

「You won. You won. You won」

ハイライトは演説が1時間を過ぎた頃だった。トランプ大統領が選挙不正に絡んで最高裁や各州裁判所の「勇気のなさ」を批判すると観衆は沸き立ち、繰り返し唱和した。

話を再開しようとしてもコールが止まない興奮ぶりだ。今なお最大の関心事であり、熱烈な支持者だけではなく、米国の保守勢力にとって看過できない問題である。
▽熱弁を振るうトランプ大統領2月28日(AFP)
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「民主党党員が全国大会に参加する時は、投票者IDが欠かせない」

不正の温床となった郵便投票について、静かに語り始めた。それを端緒に問題点に切り込むが、トランプ大統領にしては慎重に言葉を選んでいる印象だ。

「最も神聖な選挙のシステムで投票者IDの確認はなされなかった。皆さんは、デトロイトやフィラデルフィアその他の多くの場所、殆どのスイングステートで何が起きたか知っている」

ミシガン州デトロイトは開票直後から不正の内部告発が相次いだホットスポットだ。開票所の裏口に到着した不審な配達車両の映像が2月5日にスクープされ、告発者の目撃証言が裏付けられた。
▽開票所裏口に滑り込む不審車両11月4日未明(GWP)
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参照:Gateway Pundit2月5日『Exclusive: The TCF Center Election Fraud – Newly Discovered Video Shows Late Night Deliveries of Tens of Thousands of Illegal Ballots 8 Hours After Deadline』

ペンシルベニア州フィラデルフィアは、トランプ票19,958票がバイデン側に“瞬間移動”した曰く付きの場所だ。本丸であるドミニオン疑惑の原点にして頂点とも言える。

この瞬間移動映像を見たトランプ支持者が開票所に集結し、カウンター勢力と激突。疑惑追及の沸騰を恐れたツイッター社やグーグルが「不正疑惑」の一斉検閲を強行する切っ掛けともなった。
▽票の瞬間移動を捉えたTV画像(file)
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「真実を語り、腐敗を訴えたことで検閲されるのなら、民主主義は崩れ、残るのは左派の専制政治だけだ。今は議論すら出来ない。ビッグテックの独占を砕き、公正な争いを取り戻す時が来た」

極左紙が実しやかに報じたトランプ新党旗揚げについてもフェイクニュースと一蹴した。単なる揺さぶりではなく、共和党分断工作だ。弾劾謀略が失敗に終わっても、新旧メディアとの熱戦は続いている。

【キャンセル・カルチャーに抗う聖戦】

「我々は過激主義や社会主義と戦っているが、それらは全て共産主義に繋がっていくものだ。こうした動きは今後もっと強まるだろう」

昨夏、トランプ大統領はバイデンを「犯罪に弱腰な社会主義者」と指摘した。CPAC演説でも後継政権の政策を個別具体的に批判したが、本当の敵は居眠り爺さんではない。

「我々は自由な思想を愛す。そして、ポリコレに立ち向かい、左翼の狂気を拒み、取り分けキャンセル・カルチャーを拒絶する」
▽CPACで演説するトランプ大統領2月28日(WP)
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最も重要なキーワードだ。社会主義から変容する「最終的な共産主義化」の話題から、キャンセル・カルチャー批判に移ったことに観衆は少々戸惑ったかも知れないが、核心をズバリ突いている。

「有名人などの差別発言や過去の問題行動を洗い出し、ネット上で激しく批判し、ボイコットを呼びかける風潮のことを呼ぶ」(10月21日付け日経新聞)

本邦メディアで紹介されるキャンセル・カルチャーの定義は概ね上記の通りだ。異論を排除する米国版の「炎上現象」などとも解説されるが、いかにも教科書的で漠然としている。
▽アンティファ暴動で炎上する市街地’20年5月(BBC)
BBCアンティファ暴動で炎上する市街地20年5月.jpg

キャンセル・カルチャーが流行語と化したのは昨年7月だ。MLB・アンティファの暴動が激化すると同時に、米史上の英雄の像を叩き壊し、撤回する運動が突如広まった。

「我が国の歴史を消し去り、英雄たちを侮辱し、我々の価値観を掻き消し、子供達を洗脳しようとする、情け容赦のない運動だ」
▽ラシュモア山麓の独立記念日演説’20年7月(AFP)
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トランプ大統領は独立記念日の演説場所にラシュモア山を選んだ。山肌に刻まれた4人の歴代大統領の中でワシントンとジェファーソンは、奴隷を所有していたとしてキャンセル対象に挙げられた。

米国の真の建国を最初の奴隷船が到着した年に変えようとする歴史修正だ。NYタイムズが主導する「1619プロジェクト」が火元で、いわば米国版の自虐史観である。
▽毀損されたバージニア州のリー将軍像’20年6月(AFP)
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トランプ大統領はCPAC演説で、愛国教育の重要性に絡めてキャンセル・カルチャーを批判した。しかし、問題が教育現場だけに留まらないことは明らかだ。

【反米自虐史観を歓迎する勢力】

CPACは共和党最大の支持母体とされる米保守連合(ACU)主催の大規模政治イベントで、年1回開かれる。今年のテーマは舞台の後方に掲げられた「America Uncanceled」だった。
▽ステージに掲げられた本年のテーマ2月28日(ロイター)
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このことからもキャンセル・カルチャーが争点になっていることが窺える。CPACには、大規模被害を受けているマイ・ピロー社長のマイク・リンデル氏も参加した。

ドミニオン疑惑の急先鋒でもあるリンデル社長は集中砲火を受け、人気商品は流通大手から排除された。ボイコット騒ぎではなく、小売店側が強制撤去したのだ。
▽CPACでも大人気のリンデル社長2月28日(AP)
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キャンセル・カルチャー被害のシンボル的人物だが、主流メディアに紹介されることはない。大手SNSを含む米社会によるトランプ及び有力支持者の吊るし上げ&排斥は、三角帽のないUS版文革である。

主流メディアの御用教授は「トランプの不寛容性」がMLBなどを生んだと言い放つ。こうした本末転倒のキャンセル・カルチャー論は今後、我が国でも流用されると予言しておく。

参照:AFP20年8月10日『ネットで不快な行動糾弾「キャンセル・カルチャー」 米社会の分断促進』

「『キャンセル文化』とは、アメリカの伝統や歴史を、現在のリベラル志向の基準からみて否定し抹殺していくという風潮を指す」
▽斬首された南部連合軍の像’20年6月(AP)
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古森義久さんの定義が最も簡潔で、的を射ているのではないか。更に過激な民主党左派が進める政治運動と断言する。トランプ派のスローガン「MAGA」を真っ向から否定する文革脳の偏向思想だ。

一方、極左陣営が過激な反米史観に取り憑かれ、実働部隊が各地で一斉蜂起した背景は謎めいている。民主党や米リベラルが、我が国のパヨク的な反国家・反軍隊思想の信奉者だとは聞いた試しがない。
▽引き倒したコロンブス像を足蹴り’20年6月(AP)
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「米国の歴史はインディアンの血と涙で汚れされている。広大な土地を占領して資源を奪い、同化政策を推し進めた」

米下院でウイグル人権法が可決した際、中共外交部のスポークスマンは、そう詰った。ウイグル大虐殺を認める下手な切り返しだが、ロジックは1619プロジェクトの自虐史観と完全に一致する。

中共がキャンセル・カルチャーの影の煽動者だとする確証はない。だが、正史を書き換える異様な反米自虐史観は、中共政権にとって余りにも都合が良く、静かなる侵略の一環と捉えることも可能だ。
▽観衆と丁々発止のトランプ大統領2月28日(ロイター)
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「我々は勝利への道を歩む。デラウェア河を渡ってロッキー山脈を越え、未知のフロンティアを拓いた幾世代にも渡る米国の愛国者達。我々は彼らのスピリッツを呼び醒ます」

トランプ大統領はCPACスピーチの最終盤で、そう訴えた。どこか郷愁を誘う、心に響くメッセージ。トランプの代役が居ないことを再認識させられる大演説だった。

トランピアンズやトランピズムといった正体不明の造語では決して理解できない。中共の全方位覇権主義が強まる今、時代がドナルド・トランプを必要としている。



最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発となります

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参考記事:
□JB Press3月3日『聴衆大熱狂のトランプ演説とバイデン政権の憂鬱(古森義久)』
□大紀元3月2日『トランプ氏、退任後初演説「新党結成しない」「民主党を打ち負かす」』
□ニューズウィーク3月1日『米共和党は今もトランプ支持一色』
□Business insider3月1日『「共和党はこれまでにないほど団結し、強くなるだろう」トランプ前大統領、新党の立ち上げを否定』
□Rev2月28日『Donald Trump CPAC 2021 Speech Transcript』
□the independent3月1日『Donald Trump CPAC 2021 Speech - read the full transcript』
□National Review2月17日『Biden Claims ‘We Didn’t Have’ a COVID Vaccine When He Took Office』
□ニューズウィーク’19年12月5日『ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を虐殺した」と言い始めた中国』
□BBC20年7月4日『トランプ氏、彫像の撤去など「キャンセル・カルチャー」と非難 ラシュモア山で』

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