対話が招いた北の核危機…瀬戸際外交“不敗神話”に幕

安保理決議も多国間合意も蹴り飛ばす独裁国家。対話を呼び掛けて始まった6カ国協議は核開発の“影の功労者”だった。親子2代に渡るイカサマの果て、もう瀬戸際外交は通用しない。
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「ソウルや東京への核攻撃は現実の脅威であり、北朝鮮が米本土を攻撃できる能力を備えるのも時間の問題だ」

4月28日に開かれた北朝鮮を巡るUN安保理の閣僚級会合で、米国のティラーソン国務長官は、強硬な姿勢を崩さなかった。それは、安保理に対する“最後通牒”にも等しかった。

「世界で最も差し迫った安全保障問題に対し、今行動しなければ破滅的な結果を招く恐れがある」
▽会合で演説するティラーソン長官4月28日(ロイター)
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北朝鮮の度重なる決議違反を念頭に、これまで安保理が役割を果たしていれば、核問題も弾道ミサイル問題も深刻化しなかったと言うのである。正しい認識だ。

北朝鮮のテポドン2発射と初の核実験を受けた2006年の安保理決議。日米などは軍事行動を伴うUN憲章第7章42条を盛り込む方針だったが、中共・ロシアの反対で非軍事制裁の41条適用に留まった。
▽北朝鮮めぐるUN安保理閣僚級会合4月28日(外務省)
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北朝鮮の核・ミサイルに関しても徹頭徹尾、安保理は無能だった。そればかりか逆に、北の軍事力底上げに貢献し、脅威を培養する温床になったのだ。

「武力行使は絶対に許容できない」

ロシアのガティロフ外務次官は、米南軍事演習や空母打撃群の派遣に原因を求め、北朝鮮の反発に一定の理解を示す。中共の王毅も「対話による解決」を訴えたが、弱音も吐く場面もあった。

「朝鮮半島の核問題解決は中国の手だけに掛かっている訳ではない」
▽会合に出席した中共の王毅4月28日(ロイター)
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6カ国協議でホスト国を務め、北朝鮮押さえ込みに自信を見せていた頃の面影は全くない。この会合で米国は、外交関係の停止やセカンダリー・ボイコットの発動を提案した。

何ら具体的進展の見込めない閣僚級会合だったが、米国の狙いは中共を追い詰めることにあった。首脳会談後に高まる中共指導部へのプレッシャー。金正恩もまた北京を恫喝する。

【金正恩が挑む二正面作戦】

安保理閣僚級会合に続き、NYで米支外相会談が開かれた。詳細は判明していないが、この席でティラーソン国務長官は複数の対応策を中共側に提示。突っ込んだやり取りが行われた模様だ。
▽外相会談に臨むティラーソン長官4月28日(ロイター)
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日本時間4月28日午前5時半、この会談の直後に北朝鮮の弾道ミサイル発射が伝わる。NYの動きに合わせた威嚇。そして、自信満々に北との対話を訴えた中共のメンツを叩き潰した。

中共指導部の動揺と憤慨は、恐らく平壌が想像した以上だ。「KN-17」と見られる地対艦ミサイルは失敗だったが、CCTVなど中共の宣伝機関は速報を出し、トップニュースで報じた。
▽CCTVが伝える北ミサイル発射4月29日(GNA)
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ICBM発射もスカッドER乱射も風物詩扱いの中共宣伝機関にしては、極めて異例の反応。今回の弾道ミサイル発射に関して、北京に事前通告がなかったことは明らかである。

周辺各国が警戒・注視した4月25日の軍創建記念日、北朝鮮はビーチで一斉砲撃演習を行った。旧式の「主体砲」(NATOコード=コクサン)など約300門を並べた過去最大規模の“発砲ショー”だ。
▽元山で行われた砲撃演習(KCNA)
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舞台となったビーチは中部日本海側の元山。米軍の「作戦計画5027」で主要部隊が揚陸するポイントでもある。メディアは米側の動きを牽制するものと解説するが、北の説明をコピペしたに過ぎない。

「米帝と追従勢力に容赦なく懲罰の砲火を浴びせる力を示した」

北宣伝機関は、そう自画自賛する。だが、射程60㎞程のコクサンを沿岸に剥き出しで揃えても、格好の標的になるだけだ。またDMZの北側に並べたとしても、開戦直後には鉄クズと化す。
▽演習で掻き集めたコクサン(KCNA)
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旧式コクサン部隊が展開するに相応しい場所とは、中朝国境地帯ではないか…半島有事勃発の際、戦火に包まれるのは38度線だけと限らない。中共軍は避難民を水平射撃で排除しつつ、鴨緑江を越える。

この時、中共の陸戦隊を迎え撃つのがコクサン部隊だ。金正恩は北から援軍が来てくれるとは少しも考えていないだろう。我が国と南鮮に加え、中共も「追蹤勢力」に含まれている可能性がある。
▽砲撃演習を視察する金正恩(KCNA)
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3代目にとって絶望的な二正面作戦。北朝鮮を巡る周辺環境は、金正日の時代と一変した。しかし、親北勢力の多くは古い認識のまま、急変した現状を直視できずにいる。

【核実験を支えた6カ国協議】

「大事なのは、対話による危機回避の道筋を描くことだ」(捏造紙)
「対話への道筋を率先して描くべきだ」(変態紙)

2大反日紙の4月12日付社説は傑作だった。まるで申し合わせたかのように、朝日新聞と毎日新聞が北朝鮮対応で「対話」を絶叫。具体的な対話方法について一切触れていない点も共通している。

女子中学生が下校中に拉致されても対話、核実験強行でも弾道ミサイル乱射でも対話…悪行を重ねる北朝鮮に対し、常に「話し合いでの解決」を求める所謂“対話厨”だ。
▽再結集した親北電波芸者衆4月29日(捏造紙)
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穏健派などではない。歴史問題のトラブルでは日本側に謝罪を要求するダブスタが特徴で、反日メディアに限らず、有識者にも多い。我が国の対北政策を歪めた連中である。

「対話の為の対話は、何の解決にも繋がりません」

安倍首相は4月29日、訪問先のロンドンで行われた記者会見で、そう語った。国内外の“対話厨”を牽制する異例の発言だ。更に日ロ首脳会談でプーチン大統領が言及した6カ国協議再開案も一蹴した。
▽ロンドンで会見する安倍首相4月29日(共同)
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「北朝鮮が挑発行動を繰り返し、非核化に向けた真摯な意思や具体的な行動を全く示していない現状に鑑みれば、現時点で直ちに六者会合を再開できる状況にはありません」

6カ国協議(六者会合)は、2003年夏から始まった北朝鮮を含む関係国の交渉テーブルだ。進捗について誰も覚えていないのも当然、6年に渡る協議で望ましい成果は何ひとつ生まれなかった。
▽北京で開かれた第1回6カ国協議(新華社)
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第1回6カ国協議 2003年(H15年)8月
第2回6カ国協議 2004年3月
第3回6カ国協議 2004年6月
第4回6カ国協議 2005年7月、8月
第5回6カ国協議 2005年11月~’07年2月
第6回6カ国協議 2007年3月~’08年12月


参照:外務省HP『六者会合関連協議』

ターニングポイントは’06年。その年の10月、北朝鮮は初の核実験を強行する。金正日から核を取り上げる目的で誕生した6カ国協議が続く中、北朝鮮は核保有国となったのだ。
▽6カ国協議で余裕見せる北代表者’07年(ロイター)
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現地査察もペナルティも一切なし…結局、日米を巻き込んだ交渉は、北朝鮮の核開発に時間的な余裕を与えただけだった。北との太いパイプを強調し、このマラソン協議を主導した中共の責任は重い。

5回の核実験を経て尚も「対話」を主張する偽善者は、まず6カ国協議が果たした“役割”を総括するべきだ。

【死語になった瀬戸際外交】

6カ国協議を推進したのは中共1国ではなかった。第1次核クライシスの処理に失敗した米国、そして我が国も拉致問題解決で各国の協力に期待を滲ませた。北朝鮮を除けば、日米南vs中ロの構図だ。

ところが、蓋を開くと南鮮の盧武鉉政権は対北融和に前のめりで、日米vs中ロ+南鮮という予想外の展開になる。決定権を持たない北朝鮮の代表者は首を横に振るだけの役回りで、協議は踊り続けた。
▽会合を終えた日米代表者ら’07年(AP)
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そして第4回会合の頃から、北朝鮮は米国との2カ国交渉開催を強硬に主張し始めた。核の放棄は、米国による北朝鮮の「体制保証」と引き換えだと言うのだ。体制保証とは金王朝の存続である。

初の核実験で6カ国協議が空洞化する中、米国は金融制裁を強化。資金ルートの一部断絶に金正日が根をあげたと判断したブッシュ政権は2国間交渉に乗り出す。これが失敗だった。
▽平壌で歓待される米代表者’07年(AP)
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核開発プログラムの完全凍結宣言に続く、寧辺の老朽原子力施設“爆破ショー。ホワイトハウスはうっとりと見詰め、2008年10月、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する。

爆発規模4キロトンの本格的な核実験が行われたのは、その半年後だった。高笑いする金正日。94年の第1次核クライシスに続き、またしても米国は北朝鮮に欺かれたのだ。

「北朝鮮に対して米国は20年に渡り失敗したアプローチを取ってきた」
▽安倍・ティラーソン会談3月16日(産経)
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3月に初来日したティラーソン国務長官は自戒の念を込めて、そう述べた。トランプ政権が同じ轍を踏むことはない。退路を絶ったからこそ今、対北サージカル・ストライクが現実味を帯びて語られるのだ。

「情勢が1日も早く緩和されることを望む」

4月30日、平壌駐在のロシア大使が北朝鮮高官と会談、協力を進める方針を確認した。NHKなどは北の柔軟姿勢を植え付けようと懸命だが、黒子役のロシアを引っ張り出したことは末期的とも言える。
▽ロ大使と会談した北朝鮮高官(NHK)
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鍵を握る中共は、特使を送り込む単純作業すら出来ない。6カ国協議の中共代表だった武大偉の無気力な東京訪問が異常事態を物語っている。平壌に入れず、パスするしかなかったのだ。

これまで北朝鮮は核とミサイルによる恫喝と平行し、NYやジュネーブなどで水面下の交渉を続けてきた。瀬戸際外交と呼ばれる北朝鮮のお家芸。ギリギリの所で、まさかの外交勝利をもぎ取ってきた。
▽世界が騙された冷却塔爆破ショー’08年(AP)
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しかし、親北勢力が涙声で対話を呼び掛けても、交渉のテーブルが整えられることはない。過去にイカサマを繰り返した北朝鮮は、プレイヤーとして“外交ゲーム”に参加する資格すらないのだ。

現在、目の前に広がるのは、瀬戸際外交が死語となった世界である。



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参考記事:
□ロイター4月29日『北朝鮮問題で安保理閣僚級会合、米国「今こそ行動すべき」』
□産経新聞4月28日『核ミサイル問題で安保理が異例の閣僚級会合 中露巻き込み国際包囲網構築へ』
□産経新聞4月29日『米中外相会談 対話か圧力か…温度差露呈』
□グローバルニュースアジア4月29日『「弱者の恫喝」北朝鮮の悲願達成を警戒、過剰反応に注意』
□産経新聞4月29日『【安倍晋三首相記者会見】詳報「世界の平和と繁栄が重大な危機に直面している」
□BuzzNews4月12日『緊張する朝鮮半島情勢に「対話せよ」朝日・毎日がそれぞれ社説で訴えて冷ややかな反応を浴びる』

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