沈黙の中共軍“海上要塞”…南シナ海で綻ぶ歴史戦

米艦船の5時間に渡る“域内航行”に中共海軍は沈黙した。緊迫の海に旭日旗を翻らせた安倍政権と遁走したクネ政権。南鮮と中共が世界に発信する反日捏造史は、南シナ海で綻びを見せ始めた。
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「次の段階もある」

米国防総省が、そう予告したのは5月中旬のことだった。「次の段階」とは、中共が南シナ海に築いた人工島の12海里以内に米海軍の艦船を投入することである。5ヵ月以上が無為に過ぎた…

その間、土盛り中だったファイアリークロス礁の滑走路は1本が完成し、運用可能の状態となった。人工島には別の2本の滑走路も建設が進み、ヘリポートには既にマークが書き込まれていた。
▽ファイアリークロスの進捗状況9月20日(産経)
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オバマ大統領が「次の段階」についてゴーサインを出したのは9月24日、訪米中の習近平を招いた私的な夕食会の直後とされる。米側は妥協点を見出そうとしたが、習近平の態度は余りにも傲慢だった。

「今後2週間以内に人工島の12海里以内に艦船を進入させる見通しだ」

10月8日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は米政府高官の話として、米艦船の進入が迫っていると報じた。ホワイトハウス側は報道を追認しなかったが、異例の作戦告知だった。
▽スービ暗礁付近の人工島9月(ロイター)
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2週間という期限は、中共海軍がホットスポットに艦隊を派遣するに充分な時間だ。米国側はあらゆるサーチ能力を駆使して中共軍艦艇の動向を探ったものと考えられる。

探査活動の結果、深刻な脅威と認められる中共艦艇の移動は確認できなかった。それが“単艦投入”の背景だ。現地時間10月27日早朝、米ミサイル駆逐艦「ラッセン」は、1隻で「次の段階」に参加した。
▽米駆逐艦「ラッセン」(File:産経)
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事前には、セブンス・フリート所属の空母が派遣されるといった憶測も見られた。しかし実際は、イージスシステム搭載艦とは言え駆逐艦1隻と哨戒機による作戦行動であった。

これは米海軍が抑制を効かせたのでも、作戦開始直前にオバマが臆病風に吹かれたのでもない。空母投入の必要性は皆無だった。習近平は艦隊を現場海域に派遣しなかった。出来なかったのだ。

【習近平の遠吠え空しく響く】

「砲撃“拉森”号(ラッセンを砲撃せよ)」

そんな勇ましいプラカードを掲げた中年男が10月28日、北京の米大使館前に現れた。男は拡声器で声明を読み上げようとした所で公安に取り囲まれ、あっけなく連行された。
▽腰抜け近平を糾弾する男10月28日(EPA)
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「ラッセン」進入に対する習近平指導部のヘタレぶりを象徴するシーンだ。前日、中共宣伝機関は米艦の動きを一斉に報じ、非難したが、現場での対処も米国への抗議も曖昧だった。

「軍艦が法に基づき警告した」(新華社)

スービ暗礁付近を航行する「ラッセン」に対し、中共海軍は駆逐艦「蘭州」とフリゲート「台州」を差し向け、繰り返し退去警告を発したという。しかし、ラッセンの12海里以内航行は約5時間に及んだ。
▽拘束された抗議男10月28日(EPA)
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中共が主張する“領海侵入”で、現実には手も足も出せなかった。中年男が米大使館前で錯乱するのも多少は理解できる。事前の恫喝発言は何だったのか…つい10日程前、習近平は、こう絶叫していた。

「誰であれ中国の主権と権益を侵犯することを、中国人民は決して受け入れられない」

訪英前、ロイターの取材に答えたものだ。習近平の強硬発言から中共側の徹底抗戦も予想され、米艦接近の際には一気に緊迫するとの懸念も出た。だが、中共遠洋海軍は事実上、微動だにしなかった。
▽海南島基地に停泊する支那イージス艦2月(共同)
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「中国の領有権主張に対する挑戦の始まりにすぎない」

27日のオペレーション遂行後、米国防当局者の1人は、そう語った。FONOP=航行の自由作戦と名付けられた軍事行動は、数週間以内にも海域を拡大して遂行される見通しだという。
▽南シナ海で演習中のラッセン9月28日(米海軍)
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今後も警告のみに留まれば、習近平指導部は弱腰との批判を浴びて“強硬派”から突き上げを喰らう。そして、完成した軍用空港の運用に踏み切るか否か…中南海を舞台にした神経戦が始まったとも言える。

【子供達が震える海上要塞】

「米艦はベトナムやフィリピンが領有権を主張する暗礁の12カイリ以内にも進入しており、特定の国に肩入れしない『中立性』を強調…」

この期に及んでも毎日新聞は印象操作で中共の侵略を支援する。フィリピンなどが実効支配するリーフを「暗礁」と呼ぶ一方、平然と「スービ礁、ミスチーフ礁」と表記している。
▽毎日新聞の南シナ海地図10月25日
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満潮時に水没する暗礁は海洋法上、島ではなく、領有権も認められなければ領海も存在しない。それが米海軍による今回のオペレーションの前提であり、中共の無法ぶりを示す最大の要素である。

大半のメディアは、中共側の主張に「無理」があることを示唆したが、詰めの甘さも目立つ。中共が築く人工島の多くは、暗礁を埋め立てたのではなく、付近の珊瑚礁を破壊して造成したものだ。
▽2ヵ月半で埋め立て完了(diplomat)
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そして、記事に添付された南シナ海・人工島のマップにも、意図的ではないにせよ、大きな欠陥が潜む。今回、米駆逐艦「ラッセン」が航行したスービ暗礁のすぐ近くには、漁民らが暮らす島が存在する。

フィリピン最西端のパグアサ島。この島とスービ暗礁との距離は僅か25kmしかない。パグアサ島には100人程の島民が暮らし、小学校もある。
▽パグアサ島の小学校児童ら5月(AFP)
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漁場のひとつだった沖合の珊瑚礁は、瞬く間に中共海軍の要塞に変わり果てた。造成前には中共の強襲揚陸艦がパグアサ島沿岸を航行し、島の子供たちを振る上がらせていた。

米海軍が「航行の自由作戦」最初のポイントにスービ暗礁を選んだのは、目と鼻の先にフィリピン人が暮らす島がある為だった。各メディアがパグアサ島の存在を抹殺した背景には何があるのか…
▽平和だった頃のパグアサ島2012年(共同)
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「南シナ海での航行は誰も妨害できない。国際基準に従っている限り、いかなる国でも歓迎する」

フィリピンのアキノ大統領は10月27日、会見で逸早く米国支持の立場を打ち出した。スプラトリー諸島の広範囲で中共が侵略を進める中、島民の危機を怯えているのがフィリピンだ。
▽会見するアキノ大統領10月27日(AP)
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「習近平主席の外交を見ますと、周辺国とは仲良くしなければならないと言っています」

河野洋平は今年6月、中共の“近隣友好外交”を絶賛し、安倍政権を罵倒した。しかし、パグアサ島から沖合を展望した時、筋金入りの媚中派でも中共の蛮行を擁護することは不可能だろう。

【南シナ海に海自護衛艦急行】

「航行の自由作戦」発動の翌28日から南シナ海で日米共同訓練が始まったことが明らかになった。参加したのは、海上自衛隊の護衛艦「ふゆづき」と米空母「セオドア・ルーズベルト」などだ。

訓練海域はボルネオ島の北で、中共の海上要塞が点在するスプラトリー諸島から離れていると見られる。訓練は以前から予定されたものだが、これ以上ない抜群のタイミングである。
▽インド遠征中の護衛艦「ふゆづき」10月15日(時事)
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「ふゆづき」と「セオドア・ルーズベルト」は共に10月14日からベンガル湾で始まった日米印3ヵ国合同演習「マラバール」に参加していた。この演習も中共の海洋侵略を強く牽制するものだった。

「3カ国の連携はインド洋とアジア太平洋地域の平和と安定、航行の自由を守るために重要だ」
▽会見する3カ国の指揮官10月15日(時事)
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演習の実施にあたって海自の村川豊幕僚副長らは、そう語った。インド洋で行われる「マラバール」への海自参加には、中共が反対を表明していたが、今年はインド海軍が押し切る形で実現した。

10月19日のマラバール終了後、「セオドア・ルーズベルト」はシンガポールに寄港。本国には直行せず、「ふゆづき」と共に針路を南シナ海に取ったのだ。
▽演習中のT・ルーズベルト&ふゆづき10月17日(代表)
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「国際法に則った行動と理解している。南シナ海での大規模な埋め立てや拠点構築など現状を変更し、緊張を高めていくことは国際社会の共通の懸念だ」

中央アジア歴訪中の安倍首相は10月27日、そう述べて米国への支持を表明した。他の周辺諸国と同様だが、その中でも我が国は直後に南シナ海に旭日旗を翻らせた。文字通り、旗幟を鮮明にしたのだ。
▽カザフで講演する安倍首相10月27日(官邸)
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対照的だったのが南鮮である。

【中共捏造史が破綻する海】

「事実関係を把握中だ」

南鮮外交部のスポークスマンは、一報を受けてオロオロするしかなかった。米国は作戦実施について中共を除く全ての関係国に事前通達を行っていた。だが、発動後に南鮮軍は何の情報も得られなかった模様だ。
▽観艦式に出現した南鮮駆逐艦10月18日(産経)
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「南シナ海での紛争は国際的な規定に従い平和的に解決されるべき」

丸一日が経過しても、南鮮・青瓦台は評価を避け、一般論でお茶を濁した。最悪の対応だ。10月16日の米南首脳会談でオバマ大統領は、こう求めていた。

「中国が国際規範に反する行動を取った際、韓国が反対の声を上げることを期待する」
▽共同会見するクネ&オバマ10月16日(AFP)
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会談が開かれた時、すでに作戦の実施は秒読み段階に入っていた。オバマ発言は具体的に、南シナ海を想定したものだったが、クネ政権は旗幟を鮮明するどころ、支持のコメントも出せなかった。

当然の成り行きとも言える。中共宣伝機関は、米艦船が“領海侵犯”した場合、戦闘機搭載の対艦ミサイル「鷹撃-12」が粉砕すると豪語していた。その新兵器にパレードで拍手したのがパク・クネだ。
▽閲兵式ではしゃぐクネ9月3日(AP)
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クネの北京“抗日記念”パレード参加は、捏造史を軸にした反日共闘の象徴だった。南鮮は最早、中共が宣伝する捏造史に異議を挟むことが不可能になっている。

「南シナ海は古来中国の領土だ」

首脳会談でオバマを激怒させたのは、そんな習近平の発言だった。中共が南シナ海に描く「赤い舌=九段線」は、清代の古地図に記された漢字表記を根拠にするなど荒唐無稽なものだ。
▽中共が設定する「九段線」(AFP)
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参照:5月15日エントリ『南シナ海を覆う「九段線」…失われた帝国の妄想版図』

米国内では「九段線」に関する疑問が噴出していたが、9月の習近平の断言は決定的だった。更に中共の示す根拠は清代に留まらない。米陸軍士官学校の元教授はロイターへの寄稿文に、こう記す。

「中国は南シナ海の領有権について、夏王朝と漢王朝の記録にまで遡る歴史を根拠に主張している」

夏王朝の成立は、およそ4000年前。歴史としては超古代史に属する。大戦後に生まれた国家が、謎だらけの古代文明と何の関係があるのか…オバマが驚き、呆れ返り、激昂するのも当然だ。
▽会見する近平&オバマ9月25日(AP)
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人工島造成の根拠とする「九段線」は妄想の産物でしかない。それに各国が気付き始めたことは、我が国にとって予想外の事態。中共が宣伝する捏造史は、まず南シナ海で破綻することになる。




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関連エントリ:
5月26日『中共軍“不沈空母”の暗礁…旭日旗は南シナ海を守る』

参照:
□ロイター6月10日『コラム:5分で分かる「南シナ海問題」』

参考記事:
□The telegraph10月28日『China 'not afraid to fight war with US' after South China Sea move』
□産経新聞10月28日『「ラッセンを砲撃せよ」北京の米大使館前で男性抗議、警察が連行』
□産経新聞10月28日『習政権に突きつけられた難題 指導部の責任問題も 全面衝突避け、どう対抗』
□産経新聞10月28日『入念なルート選定、強いメッセージの裏で「挑発色」薄め』
□NHK10月29日『南シナ海で海上自衛隊と米海軍が共同訓練』
□産経新聞10月19日『習近平主席、南沙諸島の施設建設を「正当なものだ。昔から中国の領土」』
□zakak(共同)10月15日『中国紙「米軍の挑発、必ず報復」 南シナ海』
□産経新聞10月17日『日米印の“対中包囲網”訓練「マラバール」報道陣に公開』
□時事通信10月15日『3カ国海洋安保協力を強調=自衛隊継続参加に温度差-日米印』

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