香港咆哮17歳のアンブレラ…暴走する中共リモート政府

2年前に開いた雨傘は、催涙弾を除ける盾に変わった…香港中心部で発生した学生有志の蜂起。率いたのは17歳の少年だった。そして、彼らが挑む本当の敵は、中共だ。
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オンボロ漁船「啓豊二號」は2年前の夏、尖閣諸島を目指し、香港から出航した。反日シナ人集団「保釣行動委員会」が仕掛けたデモンストレーション。いつもながらの寂しい船出だった。

そして、いつも通り、港を出る前に海上警察に停船命令を喰らうものと誰もが予想していた。しかし、「啓豊二號」は停められることなく、順調な航海を始める。
▼出港する「啓豊二號」’12年8月12日(ロイター)
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なんと香港政府が黙認したのだ。これは近年の対応からは考えられない措置だった。「啓豊二號」は障害もなく東進し、3日後の8月15日午後、魚釣島沖の領海に侵入した。

その後の展開も予想外だった。11管本部の巡視船数隻が侵犯船を追尾し、接舷規制も実行した。ところが「啓豊二號」は全てをはね除け、魚釣島に到着。不逞シナ人7人の上陸を許してしまった…
▼魚釣島に不法上陸したシナ人'12年8月15日(AFP)
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当時、尖閣へのプレッシャーを強めていた中共指導部と在香港反日活動家との連携プレー。なぜ、香港政府は侵犯船の出港を容認したのか?行政長官の意図を疑う声が上がった。

2012年7月に就任したばかりの香港第3代行政長官・梁振英(りょう・しんえい)。中共指導部の連携相手は、不逞シナ人集団だけではなかった。この時から梁振英も中共の密命を受けて動いていたのだ。
▼会見する香港行政長官・梁振英10月2日(ロイター)
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「私は辞任しない。香港の選挙改革をやり遂げたい」

現地時間10月2日深夜、会見の席に現れた梁振英は辞任を拒否した。蜂起した香港人学生らは長官の即時辞任を求めていたが、梁振英が突っぱねた格好だ。そして、こう警告する。

「警察本部や行政長官官邸などの政府庁舎を包囲・攻撃・占拠すれば、深刻な事態を招く」
▼幹線道路での座り込み抗議10月1日(共同)
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一方で香港政府No.2に当たる林鄭月娥(りんてい・げつが)政務官らが学生側との対話に応じる姿勢も示した。しかし、梁振英の胸先三寸で、再び治安当局が強制排除に乗り出すという不安も拭えない。

【誰も見たことのない香港】

今回の香港アンブレラ蜂起は、静かに始まった。学生団体が新学期の授業ボイコットを宣言したのは、9月上旬だった。そして、22日から1万人を超える学生が授業を放棄し、一部はデモを行った。
▼高校生らの抗議活動9月24日(大紀元)
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次期行政長官選挙から民主派を排除する決定を下した中共への抗議活動である。決定の撤回を求める学生側に対し、中共指導部は態度を硬化。力による排除は当初から決まっていたと見られる。

キャンパスでの座り込みなど当初は、穏やかな印象の抗議だった。ところが、事態は9月26日夜に一変する。その日、政府合同庁舎前には約2,000人の学生が結集し、抗議を続けていた。
▼政府庁舎前に集まった学生9月26日(共同)
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そして、当局が設置した鉄柵の中に押し込められた一部の学生に対し、警備陣は催涙スプレーを噴射。翌日未明までに学生13人を相次いで逮捕すると共に、更に61人の一斉拘束に踏み切った。

高校生を含む学生の大量逮捕劇に、国際社会は驚いた。香港で大陸並の弾圧が実行されたのだ。海外メディアの関心も一気に高まる。その中、28日には学生に向けて催涙弾の連射が行われた。
■1’30”過ぎからパニック状態


学生を狙ったガス・グレネードの嵐。瞬間を捉えていたCNNのリポートは、ネットを通じて世界に拡散された。そこには誰もが見たことのない別の香港があった。被害を受けた大学生は、こう吐き捨てる。

「無抵抗の学生や市民に催涙弾まで撃ち込む政府など信用できない。これじゃ中国本土と同じだ。『一国二制度』はどこにいった」
▼香港警察の鎮圧部隊9月28日(AFP)
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学生たちの決意は固く、士気も高い。その中、稀代のカリスマとして欧米メディアが注目した若者がいる。黄之鋒(こう・しほう、ジョシュア・ウォン)。17歳の若過ぎる政治リーダーだ。

【中共が恐れる17歳の咆哮】

「5年前なら、香港の高校生が政治的抗議運動をするなんて想像できなかっただろう。しかし、今は違う」
▼抗議率いる黄之鋒(こう・しほう)9月26日(ロイター)
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香港当局が強硬策に打って出る直前、黄之鋒はCNNのインタビューで堂々たる正論を語っていた。香港の自由が失われつつあることへの切迫した思いと中共への不信感・警戒感は、17歳の少年とは思えない。

「今戦わなければ、香港は早晩、中国本土の主要都市と同様に腐敗と縁故主義がはびこる社会に堕してしまう」

本格的な闘争宣言だ。約2000人の学生が集結した行政庁舎前の大規模抗議活動。その中心にいた一人が黄之鋒だ。デモ参加者を前に演説する姿も見られた。
▼演説する黄之鋒9月26日(AFP)
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事態が急変する少し前の風景である。そして、深夜の急襲劇。催涙スプレーの直撃を受け、拘束される黄之鋒の姿をカメラはキャッチしていた。警察当局は、リーダー格を狙って拘束を続けたという。

最重要ターゲットに指定されていた黄之鋒。それが北京の意向を受けたものだったか否か不明だ。しかし、今年5月に中共が発表した“国内テロ白書”は「過激な危険分子」と実名を挙げ、警戒を強めていた。
▼拘束された黄之鋒9月26日(南華早報)
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「中国が恐れる17歳」という異名は伊達ではない。3年前、中共指導部が香港の小中学校に「国民教育」の導入を図った際、猛反発したのが、黄之鋒だ。当時、彼はまだ中学生だった。

「教育に名を借りた洗脳だ」
▼中学生時代の黄之鋒’11年8月(YouTube)
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香港メディアや識者が、思っていても口にしなかったことをストレートに指摘する。そしてティーンエイジャーを中心にした運動組織「スカラリズム」を結成。啓蒙運動の先頭に立った。

【一党支配讃える教育にNO】

「国民教育」は、六四天安門事件や文革の惨劇をスルーし、中共の一党支配を賛美する。真の民主化を求める香港人にとって到底受け入れられる内容ではない。しかし、梁振英は一歩も譲らない。

就任間もない行政長官は、ここでも北京の代弁者であること隠さなかった。香港侵犯船事件の翌月となる2012年9月、黄之鋒らスカラリズムが率いた抗議デモは、父兄もあわせ12万人に膨れ上がった。
▼庁舎前占拠を率いた黄之鋒’12年9月(AP)
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今回の学生蜂起は「アンブレラ革命」と命名されたが、初めて抗議に雨傘が登場したのは、この時だった。抗議の学生たちが「雨傘世代」と呼ばれる所以でもある。
▼国民教育導入への抗議’12年9月1日(AFP)
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抗議の広がりを受け、梁振英は同年9月8日、導入は各学校の判断として「国民教育」の義務化を撤回。スカラリズムは最初の闘いで勝利を掴み取った。

そして今回も黄之鋒は拘束から40時間で釈放を勝ち取った。「人身保護令」に照らし、裁判所が香港警察による違法拘束と認定。釈放から間もなくして“現場復帰”を果たした。
▼抗議活動に復帰した黄之鋒10月1日(WSJ)
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シナ本土であれば、本人だけではなく、家族も拘束されて“行方不明”になっただろう。香港にはまだ先進国並みの法治システムが残っている。それを守る為に彼らは行動しているのだ。

問題は普通選挙の実施だけではない。今年2月、民主派寄りとしての退任となった香港の有力紙『明報』の編集長が路上で正体不明の2人組に襲撃される異様な事件も起きた。
▼襲撃された『明報』前編集長3月1日(AP)
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また過去最大となった返還記念日の民主派デモでは、500人以上の参加者が一時拘束される事態が発生。3日後には、主催グループの5人が相次いで逮捕された…

突如、香港では言論の自由が脅かされ始めたのだ。強権を発動する梁振英。その背後に習近平ら中共指導部が控えていることは、誰の目にも明らかだった。

【合い言葉は「天滅中共」】

「学生たちの活動に感銘を受けた。我々が出遅れたことを認めよう。自らを恥じなければならない」

古株の民主化運動家は、高校生や大学生の機動力に舌を巻いた。選挙から民主派候補を排除する中共の決定に対し、民主派グループはいち早く対抗策の実施を宣言していた。

それが、「オキュパイ・セントラル」計画だった。中環(セントラル)の大金融街は、香港の心臓部とも言えるエリアだ。当初のプランでは10月1日の予定だったが、学生の蜂起で前倒しを余儀なくされた。
▼中心部を埋め尽くす大規模抗議9月30日(WSJ)
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学生の後追いをする姿は、今年3月の台湾国・向日葵学運による議会制圧劇に似ている。あの時も、老舗の活動家や野党政治家は学生たちのスピードに付いて行けなかった。

香港の学生たちが抱く危機感は、リタイア組が多い古参の運動家とは異なっていた。香港の「一国二制度」が終わるのは、33年後の2047年だ。ちょうど今の学生が社会の中核を担う頃である。
▼警官隊と対峙する学生9月29日(ロイター)
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返還50年後の世界を確実に体験する世代と大半が鬼籍に入っている世代との違いだ。そして、もうひとつの重要な相違点が、中共に対する強い不信感と警戒感。それは敵対意識と表現しても良いだろう。

「香港の人々は決して中国政府を恐れてはいけないし、中国政府は香港人を畏怖しなくてはならない」
▼中共を脅かす17歳・黄之鋒(産経)
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17歳の黄之鋒は、そう説く。彼らの行動原理は、従来の民主化運動とは一線を画す。コアの部分にあるのは、反中共のスピリットだ。学生は、襲い掛かってくる独裁政党と対峙しているのだ。

中共に抗う学生たち…その本当の姿を我が国のメディアは、台湾国の議会制圧報道でも横並びで無視した。中共による侵蝕が加速する中、危機感を強めた若い層が立ち上がったのである。
▼市内中心部を占拠する学生ら10月2日(共同)
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香港の学生蜂起が頂点に達した10月1日、台北市内の自由広場には、台湾国の学生約4000人が参集。力強い支援の声を届けた。そこに現れた学生リーダー・林飛帆の演説は、とりわけ衝撃的だった。

「私たちが望むのは、香港の皆さんや東アジアの中国の周辺国と一緒に、対中共連合戦線を作ることです」



唱和したスローガンは天滅中共。「天は中共を滅ぼす」という意味だ。すでに彼らの闘いは、民主化運動の枠を越え、目前に迫る敵をハッキリ捉えている。すべての元凶は、中共に他ならない。

返還50年を待つことなく、なし崩し的に北京は香港を呑み込もうとしている。元から詐欺だった「一国二制度」の化けの皮は剥がれた。それを私たち日本人は直視し、最前線に立つ闘士を支援すべきだ。

香港の危機は、即ち我が国の危機でもある。



最後まで読んで頂き有り難うございます
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参考記事:
□ロイター9月30日『香港の民主化デモ、ティーンエージャーが原動力に』
□WSJ10月1日『香港民主化デモ、先頭に立つ17歳の学生運動家』
□サンケイBiz9月28日『中国が恐れる 17歳の民主化闘士逮捕/香港の学生デモ鎮圧、29人けが』
□南華早報9月28日『Students at the vanguard of democracy push, but are they too young?』
□CNN9月28日『Echoing Tiananmen, 17-year-old Hong Kong student prepares for democracy battle』
□産経新聞9月29日『催涙弾に倒れる女子学生…「これじゃ中国と同じ」 緊迫の香港、ガスマスクの警官隊が発砲』

□AFP2012年9月4日『「洗脳」授業導入に反対、香港学生が抗議行動』
□WSJ2012年9月8日『香港、愛国心教育の必修化を撤回-議会選挙の前日』
□AFP7月4日『香港警察、民主化要求デモの主催者5人を逮捕』

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