習近平が泳ぐ“絶望の海”…江沢民に奪われた首脳会談

中共戦闘機が出現したのは、東シナ海の盗掘現場上空。資源漁りに直結する過激な軍事行動だった…その中、江沢民が主席格でプーチンと会談。習近平に逆包囲網が敷かれた。
画像

「常軌を逸した近接だ」

緊急の囲み取材に応じた小野寺五典防衛相は、強い口調で批判した。東シナ海上空で中共軍の戦闘機2機が5月24日、相次いで自衛隊機に異常接近。防衛当局は一時、緊迫した状況に陥っていた。
▼記者団に答える小野寺防衛相5月25日(産経)
画像

中共軍の戦闘機Su-27は警告もなく、僅か30㍍まで接近した。これは威嚇飛行を超えるレベルの軍事行動で、平時ではまず有り得ない。現場は我が国のADIZ内側、いわゆる中間線の上空と見られる。

最初の異常接近は24日午前11時頃に発生した。海自のOP3C画像情報収集機に2機のSu-27が急接近。その1時間後には、空自のYS11EB電子測定機に対し、約30㍍の距離まで接近した。
▼中共軍Su-27戦闘機5月24日昼(防衛省)
画像

「このように接近するような中国戦闘機の航行は未だかつてなかった」

自衛隊幹部によると、警戒監視目的で外国機に接近する場合は「数百㍍が常識」だという。しかも2機のSu-27は、ミサイルを搭載し、自衛隊機の後方に回り込んだ。戦後初のケースである。

「偶発的な事故につながる可能性がある危険な行為だ。搭乗員の報告によると、戦闘機にはミサイルが搭載されていた」
▼ミサイルは高性能のR-73と見られる
画像

防衛省が公開した写真には、Su-27の搭載する空対空ミサイルが鮮明に写っていた。この中共戦闘機の臨戦態勢が示す意味の重大さに、大半のメディアも与野党の政治家も気付いていない。

公海上で警告もなく、後方から戦闘機にロックオンされるという絶体絶命の状況。その機体に空対空ミサイルを確認しても、自衛隊機は何も出来ないのだ。日本人操縦士の生命を誰がどう保証するのか…
▼米海軍制服組トップと会談5月27日(時事)
画像

集団的自衛権を巡り、妄想と夢想で練り上げたような神学論争をリピートしている場合ではない。

【盗掘現場めぐる東と南の攻撃】

「日本側の危険な行動は国際法と国際的な規範に違反しており、誤った判断や空中での不測の事態を容易に招くものだ」

外交ルートを通じた我が国の抗議に対し、中共国防部は逆ギレして非難した。自衛隊側が先に危険行為を行ったというのだ。その上で「日本側が全責任を負う」と恫喝する。無謀な、苦しすぎる弁明だ。
▼30mまで接近された空自YS11EB(同型機)
画像

Su-27は、マッハ2を超すスペックを誇る。対して接近を受けた自衛隊機はいずれもレシプロ機。第4世代の主力戦闘機が情報収集機に煽られたのなら、それこそ空戦史に残る大事件である。

中共側はロシア海軍との演習に自衛隊機が干渉したと主張する。メディアは何の注釈も付けないが、中露演習の実施海域は、東シナ海の北部で、長江河口附近の沿岸だ。同じ東シナ海でも遠く離れている。
▼異常接近事件の現場空域(日経)
画像

実際に30㍍の無警告異常接近が起きたのは、白樺ガス田など中共の盗掘施設が乱立するエリアだった。CNOOC(中国海洋石油総公司)が管理する“石油利権の海”だ。
▼中間線附近の資源盗掘現場(file)
画像

ベトナム中部ダナン沖に石油リグを不法設置したのも、このCNOOCである。完全にリンゲージする南と東の海洋。自衛隊機への異常接近も、CNOOCに絡む凶暴な軍事的プレッシャーだった。

今回の中露演習は、当初、尖閣諸島の北西海域で実施されると予告された。自衛隊が5月22日に国内で初めて行った離島奪還訓練は、明らかに“尖閣沖演習”に対抗する意味があった。
▼公開された離島奪還訓練5月22日(共同)
画像

ところが、ベトナム沖侵攻後は一転し、南シナ海にエリアを移すと明言。緊迫の度合いを一気に引き上げる威嚇行為だ。それが蓋を開けてみると、演習エリアは長江河口附近の上海沖だったのである。

参照:新華社5月8日『ロシアと中国の海上軍事演習、5月中旬に南シナ海で―露軍報道官』

こうした2ヵ国共同の軍事演習で、直前まで実施エリアが二転三転することは前代未聞だ。軍当局者の連携が不調だったという程度ではなく、舞台裏は確実に大混乱していた。
▼中露演習開始式に臨む2人(AP)
画像

「中露蜜月」を内外に見せつけるべく、習近平は威信をかけてプーチンとの首脳会談に臨み、合同演習の開幕セレモニーに連れ立って出席した。しかし、プーチンはその期待を裏切る大胆な行動に出る…

【上海“首脳会談”の格調】

中露首脳会談が行われた5月20日、プーチンは上海で意外な人物と会談した。2代前の中共トップ・江沢民だ。あの生ける屍・反日ゾンビが、いきなり大舞台に登場したのである。

驚愕の事態だ。中共トップは引退後、公の場に姿を現さず、政治に関する個人的見解も示さない。まして、外国首脳と会談することなど絶対にない。それは建国以来の不文律だった。
▼プーチン・江沢民会談5月20日(時事)
画像

起きてはならないことが、習近平が久々に足を踏み入れた上海で起きたのである。一部には、江沢民に恩を売る目的で習近平指導部が用意したという見方もあるが、違う。

習近平にとってはハプニングであり、不愉快な出来事だ。江沢民が昨年7月にキッシンジャーと対面した際は、中共外交部が内容を公表していたが、今回、最初に伝えたのはロシアの通信社だった。
▼江沢民と対面したキッシンジャー昨7月(新華社)
画像

また、キッシンジャーと会ったのはホテルの宴席で、立ち話に過ぎなかった。だがプーチンとの対面は、巨大壁画やソファー・骨董品風のテーブルなど共産国家定番の首脳会談スタイルだった。

それは、習近平が目を覆いたくなるような苦々しい光景だ。習近平指導部は、拘束した石油閥のドン・周永康に続き、背後に君臨する江沢民周辺もターゲットにし、包囲網を狭めていた。
▼死亡説覆す江沢民復活劇'11年10月(AFP)
画像

最も緊迫した局面で、江沢民が曲芸を決めたのだ…そこから、習近平が直面する「非常事態」を読み取ることが出来る。

【蛇に睨まれたカエル主席】

プーチンと江沢民が上海でコンタクトする可能性について、習近平指導部は事前に関連情報を把握していたはずだ。そして、プーチン訪問の直前まで妨害工作を続けていたと推測する。

しかし、黒い努力は報われず、前例のない会談は実現してしまった…江沢民サイドの対ロ外交が中共指導部を上回ったのだ。習近平の限界が露呈した。一方、クレムリン側にも思惑がある。

「ロシアのガス部門にとって歴史的な出来事となった」
▼上海に到着したプーチン5月20日(AP)
画像

プーチン訪支の最大の目的は、天然ガスの卸売り契約締結だった。10年にわたって難航した交渉が漸く前進したのだ。パイプラインの新設など石油閥が利権を握る分野である。

ロシアのガスプロムと大型契約を取り交わすCNPC(中国石油天然ガス集団)は、かつて周永康が率いていた党直営コンツェルン。習近平指導部は昨年からCNPC幹部を相次ぎ汚職で摘発し、外濠を埋めた。
▼指導部時代の周永康'11年3月(ロイター)
画像

周永康が握っていた資源利権は切り崩され、旧石油閥は追い詰められたはずだった。本来なら江沢民の出る幕などない。ところがプーチンは江沢民に恭しく対応した。それが何を意味するのか?

旧来の石油閥も江沢民一派も健在で、復権する余地すらある。それが、プーチンと江沢民の首脳会談まがいの対面シーンが解き明かすものだった。形勢逆転…追い詰められているのは習近平だ。
▼上海の晩餐会場5月20日(ロイター)
画像

習近平指導部は昨年末、周永康を拘束した。しかし、報道は不正確で、実際は自宅軟禁の状態だという。そして半年以上、連行することも逮捕することも出来ずにいる。

中共指導部の独裁的で絶大な権力は、引退した政治局常務委員1人を無効化する作業など容易だ。薄熙来失脚に続き、一気に周永康を狙い撃った。ところが、事態は殆ど進展せず、停滞中だ。
▼公判生中継で反撃した薄熙来'13年8月(ロイター)
画像

習近平が土壇場で二の足を踏む理由は、指導部内の権力闘争といった抽象的な表現では説明がつかない。もっと物理的な要因、即ち「軍の動向」が鍵を握っていると確信する。

【“対テロ戦争”の本当の敵】

「以前は居なかった場所に公安がいます」

北京在住の人権活動家は、そう明かす。北京市の公安当局は5月23日、最高レベルの第1級警戒態勢を布告。武装車両部隊を組織すると共にヘリによる上空からの監視活動を強化した。
▼北京中心部を旋回する公安ヘリ5月9日(ロイター)
画像

戒厳令下のような非常事態だ。海外メディアは、ウルムチ爆発事件を受けた「対テロ警戒」だと当局発表のコピペ報道を繰り返すが、規模が大き過ぎる。度を越えた首都警護態勢だ。

東トルキスタンには原理主義的なグループもなければ、銃器類の横流しを受ける武装組織もない。当局がテロ犯と連呼するETIMも、今では架空の組織に過ぎない。
▼北京の検問所を増強5月20日(ロイター)
画像

首都・北京で大規模なテロ攻撃を行うようなウイグル系の組織が存在しないことを中共指導部はよく知っている。そうであれば、習近平は誰からの攻撃に震え上がっているのか?

答えは政敵だ。史上最弱の中共主席は、最強の政敵と対峙している。習近平が具体的な情報をキャッチしてるか否か不明だが、上海閥と一蓮托生の軍長老が反旗を翻すことを恐れている可能性が高い。
▼北京中心部に展開する部隊5月16日(ロイター)
画像

政敵が行動に踏み切るタイミングは、周永康の逮捕だ。その為に習近平は、一族郎党を次々に摘発しながらも、本丸の周永康を逮捕できないでいる。

当初、チャイナ・ウォチャーの多くは、習近平が周永康逮捕で「虎叩き」の幕を引き、石油閥と妥協するシナリオを有力視していた。だが、半年間の迷走は、落し所を失ったことを示しているのだ。
▼上海CICAの習近平とプーチン5月21日(AP)
画像

反習近平の動きは、クーデターや民衆暴動といった分かり易いスタイルを取らないだろう。それは、より直接的な、北京の深部を狙ったテロ事件となって顕在化する。




最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発となります

banner1

参考記事:
□産経新聞5月24日『北京、テロ受け厳戒態勢 全警官の休暇停止』
□産経新聞5月26日『警告なしで相手に発砲も 対テロで北京警察』
□毎日新聞5月23日『中国:北京市の警戒、最高レベル…公安当局』
□WSJ5月26日『中国の反テロ特別行動、全国展開へ-新疆ウイグルの爆弾事件で』

□産経新聞5月25日『日米監視に“不満”噴出? 憲法に縛られた自衛隊を挑発か』
□共同通信5月22日『奄美で自衛隊が離島奪還訓練 中ロも合同軍事演習』

□ロイター5月22日『ロシアのガスプロム、中国への天然ガス供給契約に調印』
□ロイター5月23日『周永康氏問題めぐる中国の激しい権力闘争、四中全会前後に決着か』

"習近平が泳ぐ“絶望の海”…江沢民に奪われた首脳会談" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント