未来空母「いずも」の針路…東シナ海を睨む洋上基地

わが海軍の名空母を上回る大型艦「いずも」が全貌を現した。オスプレイと共にSTOVLの艦載に期待が高まる。中共海軍が心底恐れる空母打撃群が尖閣海域を制する日も近い。
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戦後最大の艦艇22DDHの命名式・進水式が8月6日、横浜港で行なわれた。どんな名前が冠されるのか…緊張が高まる中、発表された艦名は「いずも」。ネットの噂とおりだった。

全貌を露にした「いずも」は、全長813フィート(248㍍)で、基準排水量は約1万9,500トン。ドーン・ブリッツで活躍した同じヘリ搭載型護衛艦「ひゅうが」より二まわりも大きい。
▼進水式仕切る麻生副総理8月6日(ロイター)
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式典には麻生副総理や石破幹事長らが参列した。海自隊員と関係者が見守る中、麻生副総理と江渡防衛副大臣がロープを切断。音楽隊が吹奏をバックに「いずも」は、華々しく進水した。
▼進水開始を告げる花火(撮影筆者)
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ビッグサイズである。真珠湾作戦にも参加した帝国海軍が誇る空母「加賀」を10㍍程上回る。逆に、日本人は90年以上前に、このような大型艦を建造していたこのに驚く。

「いずも」は全幅でも「加賀」より約10㍍長い。特徴的なのは、艦首から艦尾を貫く飛行甲板だ。今にもF-35BやMV-22オスプレイが発進しそうな感じである。
▼上空から捕らえた「いずも」8月6日(産経)
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現役艦と比べると「いずも」は、イタリアの多目的空母「カヴール」に近い。米海軍の「ニミッツ」や仏海軍の「シャルル・ド・ゴール」などに対し、軽空母と呼ばれるカテゴリーに属する。

余り、空母とか連呼しない方が良いのか…ゴミ憲法下で、海自に空母は存在してはいけないらしい。報道される通り「いずも」は、過去最大のヘリ搭載型護衛艦だ。陸自の大型トラックもたくさん入る。

【海自護衛艦“記紀シリーズ”】

「いずも」は、手術室に加えてICUも完備。患者用ベッドだけでも35床ある。乗組員470人とは別に、最大450人を長期で生活可能なスペースも備えている。収容1000人規模である。

客員扱いで乗艦するのは、もちろん陸自の部隊だ。海の上では肩身が狭いらしいが、帝国陸軍も耐えた。重要視される水陸両用作戦に欠かせない新型艦でもあるのだ。
▼命名・進水式を待つ「いずも」(ロイター)
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「いずも」の格納庫には、陸自の73式大型トラックを50台積載できるという。73式は、東日本大震災での活躍が記憶に新しい汎用のトラックだ。

俯瞰で見ると「いずも」は、米海軍の強襲揚陸艦エセックスにそっくりなのだが、形状が似ているだけかも知れない。“ヘリ”の発着艦スポットは5機分で、米ワスプ級強襲揚陸艦より1機少ない。
▼空母・強襲揚陸艦などのサイズ比較図
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この日、命名された「いずも」という名は、16DDH「ひゅうが」や18DDH「いせ」に続くものだ。高千穂を戴く日向に伊勢。日本神話シリーズ、記紀シリーズと言える。
▼250㍍級の全通甲板8月6日(産経)
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艦名に関しては今回、海自側が思わぬアクシデントに見舞われた。命名・進水式の日程発表時に名前がバレてしまったのだ。PDF文書内には名前部分が三文字黒塗りされていた。

これをネット住民が解析したような話だったが、実は、クリック操作で簡単に判ったとか…6日の命名式では、その瞬間、微妙な静寂があったようで、関係者的にはシリアスな問題かも知れない。
▼美しき日章旗と十六条旭日旗(ロイター)
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「海上自衛隊史上最大の新型護衛艦に関し、旧海軍を象徴する戦艦『長門』の名を受け継がせる案が浮上していたことが分かった」

ネットで「いずも」がそこそこ知れ渡ったことから、毎日新聞は7月末、そんな記事を掲載した。「長門だと国内外で波紋を呼ぶ可能性」などと書いていたが、「長門」の何が問題なのか意味不明である。
▼上海港に展開する出雲S12年
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「いずも」は、帝国海軍の装甲巡洋艦「出雲」を継ぐものだ。先代の「出雲」は、日本海海戦や第1次大戦に参加しただけではなく、支那事変では上海港で活躍。中共にとっては、こちらの方が“刺激的”だ。

【シナ人が盗撮?中共の熱視線】

「ほかの艦艇への燃料補給機能も兼ね備えた大型の新艦艇の登場は、周辺国を刺激する可能性もある」

捏造報道でグズグズの共同通信は、進水式のメーン記事でいきなり批判する。自国の最新鋭艦に文句を言う姿勢から既に破綻している。周辺国という伏せ方も気に入らない。ズバリ中共と名指しすれば良い。
▼進水式を待つ「いずも」8月6日(ロイター)
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有識者とマニアが口を揃えて「歴史的」と賞賛する22DDHの晴れ舞台であったが、既存メディアの扱いは低調だ。まあ、想像の範囲内である。8・6と言えば広島企画という十年一日の報道スタイルだ。

それもあって、空模様を気にしつつ、現場に行ってきた。今回の命名・進水式は、一般開放されず、参列は関係者・招待者に限られた。しかし造船ドックは、斜め横の臨海公園から、間近に見える。
▼進水式の海自隊員8月6日(ロイター)
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式典が行なわれたのは、横浜市のジャパン・マリン・ユナイテッド磯子工場。昔の石川島播磨だ。名門である。この日も早くから臨海公園にはカメラの放列が出来ていた。
▼公園の丘が展望スポット(撮影筆者)
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麻生さんの声や音楽隊の吹奏はまるっきり聴こえず、届くのは花火の音くらいなのだが、大きさは堪能できた。他の船舶と並び立つと「いずも」の巨大さに威圧される。

公園脇にマリーナがあって、時折レジャーボートがドック前を気軽に通過したりする…民間の造船所だから当たり前とは言え、機密保持とかテロ対策とか、ちょっと心配だ。
▼シナ紙がスクープ掲載した22DDH1月
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参照:中国網1月7日『日本最大級の戦艦 極秘写真が公開』

今年1月、中共の宣伝機関が22DDHの“極秘写真”公開という記事をアップ。小型艇で接近して撮った写真に見えたので慌てたが、後に日本人マニアが撮影したものと判明。2ちゃんからパクったという。

更に、今度は写真に薄く「Free Tibet」の文字を仕込んだところ、これもまた勝手に転載。紙面を大々的に飾った模様だ。
▼上半分が無許可転載の画像
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見事に引っ掛かった宣伝機関のマヌケぶりを笑う一方、中共が新鋭艦に並々ならぬ関心を寄せていることは確かである。

【全通甲板に舞うF-35B】

「『いずも』には垂直離着陸型の戦闘機を搭載する構想はなく、攻撃型空母にはあたらない。海上交通の保護や災害支援の任務を想定している」

朝日新聞は、そう海自側の説明を伝える。今の段階で、まかり間違っても防衛省がSTOVL(短距離離陸・垂直着陸機)の艦載を言明するわけがない。「いずも」は、ヘリ搭載型護衛艦だ。
▼まさに満艦飾の「いずも」(ロイター)
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6月のドーン・ブリッツで「ひゅうが」にMV-22オスプレイが余裕で離着陸できることが判った。耐熱仕様の甲板である。発展型の「いずも」がデチューンしていることはあり得ない。

「いずも」のオスプレイ艦載は規定ルートと言っても良いだろう。焦点は、我が国の次期主力戦闘機F-35の動向だ。次世代ステルス機として知られるF-35Aではなく、STOVLのF-35Bである。
▼「ひゅうが」にMV-22着艦6月14日(DVIDS)
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航空自衛隊は平成28年度までにF-35Aを4機導入する。これとは別に政府がF-35B導入を検討していることがFNNのスクープで判った。情報ソースは日米の防衛当局だという。

小野寺防衛相は7月16日の会見で、この報道を否定した。今の段階で導入を言明することはないだろうが、「いずも」の全通甲板にはF-35Bがよく似合う。そして、それこそが中共の恐れる事態である。
▼開発が進むF-35B(file)
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「大規模災害や国際緊急援助活動では、『海上基地』として被災者の救助や物資の輸送も行う」(読売新聞)

補給物資から最新医療設備までオールインワンの「いずも」は、沿岸部や離島の大規模災害で重要な移動拠点になる。一昨年、三陸沖で米空母が大きな役割を果たしたことは記憶に鮮やかだ。



海自側やメディアが被災者支援を強調するのも妥当で、別の意図はない。けれども、洋上ベースとして実力を発揮するのは、地上拠点から遠い絶海に展開した時である。

中共艦隊の展開が常態化する東シナ海。そこで尖閣海域を守り抜くには「いずも」の能力が必要となる。我が国が70年前に失った空母打撃群…ついに復活の日が来る。感無量だ。
▼ドックを離れた「いずも」(twipics)
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8月6日、進水式を無事に終えた「いずも」は、夕闇が迫る横浜港を優雅に進み、やがて針路を南に変えた。




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参考記事:
■産経フォト8月6日『海自最大艦「いずも」進水 ヘリ5機の同時発着可能』
■読売新聞8月6日『「ヘリ空母型」海自最大の護衛艦「いずも」進水』
■時事通信8月6日『「空母型」護衛艦が進水=海自最大、ヘリ5機同時発着-横浜』
■共同通信8月6日『海自最大艦「いずも」が進水』
■朝日新聞8月6日『海自最大の「ヘリ空母」進水 護衛艦いずも全長248m』

■毎日新聞7月17日『防衛省:新艦名、命名式前にネット流出 サイト、黒塗り「解除」』
■毎日新聞7月27日『護衛艦:「長門」命名を見送り 旧海軍の象徴』
■FNN7月14日『日本政府、艦載機として新たに「F-35B」導入を検討』

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