史上最低の米支首脳会談…オスプレイは尖閣に舞うか

世紀の会談と騒ぎ立てたメディアも落胆する味気ない米支首脳会談。その裏で、陸海空3自衛隊と米海兵隊の合同訓練が始まっていた。か弱いリーダー2人が、尖閣周辺に不穏な波風を立てる。
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米支首脳会談に臨む習近平は6月6日、カリフォルニア州のオンタリオ空港に到着した。国家主席襲名後、オバマ大統領との初会談。否応無しに国際社会からの注目が集った。

その前日にあたる6月5日夜、同じカリフォルニア州の浜辺に4人の陸自隊員が乗る小型ボートが姿を現した。陸自が誇る屈強なレンジャー隊員たちである。
▼米西部海岸に現れた陸自部隊6月5日(米海兵隊FB)
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密かに上陸した…という訳ではない。これは「ドーン・ブリッツ2013」のヒトコマだ。米海軍・海兵隊が合同で行っている大規模訓練に今回初めて自衛隊が参加したのだ。

離島防衛能力向上を目指す米軍との合同訓練はグアムなどで実施されているが、「ドーン・ブリッツ2013」には初めて陸海空の全自衛隊が参加。それが習近平の“目と鼻の先”で行われたことに意義がある。
▼陸自隊員、米海岸に上陸す6月4日(同FB)
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米東部沿岸に集結した自衛隊員は1,000人規模。陸自からは島嶼防衛の重責を担う精鋭部隊 WAiR(西部方面普通科連隊)などが訓練に加わっている。

「自衛隊の能力向上と日米での運用向上のため、訓練は予定通り進める」

小野寺防衛相は6月4日、そう記者会見で述べた。中共側から「ドーン・ブリッツ」への参加中止を悲鳴が上がっていたのである。意味のない遠吠えだ。各自衛隊の主要装備は、既に“上陸済み”だった。
▼陸自CH-47JAから海に降下6月6日(同FB)
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ドーン・ブリッツ2013の統合訓練は6月10日スタートだが、その前に5月29日から現地で機能別訓練が進められていた。つまり、習近平が滞在するカリフォルニア州内に自衛隊が“展開”していたのである。

参照:統幕監部HP『平成25年度米国における統合訓練(実動訓練)(ドーン・ブリッツ13)に つ い て(PDF)』

しかも、この3自衛隊の布陣は、編成・装備から、疑う余地のない「尖閣侵略阻止大隊」だった。

【海自護衛艦からオスプレイ発進】

ドーン・ブリッツ2013には、空自から航空総隊が参加。海自は大型のヘリ搭載護衛艦「ひゅうが」、イージス艦「あたご」、ウェルドックにエアクッション艇を格納する輸送艦「しもきた」を派遣した。
▼米西海岸の海自LCAC揚陸艇5月31日(同FB)
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陸自から参加した西部方面普通科連隊の陣容は推定で約300人。1個中隊を上回る規模だ。この精鋭部隊は、今年1月中旬から行われた日米合同訓練「アイアンフィスト」に参加したばかりでもあった。

「アイアンフィスト」は、米海兵隊のMV-22オスプレイが参加したことで少し話題になった訓練だ。そして今回の統合訓練でもMV-22との連携に関心が集まる。
▼アイアンフィストMV-22 2月9日(共同)
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「日米間の協力が技術的にも強化される。救助、人道支援に今後、活用する可能性がある」

小野寺防衛相は6月11日の会見で、海自護衛艦へのオスプレイ着艦訓練が行われるという見通しを示した。「ひゅうが」の甲板にMV-22が舞い降りるのだ。胸熱である。
▼サンディエゴ到着の「ひゅうが」6月10日(共同)
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離島防衛と言うより、具体的な離島奪還作戦を想定している。そこでは陸自精鋭部隊を急派する海自の輸送能力が重要だ。陸・海・空の連携なくして尖閣諸島は守れない。

最初から離島=尖閣が中共海軍に侵略されたことを想定した作戦訓練。陸自部隊が魚釣島に駐屯していれば、侵略リスクは激減する。それすら実行できないのが、我が国の「専守防衛」の歪んだ実態だ。
▼米西海岸到着のイージス艦「あたご」(同FB)
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仮定するのは、中共海軍の重武装兵団が魚釣島を占拠した後の状況。沖合からの砲撃に加え、最終的には陸自の精鋭部隊が上陸し、敵軍を駆逐しなけばならない。その際、我が軍の犠牲は免れないだろう。
▼護衛艦「ひゅうが」の格納庫6月10日(共同)
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MV-22の近未来的なシルエットに見蕩れている場合ではない。実際の尖閣奪還作戦で、米国のマリーンがどこまで動くのか…しみったれたオバマの顔を見ていると、不安ばかりが募る。

【前夜祭で騒ぎ過ぎたメディア】

習近平の訪米及び米支首脳会談の開催が明らかになったのは、5月20日のことだった。当日まで3週間を切る中の発表。異例中の異例で、緊急に両者が直接話し合う案件が浮上した以外に考えられない。

胡錦濤が首脳会談のために初めて訪米したのは、就任から2年6ヵ月が過ぎた時期だった。これまで北京は会談が必ず「成功」するよう、長い下準備を重ねて新人主席を米国に送り出した。
▼会談初日の習近平とオバマ6月7日(AP)
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それが習近平のケースでは、就任3ヵ月の見切り発車になったのだ。各国政府が訝しむのも当然だろう。我が国では、頭越しの米支連携=ニクソン・ショックの再来を危惧する声も上がった。

会談日時も、憶測が飛び交うのに充分だった。第2次天安門事件24周年の直後である。毎年6月4日前後は、米メディアも大屠殺関連の情報を伝え、血の染まった北京の記憶が蘇る。最悪の時期だ。
▼香港の六四追悼集会6月4日(AFP)
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一方、我が国のメディアは、日米首脳会談と同じ規模の大取材団をカリフォルニアの砂漠地帯に派遣した。天安門事件の回顧などベタ記事以下で、何やら「世紀の会談」が行われるかのような騒ぎっぷり。

会談初日は、ノーネクタイでどうたら、と余計な話題も織り込んで手厚く報じていた。ところが、2日間の全日程が終了すると一気にトーンダウン。成功とも失敗とも言い切れず、曖昧な評価に終始した。
▼初日の会談に臨む2人6月7日(AP)
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「中国の主張が通らなかったということ。平行線または決裂だ」

焦点の尖閣対応に関して、シナ・ウォッチャーの宮崎正弘氏は、そう指摘する。記者会見で習近平が大風呂敷を広げたのも焦りの現れで、強気の姿勢をアピールせざる得なかったという。

反日メディアは、この首脳会談で安倍政権に不利な発言が噴出することを内心期待していた模様だ。しかし、フタを開けてみたら、不発だった感じである。それでも気を許すことはできない。
▼散歩中のオバマと習近平6月7日(ロイター)
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「日本にとって重大な意味を持つ尖閣問題については、オバマ大統領は日本の同盟相手であることを想起させる言葉をまったく発しなかった」

アメリカ・ウォッチャーの古森義久氏は、会談に失望したと嘆く。日支双方に「対話」を呼び掛けた挙げ句、尖閣が日米安保の適用範囲であると明言しなかった。オバマの消極姿勢が浮き彫りになったと言うのだ。

そして、今回の米支首脳会談は大失敗だったと断言する。

【歴史に残る米支首脳“放談”】

「我々はサイバー攻撃の被害者だ」

首脳会談で習近平は逆ギレした。以前から繰り返してきた幼稚な言い逃れだが、オバマに面と向って叫ぶあたりは斬新だ。また米国側の腰が砕けた瞬間でもある。

会談前、米国側は中共軍によるサイバー攻撃を大きな問題にする構えだった。ところが絶妙なタイミングでNSA(米国家安全保障局)の通信・ネット監視プログラムが暴露され、オバマは急に無口になった…
▼香港にいた告発者E・スノーデン6月9日(AP)
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もっとも、中共軍61398部隊によるサイバーテロの決定的証拠を米国が会談で投げ付けるというメディアの観測も説得力に欠けた。そうであれば、習近平が素直に首脳会談に応じるはずがない。

そして、尖閣の曖昧対応は同時に、南シナ海問題の放置も意味した。オバマは南シナ海で進む中共の侵略に歯止めをかけることが出来なかったのだ。フィリピンなど関係国は絶望的な印象を抱いただろう。
▼散歩中のオバマと習近平6月8日(AP)
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会談の成否を判断する要素は、第一に合意項目の数だが、今回合意に至ったのは、温室効果ガスHFCの規制だけだった。1泊2日8時間を超す会談で両者は一体何を話し合ったのか…

反日メディアの一部は、会談内容の検証材料が少ないことから「評価を下すのは早計」などと様子見論を主張する。だが、今回のオバマ・習近平会談は明らかな失敗、歴史的な大失敗だ。
▼サニーランズのチベット支援者ら(AP)
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中共首脳の訪米では毎回、チベット支援組織や各種人権団体が大活躍する。しかし、会談場所が砂漠の奥の保養施設だったこともあって、抗議活動は小規模に留まった。米側が巧みに押さえ込んだとも言える。

【か弱い2人が危機招き入れる】

反中共抗議の不発だけではない。今回の米支首脳会談では人権問題が端に追いやられ、会談後に記者から質問が出ることもなかった。惨憺たる状況である。肝心な時に旗を降ろすのが、リベラルの定番だ。

そして首脳会談直後の6月9日、ノーベル平和賞受賞者・劉暁波氏の義弟に懲役11年の“判決”が下された。もちろん嫌疑もデッチ上げで、中共指導部の政治方針で生み出された冤罪事件だ。
▼散歩を続けるオバマと習近平6月8日(AP)
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これまで米国は中共とのトップ会談で数多くの人権活動家らを釈放に導いてきた。それが今回は逆転現象が起きたのだ。オバマの受賞も地に堕ちた。史上最低の米支首脳会談である。

サリン兵器を巡る自分の一言でシリア処理を複雑化させるなど、オバマは安全保障のセンスに著しく欠け、次々と浮上する国内問題にも手際良く対処できない。近年稀な弱々しい米大統領だ。
▼報道カメラを意識した立ち話も…6月8日(AP)
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一方の習近平も米国デビューで派手にコケただけではない。昨秋の総書記就任から、疲れ果てた老リーダーの印象だ。党内の権力闘争を勝ち抜いた時点で、大仕事を終えて枯れ果てた感じである。

オバマの1期初めに騒がれた米支G2論が、まるで嘘のようだ。どこにもグレートな2つの大国など存在せず、ダメな2人のリーダーが傷を舐め合っているかのよう。D2論なら納得できる。

冷笑している場合ではない。我が国にとって、米支同時に弱い指導者が出現したことは危険極まりない。優柔不断な米国の方針を尻目に、中共軍による尖閣周辺海域での侵略行動は加速する。
▼デッキ上の海自隊員と米海兵隊員(同FB)
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在日米軍が信用の置ける同盟パートナーであっても、ホワイトハウスや米国務省は信頼できない。我が国は、尖閣危機の緊迫した局面で米側が裏切ることを想定し、覚悟しておくべきだ。

中共海軍は、まず南シナ海で不穏なアクションを仕掛ける。曖昧なオバマの態度から侵攻のチャンスであることを読み取ったはずだ。

そして南シナ海で発生した現象は、少しだけ形を変え、必ず東シナ海でも起きる。



最後まで読んで頂き有り難うございます
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参照:
1st Marine Expeditionary Brigade:Facebook『Dawn Blitz 2013: Japanese Forces arrival』写真集

参考記事:
■JBpress6月12日古森義久さん『「サイバー攻撃」問題提起も成果なし、米国内で「米中首脳会談は大失敗」との声』
■産経新聞6月11日『米中首脳会談、主役の座失った「人権」』
■ZAKZAK6月10日『米中、尖閣で決裂 習近平主席“厚顔主張”「測量上陸の可能性も」』
■ZAKZAK6月11日『日米「離島奪還訓練」強行! 中国の中止要請を正面突破 3自衛隊「尖閣」念頭』
■ロイター6月11日『米データ収集告発者の香港逃亡、中国に「頭痛の種」』
■産経新聞6月10日『劉暁波氏の義弟に懲役11年 中国、政治圧力か』
■イザ2月12日『日米合同軍事訓練「鉄拳」、尖閣防衛念頭に オスプレイも参加』

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