民主恒例の歳末W問責…“退陣地雷”踏んだ防衛相

あの素人宣言でも逃げ切れない即死級の失言。責任逃れの防衛相は地雷を踏んだ。今年も歳末のダブル問責が急浮上。突然の危機到来に野田政権はいきなり正念場を迎えた。
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「食の充足というのは国家安定の基本であると考えてきました。(略)同じように防衛政策というのも国の要です。その意味では食と防衛、この二つには国の安全、安定の柱となるという共通点がある」

国防よりも食糧事情を優先して語るのが我が国の現防衛相だ。続いて一川保夫は、自衛官が実力を発揮するには「きちんとした食事を取ること」と力説する。飯炊き三等兵か、この男は…
▼百里基地の航空観閲式10月16日(ロイター)
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これが国防専門誌『MAMOR』肝いりの防衛相インタビューだから始末が悪い。読者は眩暈を覚えたことだろう。一川は、各自衛隊の部隊を視察した際の感想をこう語っている。

「その中でも印象的だったのは、潜水艦です。実際に中に入らせてもらったんですが、本当に狭いんですね」
▼インタビューに答える一川(MAMOR)

狭いんだそうだ。横須賀基地・第2潜水隊群所属の2700t型潜水艦「なるしお」に乗艦した時の印象らしい。防衛省の最高責任者とは思えない小学生並みのコメント。読者は殺意すら覚えたことだろう。

「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロールだ」

就任会見前の一川発言は、ジョークでも謙遜でも周辺国を欺く高度な戦術でもなかった。しかも素人ですらない。ただの防衛白痴だ。大臣の存在こそが、我が国の安全保障上最大の懸念材料である。
▼官邸入りする一川保夫9月2日(AP通信)
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そして12月1日の参院復興特別委では、防衛白痴どころか一般的な知識さえ持ち合わせていない事実まで露呈。完全にアウトだ。

【まさかの白痴答弁で窮地】

「あの暴行事件は沖縄の方の大きな心の傷となり、普天間移設・日米地位協定見直しの発端にもなっている。大臣、そもそも基本中の基本である95年の米軍による少女暴行事件、ご存知ですか?」
▼質問する佐藤正久議員12月1日(FNN)
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沖縄防衛局長更迭に絡み、佐藤正久議員が発した何気ない質問だ。ところが一川保夫の答弁は斜め上だった。テストに例えれば、Qの文章を略して回答欄に書き写しただけ。0点だ。

「まあ95年に米軍から少女が暴行を受けた事案だと思っています」
▼答弁する一川12月1日(FNN)
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答弁になっていない。さすがの佐藤議員も一瞬凍り付き、座ったまま「中身ですよ」と発言。対して一川保夫は軽く笑いながら、こう答えた。

「中身と言われても、正確な中身を詳細には私は知ってはおりませんけれど」
▼一川の大臣失格・不適切答弁(FNN)
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一川保夫の進退を決定付ける運命の瞬間だった。佐藤議員にしてみれば、軽くバントで揺さぶる感覚だったかも知れないが、結果的には大臣をマウンドから引き摺り降ろすホームランになった。一撃である。
■問題シーンは7分56秒から

更に一川は、翌2日午前の会見でも致命的な失言を繰り返す。少女暴行事件を「乱交事件」と言い放ったのだ。えらい違いだ。「乱交」だと、被害者の少女が自主的に“参加”したことになる。

1日の参院質疑は各メディアが一斉に報じたが、2日の乱交発言はタブロイド紙が伝えただけだった。それによると一川は誤りに気付かず、防衛省広報が、訂正を申し入れたという。
▼記者に答える一川12月2日(ANN)
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ちなみに、防衛省HP上の発言概要は、問題箇所を「乱暴事件」と表記している。微妙な一字違い…記者が聞き間違えた可能性があるかのような姑息な訂正だ。

参照:防衛省HP12月2日『大臣会見概要』

そして一川の無知発言は、単なる失言ではなく、局長の更迭人事に直結する大問題である。

【“連想批判”が大臣に延焼】

「評価書の提出時期について、一川氏の発言が明確でないことについて質問が出たとき、『これから犯す前に犯しますよと言いますか』と発言した」

最初に報じた琉球新報は、問題の田中聡・沖縄防衛局長発言について、そう表現した。NHKも報道ではNGワードの性的な意味の「犯す」を連呼。報道各社とも同じ表現だった。
▼不適切発言を伝えるNHK11月29日
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「少なくとも『犯す』という言葉を使った記憶はない」

11月29日、東京に呼び戻された田中局長は政府の聴取に対し、そう弁明した。ただし「『やる』前に『やる』」などと発言した事実を認めたという。

発言があったのはオフレコの居酒屋懇談で、正確な記録は残っていない。聴取内容が正しければ琉球新報やNHKの発言断定は強引だが、更に問題は、そこから少女暴行事件に飛躍する。
▼更迭された田中前沖縄防衛局長(AFP)
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「1995年の少女暴行事件を連想させる信じられない発言だ」

こうした声が沖縄県議会から上がると同時にメディアも少女暴行事件と関連付けて報道。この“連想”に留意して田中局長は、女性と沖縄県民に陳謝した。

「本人は発言した内容と報道の表現がイコールではないと言っているが、弁解の余地はない」
▼更迭を発表する一川11月29日(共同)
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29日夜の更迭発表で一川は、部下を一刀両断した。連想に基づく非難の高まりとは言え、不適切発言の核心部分は米兵の少女暴行事件にあった。

その事件に関して一川が一般的な知識も関心もないのであれば、更迭した理由そのものが曖昧になる。反省も何もない。ただ波紋の広がりを恐れ、慌ててトカゲの尻尾を切ったに過ぎない。

【野田の訪沖計画が吹き飛んだ】

12月2日夜、沖縄入りした一川保夫は、動員された市民から県庁舎前で激しい罵声を浴びた。昨年のルーピー訪問時を思い起こさせる光景だ。自業自得である。
▼沖縄県庁舎前の抗議12月2日(FNN)
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これで年内の野田訪沖もなくなった。今月中に予定している普天間の環境影響評価書提出の前後に沖縄入りする算段で、玄葉ら複数の閣僚を派遣して地ならしをして来た。

評価書は普天間移設に向けた沖縄県側への“最後通牒”となる。提出後に仲井真知事が異議を申し立ててもアセス手続きは来年春頃までに自動完了。その年内提出を野田は既に日米会談で表明済みだ。
▼仲井真知事と対面した一川12月2日(時事)
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野田佳彦は年明け早々の米国公式訪問を検討していることから、評価書の年内提出が不可能になれば、日米会談も吹き飛ぶ。残された時間は僅か…リミットは刻々と迫る。

正面突破するには、一川の首を切り落とすくらいしか善後策がない。しかし、2日の衆院外交委でも野田は一川更迭を明確に否定、こう訴えた。

「脇を引き締めて、一層緊張感を持って職務に当たってほしい」
▼外交委で答弁する野田12月2日(時事)
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一方、民主党内からは自発的な辞任を求める声も上がり始めた。一川本人は2日夜の那覇での会見でも辞任の意思がないことを示したが、急展開で前言撤回の可能性もある。月曜朝までがヤマ場だ。

「民主党とカネ」の問題をめぐって衆院では週明け5日、参院では6日に集中審議を開催。野党側はそこで一川問題も追及する構えだ。炎上確実の集中砲火を前に一川が遁走するケースも有り得る。
▼閣議に向かう一川12月2日(時事)
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自公は2日、一川の問責決議案を会期末予定の9日に提出する方針を固めた。社民党や代々木も反対しない考えを表明。提出されれば、可決する。

集中審議でボロボロになった末、問責可決が最良のパターンだが、その際同時に、もう1人の暗黒閣僚を叩き斬る必要がある。狙いはダブル問責だ。

【歳末の風物詩=ダブル問責迫る】

「普通、虚偽記載的なことを修正しているケースはよくある」

9月に小沢金庫番3人衆が有罪判決を受けた時、一川保夫は閣僚として堂々と擁護した。一川は、新生党結成から小沢被告に寄り添っている腰巾着議員の1人だ。
▼米パネッタ国防長官と10月25日(ロイター)
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野田政権での防衛相抜擢には、輿石東の強い働きかけがあったとされる。そして反日ガイコツが送り込んだもう1人の閣僚がマルチ改名男だった。まったく被告陣営には悪徳議員と無能議員ばかり…

山岡こと元金子賢次の問責決議も欠かせない。集中審議で改めて追及する必要もなく、これまでの質疑で充分に問責に値する。一川が台頭するまで“問責レース”では独走状態だったのだ。
▼ネズミ講式の勧誘に勤しむ山岡H20年
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ただし、マルチに関しては社民党が同調せず、参院の全野党が賛成に回るか不透明。自公サイドも提出に向け最終調整の段階だ。それでも、ダブル問責を行うことにインパクトがある。

昨11月末の仙谷・馬淵問責に続くものだ。年の瀬の問責決議は民主党政権の風物詩と化して来た。菅直人は決議を無視したが、果たして野田はどう対処するのか…
▼大臣更迭は否定する野田11月30日(読売)
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菅の場合は、年明けの小幅改造で問責2閣僚を差し替えた。野田も同じトリックを使いたい所だが、それだと審議はストップ。会期延長もなくなり、亀井発狂のシナリオが待っている。

国民新党の連立離脱で、自動的に大臣が1人閣外に去る。最善の選択肢はないに等しい。急転直下の嬉しい非常事態。今週末の官邸内はプチ・パニックだ。


  〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発となります

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参照:
参照:防衛省HP『防衛大臣インタビュー(MAMOR 2012年1月号)』

参考記事:
■産経新聞12月1日『またまた一川防衛相… 沖縄少女暴行事件「詳細には知らない」』
■ZAKZAK12月2日『防衛相モ~辞任して!“少女暴行事件”を“乱交事件”と発言』
■時事通信12月2日『自公、攻勢本格化=問責で政権揺さぶり』
■時事通信12月2日『一川防衛相の問題となった言動』
■ブルームバーグ12月2日『野田首相:一川防衛相は一層緊張感を持って職務遂行を-国会答弁』
■毎日新聞12月2日『一川防衛相:自公が問責決議案提出へ 与党内にも辞任論』
■琉球新報11月29日『「犯す前に言うか」田中防衛局長 辺野古評価書提出めぐり』
■ニフティニュース11月28日(週刊文春12月1日号)『一川防衛相の宮中晩餐会欠席 思惑外れた輿石幹事長の落胆』

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