侵犯船「起訴相当」の逆流…仙谷惨敗までの一里塚

計画的犯行を認めた供述までも那覇地検は隠し、偽っていた…そして一色氏への不当捜査も“認定”された。侵犯船事件「起訴相当」の議決に当時、圧力を掛けた仙谷由人は震え上がる。
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「撃つ勇気なんて絶対ない」

尖閣侵犯船のシナ人船長・詹其雄が、そう乗組員に説明し、逃走を指示していたことが判明した。海保の巡視船は威嚇射撃すらしないと踏んでいたのだ。そして体当たり攻撃に関しても、こう供述していた。

「この巡視船から逃げることができるなら、私の船を巡視船にぶつけても関係ないし、それでも構わない」
▼攻撃後に挑発ポーズする詹其雄9月7日
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計画的で悪質な犯行だ。実際に侵犯船は2度に渡って海保巡視船にラム攻撃を仕掛けた。また詹其雄が乗組員に向かって豪語していたことも明らかになった。

「深沪の漁船が日本に捕まったことはない。撃ってこない」
▼護送される詹其雄容疑者9月8日(AP通信)
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拿捕されないと確信したうえでの舐めきった対応である。4月18日、那覇検察審査会は侵犯船事件について「起訴相当」と議決し公表した。議決は計画性を指摘している点で重い意味を持つ。

「警備を軽視し、追跡されても逃走できると考えていたことが窺える」

この認識は、容疑者を釈放し、異例の“長期捜査”の末に起訴猶予とした那覇地検の裁定と真っ向から対立する。昨年9月24日、那覇地検は釈放理由について、こう発言していた。

「とっさに取った行為で、計画性は認められない」
▼会見する那覇地検次席検事9月24日(時事通信)
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事件は偶発的だったと判定したのだ。だが、計画性を示す詹其雄の供述は釈放以前の捜査段階で得られていた。首相官邸も検察上層部も、こうした供述を知りながら、国民に事実を隠し続けた。

当時、那覇地検に政治圧力が掛かったことは明白。今回の検審による公表で仙谷由人らの反国家的犯罪が暴かれたのである。これが最大のポイントだ。

【損害規模1,400万円…常識的な議決】

今回の那覇検審の議決は、1月にジャーナリストの山際澄夫さんや日本政策研究センターの伊藤哲夫代表ら5人が審査を申し立てていたものだった。その結果「起訴相当」の議決が示されたことは大きい。



処分発表前の刑事告発、そして処分決定直後の申し立てがなければ、詹其雄の供述内容は闇に埋もれたままだった。検審に議決書は「民意の表明」を掲げているが、それは次のような指摘にも表われている。

「検察官が釈放したのに『帰国したので起訴しない』という裁定は納得できない」

これは那覇地検が1月21日に発表した不起訴理由への反論だ。子供の言い訳でも通用しない理由だったが、既存メディアは特に問題視せず、軽く流していた。そこに議決書はツッコミを入れたのだ。
▼那覇検審が入る裁判所4月19日(FNN)
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「軽微な損傷とは到底いえない」

議決では、巡視船2隻が受けた被害にも言及している。那覇地検は船体の損傷を調べたうえで「軽微」と断言した。しかし、被害額は当初の予想を遥かに上回る規模だった。
▼巡視船みずきの修理作業10月8日(琉球新報)
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11管本部が2月10日、詹其雄に対して求めた損害額は計1,429万円。連続体当たりでパトカー6台以上を廃車にしたケースと同じだ。実際に見分した石垣市の中山市長も検審と同様の見解を示している。

「現場で船の損傷具合を見た限りにおいて、検察審査会の判断は妥当なものではないかなと考えています」
▼コメントする石垣市・中山市長4月19日(FNN)
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さらに議決は、海上保安官の身の安全にも言及。事実関係の詳細は不明だが事件当時、巡視船に乗り組んでいた海上保安官の証言を元に、こう指摘する。

「人命を危険にさらす行為であったことは否定できない」

仙谷由人は被害者側の証言も封殺したのだ。そして官邸ぐるみで強行した不当な大規模捜査に対しても検審の議決は異議を唱えた。

【一色さんの冤罪も認める英断議決】

「事案の発生を防止し、領海での警備の実情を国民に知らしめるためにも、公開を希望する」

那覇検審のメンバーは、地検の捜査手法を批判する一方で同時に、侵犯船ビデオをめぐる問題にも斬り込んでいる。映像を封印したのは那覇地検ではなく、菅政権だった。
▼投稿映像公開時のYouTubeキャプ画像
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この検審の主張は、侵犯船ビデオを一般公開した一色正春元主任航海士にかけられた“容疑”を拭い去るものだ。検察と警察組織を投入した仙谷由人の私怨捜査が間違いだったと断じたも同然である。

「大阪地検特捜部の証拠捏造事件にも匹敵する」

昨年11月5日、会見で仙谷由人はそう叫び、投稿者の刑事責任を強調。国家機密漏洩の重大事件として“犯人狩り”を推し進めた。それがアッサリ否定されたのだ。
▼私怨捜査を命じた仙谷11月11日(NHK)
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「領海警備の実情を国民に知らしめる為」という検審の見解は、一色さんがYouTubeへの投稿を決意した理由と似通っている。職を投げ打った勇気ある告発に新たなお墨付きを与える格好となった。

「この事件を不起訴としたのは自ら主権を放棄するに等しい」

那覇検審に申し立てた有志5人は、我が国の安全保障問題を提起したが、期せずしてか、一色さんの名誉回復にも大きく役立った。そして投稿に伴う海保関係者の大量処分にも疑義を呈するものだ。
▼FCCJ講演の一色正春さん2月14日(産経)
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一方で「映像の公開を求める」と訴えた言葉は少し謎めいている。投稿ビデオの映像はソックリそのまま公開済みだ。検審メンバーは、未公開の部分も視聴したのだろうか…

事件発生から8ヵ月以上も封印状態にある後半パート「侵犯船制圧・拘束編」だ。

【ボールは菅政権に打ち返された】

「あれから検挙活動があるんです。海保職員が3人乗った所で1人突き落とされたという確実と思える情報がある。一生懸命泳いでいるのをモリで突いた…」

佐々淳行氏は昨年11月にテレビ番組で、そう発言した。石原都知事も同様の事態を示唆していたが、この件に関して一色さんも2月に上梓した手記で触れている。
▼『何かのために sengoku38の告白』
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「逮捕の際のビデオが公開されていないので、これも推測の域を出ないが、私が考えるには海上保安官が殉職したというのは誇張された噂であるにしても、実際に海上保安官が海に落ちたとか、負傷したとかいう話には信憑性があり、おそらく事実であると思う」 一色正春著『何かのために sengoku38の告白』38頁

大人しく拘束されたとする政府答弁こそ信用できない。後半パートに抵抗シーンがあれば菅政権は一撃で崩壊する。また異常事態がなくとも、官邸サイドが残りの映像を隠し続けていることは大問題だ。
▼海保が公開した制圧シーンの画像
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侵犯船ビデオ抹殺事件の主犯格2人が政府を去ったことで、野党側も通常国会冒頭では問い質さなかった。しかし、仙谷も馬淵も震災のドサクサで官邸に復帰した今、改めて公開を求める必要がある。

「検察にボールが返った段階なので、私の方から今申し上げられることはない」

起訴相当の議決を受け、松本外相は4月19日の記者会見でそう語った。検察当局の対応を見守るといった素振りなのだが、ボールが返ったのは那覇地検ではなく、菅政権なのだ。
▼ノーコメントに近かった松本外相4月19日(産経)
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決して他人事では済まされない。映像抹殺事件は、密約に基づく官邸と中共の反日コラボレーションによる結果で、我が国の安全保障に直結する。

【強制捜査移行で仙谷由人の大罪も確定】

「船長に対する日本側のいかなる司法手続きも非合法で無効だ」

中共外交部のスポークスマンは4月19日の会見で反応を示したが、お座なりのテンプレ読み上げレベル。中共の宣伝機関も詳しく報じることはなかった。無理もない。
▼定例会見の中共外交部副報道局長4月19日(JNN)
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治安機関による逮捕を検察が捜査・判断し、その裁定を今度は検審メンバーに選ばれた市民が裁く…中世並みの遅れた独裁国家には到底理解できない二重三重のチェック・システムだ。

更に、そうした司法システムが日本に存在する事実を一般シナ人に伝えることも不可能。扇動すれば自ら墓穴を掘ることになる。素晴しいジレンマ。これも痛快である。
▼あの官製騒乱は封印された…昨10月(ロイター)
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小沢一郎被告のケースと同様、再び「起訴相当」の議決が出ればオートマティックに詹其雄容疑者は強制起訴される。暴力船長が出廷し、公判が開かれる公算は低いが、それも織り込み済みだ。

詹其雄容疑者に対しては年利5%の遅延損害金を上乗せした巨額の損害賠償請求でネチネチと攻めれば良い。刑事被告人の不在で今後も責任が問われ続けるのは、釈放劇の黒幕である仙谷由人に他ならない。
▼記者に噛み付く仙谷由人11月8日(FNN)
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今回の「起訴相当」議決を受け、那覇地検は再捜査を行う。しかし帰国した詹其雄容疑者から新たな供述を得ることは出来ず、改めて不起訴となる見通しが濃い。そして年内にも2度目の検審議決が出る。

捜査の進展がない以上、2度目の議決も「起訴相当」が確実。もう取り返しがつかない。仙谷由人は政治圧力で犯罪者を逃した政府高官として我が国の憲政史に汚点を残し、“永遠の国賊”として刻まれる。
▼菅会見を聞く復帰後の仙谷由人4月12日(産経)
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強制捜査の確定は仙谷由人にとって地獄の釜の蓋が開く時だ。


  〆
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【追記4月22日】

那覇検察審査会に告発された山際澄夫さんから本件の「議決要旨」の内容を教えて頂きました。報道では供述内容が薄められ、巡視船の海上保安官が恐怖を感じていたことも判りました。一部を書き起こします。本件漁船とは凶悪侵犯船「閩普漁5179」です。
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3 検察審査会の判断

(1)本件漁船が、併走していた「みずき」に向けて急転舵し、本件漁船の左舷部を「みずき」の右舷中央部等に接触させた事案において、検察官は、「みずき」に発生した損傷は、右舷外板の曲損等であり、航行に支障が生じるものではなく、本件後も「みずき」は本件漁船の追跡を継続したことを起訴猶予の理由の一つとする。しかし、本件は、鋼鉄製の本件漁船が、軽合金でできた「みずき」の右舷中央部に衝突した事案であり、記録添付の写真によると、本件漁船の船首部及び左舷部の損傷は軽微と言えるが、「みずぎ」にはかなりの損傷があり、本件漁船が「みずき」に与えた衝撃は相当なものであったと思われ、修理に要した費用も多額であったと思われることから軽微な損傷とは言えない。

(2)検察官は、「みずき」乗組員が負傷するなどの被害は発生しなかったことを理由とするが、「みずき」乗組員の証言によれば「自分たちも乗組員も本件漁船に激突して死んでしまう。」、「このまままともに船首が乗組員に当たったら、死んでしまう。」等と恐怖やあせりを述べている。そのため、被疑者による本件漁船の危険な操舵は、巡視船の損傷はおろか、人命を危険にさらす行為であったことを否定できない。このことから、乗組員の負傷がなかったからと言って、被疑者の起訴を猶予とすることは相当ではない。

(3)次に、検察官は、被疑者の行動は「みずき」の追跡を免れるため咄嗟にとったものであり、計画性は認められないと裁定した。しかし、次の理由により、その裁定には納得できない。

ア 被疑者は、尖閣海域の本邦領海内で操業していたことを認識していたと供述している。

イ 被疑者は、本件漁船の乗組員が逃走を制止しようとした際、乗組員に対し、「深沪の漁船が日本に捕まったことはない。撃ってこない。」、「巡視船に撃つ勇気なんて絶対ない。」と述べ、逃走を継続している。

ウ 被疑者は、取調べにおいて「この巡視船から逃げることができるのであれば、私の船を巡視船にぶつけても関係ないし、それでも構わないと思っていました。」と述べている。

(後略)
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筆者注:

引き続き、議決要旨では、詹其雄が「今後、二度と魚釣島付近で漁をしない」という旨を誓約しているものの、何度も違法操業をしてきたことが窺えることから、誓約は真摯な態度から出たものと思われない、と結論付けています。

また、検察側はこの事件後に尖閣海域附近でのシナ漁船操業が激減していることを挙げていますが、議決では季節的な要因で今後も激減するとは限らないと、的確な指摘をしています。

各社の報道では巡視船乗組員の証言内容が記されていませんでしたが、証言は「死んでしまう」など実に生々しいものでした。また、侵犯船が鋼鉄製で巡視船が軽合金製であった事実は、極めて重要でしょう。

(3)のイに登場する「深沪」とは詹其雄の地元である出福建省晋江市の漁村のことです。

参考記事:
■産経新聞4月18日『釈放の中国人船長「起訴相当」尖閣衝突事件』
■時事通信4月19日『中国人船長は起訴相当=ビデオ映像「公開希望」-尖閣諸島漁船衝突・那覇検察審査会』
■FNN4月19日『尖閣沖漁船衝突事件 沖縄・那覇検察審査会、中国人船長について「起訴相当」議決』
■読売新聞4月19日『尖閣沖衝突の中国人船長「起訴相当」』
■産経社説4月20日『船長「起訴相当」 再捜査で国家意思を示せ』

■時事通信4月19日『起訴相当「検察が適切判断」=松本外相』
■毎日新聞4月19日『漁船衝突事件:検察審査会の判断に中国反論 領土主張で』
■時事通信2月10日『中国人船長に賠償請求=尖閣沖衝突で1400万円-海保』

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