反日デモ上等!本気でやれ…幻の918反尖閣世界大会

中共側が強硬姿勢を続ける中で演じられた反日デモは取るに足らない規模だった。胡錦濤政権が矛先の変化に怯え、反尖閣グループは迷走。懸念された米国での「尖閣領有宣言」は不発に終わった。
画像

「日本側が釈放しなければ、我々は、必要な強制的措置を取らざるを得ない」

国連総会の為に米国入りした温家宝は21日、侵犯船の暴力船長の即時・無条件釈放を要求した。シナ侵犯船事件で温家宝がコメントしたのは、これが初めてで、「強制的措置」という表現も異例だ。

会見や記者団に答えたものではなく、NYに集まった在留シナ人代表らと会った際に出た発言だった。強い口調になるのは当然で、リップサービスの意味合いも濃い。
▼在米シナ人を前に話す温家宝9月21日(AP通信)
画像

しかし外務省幹部は、国内世論向けではなく「党の決定に基づく発言」と受け止め、警戒感を強めているという。そして仙谷由人も、この温家宝発言に怯み、弱腰の姿勢を見せ始めた。

「大局的、戦略的な話を含めて、できれば早急にハイレベルの話し合いが行われた方が良い」
▼温家宝発言を受け答える仙谷由人9月22日(NNN)
画像

外交上のハイレベルとは、外相・首相クラスを指す。中共側は既に閣僚級の交流停止を表明しているが、仙谷の発言は、我が国が妥協して外相会談を求めるケースを示唆するものだ。

菅政権は「国内法による粛々とした対応」を繰り返し表明。しかし、歴代政権と同様、最終的に中共の恫喝に屈する恐れが高い。ハイレベルの土下座外交である。
▼NYで対話に意欲示す前原外相9月21日(FNN)
画像

「船長とその家族を深く傷つけ、国内外の中国人すべての怒りを巻き起こしている」

NYで温家宝は、そのように力説したが、下手なアジテーションだ。9月18日にひっそりと行われた反日デモ。上海の場合、抗議に参加したのは全市民の「0.00001%」に過ぎなかった。

絶望的な少なさだ。

【四川省では10人が反日を叫んだ…】

「愛国感情が盛り上がる時期でもあり、何が起こるか分からない」

ネット上で大規模な反日デモが呼び掛けられた9月18日を前に、時事通信は、そんな「日中関係筋」の発言を伝えた。この場合の「筋」とは北京の大使館関係者を示す。

大規模かつ広範囲な反日デモは2005年以来起きていない。同様にシナの邦人社会でも緊張が広がっていたという。ところが、9月18日に各地で繰り広げられた官製デモは、別の意味で衝撃的だった。
▼報道陣に囲まれる北京の抗議者9月18日(ロイター)
画像

愕然とするレベルの「ショボさ」である。北京の日本大使館近くで行われたデモ行進は最大200人規模。大使館の正門前に集まったのはたった50人前後で、報道陣よりも少なかった。

深圳の繁華街で行われたデモ行進の参加者は約100人。四川省・成都では10人余りだったと報告されている。こんな数では近所の不良が集まったレベルだ。
▼瀋陽の反日博物館前に立つ男9月18日(ロイター)
画像

9月18日は柳条湖事件の79周年という中途半端な記念日にあたり、ネット上で“一斉蜂起”が叫ばれていた。しかし事件現場に近い奉天(現・瀋陽)でもデモ参加者は約30人に過ぎなかった。

最も意外だったのが上海だ。日本総領事館近くに結集した抗議者は、最大で200人。読売新聞は30人前後だったとも報じている。いずれにしても、デモ参加者より報道陣が圧倒的に目立っていた。
▼報道陣に囲まれる上海の抗議者9月18日(AFP)
画像

2005年4月の反日デモでは、1万人を超す不逞シナ人が上海の日本総領事館を包囲した。騒乱状態は数時間も続き、騒ぎに加わったシナ人は10万人に達したとも報じられた。

その一部が暴徒化し、通りがかった日本人を襲撃した他、近くの日本料理店など25店舗を破壊。総領事館も窓ガラス13枚が投石で割れ、外壁もペンキで汚されるといった深刻な被害を受けた。
▼各地の反日デモ参加者まとめ(読売新聞)
画像

当時の狂乱ぶりに比べると、今回の反日デモなど「なかった」に等しい。

【反日デモ上等だ!本気でやれ】

9月18日の反日デモが官製デモであったことは明らかだ。北京の日本大使館前から出発したデモ隊列は、公安に指示の従って周辺の通りを整然と進んだという。
▼中高年が多い大使館前の抗議9月18日(ロイター)
画像

大使館の正門前で声を上げた抗議者は、事前に当局から許可を得ていたと見られている。年齢も30代以上に限られ、完全な仕込みだ。混じっている屈強な男達は、治安機関のメンバーである疑いが濃い。

規制線の中で繰り広げられた短時間の抗議。手作りの日章旗を燃やすなどの行為は公安に制止されたという。ただし、踏み付けることは当局も認めていた。
▼日の丸を踏む不逞シナ人9月18日(共同通信)
画像

これだけでも決して許されない侮辱行為だが、更に問題なのは男が着ているTシャツのメーセージだ。ジャーナリストの大高未貴氏が詳しくチェックした所、シャツには、こう書かれていた。

「沖縄を返せ」

参照:YouTube【魔都見聞録】9月20日『対中国包囲網結成を急げ!』

連中は、単に尖閣諸島の領有を訴えていただけではなく、沖縄列島も中共の版図だと主張しているのだ。抗議の異常性が浮き彫りになるメッセージだが、それは中共の本音でもある。
▼「沖縄は領土」と主張するプラカードも(AP通信)
画像

この大使館前の抗議は完全な当局の管理下にあったものだが、続くデモ行進では一般の通行人が飛び入り参加するケースも確認された。不測の事態が発生したのは、その時だった。

「深圳市の腐敗問題を追及しよう」

そう書かれた紙を掲げたデモ参加者が出現。地方から陳情に来た人物と推測されるが、近くにいた私服の公安が直ぐに取り押えたという。中共当局は官製デモに便乗した体制批判を何よりも恐れている。
▼上海総領事館前に集結した公安(ロイター)
画像

5年前の“反日の嵐”も、一部が当局批判を始めた途端、鎮静化・全面中止にシフトした。反日デモ、上等だ。100人程度の官製デモで、我が国の世論や国際社会が影響を受けることはない。

やるのなら参加自由・不特定多数の数万人規模でやれ。必ず矛先は、汚職など中共の体制批判に向かう。自由国家の真似事で、首を絞められるのは独裁政党だ。

【反尖閣の急先鋒は現地で絶叫】

中途半端な柳条湖事件79周年にあわせ、9月18日の大規模な抗議が懸念されていたのは、シナの各都市だけではなかった。注目は「尖閣領有宣言」を出すとしていた米国での反日シナ人集会だった。

9月7日のシナ侵犯船事件は、この集会の活性化を狙い、逮捕を想定したものと考えられた。しかし、これまでの所、米国内での開催は確認されていない。中止・延期になったのか…。

来年6月17日の尖閣上陸を目的に結成するとした「全球保釣大連盟」。その行動計画を公言していたのが台湾国内の反日団体「中華保釣協会」の幹部・黄錫麟(こう・しゃくりん)だった。
▼馬英九から掛け軸寄贈された黄錫麟08年(産経)
画像

18日に米国で集会が開かれるなら、この人物が真っ先に渡米するはずだ。しかし、黄錫麟は、9月13日午後に台湾国北部・野柳港から尖閣海域に向けて出航した抗議船に乗り込んでいた。

抗議船は14日朝に我が国のEEZ内に侵入。魚釣島まで約40㌔の海域に入り込んだが、海保の巡視船に追い払われ、同日の夜には出航した港に戻っている。あっさり引き返した印象だ。
▼帰還した黄錫麟:左端9月15日夜(共同通信)
画像

それは18日までに渡米する必要があった為とも思えるが、一方、米国での大規模イベントを前に、イカ釣り漁船で大海原に漕ぎ出すのも妙だ。スケジュールとしては慌ただしく、不安定要因が多過ぎる。

18日には香港でも反日デモが発生。それを主催したのが「香港保釣行動委員会」だった。このグループの幹部・陳妙徳は、8月末発行の週刊誌で、来年6月に尖閣近海で大規模抗議を行うと宣言していた。
▼旭日旗焼く保釣行動委メンバー9月18日(AP通信)
画像

明らかに「全球保釣大連盟」の中核なのだが、当日、幹部を始め、メンバーは香港で吠えていた…米国と香港では半日程のタイムラグがあるものの、18日中の米入国は不可能だ。

更に「香港保釣行動委員会」のボロ漁船が9月22日、離島から尖閣海域に向け出港。出航禁止通達に基づき、海事局が直ぐに停船させたが、幹部らがそれまで香港で準備を進めていたことが判明した。
▼出航した保釣行動委の漁船9月22日(AP通信)
画像

こうした状況から9月18日に米国で反尖閣集会は開かれなかったことは確定的である。だが、キャンセルなのか、延期なのか、それとも元から開催予定などなかったのか、詳しく判らない。

そこで鍵を握るのは、集会の黒幕である中共の動向だ。

【反尖閣御用団体をデモから排除】

9月18日にシナ各地で申し訳程度に行われた官製デモ。そこにはシナの反日エセ民間組織「保釣連合会」は参加していなかった模様だ。時事通信の取材に同組織のスポークスマンは16日、こう答えていた。

「18日に北京市内で抗議デモは行わない」

シナ侵犯船による巡視船攻撃事件が起きた翌日、北京の日本大使館前で30人規模のプチ抗議が行われた。これに参加したのが「保釣連合会」の構成員だった。
▼9月8日抗議の保釣連合会メンバー(AP通信)
画像

9月8日と18日の抗議者の写真を見比べた結果、同じ顔は確認できなかった。2回目の抗議に「保釣連合会」が参加しなかったことは確かだ。反日ミステリー現象である。

「保釣連合会」は2005年の反日デモに組織動員され、今回もHP上でデモ参加を呼び掛けていた。ところが18日の抗議直前になって当局はサイトをブロック。現在もアクセス困難な状態が続く。

http://www.cfdd.org.cn

中共の工作宣伝機関として尖閣侵略のフロント役だった「保釣連合会」が“排除”されたのだ。それが反日暴走の鎮静化に向けた一時規制にせよ、中共が強硬姿勢を強める中の方向転換である。
▼大使館前の保釣連合会メンバー9月8日(ロイター)
画像

9月18日の米国の反日シナ人集会も、慌てた中共サイドがブレーキをかけた可能性があるが、元から開催そのものに確証がなく、推量に推量を加えるのは愚かしい。

ただし、「保釣連合会」が9月10日に北京で海軍の尖閣派遣を求めるデモを計画したものの、当局に却下されたことも判っている。党よりも軍部の意向を反映した工作機関のようだ。
▼数人が小旗を振り回す上海の抗議9月18日(AFP)
画像

胡錦濤は国内の反日行動の先鋭化を恐れているが、一方で、弱腰姿勢を見せれば軍部に突き上げられることも承知している。一歩間違えば、自身の政治基盤が揺らぎかねず、舵取りは難しい。

中共政権が強い口調で吠えまくる時、その背後には必ず弱味がある。侵犯船事件に端を発した尖閣問題の長期化で綱渡りを強いられるのは、胡錦濤-温家宝政権だ。



  〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発となります

banner1

画像

*****************

【Side Story】

撃論ムック最新刊『アメリカとは何か』が9月22日、発売されました。同時多発テロから9周年のタイミングにあわせた特集で、巻頭座談会では、9・11以降の米国について5人の論客が鋭く語っています。近年、様変わりした米国の立ち位置だけではなく、民主党政権の対米外交など日本国内の問題にも及んでいます。
画像

「総特集2」以降では、GHQの占領政策を含め、戦後から戦前に遡った日米関係にスポットをあて、興味深い考察がなされています。

西村幸祐さんの新著『メディア症候群』も同じ22日、店頭に並びました。知らない間に日本人が患っている「反日という病い」に対する有効な治療薬・処方箋です。

アマゾンでは今月26日まで、スペシャル対談映像のプレゼント・キャンペーンを実施しています。出版元「総和社」の専用ページに応募フォームがあります。ご参照下さい。
↓(クリックでリンクします)
画像

エントリ参考記事:
■時事通信9月22日『中国の強硬姿勢を警戒=険悪化回避へ対話模索-政府』
■時事通信9月22日『日本に「強制的措置」取る=尖閣問題で中国首相』
■読売新聞9月18日『反日デモは民衆のガス抜き、中国当局が一部容認』
■産経新聞9月18日『反日デモ スローガン、行進コース…警察が管理して“ガス抜き”』
■時事通信9月16日『「反日」機運、邦人社会に緊張=各地でデモ呼び掛け-中国』

■読売新聞9月13日『船員解放「中国外交の勝利」…ネットは大騒ぎ』
■時事通信9月18日『来年6月に尖閣近海で抗議活動=香港の団体、1000人動員を計画』

"反日デモ上等!本気でやれ…幻の918反尖閣世界大会" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント