逆光の北京ジェノサイド五輪…地球を2周した抗議

掛け声と裏腹に隙だらけの警備…北京に連日、雪山獅子旗が翻った。世界各地では、開幕にあわせ抗議が集中。お歴々が並んだ開会式の外側で「祈りの光」は束になった。
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「背景は不明だが、外国人を狙った可能性も排除できず、くれぐれも注意してほしい」

北京の日本大使館は8月9日、在留邦人に向けて緊急の呼び掛けを行った。治安の良さを強調していた中共当局にとっては、予想もしていなかった事態。しかも開幕早々の惨事だ。
▼事件発生直後の北京・鼓楼(AP通信)
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故宮の北側にある北京の観光名所「鼓楼」で、米国人観光客が男に刃物で襲われ、男性1人が死亡、女性2人が重傷を負った。9日の正午過ぎ、白昼の出来事だった。

公安当局によると、容疑者は浙江省杭州市出身の47歳の男で、刃物で次々に襲った後、2階から飛び降りて自殺したという。動機はまったく不明だが、殺害対象が外国人であることを認識していたのは確実だ。
▼鼓楼2階部分の殺傷事件現場(AP通信)
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気が触れた男による通り魔的な犯行だったのか…香港の中国人権民主化運動情報センターは、犯人の男は失業中で、度々北京に陳情に来ていたと明かしている。

この情報に対し、浙江省公安当局は「直訴者ではない」と直後に否定。逆に怪しい。北京市内では直訴者の一斉拘束も続いていた。犯行には、社会的不満が背景にあった可能性もある。

そして、容疑者が犯行直後に投身自殺し、“口なし”状態になっていることも不審を招く要素だ。男は「鼓楼」2階の柵を乗り越えて、飛び降りた。しかし、柵の下には1階の屋根が張り出している。
▼事件後封鎖された鼓楼(AP通信)
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一定の高さはあるが、果たして即死状態だったのか? 病院搬送後に死亡を確認したとは、伝えられていない。警備陣がその場で迅速に“処理”した恐れもある。

当局は附近の住民に箝口令を敷いて情報を封じているが、刃物を持った男が厳戒警備の市内中心部を徘徊していたことは明らかだ。10万人を超す公安の精鋭は、どこに配置されているのか…

【天安門ダイ・イン抗議の奇妙な空白】

ジェノサイド五輪開幕2日前の痛快なクライミング抗議に続いて、またしてもSFT(スチューデンツ・フォー・ア・フリーチベット)のメンバーが、北京で突撃した。
▼抗議を実行したメンバー3人(SFT)
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開会式が始まる1時間程前。今度も、鳥の巣の近くだった。米国籍の男性ら3人が、鳥の巣に続く道路に飛び出し、雪山獅子旗を翻した。しかも「Team Tibet 08」と記されたTシャツも着ている。

SFTの報告によれば、抗議時間は約40秒。直ぐに公安が駆け付け、地面に引き倒されるなどして拘束された。通常のスピードだが、警備陣は雪山獅子旗を隠し持った3人組の異常接近を許したようだ。
▼上着を脱いで突入の準備(SFT)
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数時間の拘留の後、この3人も、クライミング抗議の4人と同様、強制退去処分で出国。無事に北京を脱出できた。そして、SFTの北京突入抗議はこれで終わりではなかった。

8月9日、午後0時半頃。鼓楼殺人事件が起きた直後だった。天安門広場で男女4人が雪山獅子旗を広げて横たわった。いわゆる「ダイ・イン」である。
▼天安門広場に横たわる男女4人(SFT)
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SFTとFTC(フリー・チベット・キャンペーン)の合同作戦で、抗議者は米国・カナダ国籍の5人。毛沢東の肖像をバックに抗議するのが狙いだったようだ。

不思議なのは、抗議にゆとりがあったことだ。ダイ・インの4人の前で、1人の男性がチベットの自由を訴えて演説を行う。暫くして私服の公安らしき人物が駆け付けるが、4人は放置したまま。周囲にはシナ人もいるが、ただ眺めているだけだ。
▼無線機持った男が演説を制止(SFT)
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やがて他の警備スタッフが現れて雪山獅子旗を剥ぎ取るまで、抗議パフォーマンスは約10分間に及んだという。天安門広場こそ、最重要の警戒ポイントであるはずだが、何か拍子抜けする印象だ。

シナ人は雪山獅子旗の意味が分からなかったのかも知れない。拘束後に、やっと問題性を理解したのか、周囲の見物人が急に怒り始め、持っていたペットボトルを投げつけている。
▼抗議者に物を投げつけるシナ人(SFT)
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高画質動画『Tibet activists take to Tiananmen Square』

こうしたゲリラ的な抗議は海外には伝わるものの、徹底した情報統制で国内には影響を及ぼさない。当局が神経を払っているのは、内外に中継される競技場内でのアクション。その第1号が早くも2日目に現れた。

【スタジアム内抗議の先陣を切る】

北京ジェノサイド五輪は、青島や上海など北京以外の都市でも競技が行われる。中共が目指したのは「シナ五輪」だ。中でも巧妙なのは、競技開催地をプレゼントして香港も巻き込んだことである。

8月9日から香港でも五輪公式種目の馬術競技が始まった。その前日には、英国人男性が青馬大橋に「自由」を訴える横断幕を掲げて、橋が一時通行止めになる騒ぎが起きるなど波乱を予感させるスタートだった。
▼青馬大橋に掲げられた横断幕9日(ロイター)
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そして競技が始まった9日には、馬術競技会場で雪山獅子旗を広げようとした香港が女性取り押えられた。香港のシナ棒回しで一躍有名になった女子大生クリスティーナ・チャンさんだ。
▼小さな雪山獅子旗を握るチャンさん(AP通信)
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自分が厳しい監視対象になっていることを知っていたチャンさんは、友人が持ち込んだ雪山獅子旗を場内で受け取り、広げようとしたが、周囲に詰めていた警備員に羽交い締めにされた。
▼取り押えられたチャンさん(AFP)
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報道カメラの餌食なる派手なパフォーマンスで、CNNやAFPなど多くの海外メディアも報道した。チャンさんの抗議は結局“未遂”に終わったが、その日の夜に記念すべき第1号が登場した。

場所は同じ馬術競技会場。外国人の男女2人が雪山獅子旗をスタンドで広げる“事件”が起きた。AP通信がたった1枚の写真を配信しただけで、事実関係の詳細は不明だ。2人が何者なのか伝える報道もない。
▼雪山獅子旗掲げた男女8月9日(AP通信)
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香港も北京五輪組織委の管理下で「参加国以外の国の旗など掲げる行為」を禁止している。チャンさん同様、直ぐに強制排除されたと推測できる。香港は穴場だったが、果たして北京で成功することがあるのか。

開催期間中、警備当局とチャレンジャーの攻防が水面下で繰り広げられることになるだろう。オリンピックの裏の注目バトルだ。

【チベット支援者をシナ人が襲撃】

虐殺五輪開幕にあわせた抗議行動は、8月7日から8日にかけて地球規模で行われた。

最も激しかったのはデリーの抗議デモで、僧侶を含む4,000人以上が集結。一部がバリケードを破って中共大使館に突入をはかり、警官隊と激突した。
▼デリーで抗議するチベット難民(Phayul.com)
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また連日の猛抗議が続く、ネパールの首都カトマンズでは8日、チベット難民の大規模な集会に警官隊が突入。過去最大となる1,400人が一斉拘束された模様だ。
▼包囲されたチベット人抗議者(Phayul.com)
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抗議活動は欧米各国の主要都市で軒並み開かれ、パリの中共大使館に向けたデモには、RSF(国境なき記者団)のメナール事務局長も姿を見せた。反五輪運動のレギュラーである。
▼パリ市内を行進するメナール氏(AFP)
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NYの中共領事館前では、抗議者がスプレーでスローガンを書き込もうとしたことから警官隊と衝突、10人が拘束された。

一方でSFTのメンバーは、投影機で領事館の壁にフィルムを映し出す新たな抗議手法を披露。天安門事件の際の戦車走行フィルムが上映されるなど刺激的な内容だ。
▼NY中共領事館の壁に投影(SFT)
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スイスではローザンヌの「五輪ミュージアム」前で抗議活動が展開されたが、巨大な虐殺紅旗を持ったシナ人の集団が乱入。報道陣カメラの前でチベット支援者を蹴り突ける暴行シーンもキャッチされている。
▼乱入・暴行するシナ人8月8日(ロイター)
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相変わらず、現地の中共大使館が留学生を操っているようだが、職員が自ら手を下したケースも発覚した。

【処刑パフォーマンスで女性墜落】

8月6日にサンフランシスコの中共領事館で起きた女性転落事故の詳細が判明した。落下したのは、米国在住のチベット人女性ニェンダック・ワンデンさん、22歳。

ワンデンさんは中共領事館に突入後、建物側壁にロープを垂らし、絞首刑を模した抗議パフォーマンスを行った。それに対し、駆け付けた領事館職員がロープを切断。ワンデンさんは墜落して手首を負傷した。
▼処刑を模して抗議するワンデンさん(SFT)
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高さは5メートル程だったが、近くにいた支援者の制止を無視し、領事館職員はロープを断ち切った模様だ。落下地点にマットなどは用意されていなかった。
▼領事館屋上で監視するシナ人(sfcitzen.com)
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領事館敷地内に侵入した時点で違法性があるものの、支援者側は、傷害事件として強く抗議している。中共公館への突撃抗議は、欧米で鎮静化していたが、開幕式に前後して再び勢いを増した。

チベット支援グループの活動が目立つが、トルコの首都アンカラでは東トルキスタン解放を求めた反五輪抗議が開かれ、ウイグル人男性が焼身自殺を図る騒ぎも起きた。
▼火を放った直後の現場(ロイター)
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8月8日、中共大使館前で抗議デモが繰り広げられる中、35歳のウイグル男性がガソリンをかぶって自ら火を放った。直ぐに火は消し止められ、幸い命には別状なかった。
▼焼身自殺を図ったウイグル男性(AP通信)
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3月から断続的に続く抗議活動で、だいぶ感覚が鈍ってきたが、五輪開催をめぐって各国で波状的な猛抗議が行われる異常事態である。これ程の非難を浴びる五輪は今後、そうないだろう。

【中共植民地3国そろい踏みの日本】

我が国でも開幕に前後して開会式に照準を絞った抗議活動が各地で開かれた。

開幕2日目にあたる8月9日には、チベット人主催の初めてのデモ行進が行われた。同じコースを辿った3月22日のデモと比べ、参加者は半減したが、それでも500人前後が集まった。
▼六本木通りのデモ行進(撮影筆者)
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デモ前の集会で演説した牧野聖修前議員は、当初、参加の予定がなかったが、前夜の開会式を目の当たりにして、急きょ駆け付けたという。

「ワン・ワールド、ワン・ドリームなどと言う資格のない国が、世界でただ1国だけある。それが中国だ」
▼集会で語る小原カルデンさん
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六本木のデモで特徴的だったのは、鮮やかなライトブルーの東トルキスタン国旗が多かったことだ。パリの大規模集会にも青天牙月旗が翻っていたが、南モンゴル国旗も登場し、中共侵略国3国が揃ったのは我が国のみだろう。

開会式当夜に代々木公園で開かれた「北京虐殺五輪反対集会」には、植民地3国に加え、台独派や旧南ベトナムの活動家も壇上に立った。彼らを招いた500人規模の政治集会が都心で開かれることなど、中共もシンパ連中も1年前に想像していなかった筈だ。
▼8月8日夜の代々公ステージ(撮影筆者)
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参照: 大紀元8月9日『8・8都内でも北京五輪反対集会』
そして日本時間の8月8日午後9時8分、開会式スタートの時間。「Candle 4 Tibet」の日本指定時刻…多くの有志が各家庭で参加されたことと思うが、筆者も新宿・常圓寺の境内にキャンドルを添えた。
▼新宿・常圓寺境内 8月8日午後9時過ぎ
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イスラエル男性が提案した「Candle 4 Tibet」に、世界中で何万人が参加したか、集計結果は出ていない。YouTube上に続々と関連動画がアップされている他、呼び掛け人のHPでは各地の模様をスライド映像で紹介。また、閉幕にあわせて再度「光のプロテスト」を行うという。
▼「Candle 4 Tibet」スライド集より
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参照:「Candle 4 Tibet」スライド映像

チベット学の権威ロバート・サーマン教授の姿も確認できる。既存のメディアとは無関係のネット発のムーブメント。ひとつひとつは、ささやかな灯りだったかも知れない…

しかし、その光は、虐殺五輪の問題を照らし出した。

開会式に各国首脳を並べて屠殺鬼は皇帝気取りだった。1936年ベルリン五輪のヒトラーに比するものだが、今回は、開催と同時に否定する声が上がった。

例え、歓声に包まれた北京のスタジアムが生中継で繰り返し映し出されても、その背後の暗部を直視しようとする人々が、世界には大勢居るのだ。
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  〆
最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります

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参考記事:
■FTC8月9日『Free Tibet Campaign and Students for a Free Tibet protest in Tiananmen Square as Olympics begin』
■Free Tibet 2008 8月8日『Team Tibet Flag Protest』
■AFPBB8月9日『チベット支持の人権活動家、天安門広場で拘束される』
■CNN8月9日『チベットの旗掲げようとした女子大生を排除、馬術競技会場』
■大紀元8月9日『北京五輪開幕、世界各地で抗議活動』
■AFPBB8月10日『北京で刺殺された米観光客の妻、依然危険な容体』

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