北朝鮮500億利権の甘い蜜…金丸訪朝の密室合意

日韓正常化に伴って発生した闇利権。それを観察していた北朝鮮が再現に向けて動き出す。1兆円の額が示された金丸訪朝。その時から政権与党内で熾烈な“指名獲得レース”が始まった。
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終戦で我が国の伝統的な愛国団体は、壊滅した。頭山満翁の玄洋社などに繋がる主だった組織は、米軍によって“ファシストの根城”と見なされ、容赦なく弾圧されていった。

明治から続く国粋主義の系譜は、完全に絶たれたのである。

そして占領期間中、その空白地帯を埋めるように、朝鮮人の政治団体が暴力組織と渾然一体となって次々と出現する。それが今もハッキリと痕跡を残す我が国の“右翼団体”の源だ。

戦前と戦後では背景がまったく異なるのである。ひとつにして論じることは到底できない。

その“戦後右翼のドン”として君臨したのが、児玉誉士夫。正真正銘の帝王であり、揺るぎない巨大スポンサーであった。
▼ロッキード事件当時の児玉誉士夫
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数多くの伝説が残っているが、児玉は湯水のごとく、各団体に現金をバラまいた。知名度の低い弱小団体であっても、右翼を名乗っていれば、多額のカネを提供したという。

口を出さずにカネをくれる男=児玉誉士夫に、足を向けて寝られない連中ばかり…歪んだ形の児玉支配が、固定化したが、ロッキード事件発覚による失権、さらに昭和59年の死で幕を閉じる。
▼児玉邸セスナ突撃事件(昭和51年)
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巨大スポンサーの死没。“右翼団体”に激震が走った。児玉なき後のその筋に、代わって影響力を持つようになったのが、朝鮮カルト系の「勝共連合」。サバイバルを図る団体との間で連携が模索された。

表面的には、権力の空白に乗じて「勝共連合」が勢力を伸ばしたように見える。しかし、資金的なバッググラウンドは、同じだったのではないか?

【日本を舞台にした南北の諜報合戦】

朝鮮カルトのもう一人の親玉・文鮮明率いる「国際勝共連合」は、1968年、日韓でほぼ同時に設立された。反共産主義を旗印にした政治団体である。

日韓国交正常化から3年…我が国に公然と姿を現したのは、半島系反共団体だったのだ。外国勢力が簡単に政治組織を旗揚げする異常事態。他の国ならレアケースだが、我が国では戦後、朝鮮系政治組織が乱立。その悪しき系譜に連なるものである。
▼朝鮮カルトの首魁・文鮮明(Wikiより)
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この「勝共連合」創設・日本進出の牽引役となったのも児玉誉士夫。誕生時から深く関わり、不可分の関係にある。一方の黒幕・笹川良一も背後で蠢いたが、韓国とのパイプが太かったのは児玉だ。

時は70年安保前夜、左派学生運動の高まりで日本国内は騒然としたムード。反共組織をカウンターとして使う向きもあり、岸信介ら保守大物政治家も巻き込んで、急速に浸透…歪みは尚も是正されない。

取って付けたような「国体護持」に加え、ストレートな反共思想。北方領土の返還は絶叫するが、竹島略奪は不問。中でも「勝共連合」が激しく主張していたのが「スパイ防止法制定」だった。
▼街宣活動する勝共連合
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暗黒イメージを庶民に植え付ける朝鮮由来の似非右翼。その派手な街宣活動と別に、水面下では南北の息詰まる情報戦が繰り広げられていた。国家に具体的なダメージを与えるのは、もっと裏の世界に潜む本格的な諜者だ。

東西冷戦下という時代背景や映画などの影響もあって、どうも「スパイ」というワードは、KGBやGRUの諜報員を連想させる。だが、連中が想定していた「スパイ」とは、すばり、北朝鮮工作員である。

金大中事件が象徴するように韓国側諜報部員も他国で好き放題に暴れていたが、その一方で、北工作員も幅広く我が国に浸透。在日テロリスト=文世光事件をはじめ、対南工作の最前線となっていた。
▼その場で逮捕された文世光(朝鮮日報)
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北朝鮮が送り込んだ工作員は、日本に築いた情報網を使い、韓国の政情を探っていた。その網目には、日韓政界の癒着ぶりも当然、引っ掛かって来ただろう。恐らく、的確に把握していたのだ…

【窮地の北朝鮮が思い起こした錬金術】

昭和40年の日韓基本条約締結、即ち、日本と南の国交正常化の行方を、北朝鮮は注意深く見守っていた。そして、韓国が国家予算を超える規模の“賠償マネー”を獲得したことに衝撃を受けたはずだ。

それだけではなく、日韓の政界中枢や周辺部に巨額マネーの還流システムが築かれ、互いに肥えて行く姿も確認していたのではないか…
▼日韓基本条約の調印式(YouTubeより)
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投資費用はゼロ。国交正常化で双方に“裏ガネ長者”が誕生する。これほど旨味のある話が、直ぐ近くに転がっていたのだ。ただし、冷戦構造の中では夢物語に過ぎなかった。

そして、日韓正常化から20年以上…

経済力を蓄えた韓国が新興国として脚光を浴びる一方で、北朝鮮は激動期を迎える。国家存亡の危機到来。ソウル五輪が開かれた80年代末のことである。

五輪開催で先進都市の体裁を整えたソウル。激しい敵愾心を剥き出しにした平壌は、巨大スポーツ施設や超高層ホテルの建設に驀進する。 在日バブルマネーも流れ込んでいたが、国家予算も無秩序に注ぎ込んだ。
▼建設が止まったままの平壌・柳京ホテル
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北朝鮮国内の事情をよそに、世界は大きな変革期に入り始めていた。予想外だったゴルバチョフの登場。ペレストロイカもグラスノスチも、北朝鮮には関係ない。致命的だったのは衛星国援助の見直しだ。

ベトナムと違って北朝鮮は、中ソ対立が激しくなる中でも、巧みにバランスをとって両大国と関係を保持。特に80年代半ばからはソ連との軍事提携が緊密化していたのだが、その矢先の激変だった。

北京の援助だけでは限界があり、破綻は明らか…

そこで浮上した起死回生の黒い秘策が、日本との国交正常化。狙いは、自民党の中枢だ。

【走狗・社会党が切り捨てられた瞬間】

1990年9月、平壌。

社会党副委員長・田辺誠は、金丸信らと共に、金日成スタジアムに招かれた。5万人によるマスゲーム。その光景に 金丸は酔いしれたが、田辺は違った。

観客席に浮かん巨大な文字を目撃して怒り、そして蒼醒めたのだ。そこには、こう記されていた。

「金丸信先生と田辺誠先生の引率する日本使節を熱烈に歓迎する!」
▼金日成スタジアムでのマスゲーム(訪朝2日目)
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金丸の名前が先頭にあったのだ。この売国議員団は社会党にとって、「田辺・金丸訪朝団」に他ならなかった。ところが平壌に来てみると、いつの間にか、並びが入れ替わっていたのである。

メンツが激しく潰されただけならば、まだ良かった。田辺が蒼醒めたのは、自分が単なる案内人・仲介人に過ぎない事実を理解した為だ。北朝鮮側が待っていたのは金丸信。社会党は切り捨てられたのだ。

朝鮮労働党は、長年“使い走り”にしてきた日本社会党から、自民党に乗り換えた。その大転換は、訪朝4日目の9月27日に、もっとショッキングな形で明らかになる。

別荘のある妙香山(ミョヒャンサン)での3党会談を終え、訪朝団一行は、特別列車で平壌に向かった。しかし、その列車に金丸信の姿はなかった。 金日成とサシの会談を行う為に、金丸は妙香山に残ったのだ。
▼日航機で平壌に出発する金丸・田辺ら
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この訪朝の実現にあたり、田辺誠は北朝鮮の指令を受け、金丸信の懐柔に奮闘した。2人は国対委員長時代からの盟友同士。時には国会で与野党激突の猿芝居のプロットを練るなど、裏取引をしてきた臭い仲だった。

その関係に着目した平壌が、田辺をコントロールして金丸を誘き寄せたのだが、それが成功するや社会党は、お払い箱同然になってしまったのである。

なぜ、北朝鮮は、密室の「金・金会談」が必要だったのか?

それは生臭いカネの話をする為である。

【謀議で金丸が提示した額は1兆円】

北朝鮮にとって社会党は、便利な代弁者だった。命令に背かない“優等生”で、朝鮮総連とも人的交流が密だ。北の日本工作活動、在日犯罪の後ろ盾でもある。

しかし、政府からカネを引き出す実力はない。巨額のカネを運んで来てくれるのは、政権与党・自民党。もちろん念頭にあったのは、日韓正常化に伴う“賠償マネー”だ。

金丸信と金日成の妙香山謀議。核心は北朝鮮の受け取り金額だった。まず金日成は、金丸に正常化に力を貸してくれるよう願い出た。金丸が、明言を避けると、こう急き立てたという。

「いや、すぐにも正常化交渉をしたい。国交正常化が必要だ」(重村智計著『外交敗北』96頁)
▼極秘会談を行った金丸信と金日成
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国交正常化と資金獲得はイコールである。会談の焦点は、具体的な金額に移った。金丸は、こう回答する。

「ご存知だろうが、韓国には、有償・無償合わせて5億ドルの経済協力資金を出した。これを基準にして、大蔵省は50億ドルというだろう」(前掲書97頁)

そして北朝鮮側が100億ドルを求めれば、妥協点は75億ドル。そこに“政治加算”で80億ドルと見積もられたという。この80億ドルが、当時のレートで日本円1兆円。この額が、やがて独り歩きを始める。

しかも、この謀議では更に暴走して“戦後補償”なるプラスαも登場。翌日発表した、悪名高い「3党共同宣言」にも盛り込まれる。煽てられた金丸が、金日成の言いなりで了承したと解説されるが、違う。
▼3党代表者会議の金丸・金日成・田辺(訪朝3日目)
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金丸は、1兆円以上の見積もりを提示して上機嫌だったのだ。一方的にカネを払うだけで、笑顔満面になることはない。還流する裏金まで話が及んでいたと見るのが、自然だ。

妙香山謀議の核心は、そこにあった。

【金丸信の金庫番にも朝鮮カルトの影】

日朝国交正常化に続く巨額マネーの還流。 いったい金丸信は、どの程度の額を手にする自信があったのか…そして、自宅から見つかった金塊の束は、前金代わりだったのか、政界工作資金だったのか?

興味深いのは、児玉誉士夫と関係のあった朝鮮カルト=統一教会の親玉・文鮮明も、ほぼ同時期に動き出したことだ。金丸訪朝の約1年後、文鮮明は電撃的に北朝鮮入りし、金日成と会談する。
▼訪朝した文鮮明と金日成(91年11月)
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この文鮮明は金丸信とも繋がっている人物だ。92年3月の特例入国で金丸信が法務省に圧力をかけたことは良く知られているが、金丸の金庫番だった秘書も、統一教会の関係者だった。

93年に、金丸と一緒に所得税法違反容疑で逮捕された生原正久だ。生原は青山学院大在学中、統一教会の学生組織「原理研」で指導的な立場だったことが確認されている。

果たして、金丸信・文鮮明の連続訪朝は、偶然の産物だったのか?

国家破綻に怯える金日成が巨額の援助金を渇望していたのは、確かだ。しかし、それを具体化させるには、別種の力学が働いていたようにも思える。
▼金日成と握手する金丸・田辺
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短時間の金・金会談で“数値目標”の明示に辿り着いたのも奇妙だ。予備折衝があった可能性も高い。金丸の失権・物故…そして外交原則を無視した3党共同宣言が強く批判される中でも、1兆円という額は引き継がれる。

北朝鮮にとって「日朝国交正常化」とは、手付け金1兆円の獲得。そして日本の一部政治家にとっても、巨額マネー入手のチャンスなのだ。

【裏金500億円に引き寄せられる虫】

日韓正常化で動いた民間借款3億ドル含む総計8億ドル。その何割が、日本の政治家に還流したのか、示唆する資料はない。裏金処理である。韓国サイドにも残っていないだろう。

一方で、北朝鮮にプレゼントする1兆円のキックバックは、5%とも10%とも言われる。もちろん裏交渉の証拠は存在しないが、真しやかに囁かれているのだ。

10%は大袈裟に見えるが、5%であっても500億円だ。しかも国税が追及できない裏金である。ガラス張りの会計処理が迫られる政治家にとって、帳簿に載らないカネは、想像以上に魅力的だ。

この500億円とも見積もられる巨額の裏金が、北朝鮮利権の核心である。
▼北朝鮮利権政治家=山崎拓(FNN)
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一部の識者は、レアメタルなどの採掘が北朝鮮利権であると説く。古賀誠が川砂利利権の獲得に乗り出したこともあった。確かに、そうした開発利権も付随的に発生するが、キックバックで得られる裏金とは比べ物にならない。

北朝鮮は、金日成時代から、正常化に伴う「餌」をブラさげている。一貫しているのは「正常化交渉の功労者」に、その闇利権を差し出すということだ。

果たして誰が「功労者」と認められるのか…金丸訪朝以降、「指名レース」が延々と続いているのである。

そのレースで、優位な位置に付けているのが、加藤紘一、山崎拓だ。米朝接近で圧力路線が弱まったと見るや、平壌に向け、なり振り構わぬ親北発言を繰り返している。
▼BS11の番組で親北演説する加藤紘一
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未だに社民党には確信的な親北議員が多いが、機に乗じた援護発言は目立たない。発言しているのは、自民党の実力者だ。その理由も、北利権の還流システムを理解すれば、納得できるだろう。

強い批判の声を受けようとも、加藤や山崎は今後も公然と親北発言を繰り返す。連中にとっては正念場だ。「指名レース」から自ら撤退するような真似はしない。

裏金は余りにも巨額で、黒い政治生命を賭けるに値する魔力を持っている。

日朝国交正常化とは、裏金獲得の方便。それは、両国の国民には何ら利益をもたらさず、日本人の血税をアンダーグラウンドに流し込む裏取引なのだ。


  〆
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【Side Story】

前エントリで書き足らなかった児玉と勝共連合の関係も捕捉的に記しました。本旨とは別問題なのですが、なぜかその影が金丸信の秘書という形で、時代を越えて登場。奇妙な因縁に思えたのです。

一方で、日韓正常化での児玉誉士夫の暗躍は、日朝正常化におけるフィクサーの存在を示唆しています。政治家は、こうした裏取引の安全弁として、フィクサーを使います。

加藤や山崎の背後で蠢いている人物は誰なのか…

参考文献:
重村智計著『外交敗北』(平成18年・講談社)
野村旗守編『北朝鮮利権の真相』(平成15年・宝島社)

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