チベット遊牧民の救国演説…中共の信仰封じ加速

大群衆の前で法王帰還を求め拘束覚悟の演説。チベット遊牧民の町で大規模な衝突が起きた。中共は遂に「転生」の管理も宣言。チベット人包囲網をさらに広げている。
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チベット東部カム地方の町リタンで大規模な軍民の衝突が発生した。これまでにもチベット人が暮らすエリアでは侵略勢力との対立・混乱が度々伝えられているが、今回の衝突は規模が大きかった。

衝突の舞台となったリタンは、チベット系遊牧民の中心的な町だ。現在は四川省甘孜チベット族自治州に組み込まれ、漢民族による植民統治が続いている。
▽高度4000m地帯に広がるリタン
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香港紙『明報』などの報道によれば、8月1日、チベット人の祭で遊牧民の男性が、独立を訴える演説を行なったという。直後に公安に拘束され、男性は警察署内に押し込まれた。

これにチベット人住民が猛反発し、地元公安と大規模な衝突が発生。30人を拘束すると共に、公安側は発砲も行なった模様だ。

更に1日夜には拘束した男性の釈放を求めるチベット人住民200人余りが警察署を取り囲むなど再び騒乱状態が発生。公安車両1台が放火される事態になったとも伝えられている。

あるチベット住民によれば、退去を求める公安員は、敷地内にいる200人のチベット人に対し、発砲も辞さない構えだったという。

いち早く事件を報じたRFA(=ラジオ自由アジア)は8月2日付けカトマンズ発の記事で、警察署前に集まった住民は5,000規模だったとしている。また現地には軍隊も含め約2,000人のシナ人が集結したという。

その後の状況は伝わって来ないが、極めて憂慮すべき事態だ。

【マイクを手にした拘束覚悟の演説】

チベット族男性の拘束事件が起きたのは、リタンの町で毎年行なわれている競馬祭の開幕式だった。
▽リタンの競馬祭(資料画像)
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数千人の観衆が集う中、チベット人遊牧民のアダク(Runggye Adak)さん53歳が式典中の舞台に登り、こう訴えたという。

「もし私たちがダライ・ラマ法王を迎える事ができなければ、チベットに信仰の自由と幸福はない」
▽英訳された発言要旨(RFAサイトより)
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一部の報道では、アダクさんが隙をついて登壇し、絶叫したようにつたえているが、8月6日付けの大紀元の最新情報ではやや趣きが異なる。

アダクさんはリタン・ゴンパ(理塘寺)の高僧にカタ(白い布)を捧げる儀式を行った後、マイクを手に取って演説したという。内容が多岐に渡っていることから、一定の時間、聴衆に向けて語ったようだ。

ただし、無事に済む訳はなく、数人の公安に拘束され、演説は中断を余儀なくされた。

発言があった競馬祭は地域をあげての大規模なイベントで、昨年はシナ各地からの観光客など5万人が詰め掛けたという。地元公安幹部のお歴々も開幕式を見守っていたに違いない。そうした連中にとっては面子を潰された格好だ。
*YouTube 中文カラオケ・ビデオに見る
『Horse Racing Festival of Lithang』


普通の民主国家であれば発言内容が法に抵触することもなく「とんだハプニング」で済まされるケースだ。しかし、法王の影響力を恐れる中共当局にとっては決して見逃せない“反国家的な発言”である。

残念だが、53歳のアダクさんは政治犯として重罪に処せられる可能性が高い…それが来年にもオリンピックを開こうとする中共の実像だ。

一方、なぜ遊牧民の男性が“重罪”覚悟で行動に走ったのか?

シナ人による侵略が半世紀も続く甘孜チベット族自治州では、最近、不穏な動きが相次いでいた。

【神聖な山の乱開発で住民が決起】

先月中旬、香港の「中国人権民主化運動センター」が、奇妙な情報を発信した。

甘孜チベット族自治州稲城県で7月13日、2つの村が冬虫夏草の採取をめぐって縄張り争いになり、武力衝突したというのだ。村民500人が抗争に参加し、6人死亡100人以上が負傷…

共同通信によれば、村民は銃や手投げ弾を装備し、鎮圧には武装警察が出動したと伝えている。大紀元は銃器は自動小銃だったとしている。

しかし、シナ植民地域の少数民族が手投げ弾まで隠し持っていることは考えられない。もしチベット人が密かに武装していたとすれば、中共当局にとっては大問題だ。事件はデマの類いか、別の要素があるように思われる。
▽甘孜チベット族自治州(リタン=理塘)
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チベット人が95%を占めるこの稲城県では、春にも大規模な騒乱が起こっていた。同じく香港の人権民主化運動センターが伝えたもので、5月10日に大規模な衝突事件があったという。

地元のチベット人が神聖視する山に開発業者が入り込み、樹木の伐採を開始。それに怒った住民数百人が業者と衝突し、負傷者が出る事態になった模様だ。

業者が踏み躙った「聖なる山」は、コンガ三神山の主峰シェンレリ(6032m)で、亜丁自然保護区の中にある。
▽シェンレリ
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中共当局は自然保護を理由に地元チベット族に生活の為の伐採を禁じる一方で、ホテルやロープウェーの建設を進め、業者には伐採許可を出していた。その矛盾や破滅的な観光開発に地元住民が憤慨するのは当然だ。

さらに6月には、同自治州の別の県でも「聖なる山」への侵犯が発覚、地元チベット人の猛反発を招いている。シナ人が踏み込んだのはツァラ(zhara)雪山=雅拉雪山で、鉱物資源の開発が目的だった。

この不当な鉱山開発に対して地元の長老8人が、四川省中共政府に中止を求める嘆願書を提出。しかし、その後8人が消息を絶ったことから、6月27日にはチベット人400人が地元政府と衝突。チベット人側に犠牲者が出る事態となっていた。

衝突が起きた地域はそれぞれ離れているものの、同じ自治州内で地元政府・公安組織との衝突が続発していたのは確かだ。隣接地域で緊張が高まる中、8月1日、リタンでの大規模な衝突が発生したことになる。

【共産党が「転生」の管理を宣言】

「聖なる山」をめぐる住民の反発は、乱開発に絡んだものだが、リタンで起こった衝突は、宗教的な要素が濃い。それだけに中共当局にとっては厄介で、ことさら神経質になるケースだ。

チベット亡命政府も事態を重く見て、拘束された男性の解放を求めると同時に、こう警告を発している。

「中国当局がチベット人の要求を満たしていれば、このような事件にはならない。このような集団事件では、危険性、予期せぬ出来事は何時でも発生する可能性がある」

拘束されたアダクさんは、壇上の演説でダライ・ラマ14世法王猊下の帰還を求める一方、中共が家族ごと拉致したパンチェン・ラマ11世の解放を呼びかけている。さらに、もうひとり地元の活仏を釈放するよう訴えたという。
▽拉致されたパンチェン・ラマ11世
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リタン地域、または甘孜チベット族自治州で、活仏が中共当局に身柄拘束されたという情報は、一般には知られていないものだった。現地で住民の強い不満が広がっているとすれば、恐らくその辺りに理由がありそうだ。

奇しくもリタンで事件が発生した直後の8月3日、中共政府は当局の許可なしに活仏の転生を認めないとする気が狂った条例を発表した。今年9月1日以降は全ての転生を共産党がコントロールするという。

転生の問題は活仏に限らず、高僧の生まれ変わりと認められたリンポチェにまで及ぶ。それらはチベット密教には欠かせない要素で、承認権を共産党に奪われれば、チベットの信仰社会は次第に活力を失い、最終的には完全に破壊される。
▽訪独した活仏カルマパ17世(AFP)
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中共が打ち出した転生管理は、バチカンの叙階を否定して当局が勝手に司教を任命する動きと通じる。中共は国内のカトリック教会でも自らに都合の良い司教を次々に誕生させているが、それと似た手法でチベット密教も衰弱死させる魂胆だ。

【ポタラ宮を汚す侵略のシンボル】

中共によるチベット文化の破壊は、国際社会の監視を嘲笑うかのように進行している。とりわけ首都ラサの異変は、昨年7月の侵略鉄道開通を契機に加速していると伝えられる。

7月末、中共外交部のプレスツアーで外国人特派員がラサなどに入域した。その際に、AP通信が配信したポタラ宮の写真は実にショッキングだった。
▽ラサ・ポタラ宮(AP)
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宮殿正面を覆うようにして五星紅旗が翻っている。これまでにも国慶節など国家的な祝祭日には、赤い旗が掲げられていたが、写真が撮影された日付は7月28日で、特別な日ではなかった。この忌々しい光景が常態になっているのか…

鉄道開通から1年未満で、ラサの人口比率は大きく変化し、漢民族がチベット人を完全に上回っている。人口約35万人のうち、チベット人は15万人、対して漢民族は20万人にのぼっている。
▽鉄道で押し寄せる観光客(AP)
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漢民族の10万人は殆どが鉄道開通後に流入した四川省出身者で、多くがサービス業の従事者。観光開発に伴うシナ人の計画的な占領だ。

宗教都市の印象が強かったラサだが、中心部ではビル開発が進み、KTVなどシナ人向け風俗店のネオンが増殖中という。すでに後戻りできないレベルまでシナ人汚染が進行している。以前から強く懸念されていた通り、鉄道の開通は古都の“シナ化”を生み出してしまった…

【モンスターによる文化破壊を許すのか?】

しかし、ラサなど主要な都市はまだ外国人の目が行き届くが、リタンのような遊牧民が集う周縁部の町の変化が報じられることは極めて稀だ。情報封鎖の闇の中で処理されているに等しい。
▽放牧が行なわれるリタンの高原地帯
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チベットが誇るのは高度な精神文化だ。それらは形ある文化財とは異なり、一旦壊されれば、修復には膨大な時間と労力が必要となる。現在の状況がそのまま進行した場合、チベット文化が形骸化するまで半世紀もかからないだろう。

チベット人の間には何か諦めに似た感覚が定着しているようにも見受けられる。亡命政府の樹立以来、実に50年近くも国際社会は具体的な行動をとらなかった。それが今になって掌を返すとは思ってもいないのだ。
▽ラサの僧院(AP)
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中共という暴力装置が自壊するのが先か、それともチベットの壊死が先か…

だが、果たして国際社会は両者の命運を他人事のように見守るだけで良いのか?
▽ポタラ宮前を巡回するシナ人警官(AP)
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20世紀同様に中共の横暴を見逃し続けることは許されない。軍の近代化を進める中共は、より凶悪なモンスターに変貌を遂げた。今や積極的に外部から圧力を加え、倒しにかかる必要がある。

もはや内部崩壊を期待し、自壊の時を待っている余裕などはない。



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参考記事:
読売新聞8月4日『中国四川省でチベット族住民1000人と警官隊が衝突』
東京新聞(共同)8月4日『独立叫んだ男性拘束で衝突 中国のチベット族自治州』
大紀元8月6日『中国四川省:ダライ・ラマ14世の帰国を呼びかけたチベット人、強制連行』

radio free asia 8月2日『Tibetans, Chinese Police in Sichuan Festival Standoff』
International Campaign for Tibet 8月2日『Security crackdown feared following public appeal by Tibetan for return of Dalai Lama』

AFPBB8月4日『中国政府、チベット高僧の転生に事前申請を要求』
日経新聞8月6日『ラサで漢民族が急増、チベット民族上回る』
大紀元6月19日中国四川省:聖なる山乱開発、チベット人と工事業者流血衝突
大紀元7月19日『中国四川省:チベット人、利権争い衝突、死者6人負傷者百人』

8月7日午後追加:参考記事
産経新聞8月7日『中国が「活仏転生」許可制に チベット族激怒』BY福島香織記者

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