参院選 真の“勝者”は誰か…安倍政権 地獄の8月

出口調査の結果は、下馬評通り民主大躍進、自民大敗。安倍政権にとっては致命的な数字だ。参院選直後に波乱が起きる可能性は高まった。だが、勝者は本当に民主党なのか…
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自民党31~43議席 民主党55~65議席(NHK予測)

想像を超える票の動きだったのか、それとも予想の範囲内だったのか…7月29日午後8時ジャスト、民放各局・NHKはそれぞれ独自の出口調査結果を発表した。

■NNN系列…自民38 民主59
 (再調整後→自民35 民主61)
■JNN系列…自民34 民主60
■FNN系列…自民36 民主61
■ANN系列…自民38 民主58


誤差はあるが、自民の40議席未満、民主の60議席に近付く勢いは、ほぼ横並びと言って良い数字が弾き出されている。もちろん実際の数字とは異なり、先の総選挙のように読み誤ることもあるだろう。

それでも大勢が逆転することはまずない。与野党の対決の構図から見れば、決着は既に付いている。勝負ありだ。与党にとっては壊滅的な事態の到来に違いない。

午後6時現在の投票率は39.98%で前回2004年度の参院選とほぼ同じだ。高投票率なら有利と囁かれてきた民主党に、この数字はどう作用するのか。

組織票を持つカルトが青ざめるのは好ましいが、一方で少数政党にとっては、どのような結果をもたらすのか、気になるところだ。

午後8時過ぎの時点で新風の獲得票数に関しては判然としない。比例でどこまで得票数を伸ばせるか、大政党の泣き笑いとは別に、注目したい。

【自民40議席未満なら修羅場が…】

出口調査の自民議席数は民放平均で36.5議席…40議席を大きく割り込むと、安倍首相の責任問題が浮上するとの見方が支配的だった。

接戦の1人区が実際に、どのような結果になるか見通せない部分が多いものの、レッドゾーンに突入したのは間違いなさそうだ。執行部は極めて苦しい立場に追い込まれるだろう。
▽写真:ロイター
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基本的に参院選は6年という長期的な視点に立ち、政権選択をダイレクトに問い掛けるものではない。自民幹部が予防線を引いたように、安倍首相が即刻退陣を表明する必要はない。

だが、与党大惨敗が決定すれば、一気に事態は流動化する。

深夜から未明にかけて、安倍首相が具体的な発言をするのか…また、選挙の責任者である中川幹事長が、進退に触れるシーンがあるのか…恐らく自民党内でも活発な駆け引きが行なわれいるはずだ。

安倍首相は全議席の確定を待って30日午後から記者会見を開く予定だが、参院の大物候補者の当落などによって、ニュアンスは大きく異なるだろう。政権を放り出すことはない。しかし、8月に修羅場がやって来るのは確実だ。
▽写真:AP
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特に、小沢民主党は、衆院解散を狙って矢継ぎ早に攻勢を強めて来る。その際に、自民党内で反執行部の動きが鮮明になるかどうかがポイントだろう。

加えてマスメディアのトーンも今まで以上に激しくなると想像する。「国民の審判は下った」として問答無用の倒閣キャンペーンを張ってくるに違いない。

【年金以外に何が問われたのか】

ジャーナリストの櫻井よしこ氏は選挙戦の過程で、いち早く今回の参院選に嫌悪感を露にしていた。産経新聞が選挙戦終盤になって始めた連載『何たる選挙戦』の第4回に寄稿し、こう訴えていた。

年金問題は国民の国家への信頼感を受け止めきれなかったという意味で大事な問題ではある。だが、今回選ばれる参院議員の任期は6年間ある。その任期の中では、憲法改正が非常に重要なテーマになるだろう。そうした論点を抜きにして、年金制度などの技術論だけで参院議員を選ぶのはあまりにも残念だ。
参照:【2007参院選】何たる選挙戦(4)首相の理念 継続が大事

今回の参院選は6月の時点から「年金問題」シングル・イシューの様相を呈していた。多くの有権者が当然の関心を向ける問題だが、一方で他の争点はぼやけ、忘れ去られた感もある。

そうした構図を描き上げたのは、果たして民主党執行部だったのか?

「年金選挙」をイメージ付けるのに躍起になったのは、一部政党であるよりも、むしろマスメディアだった。
▽写真:AP
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郵政総選挙の際もメディアがムードを築き上げたとの批判が巻き起こったが最初からシングル・イシューだったのだ。他の争点が埋没したのはやむを得ない部分が多かった。

しかし、今回の参院選は様子が違った。最大の争点である「年金問題」に関してメディアの側が、選挙前に各党のアイデアを比較検証することなかった…

果たして民主党の年金改革案が絶大な支持を得たと言い切れるのか?

【真の勝者は大メディアだった?】

今回の参院選では、ただ民主党が年金問題で攻勢を強める中で「年金を守るのが民主党」であるかのような雰囲気が増長されていった嫌いがある。民主党案の年金制度改革は大きな財源確保の他にも問題を抱えるが、有権者の認知を得るまでに至らなかった。

実際に、メディアにとっても年金問題は大テーマではなかったように思われる。眼目は「安倍おろし」「倒閣運動」だったのではないか。

朝日新聞は、選挙に直接影響を与える29日付け朝刊を「安倍政権への信任」という見出しで飾り、争点が政権選択であるかのように位置付けた。

問われているのは、安倍首相の掲げる憲法改正や「戦後レジームからの脱却」路線も含まれると書き立てる。また同様に反安倍路線が鮮明だった中日新聞なども、こう表現していた。

年金問題などとともに、「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げ首相が進めてきた教育改革などに審判が下される。

教育改革に審判が下ったのか?多くの有権者にそこまでの意識があったとは考えられない。

最大の争点は、あくまでも年金問題だった。
▽7月29日の投票風景(イザ)
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更に、本来なら選挙後に与野党で年金論争が過熱するはずだが、深い議論は行なわれず、フェードアウトしていくのではないか。恐らく、頭をもたげるのは安倍内閣の政権運営の問題で、政局に焦点が移るだろう。

メディアの狙いもそこにある。

今回の真の勝者は民主党ではなく、既成の大メディアだったのではないか…

【中朝を“勝者”にしてはならない】

今回の参院選では、ネットによる発信力が弱かったのは確かで、本流を変えるような“事件”は起きなかった。

情報発信の新たなスタイルとしては反省すべき点も多い。しかし、年金問題はテーマとしてコマが大き過ぎる。イメージ的な要素に支配される流れを劇的に変えるような“飛び道具”は皆無だった。

その意味でも“勝者”は大メディアだったように感じられるのだ。恐らく、大部分のマスコミは勝ち誇った感覚で、今後、倒閣キャンペーンを一気に拡大していくと予想できる。

「時の政権批判」は取り立てて異常な事柄、不健全なものではない。しかし、選挙期間中にも続いた赤城農水相に関する問題提起の仕方は、明らかにバランスを欠いていた。
▽追及が止まなかった赤城農水相(AFP)
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10億円にのぼる小沢ハウジング問題が不問に伏されたのは、納得がいくものではない。しかし、残念ながら今後も問われることがないだろう。

選挙結果=民意を尊重するのは当然だが、それを曲解して別の問題に広げることは許されない。既成メディアがどのように参院選を総括し、来週から如何なる論調を組み立てるのか、注目だ。

一方で、民主党の参院過半数獲得は、日教組や自治労の復活にも繋がる。今後の政局次第ではあるが、官僚機構を含め「戦後レジーム」の既得権益層が守られるのであれば、由々しき事態だ。

参院選でのもうひとつの“勝者”が、肥大化した官僚組織などであれば、それは時代に逆行するものだろう。

また憲法改正のスケジュールに重大な支障をきたすような事態が起これば、深刻な影響が生まれかねない。北東アジアは現時点で極めて不安定な状態に置かれている。2~3年のスパンで激動期に入る可能性も高い。

残念だが、憲法改正への道に、大きな障害物が築かれてしまったようにも感じられる。

参院選の結果を受けて政局が混乱し、それが中共や北朝鮮を喜ばすような事態を招くことになれば、それは正に悪夢だ。

勝者も敗者も国内にいる限りは、まだ致命的な問題ではない。だが、中朝を“勝者”にするような現実は何としてでも回避させなければならない。


     〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
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続いて米国から頭痛のタネも…

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【side story】
午後9時前後の速報情報をソースにしています。次々に1人区の当落も確定していますが、やはり民主党が他を圧倒…11時前には小沢の勝利宣言が出そうな気配も。

民放がこっそり参考にしているNHKの開票速報は…
http://www3.nhk.or.jp/senkyo/flash/

最新情報では岡山で片山虎之助落選とも…また中川幹事長が辞任示唆?激しくザッピングしているので、どの局の情報か覚えていませんが…

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