反総連“寸借詐欺”の怪…政治金脈寸前に岩盤

朝鮮総連と元情報機関トップの犯罪は“寸借詐欺”で幕引きするのか。特捜が描く事件の構図は問題を矮小化したものだった。取引した5億円の奥には巨大な政治金脈が眠る。
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外国人犯罪組織・朝鮮総連を手玉に取って、巨額マネーを騙し取った英雄的行為…

東京地検特捜部は逮捕した緒方重威を大胆不敵な詐欺師に祭り上げたいようだが、そんな絵物語を素直に信じるほどジャーナリズムはナイーブではない。

しかし、逮捕劇から2日、特捜からの一方的な情報リークでマスコミは緒方サイドの詐欺ストーリーを次々に補強。総連本部売買事件は、珍妙な方向にシフトし始めている。
▽拘置所に入る緒方を乗せた車両(時事)
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メディアは深い取材をしていない。ただ特捜が放り投げる情報を、フィルターにかけず、そのまま紙面に書き流しているのが殆どだ。全体像を決定するのは、あくまで特捜で、そのシナリオ通りに“物語”は進行している。

今年1月に就任した東京地検の八木宏幸特捜部長が、日本人の味方か、それとも在日犯罪集団の身内か、問われる事態でもある。

当初、東京地検特捜部が追及していたのは、公安調査庁元トップと総連最高幹部がタッグを組んだ仮装売買疑惑だった。強制執行妨害や虚偽登記での立件を視野に入れたものだ。
▽初会見での緒方重威(AFP)
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ところが蓋を開けてみると、緒方重威・満井忠男・河江浩司のトリオによる詐欺容疑での逮捕だった。

事件の発端は実にシンプルだ。中央本部を死守するため、総連の同意のもと所有権を一時的に別組織に移し、後に買い戻す…典型的な仮装売買である。

動機は判り易かったが、特捜の捉え方は謎めいていた。

【騙されても逆上しない朝鮮総連】

捜査の過程で東京地検特捜部は一転、総連サイドには実際にカネを払う意図があったことから仮想売買に該当しないと判断。そして、資金獲得のメドが立たない中、緒方サイドが移転登記を実行した経緯が詐欺に当たると捉えた。

犯罪の構図は、緒方重威らが総連の弱みにつけ込み、中央本部の不動産を騙しとったとする構図に転換。総連
サイドは意外にも被害者扱いとなっている。
▽緒方宅に入る係官(時事通信)
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シンボルを守りたい朝鮮総連は、宿敵の公安調査庁元トップと不動産ブローカーに、まんまと嵌められた格好だ…その特捜の描く加害者・被害者の位置付けが、正しいのか歪んでいるのか?

判断材料は簡単だ。

支払った4億8,000万円のうち、約3億円を取り戻せずにいる総連サイドは、なぜか少しも怒っていない。朝鮮総連の代理人として暗躍した土屋公献は、詐欺被害者のはずだが“加害者”に同情的である。
▽被害者感覚のない土屋公献(ANN)
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「まだ信じられない気持ちです。緒方さんが私や総連をだますとは考えていませんでしたから。非常に心外ですね。ああいう立派な肩書きのある方が…。初めから騙すつもりだったのか、途中から気が変わっておかしくなったのか」

更に、些細なトラブルでも絶叫口調で叫びまくる朝鮮総連も緒方らの逮捕後に長文の緊急声明を発表したが、RCC(整理回収機構)を猛烈にする一方で、“巨額詐欺被害”にはまったく触れていない。
参照:総連中央常任委員会6月29日声明

宿敵=公安調査庁絡みの犯罪には泣き寝入りするようだ。随分と温和な対応ぶりである。

【加害・被害の図式は変化せず】

まさかの詐欺容疑で逮捕された緒方重威は、こう激しく吠えたという。

「自分は無実だ。皆に騙された」
▽初会見での緒方重威(産経新聞)
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尋問を受ける緒方重威らが容疑を否認する中、総連との裏取引の詳細を暴露する可能性もある。そのことから、特捜がテクニックとして、まず緒方重威ら3人を挙げ、次いで総連サイドに手を伸ばすとする見方も出ていた。

しかし、いったん詐欺容疑での追及を始めた以上「加害者・被害者」の図式は変化しない。特捜は、総連サイドの犯罪性にはタッチしない方針だろう。

特捜部のリーク情報は、緒方らが手にした約3億円の流れに集中。許宗萬(ホ・ジョンマン)がなぜ4億8000万円を差し出したのか、その前後の状況は、不問に付するようだ。
▽コメントを避ける許宗萬(ANN)
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総連中央本部をめぐる偽装売買の話を最初に持ち込んだのは誰だったのか?犯罪の構成上、出発点が最大の問題なのだが、特捜のシナリオは、緒方と満井が「旨い話」を持ち込んだことになっている。

許宗萬を呼びつけたらノコノコと現れ、さらに5億円近くのキャッシュを躊躇わずにポンと差し出した…そんな陳腐なストーリーを信じろと言うのは無理だが、逮捕後のメディアはそれに乗っかるだけだ。

約束した30数億円の投資が集まらなかったことから緒方ら3人は詐欺容疑で立件された。しかし実際に動いた約5億円の工作資金はシロだという。この黒いカネの性格こそが、本来は問題のはずである。

【暗躍した総連側近はどこに消えた?】

東京地検特捜部は、満井忠男を事件の首謀者とする相関関係を提示している。しかし、6月28日の3容疑者逮捕前のメディアの見立ては逆で、朝鮮総連が疑惑の中心になっていた。

司直の手が朝鮮総連実質トップの許宗萬に伸びるのは、確定的と見ていたのだ。例えば、6月25日発売の『AERA』は、「総連の首領と5千億円」と題し、許宗萬の暗黒錬金術に迫っている。
▽『AERA』7月2日号
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署名入りの特集記事だ。事件が逆転の構図になって記者は慌てているかも知れないが、恐らくこの記事の内容が正解だろう。

そこでは、やはり許宗萬ら総連サイドが先に動き始めたことになっている。地裁の敗訴確定後も総連中央ビル居座りを続けられることを模索、非常事態を乗り切るのが目的だ。

居座りを条件に買い手を探していた許宗萬が仲介を依頼したのが満井忠男だったという。この時点で、特捜の構図と違っている…
▽総連中央本部前の警備(ロイター)
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更に、満井が投資者探しで協力を仰いだのが、投資コンサルタントの河江浩司。売却先に選んだのが、この河江のダミー会社「ハーベスト」だ。そして今年4月に緒方重威がハーベストの代表に収まる。

仮想売却の舞台装置は整ったが、肝心のカネ集めで難航。出資者の目処がつかない中、なぜか許宗萬は4月半ば、満井に4億8,000万円を現ナマで提供したという。

この工作資金について、特捜部は断続的に3回に分けて渡されたとリーク。そして満井側が詐取した格好にしたいようだが、疑惑の目を向けるべきは、資金提供を行なった背景だ。そこには裏がある。
▽逮捕された満井忠男(JNN)
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AERAの記事では関係者の意味深長な発言が取り上げられている。

「この件で許氏の命を受けて動いていた総連側近がM氏側に『成功すれば総連の他の案件でもいいビジネスを提供できる』と持ちかけていた」

伝聞調だが、許宗萬が中心に暗躍していたこと、そして別の人物が総連サイドから満井忠男と接触していたことが明かされている。特捜が隠そうとしているのは、この辺りの状況だ。

焦点は、やはり許宗萬の黒い動きである。果たして、東京地検の八木特捜部長は、在日犯罪界のドンを被害者役のまま再び闇に葬り去るつもりなのか…

【特捜は政治金脈まで掘り進め】

「政官財に潜む不正を見つけ、真相を解明することに尽きる」

今年1月16日に就任会見を開いた東京地検の八木宏幸特捜部長は、力強くそう言い放った。政界疑獄事件や大型の経済事犯で正義のメスを振るうのが特捜部だ。国民の期待は大きい。

就任会見で八木特捜部長は、こう抱負を語っている。

「ひそかに悪いことをしている人たちに恐れられる特捜部でありたい」

その意気やよし…であるが、これまでの所、悪の巣窟=朝鮮総連に「有り難がられる特捜部」になってしまっている。総連サイドのカネの流れに斬り込まなければ意味がない。
▽逮捕直前の緒方重威(NNN)
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公安調査庁の元トップの首を早々と穫ったことに、一部で驚きの声もあがった。しかし特捜部は、緒方重威の個人犯罪に落とし込み、カネに眼が眩んでの犯行と位置付けている。

金銭の授受を一時点で処理すれば、詐欺罪は成立するだろうが、緒方らが総連から詐取した後、どう立ち回るつもりだったのか…許宗萬から億単位のカネを奪い取って無事に済まないことは、当人たちが一番よく知っている。

疑惑の核心は、追う側と追われる側が、地下水脈で繋がっていた可能性だ。なぜ元長官が天敵に接近して信用を得るに至ったのか。さらに総連最高幹部が調査機関OBの言葉を素直に信じたのか?
▽6月20日付けのインタビュー(JNN)
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逮捕前のインタビューで緒方重威は「政治的な弾圧」と吐き捨てた。その発言は「政治力が働かなければ捕まらない」という自信を暗に仄めかしていた。

総連マネーが常にブラックボックスの中に入り込むことを、緒方重威は熟知している。そして四半世紀に渡り、その総連暗黒資金を取り仕切ってきたのが許宗萬だった。
▽総連全体大会での許宗萬
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たかが5億円のカネの流れなどは些末な問題に過ぎない。

特捜が掘り下げて暴き出す必要があるのは、バッジ(国会議員)が群がった巨大な金脈だ。


      〆
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参考記事:
イザ6月29日『仮装売買、一転「詐欺」 首謀者特定、揺れた検察』
東京新聞6月29日『緒方元公安庁長官を逮捕 詐欺容疑、仲介役らも』
山陽新聞1月16日「政官財に潜む不正解明」東京地検特捜部長の八木氏

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