残されたサリンと北朝鮮…闇から来た男・徐裕行

現役北朝鮮工作員が語ったという化学テロの恐怖。そして、オウムと北朝鮮の繋がり…我が国最大の闇の中には何が? 総連の断末魔が聞こえ始めた今こそ闇に光を差入れる必要がある。
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北朝鮮が我が国に送り込んだ現役工作員は、こう証言する。

「北朝鮮は対日戦争をテロ戦争と考えている」

「すでにサリンは日本国内の然るべき場所に保管してある。それも本土だ。あとは平壌の指令を待って、在日特殊工作員が実行に移すだけの手はずは整っている」(李鐘植著『朝鮮半島 最後の陰謀』24頁)

さらに現役工作員は、計画が実行された場合の被害想定について、ショッキングな告白を続けた…

「首都圏は壊滅する」

最悪のシナリオを想定すると、被害者数は2,000万人を超すという。

「どうやって持ち込むんだ?」
「持ち込む?そんなことは簡単だ。覚醒剤を持ち込めるのに、どうしてサリンを持ち込めないというんだ? それに日本国内で製造したモノもある」(略)
「だからオウム真理教の連中が製造したサリンだよ」(前掲書25頁)

オウムと北朝鮮の繋がりは、あたかも都市伝説のように、浅く広く語り継がれている。オウムと北朝鮮当局が関係していたという証拠は、どれもウワサの域を出ず、謎のまま…
▽地下鉄サリン事件(警視庁HP)
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現役工作員を名乗る男は、こう断言する。

「地下鉄サリン事件の詳細は平壌に報告してある」「あの事件の計画にも北朝鮮の特殊工作員がかかわっていた」(前掲書26頁)

【元韓国諜報部員による謎の警告書】

前項で紹介したのは、今年5月に幻冬舎から発行された『朝鮮半島 最後の陰謀』の冒頭にある一節。「北朝鮮サリン・テロ説」の一部は昨年11月『週刊文春』誌上に掲載されたが、話題にならなかったようだ。
▽『朝鮮半島 最後の陰謀』幻冬舎
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この『朝鮮半島 最後の陰謀』の著者・李鐘植(イ・ジョンシク)氏は、80年代に韓国の安企部(元KCIA、現・国情院)からスカウトされ、大学内の左右政治組織の内偵に従事していた、と自己紹介。

90年代後半に現役を退き、現在はその筋の仕事から完全に距離を置いていると訴える。諜報筋の人間であることは恐らく確かだろうが、実態は不明だ。

そうした諜報筋の者が著した“告発書”を、どう読めば良いのか?

諜報系の問題に詳しい専門家は、あっさりと言い切る。

「真実が書かれていることはない」

紹介した『朝鮮半島 最後の陰謀』の内容にも疑問符を付けながら読む作業が必要だろう。そのものが情報操作の色合いを帯びているのだ。ただし、諜報筋の書物は、関係を複雑に組み替えながら、事実を暗示しているケースもあるという。

果たして『朝鮮半島 最後の陰謀』は単なる謀略の書なのか、それとも一部に重要な事実が埋め込まれているのか…
▽宇宙から見た北朝鮮の闇
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本書の冒頭近くには「拉致被害者が加害者に回っていた」などとした記述があり、そこで一旦、本を投げ捨てたが、ラングーン事件・KAL機爆破事件の記述は専門的で非常に興味深いものがあった。

オウム=北朝鮮関連説は、どこまで行っても裏取りができない事例だ。有能なジャーナリストも一端にすらタッチできない。現在まで引き継がれる「代表的な我が国の闇」パートである。

【対テロ部隊の異様な化学防護態勢】

今年3月にCRF(中央即応集団)が自衛隊に産声をあげた。防衛相直属の対テロ機動師団である。
▽3月31日CRF発足式典(産経新聞)
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4月2日のエントリ『対テロ特殊部隊ベール脱ぐ…機動師団の敵は北工作員』を書く際に気になったのは、CRFの想定する対テロ防衛戦の内容が、化学テロに特化していた点だ。

CRFの構成の中で特筆すべきは、司令部のある朝霞駐屯地にNBC兵器の被害者治療にあたる「対特殊武器衛生隊」がセットで配置されている。
▽CRF(中央即応集団)の編成(産経新聞)
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更に、大宮には対NBC兵器のエキスパート部隊「中央特殊武器防護隊」が控える。

CRF(中央即応集団)はあらゆるテロ活動に対処できる新型のバトル・ユニットだが、対化学テロに偏っている事実は否めない。

また東京都など複数の自治体で消防を中心に NBC訓練が実施され、化学災害を睨んだ化学機動中隊や、質量分析装置などを搭載した特殊災害対策車両などもお目見えしている。
▽東京・日の出町のNBC訓練
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オウム事件を教訓に、10年以上前に行なわれた訓練ではなく、21世紀に入ってからの動きだ。

既にオウムの化学プラントはなく、現教団に再度サリン事件を引き起こす能力もない。いったい、誰がNBC兵器を使って攻撃を仕掛けて来るのか?

解答はひとつだ。

【闇に仕舞われた金丸信の金塊】

『朝鮮半島 最後の陰謀』の何処に、どの様な真実と虚偽が挟み込まれているのか、皆目、検討がつかない。しかし、北朝鮮が中興期のオウム真理教に目を付け、食い込んでいったという記述は、これまでになく具体的だ。

更に、そこに絡んでいるのが某国会議員だと言う…

「某超大物国会議員がオウム真理教と関わり、北朝鮮との仲を取り持ったとう“噂”も事実だ」(前掲書35頁)

大物国会議員とは誰なのか?

野中広務や河野洋平は大物議員であっても「超」は付かない。オウムの中興期にかけて、我が国で超大物議員と呼べる人物は唯一人だ。

90年に金日成と謀議した金丸信である。
▽訪朝した金丸信(左端)
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今も一族がTBS系のテレビ山梨に名を連ねる「山梨のドン」だ。その山梨にあったのが、オウム本部やサリン・プラント(第7サティアン)だった。

金丸信=オウム=北朝鮮

その繋がりを示すのは、93年の巨額脱税事件をめぐる家宅捜索の際に発見された無刻印の金塊だ。北朝鮮から贈られたものであったことは確実だが、金塊の出所については闇の奥に仕舞われ、実態は今も不明…

またオウム関連施設の捜索でも無刻印の金塊が見つかったとされるが、報道は一瞬で掻き消えた。2つの金塊は無刻印であると同時に、不純物含有の“指紋”検査で、完全に一致したとの情報も一部で伝えられる。
▽90年の“ダブル金会談”
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3者を繋ぐ決定的な証拠だが、完全に抹殺された格好だ。金丸宅に踏み込んだのは警視庁ではなく、東京地検特捜部。つまり公安調査庁と密接な捜査機関だった…

【闇から来た男・徐裕行の行方】

闇の中から突如現れた男が、12年の刑期を終えて日本社会に再び放たれた…

オウムと北朝鮮の奇妙な関係を体現したのが、村井秀夫を刺殺した徐裕行だった。この徐裕行が仲間と同居していたのが、辛光洙の関係先だったことは有名だ。
▽犯行直後の徐裕行(YouTubeより)
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それは、辛光洙とかつて同居していた朴春仙(パク・チュンソン)さんの妹が所有する家だった。この事実から徐裕行と北朝鮮工作員グループを関係付ける見方も浮上したが、納得できる材料に欠ける。

朴春仙さんは94年の段階で北朝鮮を告発する本『北朝鮮よ、銃殺した兄を返せ』を出版し、朝鮮総連の監視対象になっていた。辛光洙との間接的な繋がりは説得力を持ち得ないものだったのだ。
▽辛光洙工作員
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だが『朝鮮半島 最後の陰謀』に登場する工作員氏は、まったく別の見方を提示している。

「犯人の父親はバブル崩壊によるビジネスの失敗で、億単位に上る莫大な借金を抱えていた。しかも、父親は朝鮮総連と深い関係にあった。ヤクザ者とはいえ儒教思想に呪縛された朝鮮人の犯人は、その借金を精算するために引き受けたんだ」
「依頼主は?」
「平壌」
「担保(資金の出所・仲介者)は?」
「朝鮮総連」(前掲書30頁)

*YouTube『村井刺殺』

具体的にカネがどう流れたのか…徐裕行の父親の不動産登記を丹念に調べれば、不可解な動きは判明するだろう。しかし、どのマスメディアも徐裕行の背後を洗うことは出来ないでいる。

そして、闇から来た男は、再び闇の中に帰っていった。

【“捜査ショー”で幕引きを図るな】

6月18日、朝鮮総連に対し東京地裁は627億円の返還命令を出した。順当な判決だ。これによって朝鮮総連の牙城は一部、切り崩されることになるだろう。
▽18日会見する緒方重威(時事通信)
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だが、緒方重威や土屋公献などが絡んだ架空登記事件は、本丸まで踏み込まない可能性も出てきたようだ。金丸の金塊を闇に隠した東京地検特捜部は、またしても事件そのものを闇に仕舞い込むのか…

『朝鮮半島 最後の陰謀』で語られるオウム=北朝鮮のストーリーは、尚も巨大なクエスチョン・マーク付きだ。しかし、それが本当なのか嘘なのか、知り得る立場の人物がいた…

緒方重威だ。

サリン事件の前後、あらゆる情報が公安調査庁に上げられた。その時、公安調査庁トップだったことは、今回の事件で決して見落としてはならない重要なサインだ。
▽会見する緒方重威(共同通信)
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金丸と北朝鮮の連携工作、オウムの背後に見え隠れしていた北朝鮮の影。核心的なディープ情報を今も記憶している関係者のひとりが、元長官の緒方重威である。

公安調査庁も地検特捜部も、我が国が直面した非常事態や今後直面する不測の事態について、暴き出す機関ではなく、むしろ闇に仕舞い込む勢力のようだ。

だが「闇」に仕舞い込むには、仕掛けが少々大き過ぎたのかも知れない…

「パンドラの函」は自ら殻を破ろうとしている。それを、上から必死に押さえつけているのが、日本人を守るはずの調査機関ではないのか?

東京地検特捜部は、お定まりの“捜査ショー”など止めて、核心部分に迫らなければならない。

「朝鮮総連の闇」とは、総連幹部=北朝鮮、周辺に巣食う輩だけの問題ではない。そこに我が国の政治家らが、どう関係し、巨大な謀略組織を支えたかが、問題なのだ。


      〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
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【SIDE STORY】
■更新が滞るにも関わらず、多くのご支援、ご声援ありがとうございます。手隙になった訳ではありませんが、鋭意、新エントリをアップしていく予定です。

■よーめん氏、瀬戸弘幸氏が提唱する「河野談話撤回署名運動」について、やや遅れ気味ですが当ブログも声を張り上げて強く支持します。またWP紙の「The Fact」も絶賛します。詳しくは今後のエントリにて。

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