拉致司令室「対日課」…工作員来日を支援した総連

蓮池さん夫妻拉致で新たに容疑者が手配された。浮上した日本人拉致司令室「対日課」。しかも上部工作員は北朝鮮代表団として来日していた…その際に密着支援していたのは朝鮮総連の他にない。
画像

日本を出国する直前、チェイニー米副大統領は横田夫妻と面会した。午前7時半という早朝のことだった…

「時間がないので久間防衛相とは会えない」とチェイニー副大統領側が明言していたことから異例の時間設定となったようだ。

米国大使館を訪れた横田夫妻は、改めて拉致問題解決に向けた米国の協力を要請。拉致解決まで北朝鮮のテロ支援国家指定解除を行わないよう求めたブッシュ宛の手紙を、チェイニー副大統領に託した。
画像

チェイニー副大統領は、めぐみさんが拉致された時と同じ年齢の13歳の孫がいることを紹介し、深く理解を示した。

「この問題は重要だ。子供のことを考えても許せない問題だ。1日も早くこ解決しなければならない」

副大統領が次の訪問国オーストラリアに発った後、拉致事件をめぐって新たな動きがあった。

新潟県警は22日、蓮池薫さん祐木子さん夫妻の拉致事件で2人の逮捕状を取った。

通称「ハン・クムニョン」「キム・ナムジン」と呼ばれる元工作員で、容疑は国外移送目的略取と国外移送。2人は実行犯ではなく北朝鮮国内から指示を出していた人物だ。

拉致事件で実行犯への指示役に逮捕状が出されたケースはこれが初めてである。

【浮かび上がった謎の「日本課」】

昭和53年(78年)7月31日夕方。
新潟県柏崎市の海岸を訪れた2人に複数の男が近寄って来た。

「タバコの火を貸してくれないか」

日本語だった。薫さんが立ち止まった直後、背後から男は鷲掴みにしてきた。抵抗すると顔面を2回殴られ、頭から袋をかぶせられて船に乗せられた…
他に人目がない中での一瞬の出来事だった。

船は犯行現場の直ぐ近くに係留されていた。計画的な犯行だ。
画像

この暴力的な拉致で実行役だった人物は、既に特定され、昨年2月に国際手配されている。拉致工作員チェ・スンチョルだ。

そして、今回、新たに手配されたのは拉致実行犯チェ・スンチョルに指示を送っていた上官2人である。蓮池さん夫妻拉致事件では3人の容疑者が国際手配されることになった。

22日に逮捕状が出た2人の工作員ハン・クムニョンとキム・ナムジンは、北朝鮮の謀略機関「朝鮮労働党対外情報調査部」の要員だった。

▽キム・ナムジン工作員
画像

対外情報調査部は大韓航空機爆破事件を起こしたテロ機関だが、今回、その中に日本専門の謀略組織が存在していたことが判明した。

「日本課」

これまでに北朝鮮専門家も指摘したことのない組織だ。一体なにを狙って創られた謀略組織なのか…

【判明した日本人拉致の専門部署】

北朝鮮による日本人拉致は、国家の意志に基づいた長期的な犯罪である。簡単に整理すると…

北朝鮮情報機関「朝鮮労働党中央3号庁舎」

この下に、対南工作機関「社会文化部」や朝鮮総連を管理する「統一戦線部」そして対外工作を行う「対外情報調査部(35号室)」が存在する。

新たに明らかになった「日本課」は、対外情報調査部の下に更に細かく区分されたグループだ。

警察リークに基づく複数の報道をまとめると「日本課」が設置されたのは、金正日が3号庁舎を事実上掌握した昭和50年前後。名称の通り日本人拉致を専門に行う部署と見られている。

日本人拉致工作が多発しているのは昭和50年代だ。金正日による拉致指令という見方は正しい。最高責任者は金正日である。

この「日本課」には、今回手配された2人の工作員の他に、実行犯のチェ・スンチョル、そして菅直人が敬愛する辛光洙も含まれ、部員は10人前後とも見られている。

我が国の警察は、拉致工作部署について、かなり的を絞って来た様子が窺える。

なぜ日本の公安機関がベールに包まれた北朝鮮の対日工作組織の内部情報を把握できたのか?

米英などの高度インテリジェンス機関でも掴めない内部事情を獲得できた背景は、意外に簡単なものだろう。

日本国内に残された足跡と、そこから辿り着いた在日協力者の存在だ。

【総連が手助けした工作員来日】

新たに手配された2人は北朝鮮国内から実行犯に指令を行っていた人物だ。しかし、その内の1人ハン・クムニョンは複数回、我が国の土を踏んでいたという。

▽ハン・クムニョン工作員
画像

その時の名前のひとつは「韓明一=ハン・ミョンイル」

警察の調べで、蓮池さん夫妻の拉致が起きた78年前後、少なくとも5回にわたって身分を隠して来日していたことが判明。その際、ハン指導員と呼ばれていたという。

ハン工作員は、北朝鮮の貿易代表団の1人に偽装して我が国に入国。大手家電メーカーの電池工場などを視察していたことが分かっている。

一般の貿易商ではなく、北代表団として来日していたことがポイントだ。

通常、北朝鮮から代表団が日本に入国した場合、朝鮮総連から直接、アテンド要員が派遣され、帰国まで完全フォローする。

公安は入国の時点からマークし、周辺にも手を広げて追跡していただろう。ハン工作員の顔写真があるのも入国時の身分証などが残されていた証拠だ。

日本国内でどの総連関係者と会っていたのかも確実に記録が残っている。

22日のニュースで顔写真が公表され、身に覚えのある総連関係者は震え上がっただろう。また、当時ハン工作員と接触した関係者の誰かが公安への情報提供者となっている可能性も高い。

このハン工作員と密接に関わっているのが、部下とされる拉致実行犯チェ・スンチョルである。辛光洙と並び、日本国内で謀略活動に勤しんでいた有名な工作員だ。

恐らく「対日課」を特定した背景には、この工作員が国内に刻んだ多くの足跡も寄与しているだろう。

【埋もれた事件に光があてられた…】

昭和60年3月、警視庁公安部は、北朝鮮のスパイ事件を摘発した。「西新井事件」である。

当時は工作員という言葉は一般的ではなかったが、このスパイ事件が現在の拉致事件解明にも一本の線で繋がっている。

始まりは今から37年前に遡る…

昭和45年夏、一人の工作員が秋田県男鹿半島の海岸から密入国した。「朴某」と呼ばれた男だ。朴某は「松田忠雄」という日本名を名乗って都内のゴム製造会社に就職。

入国後に朴某は、大阪の在日朝鮮人・金錫斗を脅して協力者に仕立てる。北朝鮮に暮らす金の親族と知り合いだと言って脅迫したのだ。ちなみに朴某は、戦前に愛知の小松基地周辺に住んでいた元在日朝鮮人で、関西弁が巧みだったという。

そして昭和54年ころから、拉致被害者の1人・小住健蔵(こすみ・けんぞう)さんに成り済まして謀略活動を行っていた。いわゆる「背乗り」だ。

▽小住さんに成り済ましてた「朴某」
画像

朴某は、小住さん名義のパスポートを取得し、韓国やソ連など延べ9回海外に渡航。そして昭和58年にマレーシアに向け出国したのを最後に消息を絶っている。

その2年後、警視庁公安部は、旅券法違反容疑などで本名不明のままで朴某を国際手配。更に朴と同じ東京・足立区西新井のマンションに住んでいた補助工作員の在日の男を逮捕した。

在日の補助工作員は韓国籍だったが、その自宅に踏み込んだ捜査員は異様な物品を発見した。通信機器や乱数表など、いわゆるスパイ七つ道具である。

▽押収された道具(警察白書より)
画像

主犯格の朴は国外逃亡、被害者の小住さんも行方不明という主なき事件の摘発だった。当時のマスコミが大きく報じた記録は残っていない。

だが“小さな事件”は、20数年後に、急展開する。

【拉致事件関与で総連に突入せよ】

「西新井事件」の朴某こそが、蓮池さん夫妻拉致の実行犯チェ・スンチョルだった。

小住さんに成り済ました直前の昭和53年に、朴某ことチェ・スンチョルは2人を襲って拉致を実行している。

物証はないが、その時、チェ・スンチョルは工作船に乗船して柏崎市近海に現れたのではなく、国内のどこかから姿を見せたものと推測できる…

これが問題だ。

拉致事件とは工作員が沖合から接近して実行しただけではない。日本国内に潜伏する工作員、更に拠点を整える補助工作員の存在を必要とする。

そうした国内協力者は「土台人」と呼ばれ、5,000人規模とも指摘されている。それぞれは個別で活動していたと見られるが、核になっていたのは、チェ・スンチョルのように本国から派遣された工作員だ。

チェ・スンチョルは北朝鮮で蓮池さんに対し「摘発されたので工作活動からはずされた」と語っていたという。逆に見れば、昭和58年に出国するまで拉致工作に関わっていたことになる。

そこで同時期にチェの直属の上司・ハン工作員が複数回、日本に入国していた事実も重要になってくる。ハン工作員の真の目的は、直接の指示を日本国内で与えることだ。

そして、来日したハン工作員を取り巻いていたのは朝鮮総連関係者だった。

拉致事件で朝鮮総連が後方支援した明白なケースである。

これでもまだ総連はシラを切るつもりなのか…

ハン工作員が不用意な来日で残した足跡を元に、公安は関係した総連関係者を参考人聴取を進めるべきだ。洗い直しの作業はほぼ完了していると見る。

拉致事件の解明を北朝鮮の対応に委ねていてはならない。

国内協力者を吊るし上げることで、全体像が把握できる部分もある。今回の国際手配に至った背景には、口を割っている協力者の存在も見え隠れする。

そろそろ拉致事件で朝鮮総連の捜索を行う時期だ。

西新井事件の補助工作員は、今でも平然と我が国で暮らしている。そんな不条理が許されて良いわけがない。

外堀は埋まりつつある。あくまでも国内の事件摘発であって外交スケジュールなど気にすることはない。

一気に突入し、拉致に関与した犯罪者集団である事実を暴く必要がある。


       〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります

banner1


"拉致司令室「対日課」…工作員来日を支援した総連" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント