バイデンが敗れた8月15日…サイゴンの悪夢カブールの罠

一夜で首都は奪われ、大量の兵器も鹵獲。サイゴン陥落とは比較にならない無条件降伏だ。不支持急増で蘇る選挙不正疑惑。無能で弱気なバイデンに初めから岩盤支持層などなかった。
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米国のアフガニスタン敗戦の日は奇しくも8月15日だった。約10日前に休暇に入ったバイデンは、その日もメリーランド州キャンプデービッドの専用別荘でバカンスを満喫していた。

「ジョー・バイデンは、写真撮影のせいで昼寝を妨げられた」

米保守系メディア「ゲートウェイ・パンデット」は痛烈に皮肉った。ホワイトハウスはテレビ会議に臨むバイデンのスナップを公開して“迅速な対応”を強調したが、これが仇となった。
▽テレビ会議でトークするバイデン8月15日(WH公式)
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ネット探偵団は写真内のタイムゾーン表示に夏時間のエラーがあることを発見。古いアーカイブ写真を慌ててアップしたのか、それとも設定ミスだったのか、本筋から離れた議論が巻き起こった。

更に、モニター下部にCIA職員とドーハ支部のエージェントが顔出していることが判明。素顔を決して晒さない隠密スタイルが基本で、大々的な“世界公開”は取り返しのつかない失態だ。
▽公開されたモニタ画面の下部拡大(GWP)
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バイデンにとっては挨拶代わりの凡ミスに過ぎなかった。ゲートウェイ・パンデットの皮肉が可愛く思えるような批判の嵐は、カブール陥落後の初演説を終えた後に激化する。

8月16日にイーストルームで演説したバイデンは、記者質問を受け付けず、休暇を続ける為に別荘に戻った。ホワイトハウス滞在時間は4時間余り…潮目が一気に変わった瞬間だった。
▽別荘にリターンするバイデン8月16日(AP)
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「バイデンは、アフガニスタンでやるべきことをやった、ただし考えうる限り最悪のやり方で」

FOXの人気司会者タッカー・カールソンの罵詈雑言は既定路線と言える。だが、ワシントン・ポスト紙など左派お友達メディアが堰を切ったようにバイデン批判を始めたことは驚きに値する。

しかも批判沸騰は、カブール空港附近で駐留米軍兵13人がテロの犠牲になる前だ。

【お友達メディアも見放す無惨な降伏】

「事態は予想よりも早く進展した。アフガニスタンの政治指導者達は諦めて国を脱出し、軍は戦おうともせずに崩壊した」

カブール陥落後の初演説でバイデンは、アフガン政府と軍隊を非難。そしてトランプ前大統領の名前を出して言い訳する。目を覆うばかりに悪質な責任転嫁だった。

「就任した時、私はトランプ大統領とタリバンが交渉した合意を引き継いだ。選択肢は合意に従うか、戦闘を再開するかに限られた」
▽会見でバイデンは責任逃れに終始8月16日(AP)
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恐らくバイデンは、民主党員や主流メディアがトランプ政権下の合意に原因を求め、責任を押し付けてくれると考えていた。この1年間、バイデンは狡賢いフォロワーによって常に助けられてきたのだ。

しかし、現実は違った。お友達メディアは昨年の米・タリバン合意に遡ってトランプ政権を批判することなく、記者質問から逃げるバイデンに苛立ち、早々に弁護を諦めた。

「今日は米国にとって歴史的な日だ。もうテロは許されない」
▽調印に立ち会ったポンペオ長官'20年2月(AFP)
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ポンペオ国務長官(当時)は記者会見の席で胸を張った。カタールの首都ドーハで協議を続けていた米・タリバンの代表者は昨年2月29日、アフガン和平合意に署名した。

駐留米軍は’21年5月1日までに完全撤収する…ただし、タリバンによるテロ支援活動の根絶やアフガン政府との対話など合意の履行条件は多く、期日までの米軍撤収は困難との見方も強かった。
▽署名を終えた米・タリバン代表'20年2月(AFP)
ロイター20年2月29日署名終えた米タリバン代表.png

ポイントは和平プロセスにアフガン政府を当事者として組み込んだことだ。かつてオバマ政権が仕掛けた対タリバン秘密交渉はアフガン政府の反発で頓挫した。バイデンも当時の裏事情をよく知っている。

トランプ嫌いの主流メディアも、事実を捻じ曲げ、全責任を前任者に擦り付けるような真似は出来なかった。バイデンの言い訳は難癖の域を出ず、その不手際は国民にも見透かされていた。

「米軍史上最大の敗北になるだろう。これは撤退ではなく、降伏だ。分別のない降伏だ」
▽ラリーで演説するトランプ大統領8月21日(ロイター)
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トランプ大統領は8月21日、大規模集会で痛烈に批判した。トランプ政権にしても、対タリバン交渉後のアフガン平和化に明確なビジョンがあった訳でないが、それでも良いのだ。

前政権の米・タリバン合意は半世紀近く昔のパリ協定に似ている。ベトナムからの「名誉ある撤退」に繋がる“終戦協定”だ。その功績でヘンリー・キッシンジャーはノーベル平和賞を受賞した。

【20年で国が滅ぶ新たな法則】

「This is not Saigon(これはサイゴンとは違う)」

CNNに緊急出演したブリンケン国務長官は8月15日、そう強調した。タリバンによるカブール包囲を受け、メディアでは’75年のサイゴン陥落に重ねる論調が続出した。
▽サイゴン陥落の象徴的なシーン’75年(UPI)
UPI75年4月29日、当時の南ベトナムの首都サイゴン(ホーチミン)のビルの屋上からヘリ脱出の米国人ら.jpg

往時を知る米国民にとっては妥当な連想だ。現地から届く映像は再現フィルムであるかのように、ひどく似通っていた。蘇るトラウマ。バイデンが7月8日に放った台詞は、見事な逆フラグとなった。

「タリバンは北ベトナム軍ではない。人々が米大使館の屋上からヘリで運び出される状況にはなり得ない」

ヘリ脱出劇が再現される38日前の有難いお言葉だ。この黒歴史的な演説はSNSで拡散され、同時にバイデンが「アフガン政府軍の戦闘能力はタリバンより遥かに高い」と評価していたことも再認識された。
▽カブール上空舞う米輸送ヘリ8月15日(ロイター)
ロイター8月15日、アフガニスタンの首都カブール上空を飛ぶ米軍のCH46中型輸送ヘリコプター.jpeg

「バイデンの大惨事に比べたら、ベトナムのケースは戦略上も洗練されていた」

トランプ大統領はサイゴン陥落のシーンと比較して、そう指摘する。’75年4月の脱出劇は、シミュレーションに基づく緊急避難行動の一環として進められた。フリークエント・ウィンド作戦と呼ばれる。

北ベトナム軍の進攻が目前に迫った同年4月29日から翌日に掛けての24時間。米海兵隊とエア・アメリカのヘリは、米国民ら約7,000人を南シナ海上の米空母に移送し続けた。
▽米空母に着艦する避難者輸送ヘリ’75年(米海軍撮影)
空母に着艦する米輸送ヘリ(米海軍撮影).jpg

退避方法を記した部外秘のビラが市中に広まり、南ベトナム軍関係者ら諸々が米大使館に殺到。記録映像にも残る大きな混乱が生じたが、作戦は失敗ではなかった。更に決定的な相違点もある。

サイゴン陥落は、米軍が南ベトナムを去ってから2年の歳月が経過していた。タリバンとの停戦合意もなく、撤収前だったカブールのケースとは大きく異なる。降伏という表現は不適切ではない。
▽カブール空港闊歩するタリバン兵8月31日(AFP)
AFP831カブール空港闊歩するタリバン兵.png

ベトナム共和国(南越)は建国から20年で消滅。カルザイ暫定政権に始まる新生アフガニスタン共和国も同じ20年で壊滅した。

【バイデン旋風も岩盤支持層も幻だった】

「時計をしきりに気にしていた」

一部の遺族から憤る声も上がった。空港周辺テロの犠牲になった米軍兵のセレモニーでバイデンが腕時計をチラ見していたというのだ。待機中の光景ではなく、軍高官が一斉に敬礼する最中の出来事だった。
▽棺が目の前を通り過ぎる瞬間8月29日(AFP)
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公の場に姿を表す度に、演説する度に失点を重ねる。注目された米軍撤退完了に伴う8月31日の演説でも、退避作業を「並外れた成功」と自画自賛した。

カブール空港で起きた米空軍輸送機への悲惨な殺到シーンを忘れてしまったのか。僅か半月前のハプニングだ。恐らく、あの映像はカブール陥落の象徴として長く語り継がれることになるだろう。
▽カブール空港から離陸する米空軍機8月16日(BBC)
カブール空港から離陸する米空軍機8月16日BBC.jpg

今や何気ない仕草さえも批判の対象になるバイデンだが、痴呆症を患っているのは現職大統領だけではない。つい最近まで絶賛していた米主流メディアも同じ病いの持ち主だ。

「経験豊かで堅実な世界の指導者という信認が損なわれた」(ワシントン・ポスト紙)

手の平を返して苦言を呈しても遅過ぎる。ジョー・バイデンが無能で無気力なことは1年以上前から歴然としていた。この期に及んで指導力に疑問符を付けた所で何の意味もない。
▽トランプvsバイデン討論会’20年9月(時事)
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昨秋の大統領候補討論会でもCNNなど左派系メディアは「バイデン圧勝完勝」と声を張り上げた。単に予想よりもバイデンの滑舌が普通で、途中で熟睡しなかっただけだ。

伝統的な民主党支持のメディアが、不正なジャッジをするのは当然とも言える。だが、眠れるジョーは昨年の選挙で史上最高の得票数をマークした大統領という設定である。
▽現実を写し出していたバイデン集会’20年10月(AP)
AP通信10月30ミルウォーキー集会のコピー.jpeg

ほんの数十分間でオセロのように大逆転する奇跡の勝利。時間帯別の集計では10万票以上をゲットし、トランプ側は0票という北朝鮮のヤラセ選挙以外では有り得ない“圧倒的な人気”を見せ付けた。

民主主義のルールでは、選挙を勝ち抜いたリーダーは民意の代表者だ。米大統領も例外ではない。指導者の失敗は選び出した有権者も責任を負うが、それは選挙が公正に行われた場合に限る。
▽墓場とも評されたバイデン就任式典会場1月18日(AFP)
AFP1月18日バイデン就任式会場.jpg

直近の世論調査でバイデンの支持率は急落、50%を割り込んだ。オバマを凌ぐ超絶人気の大統領は、たった半年で落ちぶれた。票を投じた有権者はメディアが宣伝した「高い評価」に騙されたのか?

全米席巻のバイデン・フィーバーも岩盤支持層も初めから無かったと考えると合理的だ。単なる反トランプ指向が、バイデンに勝利をもたらしたとする専門家の分析は、今でも納得がいかない。
▽撤退完了に伴う会見を終えたバイデン8月31日(ロイター)
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圧倒的な支持で選出されながら、弱さと脆さを露呈して各層から叩かれる現職大統領。この落差をどう説明するのか。選挙不正事件を陰謀論と切り捨てた主流メディアは、腕の見せ所だ。



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参照:
□ホワイトハウスHP8月16日『Remarks by President Biden on Afghanistan』
□Rev8月22日『Donald Trump Cullman, Alabama Rally Speech Transcript』

参考記事:
□Gateway Pundit8月15日『White House Posts Photo of Feeble Joe Biden Sitting Alone as Afghanistan Falls to Taliban – Outs Doha Station, CIA』
□産経新聞9月1日『バイデン氏「成功」に米国民冷淡 アフガン混乱で』
□日経新聞8月31日『米メディア、アフガン撤収「戦争の効用に疑問」』
□産経新聞8月27日『米メディア、バイデン大統領の責任を追及』
□ZAKZAK8月24日『来年秋の中間選挙、バイデン氏を待つ“厳しい審判” アフガン撤退にリベラル系メディアも批判』
□読売新聞8月19日『アフガン撤退巡りバイデン政権に批判集中…トランプ氏「米国に大きな恥もたらした」』
□ロイター8月23日『アフガン撤退は「完全降伏」、トランプ氏がバイデン氏糾弾』
□FNN8月16日『アフガニスタン政権の崩壊はバイデン大統領の「命取り」に? 1975年のサイゴン陥落を彷彿…歴史は繰り返すか』
□ロイター8月16日『米国務長官「サイゴン陥落と異なる」アフガン巡り反論』
□産経新聞8月23日『サイゴンより悲惨なカブール(古森義久)』
□産経新聞H30年1月4日『朝鮮半島危機 その時、邦人脱出の方策は…サイゴン陥落に見る計画外』
□BBC’20年3月2日『米とタリバンが撤退で合意 アフガン大統領「捕虜交換の約束ない」』
□日経新聞'20年2月29日『米とタリバン、アフガン和平合意に署名』

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