北京ジェノサイド五輪の苦界…消えたウイグル救済3法案

いかれた魔女は呪文を詠唱した。だが反CCP団体が訴える虐殺五輪の完全なるボイコットとは温度差が激しい。そして敵を履き違えた米議会でウイグル関連3法案は宙吊りのままだ。
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都内の一等地・代々木上原に大手アパレルチェーン会長の自宅がある。テニスコートとゴルフ練習場を備えた豪邸。衛星写真でも一際目立つ2,600坪の広大な敷地だ。
▽都内・渋谷区にあるユニクロ柳井会長の豪邸'17年(Flash)
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将来的に、この屋敷をそのまま東トルキスタン共和国の在京大使館にすれば良いのではないか。井の頭通りを挟んだ向かい側には、イスラム寺院の東京ジャーミイがある。

国内最大のモスクはアラブ系ではなくタタール系の聖職者を擁し、戦前に頭山満翁らの支援で誕生した。ウイグル人との関係も近く、今はトルコが管理している。我ながらグッドアイデアだ。
▽オスマン様式が美しい東京ジャーミイ(file)
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米CBP(税関・国境警備局)が5月10日に出した文書で、ユニクロ製シャツの輸入が差し止められていた事実が判明した。トランプ政権下の1月、サンフランシスコ港で摘発・押収された。

強制労働の代名詞となった“新疆綿”の混入だ。米国はウイグル人弾圧の主要な中共軍事組織XPCC(新疆建設生産兵団)を制裁対象に指定し、悪魔のコットン全面禁輸に踏み切った。
▽ユニクロ摘発に関する米CBP文書の一部
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ユニクロ側は抗弁したが、CBPは証拠不十分で退けた。生産者も製造工場も不明で、加工や処理関連の記録もなかったのだ。暗黒市場から来た綿製品。お粗末な限りである。

「我々は政治的には中立で、政治問題にはノーコメントだ」

4月の決算会見でユニクロの柳井会長は、そう嘯いた。だが、背後ではこの時“違法な新疆綿”の混入をめぐってCBP及び米国土安全保障省と緊張状態にあった。発言は致命的とも言える。
▽会見で居直った柳井会長4月8日(時事)
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この会見の翌日、仏NGO「シェルパ」は、ウイグル人強制労働の加担者としてユニクロを訴えた。パリ検察庁が受理するか不透明だが、刑事告訴である。企業倫理ではなく、人道上の罪が問われているのだ。

【元反中ウィッチの“優しい糾弾”】

「ジェノサイドが今も続く中、各国の首脳がチャイナに行けば、人権について語る道徳的な資格があるのかという疑問が生じる」

反トランプ思想に取り憑かれた北米最凶の魔女ナンシー・ペロシが、少しばり強硬な姿勢を示した。先進各国でボイコット運動が高まる北京虐殺五輪に関する発言だ。
▽両院ネット公聴会で発言するペロシ5月18日(英メール)
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「何の問題も無いかのようにチャイナで五輪を開くことは出来ない。それぞれの国で自国のアスリートを讃え、外交的ボイコットをしよう」

下院議長のペロシは、不当なトランプ弾劾劇に連なる米版文革の主導者だ。バイデンの認知症が伝染したとのかと驚く者も多いだろうが、魔女化する前は、名うての人権強硬派だった。

古くからのチベット支援者で、’08年の北京虐殺五輪ではブッシュ大統領の開会式欠席を絶叫した。その後、オバマ時代の北京詣を境に親中傾斜を強め、習近平とも睦まじい間柄となった。
▽黄熊を歓待するペロシら’15年9月(AP)
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野党では狂犬、与党ではお座敷犬の典型的な日和見サヨク。六四天安門事件30周年のDC式典で、戦車男像のお披露目役を任されることもあったが、ソウル・ジェムは濁り切っていた。
▽戦車男像お披露目に呼ばれたペロシ’19年(CTA)
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「目先の利益を気にする五輪の企業スポンサーが、チャイナの虐待から目を逸らしているのは悲しいことだ」

米大企業を含む五輪スポンサーへの言及は良いが、外交的ボイコットは、NYタイムズに寄稿した共和党ミット・ロムニー上院議員の受け売りに過ぎない。同議員は米五輪組織委のトップでもあった。
▽五輪組織委時代のミット・ロムニー(ロイター)
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「選手団と家族だけを派遣し、期間中に反体制派や少数民族をホワイトハウスに招く。中継権を持つNBCは開会式の替わりに人権弾圧に関するドキュメンタリー番組を流すべきだ」(3月15日付けNYT)

未だ根強いアスリート優先主義。そして開幕が9カ月後に迫る中での開催地変更は難しいとの見方である。大虐殺の歯止めになるか効果は疑問で、中途半端な妥協案の感は否めない。

【台湾国への軍事威嚇も忘れるな】

ペロシらが発言した超党派人権委の両院公聴会を前に、チベットやウイグルの支援団体は共同で声明を発表した。公聴会に影響を与えたとされるが、声明は「完全なるボイコット」を訴える内容だった。

「現時点で北京五輪に参加することは、ウイグル人に対する大量虐殺を支持し、全体主義政権の抑圧的な政策を正当化することに等しい」
▽収容所送りにされたウイグル男性’18年(Bitter Winter)
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痛烈だ。声明は、中共が’08年北京五輪前に約束した「人権状況の改善」を反故にしたと批判。抑圧される人々からの訴えを無視し、IOCは人命より金儲けを選んだと指摘する。

参照:BOYCOTT BEIJING 2022 

チベット・南モンゴルや香港での弾圧を併記し、支那国内でのCCPによる人権活動家・信仰コミュニティ・ジャーナリストへの攻撃を非難。同時に、台湾への軍事的な威嚇行為も挙げた。
▽威嚇飛行する中共軍H6爆撃機4月(台湾国防部)
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“平和の祭典”開催地に相応しくない理由は、眼に見え難い非人道的な組織犯罪だけではない。連日、爆撃機を台湾国に向けて飛ばし、艦隊で威嚇する…五輪開催を控え、準戦時状態を生み出しているのだ。

「競技場の直ぐ外でジェノサイドを行っているような国で、スポーツの国際親善イベントを開くのですか?」

声明を主導したチベット行動学会(Tibet Action Institute)のラドン・テトン代表は、そう問い掛ける。AP通信の独占取材に答えた彼女は、IOCと話し合う時間は終わったと語る。
▽講演活動中のテトン代表’19年(台湾英文紙)
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「これまで多くの人がIOCに働きかけ、抑圧の当事者が直接説明する機会もありました。けれどもIOCは、現実に起きた被害について全く興味がないことが判ったのです」

悲観的になるのも無理はない。彼女はSFT(Students for a Free Tibet )本部の元代表で、’07年には万里の長城に巨大横断幕を掲げて脚光を浴びた人物でもある。
▽激賞された「万里の長城」作戦’07年(SFT)
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13年前のボイコット運動でSFTは中心的な役割を果たす一方、壮絶な敗北を喫した。無関心な政治家よりも、喜んで参加する選手の姿に寧ろ絶望した。その体験を踏まえて声明は、こう呼び掛ける。

「国際社会は行動を始める時です。特にアスリートは、それぞれの立場を使って不正を阻む力を持っている良心の人々だと信じています」
▽開幕直後に北京CCTV本社も突撃’08年8月(AFP)
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テトン代表は、出場する選手を追い詰めた全ての責任はIOCにあるとも指摘する。「人命よりアスリート優先」は今や北京の主張で、取り合う必要もないが、両立させることは左程に難しくはない。

【眠れる議会のウイグル3法案】

「パンデミックで1年延期できたのなら、ジェノサイドを理由に1年延期することも可能だ。その間にIOCは虐殺のない国に開催地を変更する準備を整えればいい」
▽亡命チベット人とマクガバン議員’19年(CTA)
CTA19年チベ亡命者とマクガバン議員.jpeg

ペロシ発言のあった両院公聴会で民主党のマクガバン下院議員は、そう提案した。延期を前提にせずとも、長野やトリノなどは既存の施設を利用するだけで開催が可能だ。

もしIOC幹部が中共から賄賂を受け取っていないのであれば話は早く、直ぐにも開催地変更の作業に入るだろう。しかし、連中にウラ金を突き返す勇気はなく、利権優先主義は簡単に覆らない。

「北京五輪については同盟国や友好国との緊密な協議が必要だ」
▽会見するプライス報道官4月6日(TX)
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米国務省のプライス報道官は4月6日、ボイコットの可能性を含めて慎重に検討する姿勢を示した。急転直下の発言だったが、別の高官は具体的なボイコット協議を否定し、プライス自身も修正した。

バイデン政権に決断力はなく、大胆なアプローチなど期待できない。米議会も半年前と比べ、動きが鈍い。共和党のウォルツ議員らは2月15日、ボイコット及び開催地変更の決議案を下院に提出した。

「2020年の1年間だけでも CCP政権は五輪主催国としての資格に欠ける極悪な人権弾圧を行なった」
▽北京虐殺五輪2022の公式ロゴ(AP)
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IOCに強力なプレッシャーを与える内容だ。ところが、この決議案が下院で採択されたというニュースは、何時まで経っても届かない。上院に提出された同様の決議案も消息を絶ったままだ。

他の法案も似た状況である。昨年9月にはウイグル強制労働防止法案が下院を通過し、同10月には上院でジェノサイドを認定・宣言する決議案が提出された。しかし、何の音沙汰もなく半年以上が過ぎた。
▽アラル地方で綿を摘むウイグル男性’15年(AP)
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また米紙によると3月にウイグル強制労働開示法案(Uyghur Forced Labor Disclosure Act)が再提出されている。これが上場企業に対し、強制労働ゼロを証明する書類の提出を義務付ける法案だ。

ちなみに同法案はユニークかつ重要で、企業側の「強制労働とは無関係」という主張は意味を持たない。必要なのはゼロの証拠。ユニクロに対するCBPの措置は、この法案の主旨に沿ったものだった。
▽ウイグル産人毛製品を摘発するCBP職員’20年7月(AFP)
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いずれも強力なウイグル関連3法案。だが成立は遅れに遅れ、立ち消えの恐れすらある。我が国も同じだが、議員の仕事は脅し文句を言うことでもパフォーマンスでもなく、法律の整備だ。

トランプ弾劾で見せた怒涛のスピード審議は何だったのか。ペロシが吠えても中共は痛くも痒くもない。大統領府と上下両院を制したトリプル・ブルーの米国は、敵を履き違え、迷路を彷徨う。
▽プーとバッハに扮した抗議活動2月(GSTF)
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北京虐殺五輪ボイコット運動の展望は決して明るくはない。状況が劇的に変わらない限り、笑うのはバッハと習近平だ。



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参照:
□Tibet Action Institute 

参考記事:
□時事通信5月19日『米、ユニクロ製品を差し止め ウイグル問題で―反論を却下』
□ブルームバーグ5月19日『ファーストリテイリングの綿シャツ輸入差し止め解除要請、米税関が拒否』
□共同通信4月10日『仏NGO、ユニクロを告発 ウイグルの強制労働問題』
□ニューズウィーク4月20日『ウイグル問題で「人権」から逃げるユニクロの未来』
□Flash’18年1月2日『有名人の豪邸を勝手に見に行く(2)ユニクロ柳井正邸』
□Forbes’20年2月3日『柳井正の自宅とは? 約2600坪の広大な豪邸と、息子たちの華麗なる経歴』

□ロイター5月19日『ペロシ米下院議長、北京五輪巡り「外交的ボイコット」呼び掛け』
□ニューズウィーク5月18日『IOCは罪深い北京五輪を中止せよ──新疆や香港での人権抑圧を追認するな、と人権団体』
□AP通信5月17日『Exclusive: Full-blown boycott pushed for Beijing Olympics』
□日経新聞5月18日『人権団体、北京五輪ボイコット要請 ウイグル弾圧などで』
□Bitter Winter’19年6月11日『米国から天安門へ — 自由と正義は勝つ』
□チベット中央政権(CTA)HP’19年6月6日『Victims of Communism Memorial Foundation hosted Commemoration of Tiananmen Square Massacre at Washington Capitol Building』
□The HILL3月15日『Xinjiang forced labor complex is growing — President Biden should work with Congress to curb it』

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