骨抜き対中非難決議の元凶…南モンゴル加勢で布陣整う

チベット・東トルキスタンに続き、南モンゴルを支援する世界初の議連が誕生した。3ヵ国の人々が連帯する極東の先進国。だが国会の人権非難決議案は“親中の虫”によって無害化された。
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「私達は、かつて日本人とチベット人が自由・人権・民族自決権、そして五輪の精神を擁護し、中国の弾圧体制に対峙したこの長野の地で再び訴えます」
▽長野市内で行われたピースマーチ4月25日(産経YouTube)
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雄々しく翻る雪山獅子旗。周囲には青天牙月旗や南モンゴル、香港民主派の旗が風に揺れる。長野市内で4月25日、中共による全ての犠牲者を追悼するデモ行進が開かれた。

屈辱的な長野支那人騒擾事件から13年が経った。北京虐殺五輪に反対する有志が列島各地から結集。CCPが動員した不逞支那人の組織的な暴力に抗いながら、懸命に声を上げたことを生涯忘れない。
▽長野・支那人擾乱事件の直前シーンH20年4月(file)
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「あれから何も変わっていない。そればかりか、ウイグルや香港の弾圧は苛烈を極めている」

参加者の訴えは切実で、悲痛だ。あの当時、香港人が反中共の最前線に立つと予見した者は居ただろうか。多くのウイグル人は強制収容所に送られ、南モンゴル全土は伝統文化抹殺の最終段階に入った…
▽聖火拒否した善光寺に集合4月25日(楊海英氏Twitter)
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「再び北京での五輪開催を許せば、中国政府は国際社会が弾圧やジェノサイド政策を容認したものと見做すでしょう」(声明文)

追悼デモは北京冬季五輪のボイコットを直接呼び掛けるものではなかった。国際人権査察団の受け入れや、収容所からの解放などを開催の最低条件として掲げ、IOCや日本政府に決断を迫っている。

勿論、習近平が東トルキスタンの大虐殺を自白し、弾圧の手を緩めることはない。実質的に開催地変更を求めるもので、今春行われた北京五輪ボイコットの抗議活動としては世界最大規模だ。



この長野デモを現時点で海外の主要な通信社が報じていないことが悔やまれる。’09年のウイグル支援運動でも我が国は世界をリードした先進国である。

ただし、あくまでも草の根レベルで、政財界・主流メディアは無関係だった。相変わらず、親中派が幅を利かす後進国。その中、遅ればせながら永田町では小さな地殻変動が断続的に起き始めている。

【チベット議連に安倍前首相が登板】

「私も中国との首脳会談の折にはチベットの人々に対する人権状況の改善を呼びかけてきたが、残念ながら改善がなされていない」

安倍前首相は4月27日、挨拶でそう述べた。この日、国会内で開かれた「日本チベット国会議員連盟」の総会で、安倍前首相の顧問就任が決まった。
▽顧問に就任した安倍前首相の挨拶4月27日(CTA)
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今回の総会には、インドからガンデンポタン(チベット亡命政府)のロブサン・センゲ首相がオンラインで参加した。センゲ首相は任期満了で5月末に退任する。

「10年間、大変な労苦をされたことに敬意を申し上げる。私も既に総理を辞任しているが、一議員として議連の明様と共に国際社会と連携しながらチベットの状況改善に向けてに努力していきたい」
▽安倍前首相と対話するセンゲ首相:右4月27日(産経)
産経427日本チベット国会議員連盟の会合にオンラインで参加したチベット亡命政府のロブサン・センゲ首相(右)=27日午後.jpg

任期中は対中問題で保守層から不興を買うケースもあった安倍前首相だが、今後は自由な立場で取り組む模様だ。国際社会での圧倒的な知名度を生かし、影響力を存分に発揮して頂きたい。

ちなみに、この超党派チベット議連は、枝野幸男らが代表を務めた旧議連とは別で、トップは下村博文政調会長。4年前にダライ・ラマ14世法王猊下の衆院議員開館での講演を実現させたことでも知られる。
▽衆院議員会館で講演に臨む猊下H30年11月(CTA)
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「本日の対話は、チャイナの弾圧に苦しんでいる600万人のチベット人に向けて、日本は正義を貫くという強いメッセージを送った」

センゲ首相は感謝の意を示すと共に、11年前の出合いに思いをた。下村会長と山谷えり子議員、櫻井よしこ氏がインド北部のマクロードガンジを訪問。これが翌年のセンゲ首相初来日に繋がった。
▽初来日したセンゲ首相との会合H24年(CTA)
CTAA Japanese parliamentarian speaks on Tibet as Kalon Tripa Dr Lobsang Sangay listen at the Japanese Parliament on 4 April 2012.jpg

首相としての初の外遊先が我が国になったのだ。中共の妨害工作を跳ね除け、こじ開けた突破口だった。その思い出に浸る間も僅かに、センゲ首相はチベットの現状を訴える。

「僧院は破壊され、言葉は奪われ、50万人のチベット遊牧民が土地を追われた。労働収容所のような状態で、同化政策はチベットの文明そのものを脅かしている」

あらゆる種類の人権侵害が続くチベットはシリアと同じではないか、と問い掛ける。事態の改善を見ることなく任期切れを迎えたセンゲ首相の言葉には悔しさが滲む。

【防共回廊の同志76年ぶり“再会”】

「南モンゴルに於いてもモンゴル人の方々への弾圧が深刻化している」

チベット議連総会の約1週間前には、画期的な新議連が発足した。自民党有志が立ち上げた「南モンゴル議連」。世界初となる南モンゴル支援の議員連盟で、会長には高市早苗元総務相が選出された。
▽設立総会で挨拶する高市会長4月21日(時事)
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「南北モンゴルは同じ民族で、第二次世界大戦の結果、分断されて異なる国家に暮らすようになった」

分断国家との指摘も素晴らしいが、注目は議連名称に盛り込まれた国名だ。古くからの支援者は気付き難いが、これまで主流メディアに「南モンゴル」の文字が踊ることはなかった。

「中国共産党政府は『内政干渉』と批判するのが常だが、私は南モンゴルを巡る様々な事件は『国際問題』だと考えている」
▽弾圧部隊が展開する南蒙の学校’20年9月8日(AP)
AP通信9月8日通達しの学校のコピー.jpg

高市元総務相の指摘は、中共側の反撃を封じる際に極めて重要だ。旧チベット議連会長で法皇猊下からの信任も厚い牧野聖修元衆院議員が最近のエッセイで、こう解説していた。

「中国当局による『内政干渉』という用語の使用法には、国際法上の根拠は全く無い。そもそも国際法における『内政不干渉』の原則は、『自決権の尊重』と一体である」

内政不干渉の原則は、植民地の独立・宗主国の継続支配と深く関係している。一定の地域・異民族の自治権を奪い取った上で内政不干渉を主張することは、本来許されない矛盾した態度なのだ。
▽総会の高市会長と楊海英教授:左4月21日(View Point)
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「1945年8月に南モンゴルと日本が仕方なく別れた後、数十年ぶりに再び結ばれた友好関係の結果です」

南蒙・オルドス出身の楊海英教授は議連の発足を手放しで喜ぶ。楊教授は発足前の議員勉強会で講師を務めるなど下支えした人物だ。その講演は日蒙史も簡潔に纏められていて分かり易い。



「同地域(南蒙)は、歴史的に日本と特別な関係にあり、満州国時代を通じて日本型の近代化が定着したところで、南北ともにモンゴル人は親日的な民族です」

高市元総務相も触れているが、楊教授が著作で解き明かす戦前・戦中史は、南蒙における我が軍の「良き関与」がメーンだ。モンゴル人から見た防共回廊の実相で、自虐史観を覆す知的興奮に満ちている。

【骨抜き非難決議の腑抜け腰抜け】

チベット、東トルキスタンに南モンゴルを加えて勢揃いした議員連盟。各民族の在日有志や支援者の声を受け、進めているのが“対中人権非難決議”だ。だが、地殻変動に抗うかのような暗雲も立ち籠める。
▽超党派に発展したウイグル議連2月(産経)
産経2月超党派に発展改組したウイグル議員連盟の会合で、中国当局によるウイグルの人々への人権弾圧について報告する日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長(左)=10日.jpg

「ミャンマーを入れることで意義が薄まる。筋が違うのではないか」

南モンゴル議連の発足総会で異論が出た。今国会での採択を目指す人権非難決議から、肝心の「中国」が抜け落ち、代わりにビルマ(ミャンマー)を名指しする方向で最終調整が進んでいることが判った。

「深刻な人権侵害に象徴される力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識し、これを強く非難する」
▽ウイグル議連で発言する古屋会長R2年11月(産経)
産経2年11月18日日本ウイグル議連の総会で発言する古屋圭司会長。後方は日本ウイグル協会のメンバーら.jpg

決議案の文面は勇ましいが、人権侵害の主体を明記しなければ意味がない。宛先不明の手紙、即ち紙屑だ。産経新聞によれば作成に携わるウイグル議連の古屋圭司会長が突き上げを喰らったという。

「内心は『中国ふざけんな』だ。だが、自分の主張だけ唱えていたら何も進まない」

全会一致の“原則”に基づいて調整を進めた結果、骨抜きになった模様だ。複数の議連が作成にあたる中で、立民系の「人権外交議連」や公明党が北京の意向で妨害したとする見方は正しい。
▽立民系「人権外交議連」の会合4月15日(産経)
産経415日本ウイグル協会幹部からヒアリングした野党系の「『人権外交』を推進する議員連盟」=15日.jpg

「根拠に基づいて人権侵害を認定できる基礎がなければ、外交問題を招きかねない」

公明党の山口那津男が3月末の会見で真正面からウイグル弾圧に疑義を唱えた。世間の度肝を抜いたと言うより、納得させたのではないか。公明党は昔も今もCCPの日本支部である。
▽会見で暴言吐く公明の山口那津男3月30日(NHK)
NHK3月30日公明党・山口那津男代表=24日午後、首相官邸.png

深刻な問題は、こうした中共隷下の政治協商が与党に組み込まれ、閣議決定にも関与していることだ。そして二階俊博や野田聖子ら“親中の虫”が自民党上層部に巣食う。

山口発言は、命懸けの告発を続けるウイグル女性らを嘘吐き女呼ばわりしたに等しい。政治生命が一瞬で終わる大暴言だが、野党もメディアも軽く見逃す。
▽自民党幹事長室を牛耳る北京の飼い犬1月(産経)
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名指しを避けた人権非難決議案は、単なる妥協の産物ではない。国交樹立以来、或いはそれ以前から政体に中共の細胞を取り込んだ過ちに由来する。

悪性腫瘍は隅々まで広がり、既に薬物治療では対処できない。重要な器官、いずれかの四肢を失う大胆な外科手術が必要だ。自らメスを振るう覚悟が政治家にあるか。



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【side story】
産経の「骨抜き」報道に大きな衝撃を受けて失望する一方、一部議連の原案に国名明記よりも重要なセンテンスが含まれていることが分かりました。日本版ウイグル人権法に繋がるものですが、これが最終案まで生き残るかは不透明です。

参照:
□南モンゴルクリルタイHP4月25日『「中国共産党による弾圧犠牲者の追悼&Peace March for 2022Beijing Olomouc 」声明』
□高市早苗元総務相HP4月21日『南モンゴルを支援する議員連盟を設立』
□人権財団HP2月21日『ミャンマー軍事クーデターを糾弾する 中国の野望に絡め取られるミャンマー(牧野聖修)』

参考動画:
□YouTube4月22日チャンネル桜『【南モンゴル草原の風 #38】歴史的意義あり!南モンゴルを支援する議員連盟発足~設立総会の模様』

参考記事:
□産経新聞4月28日『“中国非難”の国会決議「全会一致」へ苦肉の策 人権改善を優先』
□産経新聞4月15日『ウイグル議連など6団体が連絡協再開へ 対中非難の決議調整で仕切り直し』
□産経新聞4月26日『ウイグル人やチベット人、僧侶が平和を祈ってデモ行進 長野市』
□産経新聞4月27日『チベット議連 亡命政府首相を退任するセンゲ氏を慰労』
□FNN4月28日『チベット議連顧問に安倍前首相 中国の人権侵害に対する非難決議の採択推進へ』
□ガンデンポタン(Central Tibetan Administration)HP4月27日『Japan Parliamentarians felicitate Sikyong Dr. Lobsang Sangay of Central Tibetan Administration』
□産経新聞4月21日『南モンゴル議連発足 高市会長「文化、歴史、倫理的価値守る」』
□View Point4月22日『南モンゴル支援で議連、自民有志設立』
□ZAKZAK4月23日『【有本香の以読制毒】自民党有志が「南モンゴル議連」を設立 自由、民主、人権をリードする大国として日本が立ち上がる』

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