キツネ狩りには遅すぎた…中共“密猟”工作の罠と網

狩人が狙われる側に回った。米FBIが中共の海外反体制派狩りで反転攻勢。欧州には不当拘束に加担する国、そして極東には悲劇が連鎖するアジア最大の“狩猟区”がある。
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「ニューヨーク市警や米軍にまで浸透していました。この事件は、中共スパイ活動の根深さと広さについて、警鐘を鳴らすものです」

NYクイーンズ地区に本部を置くチベット人協会(TCNYNJ)の関係者は9月22日、そう緊急会見で語った。協会内に中共のスパイが潜入し、情報収集と工作活動を行っていた事実が判明したのだ。
▽会見するTCNYNJ関係者9月22日(YouTube)
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逮捕された米国籍のチベット人バイマダジ・アンワンは、NY市警の現職警察官だった。FBIの逮捕発表に続き、司法省の次官補が声明を出す重大事件の発覚。NY市警の幹部は、こう語った。

「彼は全ての宣誓を破った。一つは合衆国、二つ目は米陸軍、三つ目はこの警察署だ」

アンワンは海兵隊員としてアフガンに派遣されている。帰還後の’14年、米陸軍予備役軍曹に就任。そこでは担当部門の機密にもタッチできる立場にあった。
▽摘発された潜入工作員アンワン(NYPD)
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検察当局によると、当時から中共統一戦線部との交流が確認されているという。そしてNY市警に移ってから情報交換が活発化。地元の様々なチベット人組織にも頻繁に出入りするようになった。

どの時点からFBIがアンワンをマークし始めたのか不明だが、チベット人協会側は昨春までに異変を嗅ぎ取っていた。中共総領事館HPに掲載されたイベント写真の中にアンワンの妻子の姿があったのだ。



大きな矛盾が浮かび上がった。アンワンは国際交流プログラムで米に入国した後、ビザの有効期限が切れると亡命を申請する。その時の言い分が“迫害”だった。

「自分はチベット人であることを理由にCCPと政府から度重なる拷問を受けてきた」

カバーストーリーである。アンワンの父親は中共軍人で、母親は政府高官。生粋のチベット人だが、中共に寝返った「民族の裏切り者」だ。そもそも迫害される少年が国際交流ビザで渡米できる訳がない。
▽表彰されるアンワン工作員’18年(NBC)
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またアンワンが拷問を受けた故郷に里帰りしていたことも判った。いかに以前は移民に寛容だったにせよ、余りにも杜撰だ。米国内に浸透した中共工作員を一掃する作業が数年単位で終わるとは思えない。

【中共キツネ狩り 真の“獲物”】

「今や、狩りをする側が狩られる側となり、追っ手が追われる側になった」

アンワン事件で強い警告を発した米司法省のジョン・デマーズ次官補が10月28日、再び緊急の記者会見を開いた。隣で見守るのは、FBIのレイ長官だ。
▽会見するデマーズ次官補ら10月28日(AFP)
AFP10月28日会見するデマーズ次官補ら.jpg

「8人の訴追によって、我々はチャイナが進めてきた『キツネ狩り』の試みを覆した」

この日、FBIは「キツネ狩り」に関わった5人を逮捕し、国外逃亡中の3人を手配したと発表した。中共がキツネ狩り作戦を開始してから5年、米国内で摘発対象となったのは今回が初めてだ。

キツネ狩り作戦は、腐敗撲滅キャンペーンの一環として習近平が推し進めたものだった。高飛びした汚職高官らを拘束し、本国で裁判にかけるとの名目だったが、実態は全く違った。
▽腐敗撲滅名目で粛清された周永康(共同)
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「多くの場合、ターゲットはCCPを率いる習氏に反対する人々だ。政敵や反体制派、そして習氏を批判した者たちだ」

あるキツネ狩りの対象者は、自宅に突然届いた小包で追われていることを知った。そこには帰国を強要するメモや映像が入っていて、拒否した際は、本国の家族に危険が及ぶと警告された。

送り付けられた映像の中に米国内で暮らす子供の隠し撮りが含まれるケースもあった。周辺に“狩人”が迫っている事実を晒し、精神的に追い詰めて行くのだ。
▽キツネ狩りで拘束された男性(WSJ)
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また住所が割り出せない場合は、メールやSNSなどオンラインで警告するという。その内容に関しては、レイ長官が7月にハドソン 研究所で行った講演で明かしていた。

「どんなメッセージを送ったのか? 対象者には2つの選択肢があった。速やかに本国に戻るか、それとも自殺するか…」
▽ハドソン研で講演するレイ長官7月(NBC)
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この時、レイ長官は、キツネ狩り作戦封じ込めを宣言。米国内に住む支那系市民に向け、中共当局者から脅迫を受けた者は、捜査機関に助けを求めるよう呼び掛けた。

今回の摘発劇は、反攻作戦が順調に推移している証拠となる。だが、中共キツネ狩り作戦の問題は、浸透した“狩人”による活発な動きではなく、外国政府が騙されて協力していることだ。

【不当拘束に加担する永世中立国】

ジュネーブの議会は10月31日、国内のキツネ狩りに歯止めをかける法案を可決した。スイス連邦は’15年にキツネ狩り作戦を支援する協定を中共と締結。その実態が、今年夏から問題視され始めた。

同協定は、中共情報機関幹部の入国を許可し、スイス国内にいる支那人の調査・尋問・送還を可能にしている。しかも全費用をスイス側が負担するという壮絶な内容だ。
▽首都ベルンで開催された首脳会談’17年(新華社)
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欧州の古い先進国が中共のエージェントに協力し、人権弾圧に手を染めていた…現地の法執行機関を通さず、支那本土に直接連行するという「送中法」のグロバール版である。

スイス紙によれば、キツネ狩り協定を結んでいる国は計64ヵ国だという。途上国が中心と考えられるが、中共側はこれまの作戦で数十万人身柄確保の“実績”を上げたと豪語する。
▽送還されたキツネ狩り対象者’15年(AP)
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中共キツネ狩り作戦は、開始当初から一部で議論が巻き起こった。ただし問題となったのは、捜査官を海外に派遣して容疑者を追跡する手法で、対象が反中共陣営に及ぶとは想定していなかった模様だ。

参照:ロイター2015年11月12日『焦点:中国の海外「キツネ狩り作戦」汚職官僚の追跡に変化』

それはICPO(国際刑事警察機構)総裁の座を中共が奪ったことが少なからず影響しているのではないか。中共公安部のエリート党員・孟宏偉のICPO総裁就任はキツネ狩り作戦開始の翌年だった。
▽ICPO総裁に就任した孟宏偉’16年(AP)
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孟宏偉はICPOの北京事務局時代から、国際逮捕状に次ぐレッド・ノーティス(赤手配書)を乱発。キツネ狩りにも流用し、外国政府や捜査機関を欺いていたと推定する。

ちなみに孟宏偉は’18年秋、一時帰国の際に収賄容疑で逮捕された。キツネ狩りの最高指揮官が、北京に呼び戻された上、檻の中のキツネになったというオチだ。
▽狩られた狐になった孟宏偉被告1月21日(中新網)
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ついでにパリに残された孟宏偉の妻は「夫の保護を怠った」として、ICPOをハーグ仲裁裁判所に提訴。中共幹部党員をトップに迎え入れた結果、逆に犯罪組織呼ばわりされる憂き目に遭った。

【アジア最大の“狩猟区”に暮らす】

我が国におけるキツネ狩り作戦が被害実態は不明だ。しかし、水際で阻止しているのではない。長年に渡り、アジア最大規模の“狩猟区”になっていることは確実である。

主なターゲットは中共植民地の出身者だ。東トルキスタンの強制収容所が発覚した当時、在日ウイグル人に“帰国命令”が相次ぎ、里帰りしたまま行方不明になった事例が複数判明している。

「君の行動は全部把握している」
▽家族との通話中に割り込んだ男(西日本新聞)
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テレビ電話越しに、見知らぬ支那人はそう言った。今年6月、首都圏で暮らす東トルキスタン出身のハリマト・ローズさんが、決意の告発を行った。

故郷に居る兄と通話中、1人の男が割り込む。提示した身分証には中共情報機関・国家安全部を意味する文字。そして中共当局に協力し、情報提供者になるよう勧誘してきたという。
▽男が提示した「国安」身分証6月(NHK)
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「協力すれば、君の家族に一切問題は起きない」

明かな脅迫だ。ハリマトさんは日本ウイグル協会の理事を務め、人権問題の活動していたことからマークされた。家族を人質にし、スパイになることを強要する暗黒な常套手段である。

「協力してもしなくても彼らは圧力を強めてくる。勇気を出して対抗するしかない」
▽中共の脅迫を告発したハリマトさん(産経)
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覚悟が必要な判断だ。ハリマトさんは通話記録を報道機関に提供。産経新聞など一部メディアで伝えられたが、東トルキスタン国内で暮らす兄や妹らの安否が懸念される。

少なくともFBIは反キツネ狩り宣言で、脅迫被害者の保護を約束した。故郷の家族までは救えないにせよ、米国内の被害者は守る。だが、我が国の場合は告発者を保護するプログラムが存在しない。
▽逮捕者ゼロの長野シナ人騒擾事件H20年4月(file)
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恐らく、浸透済みの中共エージェント数も桁違いに多い。身分の偽装を見抜く組織もなければ、取り締まる法体系もない。狩る側にとっては、この上なく安全な“狩猟区”だろう。

ハードルの高いスパイ防止法を議論する前に、日本版ウイグル人権法の整備が急がれる。同時に、チベット人など他の植民地出身者の救済も欠かせない。そして南モンゴルや香港…
▽白馬登場の南モンゴル支援デモin名古屋10月(Twitter)
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中共の狩人が狙う対象は年を逐って増えている。この凄惨な現実を直視すべきだ。事態は常に悪化し、改善の見通しは全くない。



最後まで読んで頂き有り難うございます
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参照:
□FBI公式サイト9月21日『New York City Police Department Officer Charged with Acting as an Illegal Agent of the People’s Republic of China』

参考記事:
□NBC9月22日『NYPD officer was secret Chinese agent, feds say』
□mashup NY9月21日『NY市警察に中国のスパイ。チベット人の活動報告』
□DailySun NY9月29日『チベット人コミュニティーに動揺走る NYPD警察官によるスパイ事件で』
□大紀元9月23日『NY市警のチベット出身警官、中国スパイ容疑で逮捕』
□AFP10月29日『米、中国の工作員5人を逮捕 反体制派標的の「キツネ狩り」に従事』
□大紀元10月29日『米当局、中国共産党の作戦「キツネ狩り」関与の8人を起訴』
□BBC10月29日『米FBI、「中国工作員」ら訴追 反体制派に帰国迫った疑い』
□大紀元11月2日『中国情報機関、留学生にスパイ行為を強要、国内の親族にも脅迫』
□西日本新聞10月19日『スパイ行為を要求、家族を“人質”に…在日ウイグルに中国の抑圧』
□産経新聞9月21日『中国当局、家族を人質にスパイ強要 在日ウイグル人が証言』
□NHK6月29日『国際報道2020:情報提供迫られる 在日ウイグル』

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