暴言妹・金与正が臨む戦陣…脱北者の査証なき惑星

北の暴言妹が爆破女にジョブチェンジ。平壌からの指令で文在寅が弾圧を目論む脱北者団体は当て馬だ。3代目が統帥権を失い、フェードアウトする中、軍による金与正の“襲名テスト”が始まった。
KCNA616朝鮮が爆破した開城にある南北共同連絡事務所2.png

「遠からず共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を目にするだろう」

3日前の6月13日に金与正が爆破を予告した時、どのくらいの人々が本気だと受け取っただろうか。毎度のヤルヤル詐欺で、途中でヘタれるに決まっている…

「見すぼらしい」
▽南鮮系ホテル解体を命じる金正恩’19年10月(KCNA)
KCNA19年10月北朝鮮・金剛山観光地区で、韓国側が運営したホテル(後方)を視察する金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信=共同).jpg

元気な金正恩が、そう吐き捨てて金剛山にある南鮮系ホテルの解体を命じたのは昨年10月のことだった。以来8ヵ月が経っても、ホテルは撤去されず、原形を留める。ヘタれ兄貴の脅し文句に過ぎなかった。

木っ端微塵となった南北共同連絡事務所は、’18年の「板門店宣言」に基づき、文在寅の訪朝に合わせて華々しく開設。南北融和ムードを象徴する箱物だった。
▽一瞬で倒壊した共同連絡事務所6月16日(KCNA)
KCNA616朝鮮が爆破した開城にある南北共同連絡事務所.jpg

事務所があった開城工業団地も太陽政策の置き土産だ。朝鮮労働党に外貨を捧げ、有事の際には管理職の南鮮人を人質に出来る一石二鳥の売国トラップ。大物親北派・金大中の狡猾さが光る。

名ばかりの南北交流施設から連絡事務所への格上げ後は、統一部次官が常駐する実質的な領事館と謳われた。だが、週1回の定例高官協議は実現せず、今年初めからは幽霊ビルと化していた。



建物の所有権は不明だが、建築・改装費を全額負担した南鮮の資産であることは確実だ。それが破壊されたのだ。個人が放火すれば罪に問われる一方で、国家意思による爆破は犯罪に該当しないのか…

「強い遺憾を表明する」

6月16日夕方に青瓦台が出した抗議声明は弱々しかった。命令した与正を名指しで非難することもない。朝鮮労働党ではなく、別の団体に罪を着せる気満々である。

【標的にされた脱北者団体の悲哀】

DMZに近い京畿道・坡州(パジュ)市に警察車両が集結し始めた。坡州は脱北者団体が風船を飛ばす際の拠点で、文在寅政権は一斉拘束を視野に入れ、警察を動員している模様だ。
▽坡州市に集結する警察車両6月12日(聯合)
12日、坡州の臨津閣に集まる警察バス=(聯合ニュース).png

「野獣にも劣る人間のクズ」

金与正は6月3日、脱北者を激しく罵り、南鮮側にビラ散布を防ぐよう命じる談話を発表。命令に従わない場合は、開城の事務所を「閉鎖」する可能性もあると警告した。
▽ソウルに招待された金与正ら'18年2月(青瓦台)
金永南・最高人民会議常任委員長(奥右)、金与正・党第1副部長(奥左)ら=2018年2月10日、韓国大統領府.png

「ビラ散布が周辺住民の生命・財産を脅かしている」

与正談話を受け、南鮮統一部は6月5日、そう主張した。恫喝してきた3代目妹には何も言い返さず、脱北者団体を非難したのだ。更に、関係2団体を刑事告発し、法人認可を取り消す方針を明らかにした。
▽脱北者狩りを求める平壌政治集会6月6日(KCNA)
集会で「人間のくずを八つ裂きにせよ」と脱北者団体を糾弾している(6日、平壌)=朝鮮中央通信.jpg

標的となったのは「自由北韓運動連合」と「クンセム」。風船に北体制批判のビラを付けて飛ばす活動は他にもキリスト教団体などが行っているが、文政権は、この2団体だけを狙い撃ちにしている。

刑事告発の容疑は南北交流協力法違反。「風船飛ばし」が政府の認可を必要とする物品搬出の条件を満たしていないという。ビラなどが付いた風船を飛ばす行為が「交易」に該当すると言い切ったのだ。
▽垂れ幕付きバルーンを飛ばす活動家'16年(共同)
共同16年横断幕付きの風船.jpg

また団体設立時の主旨に「風船飛ばし」が明記されていないこともアウトだと言う。ならば挺対協や現・性奴連の法人認可では、外国公館前のウィーン条約違反集会に関する記述があったのか。

文在寅が無視する尹美香や性奴連問題とは対照的だ。共に民主党側の意趣返しにも見えるが、2団体を弾圧するよう北から具体的な下達があったと考えられる。
▽板門店会談の正恩と在寅’18年4月(ロイター)
ロイター18年4月板門店会談.jpg

南鮮与党の機関紙は、板門店宣言を盾に「風船飛ばし」を糾弾する。宣言では、軍事境界線付近における拡声器放送とビラ散布を敵対行為と位置付け、中止を謳う。

内外の親北メディアが歴史的と絶賛した板門店宣言だが、表現の自由を奪う異様な一文が差し込まれていたのだ。NYに本部を置く国際人権団体は6月11日、声明で「恥ずべきこと」と痛烈に非難した。

「文大統領は、メッセージや物資を付けた風船を北に送る行為の全面禁止を提案するのではなく、言論の自由を尊重し、検閲をやめるよう北朝鮮に対して公式に求めるべきだ」
参照:AFP6月12日『HRWが韓国非難「北の脅しに平身低頭」、ビラ飛ばす脱北者団体の刑事告発で』
▽坡州市で物質き風船を飛ばす活動家’12年(AFP)
AFP坡州市で、北朝鮮政府を批判するビラを付けた風船を飛ばす韓国の活動家ら2012年10月29日.png

それでも文在寅政権は、金与正指令を忠実に実行する。機関紙によれば、坡州市を中心に800人規模の警官隊を派遣。一網打尽にする態勢を着々と整えている。

【“ドル箱工業団地”放棄の意味】

「統一部は“逆賊部”のようなものだ」

自由北韓運動連合の朴相学(パク・サンハク)代表は、態度を硬化させる。大型風船によるビラ散布プロジェクトは10年前に始まり、実績を積み重ねてきた。
▽会見する朴相学代表:中央6月8日(聯合)
連合n68自由北韓運動連合の代表、朴相学(パク・サンハク)氏(中央)が8日、国会で北朝鮮へのビラ散布などに関する記者会見.png

そして朝鮮戦争勃発70周年にあたる6月25日に向け、大規模な散布を予定する。この動きに対し、一部の“地元住民”が、カウンターの反対集会を組むという。

命懸けで北を離、辿り着いた南鮮で金体制批判を理由に叩かれる異常な現実。政府・与党、親北メディアが、国政に進出した2人の議員を含めて攻撃する。まるで脱北者狩りの様相である。
▽草創期のバルーンプロジェクト2010年(AP)
AP通信国から北朝鮮に向けて放たれる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を非難するチラシを付けた風船=2010年.jpg

大型風船では運ばれるのは、コメや米ドル札、映像が入ったUSBメモリなどだ。その中に“生野血統”の出自が示されていたことで、金与正が激怒したとも指摘される。

物語としては興味深いが、本当なのか…風船プロジェクトの戦術的効果と連絡事務所の爆破は、どうも釣り合わない。北が公開した画像を見ると、隣接する15階建てビルも外壁が吹き飛んでいる。
▽手前が南北共同連絡事務所ビル6月16日(KCNA)
KCNA616朝鮮が爆破した開城にある南北共同連絡事務所3.jpg

2009年に完成した総合支援センターだ。開城工業団地のランドマークで、進出企業の管理部門や銀行支店が入る。骨組みは残っているが、機能回復には大幅な改修が必要だろう。

虚仮威しの爆破パフォーマンスではない。金与正は、外貨稼ぎの“優等生”だった開城工業団地を放棄したのだ。脱北者憎しのヒステリーや生野バレの火病でないことは明らかである。
▽盛大だった連絡事務所の開所式'18年9月(共同)
共同18年9月14日開所式.jpg

「対話の窓を閉じないようお願いします」

与正の脅しに対して文在寅は爆破前日、ビデオ演説で訴えた。その翌日、本当に爆破するとは想定していなかったに違いない。哀願した文在寅は赤っ恥をかかされた。

文在寅が同じ日、平壌に特使を派遣する意向を伝えていたことが判明した。北宣伝機関が17日に暴露したのだが、南北の通信手段が全て断絶する中、どうやって北に公文を届けたのか?
▽ビデオ演説で哀願する文在寅6月15日(青瓦台)
文在寅大統領が今月15日、大統領府の忠武室で「6.15南北共同宣言」20周年記念式典の祝辞を映像を通じて伝えている大統領府提供.jpg

参照:日経新聞6月9日『北朝鮮、南北の通信連絡を完全遮断 批判ビラに報復』

文在寅は非公然の南北チャンネルを持っている。恐らく、そこでの問答が、北側を激怒させたのだ。元凶として名指しする脱北者団体は勿論、ダミーである。

【波乱含みの4代目襲名テスト】

「嫌悪感を禁じ得ない。弁明と責任回避ばかりの南当局の演説を聞くと、胸がムカムカする」

掲示板のレスっぽいが、金与正が6月17日付けで発出した公式談話である。奇妙なのは、極秘チャンネルを使った文在寅の特使派遣案は金正恩宛だったにも拘らず、妹が返答したことだ。
▽ソウルで観劇する金与正と文在寅’18年2月(ロイター)
スクリーンショット 2020-06-17 21.13.42.png

「怖気付いた犬が騒々しく吠える」「低能な思考で、青瓦台の行動と態度は3歳児と大きく変わらない」

3月の南向け談話も与正名義だった。対北マゾヒストの文在寅にとっては御褒美かも知れないが、与正の南向けコメントには、暴言キャラを際立たせる意図が潜む。北の暴言妹である。

与正は対南工作のフロント役と解釈されてきた。しかし、今回の談話でも「金正恩の意向」に全く触れなかった…首領宛ての通知に対し、軽くスルーして妹が答えるのは、やはり不自然だ。
▽ダブル偽物説もあるメーデーの兄妹(KCNA)
メーデーの与正ら.jpg

「次の対敵行動の行使権は軍総参謀部に委譲する」

前回の爆破予告談話に登場した表現も引っ掛かる。後続措置は人民軍総参謀部が主導すると言うのだ。これを受け、総参謀部は17日、開城と金剛山地区に部隊を進駐させる方針を明らかにした。

「統帥権という国家至高の大権を総参謀部に委譲するなど異常なことだ」
▽軍事パレードを観閲する金正恩’15年(KCNA)
KCNA15年パレード加熱.jpg

半島情勢にも精通する元陸将の福山隆氏は、驚きを隠せない。半年に及ぶ謎の沈黙と共に、金正恩「重篤・死亡説」を補強する重要な手掛かりになりそうだ。

北宣伝機関は6月8日、3代目の会議出席を伝えた。動静の発表は4月から現在まで僅か4回。最後の「軍視察報道」から既に2ヵ月以上が過ぎている。既に統帥権は金正恩の手の内にない…
▽党政治局会議に出席と宣伝6月8日公表(KCNA)
KCNA6月7日朝鮮労働党の政治局会議.jpeg

与正主導の実力行使について「権力移行期間」との指摘も出始めている。南鮮コルベット撃沈と延坪島砲撃が相次いだ2010年と似通っているのだ。当時は3代目への権力継承が急ピッチで進んでいた。

「移行期間」と言えば聞こえは良いが、実質的な「テスト期間」である。10年前、正恩は党軍事委の副委員長としてメリットのない対南軍事作戦を指揮し、軍の信頼を勝ち取ったとされる。
▽蜜月時代の与正と在寅'18年2月(青瓦台)
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今回の開城事務所爆破も、同じ動機と背景なのではないか。この仮説が正しければ、実力行使は1回では済まない。次は金剛山地区の破壊で、仕上げはNLL附近の海上だ。

その際、南鮮側に多くの死傷者が出ることを容認するのか、金与正の覚悟が試される。



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参考記事:
□JB Press6月16日『金与正の靴底を舐める韓国・文在寅大統領(福山隆)』
□中央日報6月17日『「爆弾を持った彼女」金与正氏、10年前の金正恩委員長の「跡継ぎ冊封」と似ていた』
□読売新聞6月17日『北が軍事挑発4計画…与正氏の提案暴露に韓国「前例のない非常識な行為」』
□産経新聞6月17日『北朝鮮軍、開城・金剛山に部隊展開へ「敵はやはり敵」』
□BBC6月16日『北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破=韓国統一省』
□聯合ニュース6月16日『板門店宣言の象徴だった南北連絡事務所 開所から21カ月で消滅』
□聯合ニュース6月16日『南北境界地域で緊張高まる 脱北者団体が北朝鮮批判ビラの散布予告』
□ロイター6月11日『韓国脱北者団体、北朝鮮向けビラ散布や人道支援続けると表明』

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この記事へのコメント

金 国鎮
2020年07月02日 16:40
北が南に軍事進攻しても兵器の補給ライン、食糧の補給ラインも確保できない。
核ミサイルは味方の軍には使えない。
通常兵器は韓国軍の装備に比べて格段に落ちる。
中国もロシアももうこれ以上の援助はしない。

韓国軍に千載一遇のチャンスが来る。
ムンジェインを払い、在韓米軍の手助けなしに鴨緑江まで
進撃できるだろう。
韓国は予備役を召集すれば数百万の戦闘要員を確保できるはずだ。