香港戒厳令Xデーが迫る…全方位強硬策に転じた習近平

中共の凶悪弾圧部隊が公然と香港に進軍する…突如始まった戒厳状態突入のカウントダウン。足元が揺らぐ習近平は、尖閣侵攻を含む全方位の対外強硬策に転じた。
AP通信524市街地に展開する機動隊.jpg

「香港の完全破壊が始まった。一国二制度の完全崩壊です」

民主の女神こと周庭さんは、そう警告した。自由・民主派の息の根を止める弾圧法制だ。衝撃は計り知れない。同じく若きリーダーの黄之鋒さんも危機感を強める。

「香港人の批判的な声を力と恐怖で黙らせる為のものだ」
▽香港中心部に結集した民主派5月24日(ロイター)
24日、香港の繁華街で「国家安全法」に反対するデモがあった=ロイター.jpg

中共指導部は民主勢力を一網打尽にする「国家安全法」の香港版導入を決定。開幕したニセ国会に合わせて内外に宣言した。ひどく唐突な大鉈の振り下ろし方だった。

「香港に中国共産党の秘密警察が進駐することになる」

5月23日付け蘋果日報は、そう報じた。昨夏からの民主派弾圧では香港警察部隊に中共の治安要員が派遣されていたが、今後は“合法的化”し、通常形態となる。密かに紛れ込むのではない。
▽繁華街を埋め尽くした民主派5月24日(AP)
AP通信524中心部に結集した民主派学生ら.jpg

習近平のハンコ捺しを待つだけの同法案には、中共の治安組織が香港に出先機関を設置できると規定。武警及び特警が、自前の装甲車両を持ち込み、香港の機動隊を直接指揮する布陣になるだろう。

チベットや東トルキスタン、南モンゴルと同じ惨状が香港に出現する。フロントに特殊装備を付けたデモ隊狩り専用の武警装甲車が、街頭の市民を挨拶代わりに轢き殺す。
▽フフホトに展開したデモ隊狩り装甲車’11年(SMHRIC)
2011年フフホトに展開するデモ隊狩り用装甲車5月29日(SMHRIC).jpg

国際社会がそうした光景を目の当たりにすることはない。香港メディアも規制され、大陸と同様の宣伝・広報機関に堕落する。民主派の主要紙や独立系ネットニュースも一巻の終わりだ。

国家安全も治安維持も幅広い解釈が可能で、中共の場合は反党的な言論すべてが、分離・独立煽動と判定され、悉く拘束対象。中共の指導に反対する者は国家反逆罪に該当するテロ予備軍扱いである。
▽デモ隊掃討で急派された機動隊5月24日(ロイター)
ロイター524展開する機動隊.png

「香港での『一国二制度』が危機に直面する」(5月22日共同通信)

そんな生温い指摘をしている段階ではない。同法の施行は、戒厳令の布告と同義だ。時期は8月頃と見込まれる。残れされた時間は無いに等しい。

【欧米も予測不能だった最悪の展開】

「香港の人々の意思を無視することは、チャイナ政府が香港に約束した高度な自治の死を告げる鐘になる」

米のポンペオ国務長官は5月22日の声明で強く批判し、再考を求めた。また英・豪・加3ヵ国の外相も共同声明を発表、香港の「高度の自治」を保証した英中連合宣言に触れ、深い憂慮を表明した。
▽再び中心部は催涙ガスに覆われた5月24日(BBC)
BBC524催涙ガスに包まれた中心部.jpg

「一国ニ制度の下、自由で開かれた香港が安定的に繁栄していくことが重要だ」

主要国に比べて茂木外相のコメントは弱々しく、何の牽制にもならない。法案段階であっても脊髄反射で非難すべき問題だが、与野党の議員からも目立った声は上がらない。

一方、米上院は直ちに制裁法案の検討に入った。「国安法」を主導した中共幹部や組織に制裁を科す内容で、提案者の1人で民主党のホーレン議員は、こう訴える。

「チャイナは残忍な取り締まりを行い、香港の政治的自由を侵食しようとする試みを繰り返してきた」
▽湾仔で機動隊に拘束される民主派5月24日(AFP)
AFP524湾仔でデモ隊を急襲.jpg

素早い動きだが、WSJ紙によると制裁法案は以前から策定が進められていたものだという。時系列が妙だ。香港版国家安全法の草案は、エセ国会開幕直前の5月21日に電撃発表された。

記事のアーカイブを辿ると、5月初めに不穏な動きがあった模様だ。中共当局が最近、香港政庁に対して「国家安全条例」の制定を要求しているといった内容である。

参照:WSJ5月1日『香港で高まる緊張、コロナ危機に乗じる中国 民主派を締め付け』
▽銅鑼湾で捕縛された民主派5月24日(AP)
AP通信524どうらわんで拘束された民主派.png

これは香港基本法23条で将来的な導入が謳われた法令だ。立法会は’03年に法制化を試みたが、50万人規模の反対デモを受け、頓挫した経緯がある。

今回、中共指が掲げた「国安法」は立法会を無視し、直接の統治を図るもので、全く意味合いが違う。また行政長官の林鄭月娥は4月、中共の介入を正当化する基本法の解釈を独断で変更した。

「中国政府の出先機関は香港事務への発言権を持っている」
▽ニセ国会で中共マンセーする林鄭月娥5月22日(AP)
AP通信522全人代でマンセーするラム.jpg

前震はあったのだ。同時に、民主派の重鎮や蘋果日報の創設者ら15人が違法集会に参加したとして一斉逮捕。武漢ウイルス禍を悪用して集会を禁じ、民主派勢力の封じ込めが進んでいた。

欧米先進国は予兆を見逃し、的確な対処が出来ず、後手に回った感が否めない。各国首脳らはパンデミック終息が見通せない中、習近平が強硬策に転じるとは予測していなかったのではないか?

【悪夢政権にも似た“尖閣封印”】

「強い憤りをもって断固抗議します。政府には武漢からウイルスを世界中に撒き散らした責任追及と合わせ、中国の『力による支配』を排除し、尖閣諸島・日本の主権を、断固守り抜くことを強く求めます」

自民党の長尾敬議員は5月12日の衆院本会議で、そう訴えた。今国会で尖閣問題が取り上げられたのは、この1回だけだ。安全保障上の重大な懸案を無視する議会に存在価値などない。
▽衆院本会議で発言する長尾議員5月12日(YouTube)
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5月8日、尖閣沖で操業中の我が国の漁船が、中共海警局の大型艦艇に追尾される事件が起きた。漁船員に被害はなかったが、中共艦艇は領海に侵入し、現場は緊張した状態に陥った。

報道各社はベタ記事で伝えた。一時的なトラブル扱いである。だが、佐藤正久元外務副大臣のリーク情報で、漁船を追尾した中共艦艇が5000㌧級だったことが判明。異様な実態が浮き彫りになる。
▽尖閣諸島(産経File)
産経ファイル沖縄県・尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島.jpg

問題は尖閣の海で起きた事柄が国民に可視化されていないことだ。佐藤元副大臣が告発するまで大型艦艇だった事実は明らかにされず、メディアは「中国海警局の船」と表現するだけだった。

海上保安庁は尖閣周辺の事案に関して海図と写真を公開していた。しかし、最近は巡視船が撮影した写真が全く出て来ない。国民の目が封じられた状態で、菅政権時代に逆戻りした印象だ。
▽微信で中共艦艇の動きを知る逆転現象
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追尾事件から約2週間となる5月20日、『正論』編集部が領海侵犯した中共大型艦艇の写真を公開した。八重山日報経由で、追尾された与那国町漁協所属の「瑞宝丸」船長から入手したものだという。
▽尖閣沖で漁船を威嚇する中共艦艇5月10日(月刊『正論』)
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艦首にナンバーが見える。ヘリ搭載可能の5000㌧級「海警2501」だ。30㍉機関砲を備えた「海警1304」は少し離れた位置に展開していた模様だが、小さな漁船を威嚇するには充分である。

「翌日9日から10日にかけても引き続き2隻が領海内を侵犯、3日連続の領海侵犯は異例で、領海内を航行していた約26時間という時間は過去2番目の長さであり…」

石垣市議会が安倍首相や関係閣僚らに送った意見書には、そう記される。海保によると今年4月までの接続水域侵入は381隻に上り、昨年同時期と比べて激増。領海侵犯も延べ28隻に達した。
▽領海侵犯・接続水域侵入の推移(海保HP)
海保データ4月まで.png

5月24日にも中共艦艇2隻の接続水域侵入が確認された。尖閣周辺での航行は41日連続。今年に入ってからは周辺海域出没に留まらず、領海侵犯が常態化しているのだ。

【薄氷の習近平勝利が戦雲を呼ぶ】

「日中間で意思疎通をこれから図っていきたい」

菅官房長官は5月22日の定例会見で、習近平の国賓来日に関して再調整する方針であることを示した。中止ではなく延期…まだ安倍政権は諦めていない。

漁船威嚇事件の投げやりな抗議も、海保現場画像の封印もプー来日を睨んだ配慮だ。香港をめぐる欧米の出遅れ批判は筋違いで、我が国の政府も習近平が強硬策に転じることを予測できなかった。
▽ニセ国会に登場した習近平と李克強5月22日(時事)
時事22日、北京の人民大会堂で開かれた全国人民代表大会(全人代)に出席する習近平国家主席(左)と李克強首相.jpg

習近平が、国賓来日どころか主席の地位すら危うかったのは3月末までだ。一部情報によれば、プーは王岐山・李克強ラインと鬩ぎ合い、主導権を奪われつつあったという。

プー失墜の試金石と見られたのは、王岐山の幼馴染みで大物財界人だった任志強(レン・ジチャン)の処遇だった。任志強は3月中旬、突如、消息不明となる。当局に拘束されたのだ。
▽紅二代でもある任志強’14年(NYT)
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「皇帝を名乗り続ける裸の道化師」

武漢ウイルス対策を巡り、任志強は名指しを避けながら習近平を批判した。毒舌と放言癖で知られる任志強であったが、この発言は許されず、ブチ切れたプーが問答無用で引っ捕らえる。

王岐山は即時釈放に向け、多方面に工作を仕掛けた。拘束を解けば、王陣営の勝ち確定だ。しかし「幼馴染みは負けフラグ」の法則は正しく、4月7日、当局が任志強拘束を公式発表するに至った。
▽北村滋NSS局長を迎える王岐山'19年12月(日経)
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習近平の逆転勝利劇である。ただし、王岐山や李克強が粛清ルートに入ったわけではなく、優勢を保ちながらも指導部内では火種が燻っている状態と推察する。それ故の強硬策連発だ。

3月19日、金門海域でスピードボートの群れが台湾国の巡視船に追突を繰り返す異様な事件が発生。4月2日には中共海警局の艦艇がベトナム漁船に体当たりして撃沈させた。



東シナ海から南シナ海にかけた広大な海域で、中共艦艇が従来とは異なる暴れ方をしているのだ。辛うじて死傷者は出なかったが、中共指導部内の混乱が長引けば、交戦を伴う深刻な事態も起こり得る。

既に香港の戒厳状態突入は確定的となった。中共治安部隊が公然と進駐するのは、北戴河会議の前か後か。その後、今秋にも習近平が香港弾圧を手土産に皇居を訪れることなど絶対に許さない。



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参照:
□海上保安庁HP『尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処』
□石垣市HP5月15日『中国公船による尖閣諸島領海への度重なる侵犯行為 及び与那国町漁協所属漁船への追尾に関する意見書(PDF)』

参考記事:
□The正論5月20日『【独自】尖閣で日本漁船追尾の中国公船の写真入手』
□日刊SPA5月16日『コロナパニックの隙を突いて日本の領海内で暴れまわる中国船』
□産経新聞5月24日『中国公船、日本の抗議後も尖閣領海で漁船追尾 今月上旬、領海外でも45キロ』
□時事通信5月16日『尖閣、挑発緩めぬ中国 軍艦並み、巨大公船も警戒―「グレーゾーン」対処課題』
□大紀元5月17日『石垣市議会、中国公船による尖閣侵犯と漁船追尾についての意見書 全会一致で可決』
□大紀元3月22日『台湾船に組織的に衝突する十数隻の中国漁船 「民兵」を疑う声』
□産経新聞4月11日『波紋呼ぶ中国船とベトナム漁船衝突事故 米比など抗議』

□HKFP5月24日『Hong Kong police fire tear gas as hundreds rally against national security law』
□時事通信5月24日『香港で反中デモ、警察が催涙弾 統制強化法に抗議―コロナ規制下、数千人参加』
□読売新聞5月23日『中国、反政府運動抑え込みへ直接介入…香港統制強化を審議』
□大紀元5月22日『香港国家安全法は「一国二制度の死」米上院、制裁案を提出』
□BBC5月22日『中国、香港に「国家安全法」導入か「香港の終わり」と民主派反発』
□時事通信5月23日『香港「一国二制度」骨抜き 例外規定適用し強行導入―中国』
□共同通信5月23日『香港、中国治安機関巡り不安拡大「秘密警察が進駐」と報道』

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この記事へのコメント

風来坊
2020年05月25日 11:56
アネモネさん ご無沙汰しておりますが、ブログはいつも拝見しております。
いつもながらの鋭い分析に感じ入っております。
「全方位」から叩かれてキンペーはかなり焦っているのでしょう。
その打開策として日本政府に国賓訪日を「ウン」と言わせたいのが見え見えです。
最近目に余る尖閣侵入はそのための脅しとみました