武漢ウイルス名付け親は中共…偽情報パンデミックの猛威

感染症と同時にディスインフォメーションも世界に拡がる。北京が仕掛け、米国が抗う情報戦の序章となった呼称問題。意外にも武漢ウイルスの命名者は中共党機関紙だった。
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「我々は緊密に連携している。大いに敬意を払っている」

トランプ大統領は3月27日、習近平との電話会談後、そうツイートした。米東部の感染拡大が重大な局面を迎える中、北京との緊張緩和を意図した発言とも日和った発言とも受け取れる。

「チャイナで起きたことなんだ。私は正直、チャイナに少し頭に来ている」
▽会見するトランプ大統領3月22日(AFP)
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3月22日の会見では、かなり立腹した様子だった。中共の初期対応ミスがパンデミックを招いたとする主張は、大統領個人の見解ではなく、米政府部内の共通認識になっている。

往々にして緊急首脳会談の中身が判明するのは人々が忘れた頃で、表向きと実情は全く逆だったりもする。奇妙なのは中共サイドも米国との「連携」に歓迎の意を示していることだ。明らかに建前である。
▽法案に署名するトランプ大統領3月26日(中央社)
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電話会談の前日、トランプ大統領は台湾国の外交的孤立を防ぐ「国際保護イニシアチブ法」に署名した。この画期的な新法に対し、習近平が悪態をつかなったことはあり得ない。

また同じく3月26日に2人はG20首脳テレビ会談で“同席”したばかりだった。マルチに続く不自然なバイ。首脳電話会談は、公式発表とは裏腹に中身の濃い緊迫したものだったに違いない。
▽G20首脳テレビ会談のモニタ画面(AFP)
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「イラン、ロシアやチャイナが偽情報を流布している。責任を逃れ、世界を混乱に陥れようとしている」

ポンペオ国務長官は3月30日、各国メディアの共同電話インタビューで、そう訴えた。米国務省が警戒する偽情報とは、中共が主導する“ウイルス米軍生物兵器説”だ。

【米インフル猛威報道“大洪水”の源流】

「恐らく米軍が武漢に持ち込んだのだろう。米国は透明性を!データを公表しろ!我々に説明しろ!」

中共外交部の副報道局長・趙立堅が3月12日に書き込んだツイートは、波紋を広げ、批判を招いた。もちろん中共指導部が仕掛けたプロパガンダだが、現職外交官の発言として一線を越えている。
▽挑発を続ける中共外交部の趙立堅3月(共同)
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「このような臆測は誰の役にも立たず、極めて有害だ」

趙立堅発言に対し、中共駐米大使の崔天凱は3月22日、批判的な立場を示した。穏健派と強硬派のコンビネーション芝居も定番の戦術だが、僅かながら中共外交当局の内紛の可能性を残す。

「米軍の持ち込み」とは、昨年10月に武漢で開かれた軍人ワールドゲームズを念頭に置くものだ。支那国内では趙立堅発言の前に、競技会での持ち込み説が広まっていたという。
▽武漢の新型コロナ対策演習’19年9月(湖北経視)
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習近平が駆け付けたワールドゲームズも武漢・天河空港で昨9月に実施された新型コロナウイルス対策軍事演習も、国際的には殆ど知られていない。その中、逆に宣伝することは悪手である。

趙立堅は謝罪も訂正もせず、今度は米国のインフルエンザ流行と武漢ウイルスの関連を示唆するツイートを投下。更に3月23日、中共の在仏大使館が公式アカウントで、こう書き飛ばす。

「昨年9月以降、米国のインフルエンザ死亡例2万件のうち何件が、新型コロナによるものだったのか?」
▽NYセントラルパークの仮設病院3月31日(AFP)
AFP米ニューヨークのセントラルパークに設置された新型コロナウイルス患者用の仮設病院3月31日.jpeg

雑な米軍生物兵器説と異なり、このインフル混在説は薄気味悪い。米国のインフル大流行情報は、1月末から急速に拡散されたが、NY在住の記者によると、日本国内限定の特異な現象だという。

「日本では複数のメディアが『米国ではインフルが猛威を振るっている』という報道をしていることが分かった」(2月19日付け日経ビジネス)
▽2月の米インフル感染グラフ:赤線が今年(日経)
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この時点でのエピカーブは流行開始が少し早いなど例年と似通っていた。大手メディアの「米インフル猛威報道」は武漢封鎖の直後からで、中共宣伝機関が直接・間接的に関わった疑いが拭えない。

朝鮮流の声高な政治キャンペーンとは違う。誰にも勘付かれることなく、静かにジワジワと広めていく…それも情報戦の基本だ。

【一線越えたバイオテロ説に激昂】

「チャイナは新型コロナに関する世界的な認識を覆そうと全面的な攻勢に出ている」

米国務省内で偽情報を取り扱う専門機関GECの責任者ガブリエル特使は、そう訴える。特使は3月上旬、上院外交委でロシアなどが反米プロパガンダの拡散に加担していると指摘した。

政府系のスプートニクやロシア・トゥデイの他にSNSを積極的に活用。ゲイツ財団のパンデミック防止啓蒙活動を叩き台に「米国産」という陰謀論を拡散した。開始時期は1月中旬だった。
▽イタリアに向かうロシア軍医療部隊3月22日(ロイター)
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「新型コロナは米国が開発した生物兵器ではないか」

ロシアの元狂犬ジリノフスキーがラジオ番組でそう話したのも1月のことだった。暴言男の言葉はスルー推奨だが、モスクワの政府高官も「ウイルスCIA作成説」を積極的に流している模様だ。
▽テヘランで続く消毒作業3月13日(AFP)
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「我々はバイオロジカルな戦いの最中にある。新型ウイルスは米国の生物兵器の可能性があり、まずチャイナで、そして世界に広がった」

イラン革命防衛隊司令官の発言である。死者が2000人を超え、中東地域で最も深刻な被害を受けるイランでは、副大統領ら政府高官やハメネイ師側近、高位聖職者や革命防衛隊にまで感染が広がった。

国家機能が一部麻痺する中、イラン現政権が矛先を米国に向けることは、予想通りでもある。しかしホワイトハウスにとって「バイオテロの主犯説」は絶対に看過できない。
▽G7会合後に会見するポンペオ長官3月25日(ロイター)
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「参加したすべての国が、実際に起きたことから目を逸らせる為に中国共産党がやっている偽情報活動を十分に承知している」

日本時間の3月25日深夜に開かれたG7外相電話会議後、ポンペオ長官は、そう語った。この外相会議はピッツバーグで開催される予定だったが、東部の感染拡大でネットワークに切り替えられた。

緊急対応とは言え、共同声明が出されなかったことは不自然だ。独シュピーゲル誌は、ポンペオ長官が「武漢ウイルス」の呼称使用に拘った為に調整が破綻したと報じたが、真偽は分からない。
▽G7会合で発言する茂木外相3月25日(日経)
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発生源に因んだ名称を忌避する主張も、真犯人を曖昧にする中共のプロパガンダに添ったものだ。その中、武漢ウイルスの意外な名付け親が浮上。命名した時期も世界最速だった。

【武漢ウイルス“誕生日”は1月19日】

武漢ウイルスの呼称について、海外のSNS上で興味深い指摘がなされた。中共機関紙「環球時報」が早い時期に「Wuhan virus」と表記していたという。1月19日付けの英文ウェブ版記事だ。

「Wuhan virus preventable, controllable(武漢ウイルスは予防可能、制御可能)」

「preventable」は「防げる・避けられる」といった意味の形容詞だ。「武漢のウイルス」とも解釈できるが、その場合は「virus in Wuhan」が相応しいだろう。
▽中共機関紙「環球時報」1月19日付けWEB記事
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「The Wuhan coronavirus-related cases have been confirmed in Thailand and Japan.(武漢コロナウイルスに関連する症例はタイや日本でも確認されている)」

見出しの他に、記事の後半ではご丁寧に定冠詞を付けた「武漢コロナウイルス」も登場する。文脈上、前に1度出てきた名詞に「the」を冠するケースに相当し、強調する意味ではない。

「The Wuhan virus also coincides with peak season for regular flu and pneumonia.(また武漢ウイルスは、通常のインフルエンザや肺炎のピークシーズンと重なっている)」
参照:環球時報1月19日『Wuhan virus preventable, controllable: commission』

自力翻訳も英語解説も微妙な気がする…何しろ筆者は、アムネスティ日本が全面支援する人物の「外国人おもてなし挨拶」が、さっぱり理解できないようなレベルの英語力だ。
▽訪日外国人に挨拶する山城博治(file)
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1月19日以前に中共党機関紙が「武漢ウイルス」の呼称を用いていたのか、簡易検索では発見できなかった。それでも世界最速は確実で、この記事は呼称問題でWHOネームを強要する勢力へのカウンターとして使える。

「地名言及で特定の国籍、人種に対する差別を助長しかねないとの批判も出ている」(3月10日付け東京新聞)

「サベツ」連呼での言葉狩りは反日陣営の常套手段だが、残念ながら名付け親は中共の党機関紙だ。中共は当初、各地の感染爆発を隠し、武漢及び湖北を唯一のアウトブレイク地域と位置付けていた。
▽武漢激励の夜間ライトアップ1月(新華社)
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武漢ウイルスや武漢肺炎といった呼称に対する脊髄反射的な批判は、親中派や中共プロパガン協力者を炙り出す精度抜群の検査器だ。ただし、ウイルスの呼称問題は入り口に過ぎない。

「米国のシステムは効率性において中国のシステムに遠く及ばない」(環球時報)

欧米での感染が拡大する中、中共は自由主義体制の脆さを強調し、強権・監視体制の優位性を説くプロパガンダを振り撒き始めた。イタリアの惨禍に前後して散見されるようになった奇怪なロジックだ。
▽ミラノ入りしたキューバ医療派遣団3月22日(ロイター)
ロイター緊急支援のため一足先にイタリアのミラノに到着したキューバの医療チーム(3月22日).jpg

中共に加えキューバも「援助する側の国」として伊北部に専門家チームを派遣した。米国の学者は「消防士の振りをする放火犯」と巧みに比喩したが、座布団1枚贈呈している場合ではない。

武漢肺炎パンデミック収束後の世界を見据えた時、中共が国際社会でどのような地位を占めるのか…この1月に始まった情報戦の結末が全てを左右する。先は長く、ゴールは遠く、楽観も油断も許されない。



最後まで読んで頂き有り難うございます
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参照:
外務省HP3月26日『G20首脳テレビ会議 首脳宣言(PDF)』

参考記事:
□JB Press4月1日『「消防士のふりをする放火犯」中国に米国が怒り心頭(古森義久)』
□ロイター3月21日『コラム:新型コロナの裏で拡大する情報戦、国際関係に新たな緊張』
□ViewPoint3月18日『新型コロナで中露が反米プロパガンダ』
□JB Press3月19日『中国が「犯人は米国」、勃発した新型コロナ情報戦(福島香織)』
□東京新聞(共同)3月10日『米中、ウイルスの呼称で攻防 発生地強調「差別的」と批判も』
□CNN3月26日『新型コロナ封じ込め、独裁は民主主義にまさるのか』
□時事通信(フォーサイト)3月15日『「ウイルスは米軍のせい」「主席に感謝せよ」習近平の「焦燥」』
□日経ビジネス2月22日『「米国ではコロナよりインフル猛威」のウソとホント』
□日刊ゲンダイ2月5日『米国は“殺人インフル”パンデミック状態 すでに死者2.5万人』
□AFP3月24日『新型コロナ発生源は「米国」、在仏中国大使館が示唆』
□日経新聞3月30日『米国務長官、「中国が偽情報流布」と批判』

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