中共スパイ事件のレゾナンス…国賓問題が晒す浸透工作

豪州で投降した“中共スパイ”の証言が台湾国で波紋を広げる。政界・メディアを覆う幅広い工作…それは、習近平の国賓来日問題を安倍政権叩きに活用しない反日勢力の正体をも暴き出す。
9.jpg

雨傘運動の挫折から1年が過ぎようとしていた頃、香港でショッキングな事件が起きた。振り返ると、その衝撃が今年の反送中デモ拡大の下地となり、大きな影響を与えた可能性がある。

中共批判の書籍を幅広く取り扱っていた老舗書店の関係者が、アジア各地で一斉に拉致・拘束される…2015年10月に発生した銅鑼湾書店事件だ。4年が経った今、拉致に関与したと自白する人物が現れた。

「ゴシップ色の強い習近平の暴露本を販売したことが北京の逆鱗に触れ、書店を取り潰す直接の引き金となった」
▽元中共スパイと明かした王立強(BBC)
元中共スパイと明かす王立強.jpg

犯行を自供した人物は、オーストラリア渡航中の支那人・王立強。ASIO(豪安保情報機関)に中共のスパイであることを申し出た後、11月23日、地元メディアに登場し、数々の工作を明らかにした。

銅鑼湾書店事件では株主を香港から本土に連行する役割を担ったという。この事件は、タイのリゾート地に居たオーナーや深圳訪問中のマネージャーをほぼ同時に拉致するなど大掛かりなものだった。
▽今も看板だけ残る銅鑼湾書店9月(FNN)
FNN19年9月銅鑼湾書店は香港島の繁華街の雑居ビルの2階にあった 今も看板が残る.jpeg

王立強によると、事件は香港市民に恐怖を植え付ける目的があったと言う。書店を丸ごと潰し、関係者を軒並み拘束する徹底した弾圧だ。だたし狙いとは裏腹に香港人の中共不信を高める結果となった。

「学生と意見を交わし、愛国心と党指導者への愛について語り、香港独立を指向する者たちへの反論を行ってきた」

王立強が関わった香港工作の中心は大学だった。本土資本の偽装慈善団体を使い中共の指導要領を広めたと語る。これも逆効果を生んでいる。どうにも暴露話には微妙な香りが漂う。
▽香港中文大の攻防11月12日(NYT)
NYT1112キャンパスのコピー.jpg

だが同時期に、中共が子飼いの支那人移民を連邦議会に立候補させる浸透工作が発覚。王立強の証言はオーストラリア社会に波紋を広げた。更に、台湾国に飛び火する。

【“韓流ブーム”の仕掛け人たち】

「台湾を守れ」「無能市長は辞めろ」

台湾国南部に主要都市・高雄市中心部にシュプレヒコールが響いた。市長・韓国瑜(かん・こくゆ)の辞任を求めるデモは、主催者発表で50万人を超えた。本物の“嫌韓デモ”だ。
▽韓国瑜辞任を求める大規模抗議12月21日(時事)
時事台湾総統選に出馬している韓国瑜・高雄市長の罷免を求める市民の集会=21日午後、台湾・高雄.jpg

一時は旋風を巻き起こした韓国瑜だが、就任から僅か半年で総統選への立候補を表明。市政投げ出し批判も気に掛けず、10月から市長職を休職している。

年明け早々の台湾国総統選は、各種世論調査で現職の優位が続く。媚中姿勢を隠さない韓国瑜は、香港情勢とリンクして低迷を始めていたが、そこに王立強がダメを押した。

「高雄市長候補の韓国瑜陣営に2000万元(3億円超)を渡して“韓流ブーム”を巻き起こし、その効果もあって初出馬初当選を果たした」
▽泡沫候補から大躍進した韓国瑜18年11月(産経)
産経18年11月22日、台湾・高雄市長選の韓国瑜候補.jpg

民進党の牙城である高雄市。そこで韓国瑜なる男が当選を決めたことは、ここ1年の地方選で最も不愉快だった。市民の投票行動を左右した異様な“韓流ブーム”の謎が王立強の証言で解けた気もする。

「中国共産党のカネを1台湾元でも受け取っていたら、出馬を取りやめる」

韓国瑜は慌てて否定したが、台湾国総統府は昨年の統一地方選に関して情報機関が調査を始めたとの声明を発表した。もっとも王立強の提供情報が現段階で「精度が高い」と断定した訳ではない模様だ。
▽中共の香港出先機関を詣でる韓国瑜3月(中央社)
中央社3月中連弁の王志民主任(右)と握手をする韓国瑜高雄市長=中連弁ホームページから.jpeg

「スポンサーが報道を左右し、中共が支持する候補者が有利になるよう操作した」

王立強は、中共による一部台湾メディアの印象操作を告発する。「中国時報」などを傘下に持つ食品大手の旺旺グループが黒幕だと指摘するが、これも既報でスクープ証言とは言えない。
参照:大紀元7月20日『英FT紙「中国が台湾メディアの報道に介入」 台湾政府が調査へ』
▽台湾を赤色で統一した傘下の『旺報』(毎日)
スクリーンショット 2019-12-24 1.23.40.png

韓国瑜の量的な偏向報道については、既に放送事業者を監督する部門が問題を指摘し、罰金を科している。『旺報』が台湾を大陸と同じ赤で示し、炎上したのは2年前のことだ。概ね、隠す気がない。

【グレイゾーンの使い捨て協力者】

「もうこれ以上、私は民主と自由を破壊する工作に加担することを望まず、新たな任務を放棄した」

王立強は11月24日、オーストラリアの報道番組にインタビュー出演し、自供の経緯などを語った。中共工作員が組織離脱直後に素顔でメディアに登場したケースは前例がない。



「中共政権70年の歴史の中で最も深刻なスパイ情報の漏えいだ」

米国の支那ウォッチャーは、興奮して語る。しかし、王立強の地下活動に疑問を投げ掛ける専門家も少なくない。年齢も20代半ばと若く、諜報機関のエリートたる要素に欠く。

福建の一般共産党員の家庭に生まれた王立強は、大学では油絵を専攻。その後、思想傾向などを洗う諜報組織特有の審査を経て、香港の上場企業CIIL(中国創新投資)で工作活動に従事する。
▽報道番組で熱く語る王立強(60 Minutes)
5de3ad19a310cf3e97a9598d.jpeg

CIILは中共軍の旧総参謀部直轄で、香港工作の中核を担っていたという。この暗黒ダミー企業に関する裏情報は具体的だが、その他は曖昧な点が多い。

「国際通念上、王立強のような人物は普通スパイとは言わない」

支那問題の若き大御所・福島香織さんは「情報周辺者」と分析する。諜報機関の協力者だ。豪当局も訓練されたプロではなく、組織の周辺にいる「ビットプレーヤー(端役)」と見ている。
▽番組では妻子の後ろ姿も撮影許可(60 Minutes)
スクリーンショット 2019-12-25 0.23.18.png

台湾国当局も王が本物のスパイだったのか「疑わしい」と見ているが、証言内容は虚偽と決め付けていない。豪当局に提供した資料は分析中で、精巧な偽造パスポートの出所も判っていない。
▽王立強が所持する南鮮パスポート(Twitter)
liqiang1.jpg

台湾にとっては、韓国瑜陣営に対する中共支援は放置できない巨大な疑惑だ。政権与党は中共の選挙介入を警戒し、「反浸透法案」の成立を急ぐ。豪州も政界浸透工作を重く見る。

豪のモリソン首相は12月2日、外国の内政干渉を捜査する特別プロジェクトの設置を発表した。これは王の告発ではなく、連邦議会への中共子飼い立候補に関連した緊急措置である。
▽対中強硬姿勢強めるモリソン首相12月10日(時事)
時事12月10日モリソン首相.jpg

「外国による選挙介入のリスクは世界的な現象だ」

ニュージーランドの法相は名指しを避けつつも強い警戒感を露わにする。NZ議会は12月3日、外国人献金の規制を強化する改正選挙法を可決。同国では昨年、中共絡みの献金スキャンダルが野党を襲った。

米国を含め、先進各国では外国勢力による選挙介入が重要な政治テーマとして浮上している。その中、強烈な浸透工作を受けながら、無関心を装う国家が極東にある。

【政界浸透の日本モデルを移入】

「国際社会から高い関心が集まっている南シナ海、また香港情勢や新疆ウイグル自治区における人権状況について話し合いました」
▽会談後の会見に臨む安倍首相12月24日(時事)
時事安倍晋三首相は24日、中国四川省成都市で内外記者会見に臨み.jpg

安倍首相は12月24日、日支南サミット後の会見で尖閣を含む懸案事項に触れたことを明らかにした。最も低いハードルを越えた程度で、注目される習近平の国賓来日問題は、後退した。

「日中両国はアジアや世界の平和と繁栄に対する大きな責任を有しており、その責任を果たす意思を明確に内外に示す機会だ」

“国賓問題”の存在を認めて質問したのは読売の官邸番だ。問題視するメディアは一部に限られ、反対論を唱える議員は自民党内の少数に過ぎない。そこに我が国への根深い浸透工作を見出す。
▽国賓反対を申し出た自民有志議員11月(産経)
産経提言書を渡す青山繁晴表幹事(同左)ら日本の尊厳と国益を護る会の自民党議員11月19日.jpg

先日、閉幕した異常なサクラ狂い咲き国会。目下、安倍政権のウィークポイントが、国賓問題にあることは明白だった。「人権」をタテに手順を踏んで攻め込めば野党側に勝機はあった。

しかし、野党は追及する構えすら見せなかった。それは政権打倒に社運を賭ける捏造紙など反日メディアも同様だ。反社会的勢力より反人類的独裁国家が何万倍も危険であることは子供にも分かる。
▽北京で開かれた日支首脳会談12月23日(共同)
会談する安倍首相(右端)と中国の習近平国家主席(左端)=23日、北京の人民大会堂(共同).jpg

豪州など中共の選挙介入に対する強い警戒心は、喫緊の課題として理解する一方、今更感も漂う。中共は自民党内の親中派を養育し、北京の為に永田町で働く議員を続々と誕生させた。

旧ソ連とは異なり、中共からの秘密資金援助が物証付きで発覚した事例はない。だが、我が国では最大野党のトップが野戦軍司令官を名乗り、中共党機関紙の定期講読を自慢する…
▽人民日報愛読を公言する謝(新華社)
祝辞を代読する蓮舫首相補佐官新華社2011年8月22日.png

我が国は豪や台湾国の法整備を参考にすると同時に再認識すべきだ。中共の選挙介入は、まず我が国で実践され、成功体験として他国に持ち込まれた。メディア工作も同様の“日本浸透モデル”だ。

「そのテレビ局は毎年、工作費として5000万元(約7億7000万円)の資金を中国共産党から得ている」

王立強は香港のテレビ局幹部2人の正体は中共軍の少将と大佐であるとも語った。同じ香港の鳳凰衛視や文匯報など親中派メディアの幹部は、ほぼ全員が中共の情報工作員だと指摘する。
▽メディア浸透工作も暴露した王立強(大紀元)
大紀元 王立強.jpg

これも果たして驚くに値する情報か否か判定に迷う。我が国では唯一の公共放送が親中派の筆頭に君臨し、5大全国紙の過半数も制されているのだ。絶望的な汚染レベルに改めて目が眩む。

メディア工作は、ヴェノナ文書が明らかにしている通り、古くからある手法で、基本中の基本とも言える。対して米国で言うパンダ・ハガー、親中派議員の育成シミュレーションは新しい謀略だ。
▽ポスト加藤紘一は与野党に居る…(file)
共同h12年加藤紘一と育成中の親中議員.jpg

中共は大衆煽動能力を失った各国のミニ共産党など相手にしない。保守・極左系を問わず、巧妙にベールを被せて育成に励む。地方議員を含めれば最早、対処不能の劣悪な状況だろう。

圧倒多数の与党がスパイ防止法案の提出に怯む工作員天国。インテリジェンスを軽視し続けた戦後のツケが次の世代に重くのし掛かる。




最後まで読んで頂き有り難うございます
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発となります

banner1

参考記事:
□JB Press12月5日『世界を揺るがす自称「中国共産党スパイ」の大暴露』
□文春オンライン12月3日『「今年5月まで中国共産党のスパイだった」――世界で波紋を呼ぶ27歳の“告白”は、どこまで真実なのか』
□ニューズウィーク12月2日『中国が台湾総統選に干渉──元スパイの告白で「メディア操作」疑惑も浮上』
□産経新聞11月23日『中国の元スパイ、豪州に亡命希望 香港、台湾で工作と証言の報道』
□大紀元11月25日『豪に中共スパイが亡命 諜報工作を暴露 専門家「70年来の最大の情報漏えい」』
□ FNN12月8日『豪へ亡命希望の中国人スパイは“無職の逃亡者”? 中国による国際的な諜報活動を暴露』
□日経新聞11月25日『中国スパイ、擁立画策か 豪、3月に遺体で発見』
□AFP11月25日『「スパイを豪連邦議員に」 中国の試みを捜査 オーストラリア』
□ロイター12月3日『ニュージーランド、外国からの政治献金を厳格規制へ』
□ブルームバーグ11月26日『中国が豪州で工作活動との報道相次ぐ-両国間の緊張高まる』
□日経新聞12月6日『中国の選挙介入疑惑、防衛策へ法整備 台湾、NZなど』

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 10

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント