“絶望監獄”は香港を目指す…ウイグル弾圧巡るNYの熱戦

中共代表団が悪夢に魘されたNY行脚。米国は東トルキスタンの監視網潰しでも攻勢をかける。そして香港の有志はウイグル人との共闘を誓う。“絶望監獄”は遠い砂漠のフィクションではない。
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不当に拘束されたウイグル人被害者の隠し撮り映像が公開された。目隠しの上、後ろ手に手錠を嵌められたウイグル人男性。頭髪も髭も剃り落とされ、気力なく中共治安部隊に従って歩かされる…

東トルキスタン“絶望監獄”の実態を映し出すショッキングな映像だ。場所は同国中央部のコルラ市。正確な日時は不明だが、周辺環境の解析から昨年の春から夏頃と見られる。
▽鉄道駅横の広場に連行されたウイグル人(YouTube)
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拘束者が着せられた青紫やオレンジのベストには「カシュガル拘置所」と書かれているという。完全武装で周囲に配置されるのは特別警察で、SWATの英語表記もある。

「私達の目的は恐怖と戦うことです。今日の社会の人々は、常に高度な技術を備えた政府の監督の下で暮らし、自由を失っています」



映像の撮影者とされる人物は、そう訴える。この隠し撮り映像は9月中旬、YouTubeにアップされた。投稿者名は「War on Fear」。動画の説明文は中文と英文で、民族・国籍などは判らない。

画質がやや粗いが、モバイルの付属カメラではない。映像の左上に「DJI」のマークが確認できる。即ち、支那大手メーカーのドローンによる撮影。強い意思をもって隠し撮りを決行したのだ。
▽連行されるウイグル人の周囲に多数の武装警官(YouTube)
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動画アップを受け、欧米のメディアは専門家の分析を交えて報道。一瞬だけ映り込む駅舎の特徴などからコルラ西貨物駅と割り出し、映像が本物であるとのお墨付きを与えた。

コルラ市は、強制収容所の実態が明らかになった昨年2月の時点で、大規模な施設が4カ所建設されていた。カシュガル周辺で拘束されたウイグル人市民が、ここの監獄に閉じ込めらたと見られる。
▽コルラ市の巨大な強制収容所’18年(ロイター)
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東西交易が盛んだった時代、コルラはシルクロードの美しいオアシスの街として名を馳せたが、今や監獄だらけの絶望都市に変わり果てた。これが習近平がゴリ押しする「一帯一路」の現実だ。

【狙いはオーウェリアンの綻び】

「チャイナ政府は自治区で住民らの大量拘束と強制収容、先端技術を使った住民監視を実施し、文化・宗教面での表現の自由を過酷に統制している」

米国のポンペオ国務長官は10月8日、ウイグル人弾圧に関与した中共当局者・党幹部らに対するビザ発給制限を発表した。家族も対象に含まれることから従来のペルソナノングラータよりも重い規制だ。
▽カシュガルの集落にある監視カメラ’18年(毎日)
毎日18年2月カシュガルのカメラ.png

このビザ制限は、米商務省が先に発表した禁輸措置を補完するものだという。商務省は7日、中共の出先機関と監視機器メーカーなど8社をブラックリストに載せた。

「ウイグル人やカザフ族、その他のイスラム教系少数民族に対する抑圧や大規模な恣意的拘束、ハイテク監視技術に関わっている」

商務省の説明によると禁輸措置を受けた8社は、顔認証技術に特化した企業だ。その中にはバイデン前副大統領の息子と関わりが深いメグヴィー社も含まれる。
▽北京詣でするバイデン親子’13年(EPA)
ジョー・バイデン前米副大統領(右)と息子のハンター・バイデン氏(左)=2013年12月、北京(EPA時事).jpg

バイデンJrが取締役を務める支那の投資ファンドは、メグヴィー社が手掛ける顔認識プラットフォームに多額の資金を注入。その技術は中共公安当局にも採用され、ウイグル人弾圧に加担している。

参照:大紀元5月10日『バイデン前米副大統領の息子、新疆の監視アプリに投資=報道』

禁輸措置はトランプ弾劾騒ぎに絡む政局の匂いもするが、ハイテク監視網のへ打撃に的を絞った米国の追及は巧みだ。東トルキスタン全土に広がるオーウェリアン・システムを突き崩すことが急務である。
▽鉄格子付きドアが並ぶ強制収容所'18年8月(Bitter Winter)
Bitter Winter8月並ぶ鉄格子ドアのコピー.png

9月23日にUN本部で開かれた「宗教の自由会合」でトランプ大統領はウイグル問題をスルーした。ガッカリだ。それでも会合に先立って挨拶したペンス副大統領は、名指し批判を躊躇わなかった。

「中国共産党はキリスト教徒の牧師を逮捕し、聖書の販売を禁じ、教会を破壊し、100万人以上のウイグル族を投獄している」
▽会合に出席した米正副大統領9月23日(AFP)
23日、ニューヨークで開かれた宗教の自由の保護を呼び掛ける会合で、グテレス国連事務総長(左)とペンス米副大統領(右)に囲まれ講演するトランプ大統領(AFP時事).jpg

ウイグル問題が副大統領の専権事項という訳ではない。米政府はUN総会にあわせ、人権・宗教をテーマに対中攻勢を仕掛けた。中共代表団にとっては悪夢のような米国行脚である。

【ウイグル弾圧は「世紀の汚点」】

トランプ大統領沈黙の翌日、米国務省はウイグル問題をテーマとする会合をNYで開催した。会合には約30カ国と20団体を超す各国のNGOが参加。更にウイグル人の被害者も招かれた。

「生還者が次々と国家による抑圧の恐怖を証言している状況で、UNと加盟国には大きな責任がある。チャイナのおぞましい抑圧政策を直ちに中止するよう求め、働きかけなければならない」
▽収容所内の様子を実演するウイグル人生還者H30年11月(FNN)
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米国のサリバン国務副長官は、そう呼び掛けた。ウイグル人強制収容所の問題が浮上してから1年半、深刻な事態を把握しながらもUNHCRが傍観する状況に苛立ちを隠せない。

「米国の嘘は事実と真実の前に崩れ去るだろう」

中共外交部は虚勢を張り、NY会合を罵った。限定的にせよ映像や写真で弾圧の実態が明らかになる中、未だに嘘・デマ・謀略と一蹴する。不遜な態度は公の討論会でも同じだ。
▽収容所で拷問を受けるウイグル人(流出映像より)
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会合の翌日、UN安保理で開かれたテロ対策をテーマとする公開討論。米国はウイグル問題を取り上げ、コーエンUN次席大使は、中共を強く批判した。

「テロ対策がイスラム教や他の少数民族を抑圧する口実に使われてはならない」

これに対して中共代表は答弁権を行使して「テロ激減」と成果を強調するに留まった。証明するデータはない。そして非共産圏では宗教や民族を理由にした予防拘禁が有り得ないことを理解していない。
▽ウイグル問題が提起された安保理公開討論9月25日(NHK)
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中共指導部の対応は後手後手である。習近平は完全否定で有耶無耶に出来ると信じ込んでいるのか。旧態依然の現地ご招待ツアーでお茶を濁すが、それで喜ぶのは我が国の親中メディアくらいだ。

一方で米国は先手を打つ。9月22日にポンペオ国務長官が中央アジア5カ国の外相と会談した。中共は隣国に逃れたウイグル人も標的にし、圧力を掛けて強制送還に応じさせている。
▽中央アジア5カ国外相との会談9月22日(AP)
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ポンペオ長官はカザフスタンやキルギスに対し、中共の圧力に屈しないよう求めたと見られる。対北政策は足元がふらつくものの、ウイグル問題では歯に衣着せぬ印象だ。

「現代における最悪の人権危機が起きている。まさに今世紀の汚点だ」

そう指摘したのは今年7月に開かれた宗教問題の国際会合だった。「世紀の汚点」とは的確な表現だ。ペンス&ポンペオが急先鋒にも見えるが、米議会も黙ってはいなかった。

【香港はチベット・ウイグルと共に立つ】

安保理で米国が中共代表を締め上げた9月25日、米上下両院の外交委で「香港人権・民主主義法案」が可決した。同法案は今月中にも両院本会議で採決される見通しだ。

香港の自治に関する年次評価を米政府に義務付ける他、人権侵害に加担した中共当局者への制裁を促す。運用時の効果は未知数だが、中共側の回答が、10月1日の市民殺害未遂だったとも考えらえる。
▽至近距離で市民の胸部撃つ警官10月1日(香港CampusTV)
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この香港人権法案が大きく報道される一方、9月11日には「ウイグル人権政策法案」が上院で可決した。法案提出者の1人は、同じ共和党のマルコ・ルビオ議員だ。

香港との安直な比較は妥当とは言えない。ウイグル人は民族と宗教を理由に自宅で拘束され、監獄に送られる。だが多くの香港の若者が、東トルキスタンの惨状と未来の香港を重ねていることは確かだろう。

「HONG KONG stands with TIBETANS&UYGHURS」
▽歩道橋に掲げられた横断幕10月1日(ブルームバーグ)
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大荒れとなった10月1日の夜、香港島・銅羅湾の歩道橋に雪山獅子旗と青天牙月旗が描かれた横断幕が残されていた。主語の置き方から、香港人による共闘メッセージだ。

同種の横断幕は9月末の抗議活動でも登場した。掲げているのは香港の青年と見られる。一方の在外チベット人も香港市民に対して支持と連帯を打ち出す。ウイグル人の悲劇は別世界の出来事ではない。
▽抗議活動中に登場した横断幕9月(Twitter)
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中共の記念日に合わせた大規模抗議は、この夏の活動とは一線を画した。街中には習近平を揶揄したビラや、支那の全体主義を風刺するポスターが貼られた。そして「天滅中共」の文字…
▽封鎖された駅入口にスローガン掲示10月1日(AFP)
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「天が中国共産党を滅する」

台湾国の民主派や法輪功など幅広く使われる反中共のスローガンだ。行政長官は北京の操り人形に過ぎない。糸を断ち切っても人形を叩き壊しても、操り師が存在する限り、香港の悪夢は終わらない。

雨傘運動も反共色を滲ませていたが、ここまで鮮明ではなかった。諸悪の根源は中共である。既に呑み込まれた東トルキスタンもチベットも南モンゴルも同じだ。
▽香港中心部での大規模抗議は続く10月(quartz)
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難解な解釈はいらない。民主主義と対立する概念が共産主義で、あらゆる自由を奪う政治集団が共産党なのだ。コミンテルンが産声を上げた時から、世界の知識人は知っていたが、気付かぬ振りをした。

そして今も多くの政治指導者や有識者が無視し続ける。ウイグル人や香港人を救うことよりも、全体主義国家との良好な関係を優先するのであれば、それこそ「人類史の汚点」だ。



最後まで読んで頂き有り難うございます
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参照:
□日本ウイグル協会HP
□世界ウイグル会議HP

参考記事:
□CNN10月7日『収容者数百人を目隠しで護送か、ネットに動画 新疆ウイグル自治区』
□大紀元9月25日『後ろ手に手錠、目隠しの男性たち 移送されるウイグル族の動画が公開』
□the Guardian9月22日『China footage reveals hundreds of blindfolded and shackled prisoners』
□ブルームバーグ10月9日『米国、中国当局者のビザ発給を制限-ウイグル族弾圧で』
□AFP10月8日『ウイグル弾圧関与で中国28法人をブラックリストに 米商務省』
□日経新聞9月24日『トランプ氏、ウイグル問題に言及なし 宗教の自由会合』
□産経新聞9月26日『ウイグル問題めぐり米中が国連安保理で応酬 人権侵害かテロ対策か』
□UIGHUR TIMES9月12日『米国上院のウイグル人権政策法案の通過にウイグル人は興奮した』
□日経新聞7月19日『中国のウイグル弾圧「最悪の人権危機」米国務長官』

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