香港2047のデッドライン…戒厳令に怯み懐柔策提示

催涙弾のシャワーに便衣兵の火炎瓶投擲…警官隊が凶暴化する中、長官が法案の正式撤回を表明した。それでも民主派香港人の危機は去らない。“時限立法”終了の時は刻々と迫る。
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ビルの屋上には“狙撃隊”が配置され、現場指揮官の指示を受けてデモ隊に発砲する。弾の種類は不明だが、香港では高層からのスナイプが日常的な光景と化した。
▽屋上から発砲する警官隊8月31日(大紀元)
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「これは大きな問題だ」

米警察の元幹部は、そう指摘する。香港警察がビルの窓から催涙弾を放っていることが映像で確認された。民衆と対峙したケースでは通常、誰も居ない箇所か対象の足元を狙う。

「頭に直撃すれば、死亡する事態も起こり得る」



“催涙弾のシャワー”が降り注いだのは8月5日だが、香港警察はその後ギアを上げ、より強圧的な戦闘態勢でデモ隊に臨むようになる。8月25日には高圧放水銃の使用を解禁。更に初めて実弾が発射された。

空に向けての威嚇発射だという。やや離れた場所で現場の状況は判らないものの、映像には実弾の発砲音と女性のものらしき悲鳴が収められている。



「生命の危機に迫られて威嚇した」

当局側は警官が鉄パイプで襲われたと説明する。しかし直前のシーンで、別の警官と対峙するデモ参加者が握っていたのはビニール傘だった。この近くに凶暴な集団が居たとは思えない。
▽銃口の1m先には傘を持つ抗議者8月25日(ロイター)
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威嚇ではなく、正当化である。実弾発射は海外メディアも批判的に報じたが、同時に、デモ隊の「過激化」も懸念材料として伝えられた。それによって香港当局側の強圧姿勢は薄められる…

実際に激化しているのは、フィクションの“市街戦”ではなく、情報戦だ。

【「激化報道」が隠す警察凶暴化】

高圧放水車が投入され、実弾発砲が起きた8月25日の制圧劇。その舞台は、九龍サイド新界の荃湾(チュンワン)だ。中共系の地元紙によると同夜、デモ隊の一部が暴徒化し、商店を襲ったという。
▽麻雀店に押し掛けた抗議者8月25日(大公報)
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こうしたニュースを海外メディアが翻訳して伝える時、意図的でないにせよ、いくつもの重要な情報が欠落する。デモ隊が突撃した商店は、地元マフィア「三合会」が胴元の麻雀店だった。

7月21日、帰宅するデモ参加者や通行人を地下鉄駅で襲った白シャツ集団が「三合会」である。また8月5日にも新界北部でデモ隊を襲撃し、1人が重体に陥る事件が発生している。

「何週間経っても調査が行われていない」
▽襲撃現場での抗議活動8月21日(ロイター)
ロイター821地下鉄の駅で事件の容疑者が1人も起訴されていないことに抗議して数千人がデモを行った.jpeg

地下鉄駅で負傷した民主派議員は、事件から1ヵ月に合わせた抗議活動で、そう訴えた。地下鉄駅でデモ参加者らをリンチした白シャツ集団は約100人。だが、起訴された者は誰一人いなかった。

更に、8月5日の襲撃事件で重傷を負った青年が、蘋果日報のインタビューに登場。脚を数カ所斬られ、今後快復が出来る見込みがないことが判明。憤ったデモ隊メンバーが仇討ちに出たのだ。
▽全員不起訴扱いとなった襲撃犯7月21日(FNN)
FNN721シロシャツのコピー.jpeg

裏社会が牛耳る賭場と警察の結託は戦後ニッポンと同じだ。香港人であれば麻雀店襲撃と聞いてピンと来るが、海外では理解不能。そして中共も「暴徒」と認定してプロパガンダに積極活用する。

「若者はなぜ雨傘を鉄パイプに持ち替えたのか」「デモ強行、政府に火炎瓶『私たちを止められない』」

いずれも捏造紙の見出しだ。親中メディアは、デモ隊=暴徒の印象操作を強め、今回も銃を握る側の後ろに立つ。一方、ネット上で話題になったのは、デモ隊に成りすました謎の火炎瓶男だった。

【民主派挑発する不逞支那人】

「この1カ月間、警察はより楽にデモ参加者を逮捕する為、デモ隊の振りをするようになった。そういう警官はライトをつけていることが多い」

一時拘束された周庭(アグネス・チョウ)さんは、釈放後の9月1日、そう指摘した。8月31日に各地で続いた散発的な抗議活動。そこで市民が撮影した映像に、異様な光景が映り込んでいた。



抗議者と見られる集団の進行方向に向かって黒服ヘルメット姿の人物が火炎瓶を投擲する。デモ参加者に成り済ました警官の犯行を捉えた決定的瞬間だ。

デモ隊に紛れ込む偽装警官は、ザック等に赤いLEDライト、または腕に青いLEDバンドを巻く。同士討ちを避ける為の「認識票」と見られ、各地で同様の事例が目撃されている。
▽デモ隊に紛れ込む便衣兵8月25日(大紀元)
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中共秘密警察要員を含む“便衣兵”は、存在を指摘されて久しいが、ダミー火炎瓶事件を報じた国内のメディアは産経系列など少数に限られる。火炎瓶=暴徒宣伝に加担する反日紙との格差は広がるばかりだ。

親中派の捏造・印象操作とは裏腹に、反送中デモのコアを形成する香港の学生は、ジョシュア・ウォンさんらを始め、穏やかな印象が強い。その実例が大学構内で起きた支那人乱入劇である。

「撮影してみろ。俺はチャイニーズだ」


香港の名門・中文大で9月2日に開かれた抗議集会だ。赤いシャツを着た男がステージに上がり、そう叫びながら破壊行為を繰り返す。だが学生側は軽く制止しただけで、取り囲むことすらしない。

また先月末、市民が多数拘束される警察署前にデモ隊が集まった時、五星紅旗を持つ男が出現。北京語でデモ隊を罵ったが、挑発には乗らず、間もなく男は警察に保護され、騒ぎは幕となった。
▽警察署前で抗議者挑発する赤旗男8月25日(大紀元)
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数十万規模の抗議活動で一部に跳ね上がりが存在することは事実だろう。しかし、行政長官・林鄭月娥(キャリー・ラム)による「暴動」認定は余りにも実態と掛け離れている。

【監獄島に変わる香港2047】

「法的手段で暴力を止められるなら、政府は全てを検討する」

林鄭月娥は8月27日の会見で、そう語った。戒厳令に等しい「緊急状況規則条例」の発動を示唆したのだ。中共軍侵攻の前段階となる措置に市民は猛反発。これが結果的に、潮目を変えた模様だ。

「行政長官は中央人民政府と香港市民という2人の主人に仕えなければならず、政治的な手段は非常に限られている」
▽会見で発言を認める林鄭月娥9月3日(ロイター)
会見に臨む香港の林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官(右)=3日(ロイター).jpg

林鄭月娥が香港財界人と会談した際の録音データをロイター通信が入手、9月3日に公開する。林鄭月娥は会見で発言を認めると共に、データの“流出”を非難。強硬姿勢は崩さなかった。

ところが翌4日夕方、収録済みのテレビ用演説を放映。大規模抗議のキッカケとなった逃亡犯条例改正案の正式撤回表明に至る。事態の急展開に民主派・デモ隊側も戸惑いを隠せない。
▽正式撤回表明のTV演説9月4日(AP)
「逃亡犯条例」改正案の正式撤回を表明する林鄭月娥行政長官のテレビ演説を映す街頭の大型モニター=4日、香港(AP).jpg

「もし自分に選択肢があるなら、まずは辞任し、深く謝罪することだ」

“流出”した音声を全編チェックすると、林鄭月娥は自己弁護の他に「人民軍の香港進駐は絶対にない」といった中共にとって都合の良い言葉が並ぶ。この“流出”自体が仕組まれたものだったのではないか。

林鄭月娥は10月1日に控える国慶節の祝賀行事に強い懸念を示していた。中共指導部が威信をかける“建国70周年”式典だ。それまでに抗議活動を終息させる思惑があったのだ。
▽中共軍香港駐屯部隊の交代を公開8月29日(ロイター)
香港を走る中国人民解放軍の車両(29日)=ロイター.jpg

また来週11日には「一帯一路サミット」が香港で開幕する。部長級の低レベル会合だが、混乱は必至。そこで北京はギリギリの決断で妥協策を打ち出した。習近平が香港戒厳令に怯んだとも考えられる。

「長官の譲歩は小さく、遅過ぎだ。既にダメージを受け、香港の傷口からはまだ血が流れている」

一方、民主派の議員らは、撤回発表を歓迎しない。拘束者の釈放や警察への独自調査、普通選挙の実施などデモ陣営が掲げる「五大要求」のひとつが達成の見通しとなったに過ぎないのだ。
▽短銃で抗議者を威嚇する警官隊8月25日(AFP)
AFP825香港・荃湾区で、デモ隊に拳銃を向ける警察官2.jpg

先行きは全く判然としない。そして、決して遠くない未来には絶望的な状況が待ち受ける。自由と人権を軽く保障した香港基本法は“時限立法”で、2047年には完全消滅する。

返還に沸いた当時の香港社会の活躍層にとって、50年後は自分が存在しない未来世紀だった。しかし雨傘運動から反送中デモに参加した若者の大半は、28年後も香港で暮らす。
▽中文大で開かれた学生集会9月2日(大紀元)
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六四天安門と同様、中共は党に一度抵抗した者を絶対に許さない。最も遅いケースでも2047年には大規模弾圧に踏み切る。更に80年代とは異なり、今回は抗議者の個人データも完璧に抑えている。

唯一の救済方法は、リミットまでの中共打倒だが、果たして人類は後28年で地球上から共産主義者を絶滅に追い込めるのか…

これ以上、香港の若者を反共の最前線に立たせることは余りにも残酷で、無責任だ。



最後まで読んで頂き有り難うございます
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参照:
Hong Kong Free Press

参考記事:
□産経新聞9月4日『「偽の譲歩」「狙いは分断」 条例案撤回にも根深い不信』
□ロイター9月2日『特別リポート:「可能なら辞任する」、香港トップが明かした胸の内』
□産経新聞8月29日『香港で31日に大規模デモ 香港政府「緊急法」発動も』
□ZAKZAK9月2日『香港警察にデモ隊「なりすまし」疑惑 「火炎瓶は警察の自作自演」動画が拡散 識者「『暴徒化』鎮圧を正当化か」』
□大紀元9月2日『香港警察、地下鉄駅で市民を攻撃「抗議者に扮して火炎瓶投げた」との指摘も』
□BBC8月26日『香港抗議で警察が初めて実弾発砲の瞬間 デモ開始以来初めて』
□ニューズウィーク8月27日『危険増す香港デモ 天安門事件の「戦車男」を彷彿とさせる瞬間』

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