文在寅“朝貢外交”の瘴気…イスカンデル右往左往抄録

「合意違反はない」と文在寅は即答した。日米が北の乱射を弾道ミサイルと断定する中、南鮮は言葉を濁し対北支援に向け奔走。目算なき朝貢外交に関係各国が振り回される。
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「複数の短距離弾道ミサイルだった」

ペンタゴンは米東部時間の5月9日、漸く弾道ミサイルであることを認めた。第1弾の乱射劇から既に5日が過ぎ、渋々事実を受け入れた格好だ。これを受け、我が国も表現を変える。

「これまでに収集した様々な情報を総合的に勘案した結果、北朝鮮が9日に短距離弾道ミサイルを発射したものと見られる」
▽記者団に答える岩屋防衛相5月9日(産経)
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10日の定例会見で岩屋防衛相は、そう語った。一方で、北朝鮮が5月4日に発射したミサイルについては分析中として明言を避ける。北好評の写真を見る限りでは同種のもので、本体に特別な差異はない。

飛行距離が問題なのか…4日に北東部・元山から放たれたミサイルのレンジは最大で約200km。9日発射の2基は南鮮国防部の推定で約270kmと約420kmだった。
▽通常の弾道軌道とはやや異なった(日経)
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ここでも米国は歯切れが悪く、9日の弾道ミサイルの飛行距離を「300km以上」と表現する。日本海に落下したミサイルの位置を日米の防衛当局が正確に把握できないとは思えない。

「ありふれた短距離ミサイルで、金正恩委員長が信頼を裏切ったとは見なさない」

トランプ大統領は10日、政治サイトの取材に、そう答えた。北が発射したのはスカッドやトクサではなく、ロシア製イスカンデルのコピー版だ。決して、ありふれた短距離ミサイルではない。
▽記者質問に応じるトランプ大統領5月9日(EPA)
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連射の直後にソウルで開かれた日米南防衛実務者協議も「弾道ミサイル」という表現を避ける。解析が間に合わない時間帯ではあるが、共同声明には、ミサイルも飛翔体も登場しなかった。

「最近の北朝鮮による発射」
▽実務者協議に臨む米国防次官補5月9日(EPA)
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何が発射されたのか、主語が見当たらない。英語原文を確かめると「recent launches by North Korea」だった。北版イスカンデルに3カ国が右往左往している印象である。

その中でも南鮮の混乱ぶりは突出して無様だ。

【イスカンデル右往左往の果て】

「弾道ミサイルではない」

南鮮軍関係者は5月4日、そう明言した。匿名の“関係者”がメディアに適当に答え、迷走が始まることは南鮮の定番だが、今回は規模が大きく、青瓦台も巻き込んで収拾不能状態に陥る。

4日午前9時過ぎの乱射劇を受け、南鮮軍合同参謀本部は当初「短距離ミサイル」と表現していたが、間もなく「飛翔体」に改訂される。その間、40分程だったという。
▽北版イスカンデルの第1基発射5月4日(KCNA)
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もちろん解析に基づく変更ではない。合同参謀本部の上位組織に注意されるか、或いは忖度した結果だ。しかし、翌日の写真公表でアッサリ金正恩に足を掬われる。

TEL(輸送起立発射機)から射出された兵器は明らかにロケット砲ではない。軍事評論家は口を揃えて、ロシア製SRBM「イスカンデル」との類似・酷似を指摘する。
▽パレードに登場したイスカンデル’18年2月(朝鮮中央TV)
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この新型SRBMが軍事パレードに初登場したのは昨年の2月8日だ。平昌冬季五輪の開幕式で、南鮮政府が金与正や金永南を熱烈に歓迎。“南北合同”行進に観客が熱狂した前日のことだった。

射程の短さからも半島南部を標的にした新型ミサイルだ。一部の専門家は警告を発したが、南鮮は官・民・メディアをあげた融和ムードに酔い、現実を直視しなかった。
▽五輪開会式の文在寅と金与正’18年2月(共同)
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それは発射が実施された現在も大きく変わらない。南鮮国防部は「短距離ミサイル」という表現を崩さず、ペンタゴンの「弾道」断定にも異議を唱える。

「あれは米国防総省の公式見解ではない」

レーダー照射事件とは著しい対応の違いを見せる。CUES準拠の哨戒飛行を“超低空威嚇飛行”と命名して吠えまくる一方、安保理決議違反の弾道ミサイル発射は、矮小化して逃げ切りを企む。
▽発射された北版イスカンデル5月4日(KCNA)
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そして文在寅は、更に酷い“格の違い”を見せ付けた。

【退路を絶つ大統領のアドリブ発言】

「朝鮮半島の空と海、陸地で銃声は消えました。朝鮮半島の春が俄かに近付いてきたのです」

文在寅は就任2年に合わせ、独紙に自画自賛エッセイを寄稿した。代筆時期は不明だが、掲載は5月7日付けで、北版イスカンデル発射の中日というタイミングの悪さだった。

「こうした行為が繰り返されれば、対話と交渉の局面を難しくする」
▽就任2年記念特番の文在寅5月9日(KBS)
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同じく2周年記念でテレビ特番に出演した文在寅は、動揺と困惑を隠しつつ、そう話した。この期に及んでも、安全保障より自分の目玉政策の行方が気になるようだ。

放映時間は9日夜だが収録は同日夕方で、弾道ミサイル発射の直後だったと見られる。金正恩が文在寅のスタジオ入り時間を狙ったのではないにせよ、タイミング的には最悪である。
▽南鮮各局で同時OAされた大統領特番5月9日(news1)
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ご自慢の対北融和政策に重大な亀裂が走った瞬間でもあったが、文在寅は悪い意味で少しもブレない。発射地点が南北軍事合意の「砲兵射撃訓練禁止区域」に該当しないとして、こう明言した。

「合意違反ではない」

この大統領発言は、致命的な失言として追及されかねない。対北制裁決議に違反しても、南北軍事合意上では許されるケースが存在する…UN絡みの国際合意すらも南北二国間合意より下の扱いなのだ。
▽文在寅訪朝の成果とする南北軍事合意’18年9月(代表)
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5月4日の乱射劇に対し、青瓦台は「軍事合意の趣旨に反する」という声明を発表していた。ところが9日の発射に対しては「非常に憂慮される」との青瓦台スポークスマン論評を出すに留まった。

文在寅のアドリブ発言が南鮮の結論となり、今後一転して「弾道ミサイル」と断定することは難しくなった。問題を有耶無耶にしつつ、対北食糧支援に踏み切る。
▽特番で意気込み語る文在寅5月9日(聯合)
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南北協調路線が座礁すれば、文在寅政権は就任半ばにも至らずしてダッチロールを始める。ワラにもすがる思いでコメを送る覚悟だ。

【万年属国が繰り出す朝貢外交】

「『人道主義』と恩着せがましいのは、民族に対する愚弄だ」

朝鮮労働党の宣伝機関が5月12日、再び文在寅政権に噛み付いた。南鮮政府は対北食糧援助に向けて米側を説得し、13日にはWFP事務局長と最終調整に臨んだが、その前に鼻っ面を叩かれた格好だ。

一方で北朝鮮は、開城工業団地の早期再稼働を呼び掛けている。困窮する人民に渡す食糧よりも、平壌指導部の懐を潤す巨額キャッシュの方が大事という分かり易いリアクションである。
▽弾道ミサイル発射を視察する金正恩5月9日(KCNA)
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豪華ミサイル乱射直後のWFP支援には納得がいかない。それでも近年の国際援助はモニタリングが必須だ。横流し等がなく食糧が困窮者に本当に届いているのか、職員が流通を監視し、評価を与える。

僻地まで実地検分できているのか不信感も募るが、金正男が暗殺された際、北朝鮮当局がWFPのマレーシア人職員を出国停止にしたことがあった。実際にスタッフは現地入りしていたのだ。
▽WFP事務局長を迎える南鮮統一部長5月13日(EPA)
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北朝鮮にとって、国内をウロつく国際機関職員は邪魔者でしかない。かつて反日・親北陣営は対北人道支援を口癖にしていたが、モニタリングを嫌う平壌の意向を受け、今やすっかり鳴りを潜めた。

文在寅が食糧援助に前のめりなのは、対北支援策が限られている為だ。3月に宣言した開城・金剛山セットも、瀬取りによる資源密輸も米国に牽制され、頓挫した。
▽瀬取り犯罪が暴かれた南鮮籍タンカー(file)
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「韓国政府が北朝鮮への食糧支援を急げば、北朝鮮に対して『軍事挑発には効果があるよ』という間違ったシグナルを送る結果になるだろう」(5月11日付け朝鮮日報)

南鮮メディアの一部などから異論が出るが、聞く耳は持たない。就任2年で支持率が半減したと言っても、歴代政権と比べれば40%台の“高水準”。文在寅は強気で手元に残ったカードを切りまくるだろう。

一方的な対北支援で事態が打開される見込みはないが、例え相手から疎まれても文在寅政権は貢ぎ物を運び続ける。朝貢外交は1000年を超す属国朝鮮の伝統だ。
▽板門店でハグする狂犬と駄犬’18年(代表)
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人道主義を方便にする左翼お決まりの古臭い手口である。だが、文在寅の「違反なし」宣言に日米も振り回され、新たな非難決議を安保理に提出する動きは見られない。

北版イスカンデルの射程は短った。しかし直視すべきは、北朝鮮が雪解けムードの陰で新型の弾道ミサイル開発を継続していたという事実だ。老朽化スカッドの打ち上げ廃棄処理とは意味が異なるのだ。
▽北版イスカンデルの発射5月9日(KCNA)
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当然、核開発も凍結していない。10年サイクルの米朝対立と融和は、北朝鮮に重武装化をもたらしただけだった。「対話の為の対話」を探る今の膠着状態も北朝鮮にのみ有利に作用する。



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参照:
□防衛省HP5月9日『日米韓防衛実務者協議(DTT)結果概要について』
□防衛省HP5月10日『防衛大臣記者会見』

参考記事:
□産経新聞5月10日『文大統領、就任2年に北ミサイルの冷や水 それでもやまぬ北擁護と支援』
□FNN5月11日『弾道ミサイル認定でも食糧援助……北朝鮮の“仲介役”にすがる韓国』
□産経新聞5月10日『米、北飛翔体は「弾道ミサイル」と断定 正恩氏、火力打撃訓練を指導』
□時事通信5月10日『飛翔体は「弾道ミサイル」=日米断定、国連決議違反-北朝鮮は長距離攻撃訓練と発表』
□産経新聞5月11日『トランプ氏、北ミサイル「短距離だから問題ない」』
□読売新聞5月12日『「人道主義と民族を愚弄」北ネットメディア、韓国批判』
□J-CAST5月9日『「繊弱な神経が心配」→翌日に短距離ミサイル 韓国政府、北朝鮮にコケにされる』
□朝鮮日報社説5月11日『文大統領の認識が問題なのか、それとも言葉遣いに問題があるのか』

□ロイター’18年2月9日『北朝鮮軍事パレードを分析』
□FNN’18年2月8日『北朝鮮パレード 新型短距離弾道ミサイル連装システム誇示で、韓国は』

この記事へのコメント

年金問題、安倍、自助努力
2019年06月21日 21:07

熊山丸太郎 Kumayama @kumayamajapan

日本を、ネギを背負った鴨にして中国に差し出したのは、安倍晋三とその一味だ。
この人達は日本国民を奴隷化し、搾取してウホウホになるかを真剣に考えて実行している。許してはならない。
日本人の弱い心が原因で日本は滅亡します。「今は安倍しかいない!」と思うのは、大好きなパパを悪者と認められない心理と同じ。
安倍首相は偽装保守の左翼でグローバリストで外国人流入など日本破壊活動中です。売国政策を止めさせるのが優先!
安倍総理、貴方は何国人ですか?
「日本を取り戻す」と僕らを感動させた貴方は、日本を「誰の手に」取り戻そうとしているのですか?
安倍さん、歴史に名が残りますよ。売国奴として

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#有名作家の百田尚樹さん、女子中学生の顔画像を勝手に使ってなりすましアカウント(@kensyuu12)を作成し、自分のツイートを絶賛
#年金問題で追及された安倍、財政審意見書から「将来の年金給付水準の低下」「自助努力を促す」との文言を削除するよう命令

 [神奈川・外村和隆・東京大学大学院]

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