文在寅“瀬戸際外交”の末路…金王朝の末裔は南北を呪う

死せる金正男は南の首領をも脅かす。米朝会談決裂で唯一の敗者となった文在寅に逃げ道はない。そして反日強硬策の裏にあった“大逆転シナリオ”も潰えた。
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奇っ怪な事件だった。新事実が断片的に浮かび上がるにつれ、それを事件と呼ぶことが妥当なのかさえ疑わしくなった。スペインの北朝鮮大使館で起きた異様な出来事である。

米朝首脳会談を目前に控えた2月22日、複数の男がマドリードの北朝鮮大使館に侵入。職員を縛り上げて数時間も監禁、パソコンなど情報機器を強奪して逃げ去った。
▽襲撃された在マドリード北朝鮮大使館(聯合)
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「通りにいた北朝鮮市民1人が軽傷を負った」

スペイン内務省が事件を公に認めたのは発生から6日が経った2月27日だった。当局側は「捜査中」とする一方、北朝鮮大使館が被害届を出していないことを明らかにした。

地元紙は襲撃犯を「アジア系10人組の武装グループ」と報道。犯行に使われたのは、外交官ナンバーを付けた北朝鮮大使館の車両だったという。付近に居た朝鮮人とは何者か、逃走した車両の行方は…
▽在マドリード北朝鮮大使館の出入口2月28日(AP)
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内紛による北工作員襲撃説、或いは米諜報部隊の犯行説。謎めいた“事件”の背景については諸説入り混じるが、その中のひとつに、金正男長男グループが主導したという見方もあった。

殺された正男の遺児である金漢率(キム・ハンソル)。この4代目を担ぐ半地下組織が、武装して公館襲撃に踏み切るとは思えない。キワモノYouTuberの域を出ない侮っていたが、印象は少し変わった。

「金正恩打倒 連帯革命」
▽在KL北朝鮮大使館の外壁3月11日(FNN)
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マレーシアの首都クアラルンプール郊外の北朝鮮大使館の外壁に、そんな朝鮮語の文字列が書き込まれた。幼稚なイタズラとは一線を画す大胆な犯行。「落書き」犯は、敵が誰であるか的確に見抜いている。

文在寅のマレーシア訪問を狙った強烈なメッセージだ。

【金正男の亡霊に怯える男】

「この政府が北朝鮮の人民を代表する唯一の正当な組織であることを宣言する」

米朝会談決裂の余韻が残る3月1日、4代目・金漢率を保護したとする組織は臨時政府の樹立を宣言。同時に組織名を「千里馬民防衛」から「自由朝鮮」に改めたことを発表した。

金正恩に対する痛烈なビンタになるのかどうか、効果は怪しい。臨時政府という表現が皮肉ではなく、大真面目なのも痛々しく、また宣言文にある三一暴動の解釈も南鮮捏造史観に添っている。



この組織のバックについても諸説あり、南鮮国情院や米情報当局から未知の脱北者ネットワークまで様々だ。ただし、現時点で中共の関与説は排除できると考えられる。

フリー・チベットやフリー・ウイグルを連想させる「自由朝鮮」なる新名称。更に中共指導部が忌み嫌う「人権」「人道主義」といったワードも宣言文に踊る。
▽とりあえずシートで文字隠してみる(産経)
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金漢率にしても、中共は絶対的な保護者たり得ない。中朝関係の好転で自分が取引材料に使われる危険性がある。そして何より、中共の在外エージェントは父親・正男を守り切れなかったのだ。

南鮮国情院の紐付き説も信憑性が低かった。南北融和ムードのウラで“亡命政権”をセットするような芸当は不可能。現在の国情院は、在南の脱北者を監視する組織に成り下がっている。

「自由朝鮮 我々は立ち上がる」
▽在KL北朝鮮大使館の外壁3月11日(FNN)
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北大使館に刻まれた言葉が自らに向けられたものでもあると文在寅は自覚すべきだ。事件から丸2年、文在寅は金正男暗殺に関して一切触れず、立場を明らかにすることはなかった。

事件後、北朝鮮は非公式ながら南鮮諜報員による犯行説を唱えた。南がデッチ上げた謀略だと言うのだ。それに対し、文在寅は何ら反論せず、南北協議でも完全に無視した。
▽マレーシア入りした文在寅3月13日(聯合)
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父親を殺された金漢率にとって文在寅は許し難く、共犯者にも等しい存在だろう。実行役を担わされた“ドッキリ仕掛け人”も晴れて釈放された今、改めて北朝鮮の国家犯罪が鮮やかに浮かび上がる。

暗殺事件が意図的に風化される中、国賓待遇でマレーシアを訪れた文在寅に冷や水を浴びせた格好だ。

【大統領の空手形と裏取り引き】

「予想外に合意なく終わった」

閉幕から10日、朝鮮労働党の宣伝機関は、首脳会談が不調に終わったことを認めた。嘘と捏造の御用メディアによる「事実報道」は意外だが、決して敗北宣言ではない。

先代の手口を真似てスコアレスドローに持ち込んだ金正恩も、席を蹴ったトランプ大統領も黒星が付いたとは言えない。その中、惨敗した国家と政権があった。南鮮であり、文在寅政権である。

「南北の鉄道・道路連結や経済協力事業を引き受ける覚悟があり、米国の負担を減らせる道だ」
▽トランプ大統領と話す文在寅2月19日(青瓦台)
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2月19日の米南電話会談で、文在寅は単独対北支援に乗り出す意思を表明した。目玉となる開城工業団地と金剛山観光の再開は、金正恩の「新年の辞」に呼応したもので、代理人の面目躍如である。

このうち南北鉄道の“着工式”は昨年末、ロシアなどの鉄道関係者を招き、既に開催済みだ。資材の搬入もなく、実際に着工はせず…支援ありきで暴走する文在寅政権を象徴する珍妙なセレモニーだった。
▽「着工式」と銘打ったセレモニー12月(南鮮国交部)
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本命の開城・金剛山に加え、鉄道事業も昨年9月の平壌共同宣言で「年内着工」を謳っていた。無理矢理感が凄まじい。そして文在寅訪朝で生まれたのが「寧辺全廃棄=非核化」という歪んだ図式だ。

「北朝鮮は米国が6・12共同声明の精神に沿い、相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的廃棄などの追加措置を引き続き講じる用意がある」(平壌共同宣言5項2条)
参照:時事通信9月19日『平壌共同宣言の全文』

「相応の措置」とは「制裁の一部解除」を意味する。見事に順序が逆だが、米国は文在寅の暴走を表向き批判しなかった。ところが、米朝第2Rで「寧辺以外」が焦点になったことで歯車が狂い出す。
▽平壌共同宣言に署名する文金’18年9月(代表)
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果たして南鮮は寧辺以外のウラン濃縮施設を知っていたのか…もし、把握していたなら米国を騙した結果になる。また知っていなければ南情報当局、文在寅政権の大失策。いずれにしてもアウトである。

制裁解除を前提に空手形を切っていた文在寅の目論見は完全に外れた。それだけではない。狂気に満ちた反日強硬策も野望半ばで座礁する。

【反日大攻勢を支えた逆転シナリオ】

「世界に二つとない海岸都市を立派に造ろう」

金正恩の肝煎りで開発が進むリゾート施設がある。北朝鮮東部沿岸・元山の葛麻海岸観光地区だ。兵士ら15万人以上を動員し、昨年だけでも金正恩が3回視察に訪れた。
▽葛麻海岸地区での現地指導11月1日公表(KCNA)
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不測の事態が起きたとされるのは昨年11月の現地指導の時だった。未遂に終わったものの、兵士が金正恩暗殺計画を実行。実行犯、首謀者は捕らえられ、処刑されたが、一部が船で逃亡した…

これが海自P-1哨戒機へのレーダー照射事件に繋がるというから驚きだ。保護された漁船に北の要人が乗っていたとの分析は、事件直後からあった。南鮮海軍が駆逐艦を動員した根拠でもある。
▽日本海で「救助」された北漁船(南鮮PV)
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余りにも穿った見方で、オンボロ漁船とVIPの組み合わせは不自然だ。しかし、この北の要人が、逃亡を図った軍幹部なら話の筋は通るし、南鮮海軍の威嚇行為も“乗員”の極秘送還も腑に落ちる。

シギントに長けた米軍がどこまでキャッチしているか興味深いが、レーダー照射は文在寅が北を味方とし、我が国を敵と認定した象徴的事件だ。ニセ徴用工判決から続く反日強硬策の最初のピークとも言える。
▽射撃管制レーダー照射の瞬間(海自)
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慰安婦合意破りも文喜相の不敬暴言も、南鮮側は決して陳謝せず、逆にブチ切れて恫喝する。攻撃姿勢オンリーで一切妥協しない無謀な戦術。それは北朝鮮が伝統とする瀬戸際外交と全く同じだ。

第1回米朝会談以降、文在寅政権は我が国に対し、瀬戸際外交に踏み切った。対日関係改善は絶望的だが、文在寅には勝算があった。米朝会談の成功で、我が国が全面降伏するという甘い想定である。
▽第2回米朝首脳会談2月28日午前(KCNA)
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米朝和平が進展すれば、制裁は終わり、対北経済支援に向けた多国間協議が始まる。我が国が拒絶することは有り得ず、南鮮主導の協議に言われるまま参加。懸案事項は全てチャラになるというシナリオだ。

ところが、勝算は誤算でしかなかった。金正恩のソウル訪問は吹き飛び、4回目の南北首脳会談も開催のキッカケすら掴めない。米朝決裂の可能性を微塵も想定していなかった文在寅の愚かしさが際立つ。
▽3・1反日集会で発狂する文在寅(AP)
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自称・北東アジアのバランサーは、コウモリと蔑まれ、やがて八方塞がりの現実に気付く。それでも我が国に柳腰で擦り寄ることはない。既に攻撃は後戻り出来ないレベルまで達してしまった。

ほぼ確実に、文在寅は今後勢いを取り戻す反対派との対決に追われる。半島和平など夢物語で、国内の“統一”すら叶わない。任期末の2022年5月まで、大統領の戦いは長く苦しく陰惨だ。



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参考記事:
□時事通信2月28日『スペインの北朝鮮大使館、襲撃受ける=職員一時監禁』
□AFP2月28日『北朝鮮大使館に男ら侵入、職員を拘束 スペイン当局が捜査』
□朝鮮日報3月11日『スペイン紙「北朝鮮大使館襲撃、米・韓の情報機関が関与の可能性」』
□産経新聞3月13日『北朝鮮公館襲撃に米関与か スペインでCIAと報道』
□FNN3月12日『元被告釈放の直後に、北朝鮮大使館の壁に謎の落書き…背後に民間団体「自由朝鮮」関与か?』
□時事通信3月12日『北朝鮮大使館塀に「金正恩打倒」=ハングルで落書き-マレーシア』
□デイリーNK3月1日『反金正恩体制の臨時政府を名乗り発表「自由朝鮮のための宣言文」(全文)』
□産経新聞3月1日『金正男氏息子を救援した団体が「臨時政府」発足を発表 正恩政権の弾圧に対抗 北朝鮮』
□産経新聞2月20日『米朝で意見差埋まらぬ中、文在寅氏が放った甘言』
□現代ビジネス3月1日『金正恩はどこで間違えたか…米朝会談歴史的失敗の「3つの理由」』
□産経新聞H30年5月26日『【激動・朝鮮半島】金正恩氏が元山を視察、観光地区の来春完工を指示…米朝会談成功見越す? 外国報道陣とニアミスも』

この記事へのコメント

金 国鎮
2019年03月14日 21:40
南北の鉄道は海外の鉄道とつながって初めて経済的な実益になる。
中国とロシアの協力が必要。
南北間の鉄道再開の金は誰がが出すのか?
民間企業であればそれが問題となってくる。
北は金がない。

金正恩がロシアに行ってプーチンと話をするという。
金正恩は北のロシアの権益を削ぎ落とそうとして
トランプと何度も話をしていた。
プーチンは金正恩を支持しているわけではない。
在韓米軍の存在を望まないだけだ。
そこで一致する政治勢力が北から出てくればプーチンは北に軍事進攻さえする。
これがウクライナ・クリミア・シリアで起こった。
日本の北方領土の交渉でもでも在日米軍の存在を疑った。
今回の金正恩とプーチンの話し合いでもしかすると
金一族の将来が決まる。
ピョンヤンのロシア大使館は相当確実な情報を
情報を持っているはずだ。

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