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zoom RSS 米支激突の“仄暗い海”…国境を越えるオーウェリアン

<<   作成日時 : 2018/10/09 20:31   >>

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寸前で回避された軍艦衝突。南シナ海の暴風域が拡大する中、米副大統領は中共にポスト冷戦時代の終わりを告げた。そして大陸を渡る“全人民監視システム”の悪夢に米国は抗う。
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「北京は政府全体で政治・経済・軍事的手段およびプロパガンダを駆使し、米国内で自国の影響力を強め、利益を得ようとしている」

米ペンス副大統領が10月4日に講演で語った中共批判は、内外に大きな衝撃を与えた。一部の海外メディアは“宣戦布告”と表現したが、約50分の講演内容を辿ると、それは決して大袈裟ではなかった。
▽ハドソン研究所で講演するペンス副大統領10月4日(AP)
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「両国は第二次大戦を同盟国として共に戦い、UNの一員となった。しかし、1949年に中国共産党が政権を掌握するや膨張主義が始まり、朝鮮戦争では敵として戦った」

ペンス副大統領は宣教師の支那大陸入りから歴史を語り始める。中ソ対立の間隙を縫う国交樹立、いわゆる改革開放路線の支持…紋切り型の歴史解説だが、そこからトーンは一変する。

「これまでの米政権は、宗教の自由や人権意識が政治的にもあらゆる面で拡大すること期待して支援を選択した。しかし希望は満たされず、支那人にとって“自由の夢”は遠いものだった」
▽女性が“失踪”したポスター墨汁事件7月
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対支政策の転換を宣言した瞬間だ。米国は経済開放を促し、WTO加盟を支援したが、間違いだったと言う。トランプ大統領が指摘する通り、米国による25年以上の“中国再建”は徒労でしなかった。

米国の副大統領は公式であれ非公式であれ、観測気球的に踏み込んだ発言をする。だが、今回のペンス副大統領の演説は、中共への脅しや忠告ではなく、返答であった。

「米国の労働者が犠牲になり、企業が騙されることは看過できない」
▽一般討論演説のトランプ大統領9月25日(AFP)
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トランプ大統領は9月25日のUN総会一般討論演説で、中共を名指しで痛烈批判した。中共の外相・王毅は「自由貿易を守る」などと妄言連発。ペンス副大統領の発言は、それを踏まえての再反論だ。

我が国のメディアはトランプUN演説を茶化すだけ正確に伝えなかったが、核心は徹底した反共・反社会主義だった。これは、米支間で時折起きる「舌戦」ではない。

【軍艦体当たり攻撃の無法海軍】

「2015年にホワイトハウスのローズガーデンに立った中共の指導者は『南シナ海を軍事化する意図はない』と話したが、現在、人工島の軍事基地には、精密な対空・対艦ミサイルが配備されている」
▽要塞化を完全否定する習近平’15年9月(AP)
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ペンス副大統領は、中共の軍事的な膨張について尖閣諸島周辺の活発な動きを挙げ、ついで南シナ海情勢に切り込む。この海域では、深刻な事態が起きたばかりだ。
▽南シナ海を航行する「ディケーター」’16年(ロイター)
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現地時間9月30日朝、「航行の自由」作戦の一環でベガン暗礁沖を航行中の米誘導ミサイル駆逐艦「ディケーター」に、中共海軍の蘭州級駆逐艦が異常接近。衝突寸前の危機が発生した。

米太平洋艦隊のスポークスマンによると、蘭州級は攻撃的な動きを繰り返し、海域離脱を警告した後に急接近。両艦の距離は45ヤード(約41m)以内だったという。
▽衝突寸前の「ディケーター」と中共駆逐艦(FOX)
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米国の海事専門サイトは海軍から入手した衝突危機の連続写真を公開。左が「ディケーター」で、その左舷から艦首前に割り込んでいるのが蘭州級だ。45ヤード以内という表現は不正確にも思える。

「とっさの回避行動がなければ数秒後に衝突していた」

写真を分析した元米海軍大佐は、そう指摘した。蘭州級側の操舵技術が「未熟」なのではなく、未成熟な海軍による凶暴な示威行為だ。ペンス副大統領は「無謀な嫌がらせ」と批判し、屈しない姿勢を示す。

「米海軍は国際法に従って航行・飛行を続ける。私たちは威圧されず、立ち止まることもない」
▽急拡大したベガン暗礁近くの要塞島(ジェーンズ)
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この衝突危機の直前、中共は米強襲揚陸艦「ワスプ」の香港寄港を拒否。マティス国防長官の北京訪問もキャンセルとなった。米支の高レベル軍事交流は断絶した状態が続く。

隔月で実施される「航行の自由」作戦。次回、中共海軍がどのような行動に出るのか懸念される。ただし、軍艦のニアミスは、重大であっても目に見える外傷で、厄介なのは、体内に入り込んだウィルスだ。

【『1984』世界完成の正夢】

「当局者2人よると、チップは製造過程で人民解放軍の1部隊の工作員らによって埋め込まれた」

米通信社ブルームバーグの衝撃的なスクープにシリコンバレー全域が凍り付いた。奇しくも記事の発表は、ペンス副大統領がハドソン研究所で講演した10月4日だった。

業界最大手であるSupermicro社の高性能サーバー用マザーボードに、スパイ・チップが密かに埋め込まれていたというのだ。事実なら、米政府や軍の情報が中共側に筒抜けになる…
▽白い丸枠の部分にチップ埋蔵(ブルームバーグ)
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この記事について、被害企業とされたAppleやAmazonは、即座に否定。DHS(米国土安全保障省)も6日までに両社の回答を支持する声明を出し、史上最大のサプライチェーン攻撃疑惑は急速鎮火した。

では、発見された極小チップは何だったのか? 世紀の大誤報か、別の重大事実があるのか、即断は避けるが、支那工場への製造委託に深刻な潜在的リスクが潜んでいることは確かだ。
▽発見した極秘チップのイメージ(ブルームバーグ)
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ペンタンゴンは10月5日、装備品に関する報告書をトランプ大統領に提出。電子部品や特殊な化学薬品などの調達で、中共への依存が進み、米軍需産業に大きな影響力を与えていると警告した。

「中共のエージェントは、軍事面を含む米国の最先端技術を盗み、事業を拡大してきた」

ペンス副大統領は米軍事技術に関する懸念も表明した。鍔迫り合いが続く、いわゆる“米中貿易戦争”。北部ラストベルトの工場復活を光とすれば、影の部分は米軍装備品からの脱チャイナだ。
▽支那製電子部品が多いとされるドローンの模型(ロイター)
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ウイグル人民族浄化に対して対抗措置を模索する米政権は強制収容の問題と共に、監視システムへの懸念を強める。その中、ペンス副大統領は、極めて異例の用語を口にした。

「支那の支配者は2020年までに、人々のあらゆる生活面で社会信用制度の格付けを行うオーウェリアン・システムの導入を目指している」
▽ウイグル人標的の抜き打ちスマホ検査(BBC)
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オーウェリアンとは、G・オーウェルの『1984』に因んだ高度監視社会。中共は電子決済を奨励して大衆の消費レベルと行動パターンを記録、モバイル内蔵チップで趣味・思想傾向まで把握する。

スノーデン事件の頃、オーウェリアンという単語は主に米政府批判の文脈で登場した。だが、米政府中枢の人物が公の場で「中共=オーウェリアン」と明言したケースは、今までになかった。
▽ビッグブラザーになりたい男の肖像
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東洋の国の不幸な物語ではない。オーウェリアンの細胞は、すでに深く米国に浸透し、政府転覆をも視野に入れている。

【メディア支配は中共の成功体験】

「中共は工作員や偽装団体、プロパガンダ媒体を使って、米国民の対中認識を変えようとしてきた。中共がアメリカで行っている工作活動はロシアの活動よりはるかに広範囲だ」

ペンス副大統領は、前例のない規模で中共が活動米世論の操作を試みていると訴える。トランプ大統領もUN総会で中共の中間選挙介入を批判したが、副大統領はより具体的に語る。

「北京による報復関税のエリア分布を見れば直ぐに分かる。大統領選でトランプ陣営が勝利した地区の80%以上が狙い撃ちにされている。これは、その地の有権者を反トランプに変える為だ」
▽ワシントンで講演するペンス副大統領10月4日(AFP)
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どうやら中間選挙干渉問題とは、敗北した際の言い訳にする布石ではないようだ。支那進出の米企業の一部では、事業免許を盾にトランプ批判を強要される事例もあるという。

工作員の活動実体は明かされないが、プロパガンダ媒体ははっきりしている。米司法省は9月、新華社とCGTN(中国環球電視網)を中共の宣伝機関と認定し、取材規制に乗り出した。

「けれどもメディアは中共が“検閲の文化”を育む唯一の場ではない。アカデミーも同じだ」
▽カナダでの孔子学院抗議活動7月(大紀元)
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米国内の教育機関には中共系の学生組織が150以上あり、約43万人の留学生らを監視し、また動かすことが出来る。米で相次ぐ孔子学院の閉鎖も、影響力排除の方針に沿ったものだ。

僅か10年余りで全国14組織にまで激増した日本国内の孔子学院とは大きな開きがある。米国では中共の宣伝工作機関と睨まれる孔子学院だが、我が国では開校に許可も届け出も要らない。
▽豪州の孔子学院開校式に参加した習近平(file)
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ペンス副大統領の言葉に耳を傾ける必要があるのは、日本国民ではないか。中共工作員の活動には法的な規制も処罰もなく、偽装団体は野放し状態。特定野党を介した内政干渉も恒常的だ。

「ビジネスだけではない。中共は米国の他の国々でも、数十億ドルを費やし、プロパガンダ放送を流している」

副大統領が指摘する「他の国々」には我が国も含まれるのか…中共の海外向け宣伝ラジオ=CRIの日本人リスナーは恐らく希少で、ケーブルTVにCGTNのチャンネルはない。
▽CGTNの式典で挨拶する劉雲山’16年(WSJ)
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しかし、我が国では公共放送であるはずのNHKを筆頭に複数の民放、そして全国紙・通信社が中共プロパガンダ機関の役割を担っている。読者・視聴者数を比較すると米国の何倍も汚染度は高い。

我が国の既存メディアの大半が、中共オーウェリアンの支援組織なのだ。一方で中共が、この日本モデルを米国で展開していないとは考えられない。つまり、米大手メディアへの浸透である。
▽トランプ当確で社葬状態のCNN’16年
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CNNやNYT紙のトランプ攻撃は終わらず、逆に激化している。保守・リベラルという政治概念を超えた一方的な批判。メディア中枢に確信犯のエリート工作員が潜んでいる可能性も捨て切れない。

ヴェノナ文書の公開で、米政府機関に加え、多くのコミンテルン工作員が複数のメディアで主要な地位に居たことが判明した。共産党による対外謀略の基本は、半世紀前と変わらない「洗脳と煽動」だ。
▽公開されたヴェノナ文書(NSA)
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今後、トランプ政権と一部米メディアが激突し、中共プロパガンダ工作のコアが剥き出しになった時、その火の粉は極東にも舞い落ちる。




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参照:
□ホワイトハウスHP10月4日『Remarks by Vice President Pence on the Administration’s Policy Toward China』
□DHS (米国土安全保障省)HP10月6日『Statement from DHS Press Secretary on Recent Media Reports of Potential Supply Chain Compromise』


参考記事:
□WSJ10月9日『米副大統領の中国痛烈批判が示すもの』
□大紀元10月4日『ペンス米副大統領が演説 中国共産党に「宣戦布告」』
□産経新聞10月5日『トランプ米政権、中国と「全面対決」宣言』https://www.sankei.com/world/news/181005/wor1810050021-n1.html
□産経新聞10月5日『ペンス米副大統領「尖閣は日本の施政権下」中国政策演説、中間選挙への干渉を非難』
□ニューズウィーク10月5日『「中国はトランプ大統領の排除を画策している」ペンス米副大統領』
□ロイター10月4日『米副大統領「中国は内政干渉」と非難、南シナ海の海洋進出もけん制』
□産経新聞10月2日『中国艦船が異常接近 「航行の自由」作戦の米艦に』
□ブルームバーグ10月4日『中国、マイクロチップ使ってアマゾンやアップルにハッキング』
□日経新聞10月5日『中国製「スパイ」半導体、米企業をサイバー攻撃か』
□IT media10月8日『AppleとAmazonが全面否定する中国不正チップ疑惑、米政府が両社を支持』
□ロイター10月2日『米軍、中国製品への過度な依存に対処へ 国防総省が調査』
□時事通信10月5日『中国、米軍需産業に影響力=原材料依存と警告−国防総省』

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