金正恩38度線ジャンプの罠…腐った盲腸は疼き続ける

南北に続く米朝首脳会談の「予約」でも半島を覆う暗雲は消え去らない。文在寅と金正恩の狙いは時間稼ぎと体制維持。万年属国の覚悟なき内紛は東アジアの不安定要素であり続ける。
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「我々は北朝鮮になるのか?」

支那のSNSには、そんな嘆きの言葉が綴られ、程なく削除された。政治色に塗れた冬季五輪は、将来、東アジア史の分水嶺として語り継がれることになるかも知れない。

全人代直前に緊急招集された異例の共産党中央委員会。その席で、憲法で2期10年と定めた国家主席任期の撤廃が決まった。エセ国会には反対する野党も勢力もなく、満場一致での採択となる。
▽全人代開幕式に現れた習近平3月5日(ロイター)
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時代錯誤的な支那皇帝の復活、或いは毛沢東2世の誕生。5年後の習近平退任は無くなり、終身国家主席の地位を掴み取った。六四天安門事件から約30年…擬似的な集団指導体制は唐突に終わりを告げた。

毛沢東2世の出現は、近未来のアジア情勢に大きな変化をもたらす。大きな禍か、小さな禍を呼び込むかの二択だ。ただし、内政問題扱いであるが故に、G7首脳らの反応は薄い。
▽全人代初日の六四虐殺広場3月5日(共同)
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一方で、確実に震え上がっている隣国の政治指導者がいた。隣国の終身首領、金正恩である。これまで足蹴にしてきた習近平が5年後も権勢を奮い続ける…それは悪夢でしかない。

朝鮮労働党にとっても最悪の事態だ。習近平は南鮮との反日捏造史共闘の過程で、上海の不逞鮮人テロ集団を「正統な政権」の源流と位置付け、金日成を突き放した。
▽重慶のテロ集団拠点で記念撮影’17年12月(新華社)
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特亜3国で、歴史とは時の為政者が都合良く書き変えるものだ。金正恩も熟知している。だからこそ、ポスト習近平の時代には、再び中共が北朝鮮寄りの史観に立ち戻ると甘く見ていたに違いない。

ところが、終身国家主席の誕生で希望は潰えた。李承晩や金九らが半島合法政府の創始者で、金日成は匪賊か蛮族…朝鮮労働党には受け入れられない屈辱の歴史観だ。
▽観客席埋める金日成仮面2月(ロイター)
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そこで金正恩の腹は決まった。四面楚歌ではない。出口は一方向だけ残っている。

【2日で態度を豹変させた北朝鮮】

「南北首脳会談を4月に開催するという衝撃の発表」(FNN)

衝撃という形容こそ衝撃的だ。日南の既存メディアは、騒ぎ過ぎである。首脳会談は、生野血統の金与正が訪南した際に、早期の開催を呼び掛けていた。犬が餌に喰いつくことを誰が予想できなかったのか。

「理解する」
▽南鮮特使を歓待する金正恩3月5日(AFP)
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予定される米南合同演習について、金正恩はそう発言したという。これぞショッキングな大転換だ。朝日新聞風に表現すれば「君子豹変ですかw」である。

「軍を始めとする内部の反発もあり得る。受け入れられない」

冬季五輪の開幕式にやって来た統一戦線部長・金英哲は会談の際、そう強く牽制した。更に朝鮮労働党の宣伝機関は3月3日、改めて警告を発する。

「米国が共同軍事演習の実施に踏み切るなら、我々のやり方で対抗する」
▽米帝打倒を絶叫する平壌政治集会’17年(KCNA)
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金正恩発言の僅か2日前だった。これまで北朝鮮は米南演習について「戦闘準備行為」と猛批判。昨年に至っては「宣戦布告なき戦争の開始」にまで“格上げ”して発狂していた。

北朝鮮の180度大転換には必ず裏がある。キー・リゾルブが予定の通りであれば、バンカーバスター搭載可能な南鮮空軍F-15Eの不参加などを文在寅が約束した疑いも濃い。
▽反日集会で歴史直視訴える文在寅3月1日(ロイター)
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演習規模の中止・縮小を条件にした場合、文在寅が窮地に陥り、会談そのものが吹き飛ぶ。金正恩は南鮮側の事情を汲み取り、合同演習に対する態度を一変させたと考えられる。

金正恩にとって最重要事項は、時間稼ぎだ。

【金正恩の38度線ジャンプ】

「私達は平壌、ソウル、板門店のどこでも良いと提案した」

文在寅は3月7日、与野党幹部を招いたブリーフィングでそう明かした。首脳会談の場所として挙げた3つの候補地。その中から金正恩がチョイスしたのは板門店だった。
▽板門店で狙撃された北亡命兵’17年11月(南鮮紙)
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しかも、板門店の北側にある統一閣ではなく、南側施設「平和の家」を訪れるという。金王朝一族は偽名で繰り返し我が国を訪れているが、南鮮に足を踏み入れることは、これが初となる。

38度線を越える3代目。大胆不敵なジャンプに見えるが、金正恩の狙いは、南北会談のショーアップだ。首脳会談の定番である平壌・百花園招待所では代わり映えがしない。
▽南鮮特使迎える生野血統兄妹3月6日(KCNA)
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一方、文在寅側にも当日の周辺取材許可を盾に、内外のメディアをコントロールできるというメリットがある。報道各社は、南北双方に不都合な情報を入手しても公表を差し控えるだろう。

4月末、板門店の小さなビルに金正恩と文在寅が収納される。南北同時斬首作戦を決行するなら、この機会を逃す手はない。巡航ミサイルを数発ぶち込めばオペレーションは成功する。
▽会談が予定される南側「平和の家」1月(南鮮紙)
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空爆案は高レベル電波の妄想だが、それ以上の“超兵器”が平壌に飛ぶ可能性が出てきた。訪朝した特使は、続いて米国を訪問。米朝首脳会談の開催を求める金正恩側の意思を伝えた。

「金正恩氏が会談の席で非核化に尽力すると述べたことをトランプ大統領に伝えた」

ホワイトハウスの車寄せで開かれた異例の記者会見。トランプ大統領は報告を高く評価し、会談に応じる意向を示したという。時期は5月までで会談場所は未定だが、平壌に招待される形式が無難だろう。
▽ホワイトハウス外で会見する特使3月8日(時事)
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唐突で奇っ怪な決定である。首脳会談による一点突破の事態打開は金王朝の常套手段。小泉訪朝のケースは、密使の高位外交官が第3国で協議を重ね、レールを敷きつつ枕木と地雷を埋め込んだ。

今回は南鮮の特使が3代目の呼び掛けを口述で伝えただけで、親書を配達したのではなかった。ホップの段階から真っ当な外交手順を踏んでいない。米国は三度、失敗を繰り返すのか…

【ユーラシア大陸の腐った盲腸】

2003年1月、北朝鮮はNPT(核兵器不拡散条約)からの脱退を表明し、続いて核兵器の保有を宣言した。第1回南北首脳会談の3年後に起きた出来事だ。

2009年4月、北朝鮮はテポドン2改を発射し、続いて第2次核実験に踏み切る。これは第2回南北首脳会談の1年半後に当たる。対話協調路線から一転の強硬姿勢。恥ずかしいほど持続力が無い。
▽38度線をまたぐ盧武鉉’07年10月(中央日報)
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南北首脳会談が逆効果でしかなかった事実は多くの識者が指摘する所だが、顕著な特徴が存在する。それは会談で醸成された融和ムードが、会談した大統領の任期内に限定されることだ。

核保有宣言は金大中の退任直後、第2次核実験は李明博政権の発足後だった。慰安婦合意と同じで、外国との約束事も取り決めも大統領が変われば、白紙撤回。その場凌ぎの嘘に塗れた朝鮮スタイルである。
▽核保有を側面支援した南北会談’00年(AFP)
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「首脳間ホットラインを設置し、第3回南北首脳会談以前に初の通話を実施する」

特使の鄭義溶(チョン・ウィヨン)は3月6日、平壌会談の成果を強調。日南のメディアも好意的に取り上げた。アーカイブ機能がないのか、典型的な寝たふり報道なのか?

歴史的な和解劇と評された1972年の「南北共同声明」。その最大の売りが平壌-ソウル間の首脳ホットライン設置だった。相互理解に民族連携と美麗なフレーズが並んだが、言葉だけで46年が過ぎ去った。
▽平壌で南特使迎える金日成’72年(聯合)
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共同声明の20年後には、これも歴史的と讃えられた南北共同宣言が出る。朝鮮半島の非核化を高らかに謳った宣言だったが、同時期に北朝鮮は核・ミサイル開発を本格化させる。

甘い文句と柳腰で北朝鮮が南を騙し続けたのではない。南北が一致して国際社会を欺いてきたのだ。そして今回も伝統に則り、狐と狸が、虎や熊をペテンにかけようと猿芝居を演じている。
▽平壌で南特使迎える金正恩3月5日(KCNA)
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第2次朝鮮戦争が「南侵・北爆」で済む時代ならば、周辺国は喜んで桟敷から眺めた。だが、1993年のノドン発射で状況は劇的に変わった。我が国本土や在日米軍基地が標的になる恐れが出てきたのだ。

70年にわたる分断国家の対立と和平は、周辺国への大きな脅威を生み出した。南も北も血を流して統一を目指す覚悟はなく、双方の現体制維持を至上命題にしている。
▽会談決定報じる南鮮TV3月7日(AP)
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延々と続く半島内の内紛が、周辺の大国を巻き込み、東アジアの大きな不安定要素となる。19世紀から変わらない構図。ユーラシア大陸の盲腸は腐り切ったままだ。

南北が握手しても、米朝がトークしても、根本的な治癒は不可能。外科的処置で切り落とすことが最善にして唯一の方策である。



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参考記事:
□産経新聞3月8日『米朝首脳が核・ミサイル問題で直接会談へ 核・ミサイル実験自制を表明 トランプ氏「5月までに会談する」』
□AFP3月9日『トランプ氏、金正恩氏と5月までに会談へ 朝鮮半島の非核化目指す』
□産経新聞2月11日『巨額支援を引きだし、核開発の時間稼ぎをしてきた南北首脳会談の歴史』
□産経新聞3月8日『困ったときの韓国頼み 北朝鮮、合意破りの歴史 対話中に支援獲得で制裁解除狙い確実 来月には南北首脳会談』
□ロイター3月8日『北朝鮮との「非核化」対話、繰り返される失敗の歴史』
□産経新聞3月7日『軍事演習に「理解する」 金正恩氏、米韓懐柔狙いか』
□ロイター3月3日『北朝鮮、米韓合同軍事演習が実施されれば「対抗」と警告』
□産経新聞3月7日『韓国側板門店会談、金正恩委員長側が選択 父、金正日総書記との違い打ち出し』
□時事通信3月6日『中国全人代、広がる習氏礼賛=「主席任期撤廃」全面賛成の声』
□ロイター2月26日『中国国家主席の任期撤廃、「北朝鮮化」とネットで批判も』
□産経新聞3月5日『中国、習近平氏の個人独裁回帰へ ネット上に「皇帝」批判』

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