平昌五輪に「竹島」は翻るか…’50sの参戦国復活会合
カナダの対北外相会合に集まった20ヵ国。その陣容を見て中露は、敵国だった過去を思い出す。そして、南北首領が政治宣伝の場に変えた冬季五輪に我が国の領土問題が浮上する。
「米国には作戦計画があり、準備も出来ている」
米国のマティス国防長官は1月15日、そう語った。加・バンクーバーを舞台にした「北朝鮮問題に関する外相会合」の開催前日、夕食会での発言だ。
NHKなど反日メディアが、マティス発言に飛び付き、一部は「戦争計画」と誇張して報道。事実関係について記者団は小野寺五典防衛相を取り囲み、詰め寄る。
▽記者団に囲まれる小野寺防衛相1月18日(JNN)
「全ての選択肢がテーブルの上にあると言うことは当然、そのような計画もあるのだと思う」
これを受けてメディアが「事実上認めた」と輪を掛けて騒ぐ。しかし、米軍が朝鮮有事の作戦計画を策定していることは秘密ではなく、目新しさもない。
70年代に立案された「作戦計画5027」など米軍は複数のプランを策定している。単に我が国の主なメディアが「朝鮮有事」という重要キーワードをタブー扱いにし、報じていしないだけだ。
▽謎の北緯40線入り5027作戦計画図(file)
参照:H29年4月18日エントリ『拉致被害者奪還作戦の夢幻…半島有事で絶望する国家』
そうした歪んだ報道姿勢は、バンクーバーの対北外相会合でも同じだった。アウトラインを簡潔に報じるに留まり、意義も意味合いも解説しない。マティス発言への興奮とは違いが際立つ。
「我々は北朝鮮が核・ミサイル計画を執拗に追求している事実から目を背けるべきではありません」
会合での河野外相発言は力強く、我が国は大きな存在感を発揮した。席次は議長国の米加両外相を中央に、河野外相はメーンテーブルの上手だ。有事の際に戦場化すること確実の南鮮よりもランクが高い。
▽加で開催された対北20カ国外相会合1月16日(ロイター)
安全保障問題の国際会合で我が国がこのような位置を占めたことは、戦後史では類例がなかった。河野外相は一部で高まる融和ムードに鋭く釘を刺す。
「北朝鮮の『微笑外交』に目を奪われるべきではありません。今は圧力を緩和する時でも、北朝鮮に報いる時でもありません」
▽会合で発言する河野外相1月16日(AFP)
同じ頃、入れ違いで来日した親北ICAN代表をメディアが大きく報じたが、裏には対北外相会合をベタ記事に落とす意図も見え隠れする。それほど我が国にとってエポックを画す国際会合だったのだ。
【朝鮮派遣UN軍の再結集】
対北外相会合は昨年12月、米ティラーソン国務長官がカナダを訪問した際に開催が正式発表された。その時点で我が国の参加を確定的だったが、不安視する声も政府部内にあった。
「外交的解決が不可欠で可能だと信じる」
加・フリーランド外相は昨年11月の声明でそう訴えた。トルドー政権は「対話指向」で我が国の方針とは温度差が見られた。中途半端な“対話厨”が外合を台無しにする危険性も指摘される。
▽オタワで会談した米加外相’17年12月(AFP)
そこで河野外相は1月9日にフリーランドと電話会談を行い、日本政府の揺るがない姿勢を伝達。更に会合開催前に現地で会談を実施し、念を押した。結果的に議長声明から“トルドー色”は消え去った。
「北朝鮮が信頼できる交渉の席に着くまで、同国による挑発行動の代償を増大させるべきだ」
▽会合で発言するティラーソン長官1月16日(地元紙)
ティラーソン長官の演説も対話論を牽制するものだった。一方で、中共とロシアは露骨に不快感を示した。また反日メディアも中露2カ国の不参加で会合は効力がないと否定的な解説を加える。
議長声明に新鮮な要素は少なく、実行力を伴う措置も盛り込まれていない。だが、中露2カ国を名指して制裁逃れに関する「特別な責任」を確認したことが重要だ。安保理決議とは決定的に異なる。
▽対北20カ国外相会合の記念撮影(AP)
そして、目を見張ったのは参加国の陣容だ。出席した20カ国の中には、北朝鮮とは関係性の薄ういトルコやギリシャ、更にタイやフィリピン、南米のコロンビアが含まれていた。
▽対北外相会合の参加国(毎日)
これらの国々は、第1次朝鮮戦争のUN軍派遣国。対北制裁で安保理がやや機能不全に陥る中、1950年代の枠組みが復活したのである。中共と旧ソ連は多国籍軍の枠外であり、敵陣営だった。
もちろん、プーチンも習近平も20カ国の意味合いに気付いているが、3代目は金日成のように命令一下で動かない。北朝鮮に対し、押しも引きも出来ない状況が続く。
【対北海上封鎖の参加国が確定】
朝鮮戦争UN軍の参加国はルクセンブルクなどを含む16カ国。そこに我が国とインドが新たに加わった形だ。因みに南鮮は当時はUN非加盟で、UN軍の枠外だった。
▽朝鮮戦争でジープに乗る洋公主(file)
この旧UN軍の枠組みを活用するアイデアは、マティス国防長官が発案したものだという。即ち、外相会合の主眼は北朝鮮を追い詰めることでなく、中露2カ国への圧力強化にあったのだ。
「この会合は1回限りで、2回目はない」
記者団から会合の成果を問われた河野外相は、そう語った。対北20カ国外相会合は継続しないと言うのだ。真意を測りかねる発言だったが、夕食会で発されたマティス国防長官の言葉で謎が解けた。
▽米加国防相会談に臨むマティス長官’17年(AP)
「外相会合で上手く行かなければ、次は国防相会合を行う」
マティス長官は、国防相会合では刺激が強過ぎると懸念し、代替の外相会合を提案したという。この20カ国が有事に際し、横滑りで多国籍軍を形成すると考えられる。
▽印豪英仏など20カ国の国旗が並ぶ1月16日(ロイター)
陸戦部隊派遣が前提ではないにせよ、議長声明の内容からも対北海上封鎖に各国の海軍が参加することは確実だ。その時、我が国は、どのような協調行動が取れるのか。政府関係者は、こう指摘する。
「この問題は安保法制の最大の穴になっている」
▽北朝鮮船舶の瀬取り現場10月(米財務省HP)
海上封鎖は武力行使の一手段で、海自や海保は存立危機事態・武力攻撃事態の認定がない限り、臨検には参加不可能。国際会合で存在感を示す一方、国内では朝鮮有事に関わる法的整備も議論も進まない。
北朝鮮船舶が頻繁に往来する日本海から東シナ海こそ、海上封鎖の主な舞台だ。そこで要になるのは海自艦艇以外にない。無能南鮮海軍は計算外であるばかりか、敵艦隊になる恐れすらある。
【合同チームの提案者は文在寅】
「北朝鮮が南北対話に関与している今、制裁解除や支援提供で報いるべきといった主張はナイーブ過ぎる。北は核・ミサイル計画を継続する為の時間稼ぎをしたいのです」
バンクーバーで河野外相は繰り返し、対話論の浮上を制した。文在寅政権への間接的な呼び掛けで、南鮮外交部長の康京和と接触した際、直接訴えたかどうかは不明だ。
▽会合で孤立する2代目コウモリ女1月16日(共同)
一部報道では16日に日南外相会談が行われたとされるが、外務省は「朝食会」で「意見交換」と表現。日米南のマルチ会談はあったが、バイの外相会談はなかったのだ。外務省の怒り具合が感じられる。
参照:外務省HP1月16日『日韓外相朝食会』
「厳格な制裁と圧力を加え、他方で将来について明るい展望を示すという2つの方策を同時に進めてきた」
2匹目のコウモリ女。外相会合での康京和発言には、南鮮の場当たり的な対北政策が滲み出ていた。文在寅は3代目の思惑通り、時間稼ぎでしかない南北対話に前のめりだ。
▽訓練施設ではしゃぐ文在寅1月17日(青瓦台広報)
「南北が一つのチームで臨めば歴史の名場面になり、国民と世界はその姿を見て感動するだろう」
南鮮代表の訓練施設を訪れた文在寅は1月17日、アイスホッケー女子の南北合同チーム結成について自画自賛した。合同チームは、この日の板門店実務協議で最終合意に至ったものだ。
「五輪目前にこうした話が出るのは衝撃的。選手らに間違いなく影響する」
▽五輪女子代表チームのカナダ人監督(朝鮮日報)
女子チームを率いるカナダ人監督は、そう語る。不健全な高支持率を保つ文在寅だが、北選手の流入に関しては各界から批判も噴出。しかし、南北合同チームを最初に提起したのは、文在寅政権だった。
「平昌五輪を平和五輪として行う為の核心は北朝鮮が参加するかどうかだ」
参照:産経新聞H29年6月23日『「ひどい仕打ちだ」文在寅政権の南北合同チーム計画に韓国選手が反発』
昨年6月、文化体育観光部長が南北合同チームの検討を表明。一部競技の北開催を含めIOCに働き掛けると訴えていた。決して唐突な合流話ではなく、金正恩は文在寅の呼び掛けに応じただけだ。
▽断続的に開かれる板門店協議1月17日(時事)
更に五輪前夜祭の開催地変更などでも「政治的な取引優先」と反発が高まる。文在寅マンセーの南鮮メディアにも亀裂が生じ始めた。大方の予想とは異なり、冬季五輪は波乱含みで開幕を迎える。
南鮮国内のオモシロ可笑しい内紛ではない。入場式などに登場予定の「南北統一旗」。それは我が国の領土問題に直結する火種なのだ。
【五輪に“竹島の旗”は翻るか?】
1月17日に板門店で開かれた実務協議で南北朝鮮は、開会式で「統一旗」を掲げて合同入場行進する方針を決定した。晴れの舞台に忌まわしい反日フラッグが翻る可能性が高い。
「統一旗」は、白地に水色の朝鮮半島が描かれている。ミニマルなデザインだが、目を凝らすと日本海側に小さな点があることに気付く。縮尺無視なのか、不自然に大きい。
▽トリノ冬季五輪の合同入場式’06年(毎日)
この島が何か? 我が国では気にする人も少なく、議論の的になったこともない。竹島なのではないか…と疑う明察者が現れたが、非公式の説明では鬱陵島であるらしい。
それが朝鮮人の反日ハートに火を付けた。10年以上前、南鮮では鬱陵島の東にある島が「排除されている」と批判が殺到。新たに島根県の竹島を書き加えた旗の公式採用が決まった。
▽スタジアムに掲げられた新統一旗(file)
2006年のドーハ・アジア大会。南北朝鮮は統一旗に竹島を追加することで合意した。ただし、製作が遅れたとの謎理由で開会式に新たな統一旗が登場することはなかった。
この時、竹島入りの旗を提案したのは南鮮側だという。一方、その前年に南鮮で開催れたアジア陸上大会。北朝鮮応援団が手にする旗には既に竹島があった。竹島入りの統一旗は南北共通の歪んだ夢なのだ。
▽北応援団の竹島入り統一旗’05年(OMN)
元々、統一旗は朝鮮総連の構成員が80年代半ばに結成した南北選手を共同応援する会が準備したもので、日本国内の大会で大量の小旗が配布されたケースもある。総連発の反日フラッグと言えるだろう。
平昌五輪の入場行進で、竹島入りヴァージョンが採用されるか、否か現時点では不明だ。しかし、我が国はIOCを恫喝して、竹島入り統一旗の排除を求めるべきだ。
▽観客が政治的な主張に使う例も’08年(南鮮ネット)
平昌五輪のHPには竹島が占領名で記され、日本列島が当初消滅していた。五輪を政治宣伝の場と位置付ける文在寅政権は、確信犯で竹島入り統一旗をチョイスする可能性が高い。
奇しくも五輪開催期間中に2月22日「竹島の日」を迎える。この日から、三・一鮮人暴動の記念日まで、南鮮は“春の反日強化週間”だ。必ずや五輪中継を悪用して反日プロパガンダを繰り返す。
▽金剛山観光のクルーズ船にも竹島入りの旗(file)
統一旗の使用は、1月20日のIOC臨時会議で最終決定される見通しだ。南北の言うがままに反日バージョンを採用し、平和の祭典とやらを領土紛争の最前線に変えるのか…IOCの五輪政治利用が問われる。
〆
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↓

参照:
□外務省HP1月16日『北朝鮮に関する関係国外相会合』
□外務省HP1月16日『朝鮮半島における安全と安定に関する外相会合 河野太郎外務大臣による冒頭発言』(PDF)
参考記事:
□ロイター1月17日『20カ国外相、北朝鮮への圧力継続訴え 南北対話にかかわらず』
□AFP1月17日『米など20か国、対北朝鮮の「海上阻止行動」強化で合意 外相会合』
□産経新聞1月17日『河野外相、安堵の表情も「2回目はない!」モザイク模様の対北朝鮮圧力の強化』
□産経新聞1月17日『河野太郎外相「北朝鮮の『微笑外交』に目を奪われず、結束して圧力を最大限まで高めるべきだ」 外相会合での演説詳報』
□日経新聞1月17日『南北対話は「時間稼ぎ」 河野外相、圧力継続を訴え カナダで会合開幕』
□産経新聞1月19日『開会式は「統一旗」に目をこらそう 「朝鮮半島と済州島」に竹島が入るのでは-の危惧』
□日経新聞1月18日『「南北融和」、韓国を分断 合同チームに世論反発 “平壌”五輪の様相も 文政権に思わぬ逆風』
□産経新聞1月19日『「政治ショー」に批判噴出 韓国の若者が不公平に「ノー」 唐突なアイスホッケー女子合同チーム、入場行進に統一旗…』
□南鮮KBS1月18日『「南北合同入場は関係改善の出発点」文在寅大統領』
「米国には作戦計画があり、準備も出来ている」
米国のマティス国防長官は1月15日、そう語った。加・バンクーバーを舞台にした「北朝鮮問題に関する外相会合」の開催前日、夕食会での発言だ。
NHKなど反日メディアが、マティス発言に飛び付き、一部は「戦争計画」と誇張して報道。事実関係について記者団は小野寺五典防衛相を取り囲み、詰め寄る。
▽記者団に囲まれる小野寺防衛相1月18日(JNN)
「全ての選択肢がテーブルの上にあると言うことは当然、そのような計画もあるのだと思う」
これを受けてメディアが「事実上認めた」と輪を掛けて騒ぐ。しかし、米軍が朝鮮有事の作戦計画を策定していることは秘密ではなく、目新しさもない。
70年代に立案された「作戦計画5027」など米軍は複数のプランを策定している。単に我が国の主なメディアが「朝鮮有事」という重要キーワードをタブー扱いにし、報じていしないだけだ。
▽謎の北緯40線入り5027作戦計画図(file)
参照:H29年4月18日エントリ『拉致被害者奪還作戦の夢幻…半島有事で絶望する国家』
そうした歪んだ報道姿勢は、バンクーバーの対北外相会合でも同じだった。アウトラインを簡潔に報じるに留まり、意義も意味合いも解説しない。マティス発言への興奮とは違いが際立つ。
「我々は北朝鮮が核・ミサイル計画を執拗に追求している事実から目を背けるべきではありません」
会合での河野外相発言は力強く、我が国は大きな存在感を発揮した。席次は議長国の米加両外相を中央に、河野外相はメーンテーブルの上手だ。有事の際に戦場化すること確実の南鮮よりもランクが高い。
▽加で開催された対北20カ国外相会合1月16日(ロイター)
安全保障問題の国際会合で我が国がこのような位置を占めたことは、戦後史では類例がなかった。河野外相は一部で高まる融和ムードに鋭く釘を刺す。
「北朝鮮の『微笑外交』に目を奪われるべきではありません。今は圧力を緩和する時でも、北朝鮮に報いる時でもありません」
▽会合で発言する河野外相1月16日(AFP)
同じ頃、入れ違いで来日した親北ICAN代表をメディアが大きく報じたが、裏には対北外相会合をベタ記事に落とす意図も見え隠れする。それほど我が国にとってエポックを画す国際会合だったのだ。
【朝鮮派遣UN軍の再結集】
対北外相会合は昨年12月、米ティラーソン国務長官がカナダを訪問した際に開催が正式発表された。その時点で我が国の参加を確定的だったが、不安視する声も政府部内にあった。
「外交的解決が不可欠で可能だと信じる」
加・フリーランド外相は昨年11月の声明でそう訴えた。トルドー政権は「対話指向」で我が国の方針とは温度差が見られた。中途半端な“対話厨”が外合を台無しにする危険性も指摘される。
▽オタワで会談した米加外相’17年12月(AFP)
そこで河野外相は1月9日にフリーランドと電話会談を行い、日本政府の揺るがない姿勢を伝達。更に会合開催前に現地で会談を実施し、念を押した。結果的に議長声明から“トルドー色”は消え去った。
「北朝鮮が信頼できる交渉の席に着くまで、同国による挑発行動の代償を増大させるべきだ」
▽会合で発言するティラーソン長官1月16日(地元紙)
ティラーソン長官の演説も対話論を牽制するものだった。一方で、中共とロシアは露骨に不快感を示した。また反日メディアも中露2カ国の不参加で会合は効力がないと否定的な解説を加える。
議長声明に新鮮な要素は少なく、実行力を伴う措置も盛り込まれていない。だが、中露2カ国を名指して制裁逃れに関する「特別な責任」を確認したことが重要だ。安保理決議とは決定的に異なる。
▽対北20カ国外相会合の記念撮影(AP)
そして、目を見張ったのは参加国の陣容だ。出席した20カ国の中には、北朝鮮とは関係性の薄ういトルコやギリシャ、更にタイやフィリピン、南米のコロンビアが含まれていた。
▽対北外相会合の参加国(毎日)
これらの国々は、第1次朝鮮戦争のUN軍派遣国。対北制裁で安保理がやや機能不全に陥る中、1950年代の枠組みが復活したのである。中共と旧ソ連は多国籍軍の枠外であり、敵陣営だった。
もちろん、プーチンも習近平も20カ国の意味合いに気付いているが、3代目は金日成のように命令一下で動かない。北朝鮮に対し、押しも引きも出来ない状況が続く。
【対北海上封鎖の参加国が確定】
朝鮮戦争UN軍の参加国はルクセンブルクなどを含む16カ国。そこに我が国とインドが新たに加わった形だ。因みに南鮮は当時はUN非加盟で、UN軍の枠外だった。
▽朝鮮戦争でジープに乗る洋公主(file)
この旧UN軍の枠組みを活用するアイデアは、マティス国防長官が発案したものだという。即ち、外相会合の主眼は北朝鮮を追い詰めることでなく、中露2カ国への圧力強化にあったのだ。
「この会合は1回限りで、2回目はない」
記者団から会合の成果を問われた河野外相は、そう語った。対北20カ国外相会合は継続しないと言うのだ。真意を測りかねる発言だったが、夕食会で発されたマティス国防長官の言葉で謎が解けた。
▽米加国防相会談に臨むマティス長官’17年(AP)
「外相会合で上手く行かなければ、次は国防相会合を行う」
マティス長官は、国防相会合では刺激が強過ぎると懸念し、代替の外相会合を提案したという。この20カ国が有事に際し、横滑りで多国籍軍を形成すると考えられる。
▽印豪英仏など20カ国の国旗が並ぶ1月16日(ロイター)
陸戦部隊派遣が前提ではないにせよ、議長声明の内容からも対北海上封鎖に各国の海軍が参加することは確実だ。その時、我が国は、どのような協調行動が取れるのか。政府関係者は、こう指摘する。
「この問題は安保法制の最大の穴になっている」
▽北朝鮮船舶の瀬取り現場10月(米財務省HP)
海上封鎖は武力行使の一手段で、海自や海保は存立危機事態・武力攻撃事態の認定がない限り、臨検には参加不可能。国際会合で存在感を示す一方、国内では朝鮮有事に関わる法的整備も議論も進まない。
北朝鮮船舶が頻繁に往来する日本海から東シナ海こそ、海上封鎖の主な舞台だ。そこで要になるのは海自艦艇以外にない。無能南鮮海軍は計算外であるばかりか、敵艦隊になる恐れすらある。
【合同チームの提案者は文在寅】
「北朝鮮が南北対話に関与している今、制裁解除や支援提供で報いるべきといった主張はナイーブ過ぎる。北は核・ミサイル計画を継続する為の時間稼ぎをしたいのです」
バンクーバーで河野外相は繰り返し、対話論の浮上を制した。文在寅政権への間接的な呼び掛けで、南鮮外交部長の康京和と接触した際、直接訴えたかどうかは不明だ。
▽会合で孤立する2代目コウモリ女1月16日(共同)
一部報道では16日に日南外相会談が行われたとされるが、外務省は「朝食会」で「意見交換」と表現。日米南のマルチ会談はあったが、バイの外相会談はなかったのだ。外務省の怒り具合が感じられる。
参照:外務省HP1月16日『日韓外相朝食会』
「厳格な制裁と圧力を加え、他方で将来について明るい展望を示すという2つの方策を同時に進めてきた」
2匹目のコウモリ女。外相会合での康京和発言には、南鮮の場当たり的な対北政策が滲み出ていた。文在寅は3代目の思惑通り、時間稼ぎでしかない南北対話に前のめりだ。
▽訓練施設ではしゃぐ文在寅1月17日(青瓦台広報)
「南北が一つのチームで臨めば歴史の名場面になり、国民と世界はその姿を見て感動するだろう」
南鮮代表の訓練施設を訪れた文在寅は1月17日、アイスホッケー女子の南北合同チーム結成について自画自賛した。合同チームは、この日の板門店実務協議で最終合意に至ったものだ。
「五輪目前にこうした話が出るのは衝撃的。選手らに間違いなく影響する」
▽五輪女子代表チームのカナダ人監督(朝鮮日報)
女子チームを率いるカナダ人監督は、そう語る。不健全な高支持率を保つ文在寅だが、北選手の流入に関しては各界から批判も噴出。しかし、南北合同チームを最初に提起したのは、文在寅政権だった。
「平昌五輪を平和五輪として行う為の核心は北朝鮮が参加するかどうかだ」
参照:産経新聞H29年6月23日『「ひどい仕打ちだ」文在寅政権の南北合同チーム計画に韓国選手が反発』
昨年6月、文化体育観光部長が南北合同チームの検討を表明。一部競技の北開催を含めIOCに働き掛けると訴えていた。決して唐突な合流話ではなく、金正恩は文在寅の呼び掛けに応じただけだ。
▽断続的に開かれる板門店協議1月17日(時事)
更に五輪前夜祭の開催地変更などでも「政治的な取引優先」と反発が高まる。文在寅マンセーの南鮮メディアにも亀裂が生じ始めた。大方の予想とは異なり、冬季五輪は波乱含みで開幕を迎える。
南鮮国内のオモシロ可笑しい内紛ではない。入場式などに登場予定の「南北統一旗」。それは我が国の領土問題に直結する火種なのだ。
【五輪に“竹島の旗”は翻るか?】
1月17日に板門店で開かれた実務協議で南北朝鮮は、開会式で「統一旗」を掲げて合同入場行進する方針を決定した。晴れの舞台に忌まわしい反日フラッグが翻る可能性が高い。
「統一旗」は、白地に水色の朝鮮半島が描かれている。ミニマルなデザインだが、目を凝らすと日本海側に小さな点があることに気付く。縮尺無視なのか、不自然に大きい。
▽トリノ冬季五輪の合同入場式’06年(毎日)
この島が何か? 我が国では気にする人も少なく、議論の的になったこともない。竹島なのではないか…と疑う明察者が現れたが、非公式の説明では鬱陵島であるらしい。
それが朝鮮人の反日ハートに火を付けた。10年以上前、南鮮では鬱陵島の東にある島が「排除されている」と批判が殺到。新たに島根県の竹島を書き加えた旗の公式採用が決まった。
▽スタジアムに掲げられた新統一旗(file)
2006年のドーハ・アジア大会。南北朝鮮は統一旗に竹島を追加することで合意した。ただし、製作が遅れたとの謎理由で開会式に新たな統一旗が登場することはなかった。
この時、竹島入りの旗を提案したのは南鮮側だという。一方、その前年に南鮮で開催れたアジア陸上大会。北朝鮮応援団が手にする旗には既に竹島があった。竹島入りの統一旗は南北共通の歪んだ夢なのだ。
▽北応援団の竹島入り統一旗’05年(OMN)
元々、統一旗は朝鮮総連の構成員が80年代半ばに結成した南北選手を共同応援する会が準備したもので、日本国内の大会で大量の小旗が配布されたケースもある。総連発の反日フラッグと言えるだろう。
平昌五輪の入場行進で、竹島入りヴァージョンが採用されるか、否か現時点では不明だ。しかし、我が国はIOCを恫喝して、竹島入り統一旗の排除を求めるべきだ。
▽観客が政治的な主張に使う例も’08年(南鮮ネット)
平昌五輪のHPには竹島が占領名で記され、日本列島が当初消滅していた。五輪を政治宣伝の場と位置付ける文在寅政権は、確信犯で竹島入り統一旗をチョイスする可能性が高い。
奇しくも五輪開催期間中に2月22日「竹島の日」を迎える。この日から、三・一鮮人暴動の記念日まで、南鮮は“春の反日強化週間”だ。必ずや五輪中継を悪用して反日プロパガンダを繰り返す。
▽金剛山観光のクルーズ船にも竹島入りの旗(file)
統一旗の使用は、1月20日のIOC臨時会議で最終決定される見通しだ。南北の言うがままに反日バージョンを採用し、平和の祭典とやらを領土紛争の最前線に変えるのか…IOCの五輪政治利用が問われる。
〆
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参照:
□外務省HP1月16日『北朝鮮に関する関係国外相会合』
□外務省HP1月16日『朝鮮半島における安全と安定に関する外相会合 河野太郎外務大臣による冒頭発言』(PDF)
参考記事:
□ロイター1月17日『20カ国外相、北朝鮮への圧力継続訴え 南北対話にかかわらず』
□AFP1月17日『米など20か国、対北朝鮮の「海上阻止行動」強化で合意 外相会合』
□産経新聞1月17日『河野外相、安堵の表情も「2回目はない!」モザイク模様の対北朝鮮圧力の強化』
□産経新聞1月17日『河野太郎外相「北朝鮮の『微笑外交』に目を奪われず、結束して圧力を最大限まで高めるべきだ」 外相会合での演説詳報』
□日経新聞1月17日『南北対話は「時間稼ぎ」 河野外相、圧力継続を訴え カナダで会合開幕』
□産経新聞1月19日『開会式は「統一旗」に目をこらそう 「朝鮮半島と済州島」に竹島が入るのでは-の危惧』
□日経新聞1月18日『「南北融和」、韓国を分断 合同チームに世論反発 “平壌”五輪の様相も 文政権に思わぬ逆風』
□産経新聞1月19日『「政治ショー」に批判噴出 韓国の若者が不公平に「ノー」 唐突なアイスホッケー女子合同チーム、入場行進に統一旗…』
□南鮮KBS1月18日『「南北合同入場は関係改善の出発点」文在寅大統領』
![]() 報道しない自由 なぜ、メディアは平気で嘘をつくのか [ 西村幸祐 ] |
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「竹嶼」に見えなくもない。
嫌らしいな~