中韓が絶句した飯島訪朝…平壌に渡る「安倍親書」

三代目の意味不明な恫喝に関係各国が悩む中、安倍首相は“特使”を北の権力中枢に送り込んだ。動揺を隠し切れない北京とソウル。果たして、金正恩はボールを投げ返すのか?
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焦点は平壌で誰と会うかだ。滞在期間は予定4泊5日。 北朝鮮入りした飯島勲内閣官房参与は、5月18日に高麗航空151便で出国し、日本時間の昼前に北京空港でトランジットすると見られる。

文字通りの正に電撃的だった。一部メディアは、飯島参与が北京に行く可能性を把握していたが、目的地が平壌だと見抜けなかった。現地から写真と映像を配信したのは平壌に支局を持つ共同通信だけだ。
▼順安空港に到着した飯島参与5月14日(共同)
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5月14日午後4時過ぎ。平壌・順安国際空港で飯島参与を出迎えたのは、北外交部副局長の金哲虎(キム・チョルホ)だった。小物感漂う役人だが、笑顔の歓迎ぶりである。
▼飯島参与を出迎える金哲虎(共同)
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金哲虎は実力者ではないが、小泉訪朝時から外交部課長として関わり、2006年初めに拉致問題協議の担当者に任命された人物だ。このことから、拉致事件について北が動くという観測も浮上した。

報道各社が伝えている通り、日朝交渉のロジ担である宋日昊(ソン・イルホ)との接触は確実だ。 問題はその先だったが、2日目に労働党外交部門トップの金永日が登場した。北の序列20位だ。
▼熱唱する金永日2008年(新華社)
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これで今回の訪朝で飯島参与は、金正恩と対面する可能性が高まった。小泉訪朝時、秘書官として同行した飯島参与は、金正日と握手している。儒教の影響が残る朝鮮では、これが大きな意味を持つ。

三代目は、先代と公の場で握手した人物を邪険に扱うこと出来ない。息子が亡父の“知人”に会うことは、取り立てて奇異な行動ではなく、飯島参与が求めれば、形式的であっても対面することになる。
▼金正日と握手する飯島秘書官2004年
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外務官僚は通常、同じランクの相手としか会談できないが、特使格の来訪者は別だ。何でもアリの世界である。安倍首相による飯島参与派遣の狙いはそこにある。

我が国としては、久々の一点突破外交だ。これに強い衝撃を受けたのが、中共と南鮮の権力中枢であった。

【平壌からも“悪い報せ”が届く】

「外交通商部も知らなかったし、我々も知らなかった」

南鮮・青瓦台の関係者は14日夜、そうコメントした。衝撃を受けて絶句した格好だ。通商外交部は、事前に動きを把握できなかったことをパク・クネらに釈明したという。
▼尹昶重容疑者とパク5月6日(AP)
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青瓦台はこの日、我が国を除外した対北外交セミナーのソウル開催をブチ上げたばかりだった。“日本外し”を印象を付ける為だけの外務審議官級会合。それで我が国を追い込めると考えていたのである。

またパク・クネは14日の閣議で、工業団地を巡る南北協議の開催を提案したが、統一部サイドが会見で「北が先に提案すべきだ」と発言。政府内の足並みの乱れまで露呈させてしまった。
▼開城団地を追われた南の車両4月(共同)
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南鮮指導部は、パク・クネの側近が起こした米女子実習生レイプ未遂事件の口裏合わせで収拾がつかない状態。“橋下徹祭り”でも忙しい南メディアに至っては、飯島訪朝を口汚く罵っている。

「安倍晋三首相が腹いせでけん制球を投げた」

この程度だ。パク・クネが“団地会談”を呼び掛けた直後に「日本が国際協調を破った」などと吠えている。もう支離滅裂…北ミサイル発射を2度予言して外した反省も何もない。

「聞いていなかった」
▼米デービース代表5月14日(共同)
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アジア歴訪中の米デービース北担当特別代表は、そう答えたが、この時点でシラを切るのは外交常識だ。コメントを真に受けて「協調分断」などと叫ぶ南メディアは、相変わらず狂っている。

飯島訪朝の衝撃から一夜明け、デービース代表は北京に入った。中共もまた北朝鮮対応で、迷走が続くばかりだ…

【飼い犬に無視された習近平】

「今や、ボタンさえ押せば発射されるようになっている」

北朝鮮が口先での挑発を続けていた4月中旬、中共外交部の武大偉は米国に向った。武大偉は、6ヵ国協議のプレジデントを務める人物だ。この緊急訪米は、特使として北朝鮮入りする準備と見られた。

ところが、5月に入っても武大偉が平壌に向う気配はなかった。中共は調整に失敗したのだ。そもそも北朝鮮が6ヵ国協議の再開を強硬に否定する中、議長が訪問しても効果は限りなく薄い。
▼6ヵ国協議議長・武大偉2010年
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次に、注目されたのが外交担当の国務委員・楊潔篪だった。中共の外交政策全体を調整する役周りだが、一般国の外相より権限が少なく、迫力もない。危機打開のキーマンとして明らかに力不足だ。

更に今年1月、UN安保理の北朝鮮制裁(2087号)で中共が賛成に回った際の外相が楊潔篪だった。中南海の決定を事務的に処理したに過ぎないが、北朝鮮指導部にとっては「裏切り者」の代表である。
▼楊潔チと金永日2007年(AFP)
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結局、北朝鮮がヒートアップした状況で、中共は誰も派遣することが出来なかった。以前なら唐家璇や王家瑞が問答無用で平壌入りし、中共はギリギリで面子だけは保ったが、今回は実行不可能だった。

明らかな役者不足。何よりも習近平自身が、北朝鮮新指導部との太いパイプを持っていない。3月からの北朝鮮恫喝騒ぎで、国際社会は“宗主国”中共の地位の低下を目の当たりにしたのである。
▼北京市内の中国銀行支店(WSJ)
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加えて、習近平の外交センスのなさも際立った。中国銀行が朝鮮貿易銀行の口座凍結を発表したのも、日本海側に展開していたムスダン2基の撤去が確認された後だった。

危機打開の派手な立ち回りができず、焦りを募らす中共指導部。その最中、安倍首相が官邸主導で特使役を平壌の中心部に送り込んだ。中共宣伝機関の沈黙が、衝撃の大きさを物語っている。

【金正恩決断の時が迫る】

「圧力をかけながら彼らの政策を変え、対話によって問題を解決したい」

安倍首相は5月15日、基本姿勢を示しながらも詳細については「ノーコメント」を貫いた。外交の舞台裏を明かせば国益を損なう。追及したのは、民主党の親北派残党・川上義博だった。
▼答弁する安倍首相5月15日(共同)
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「特使的な位置付けで、首相訪朝に向けた地ならしではないか」

政府関係者は、そう語る。一部メディアは、安倍首相による早期訪朝の可能性を指摘し、参院選と絡めて論じているが、金正恩のパーソナリティすら分からない中、自ら平壌に乗り込むのは冒険が過ぎる。

今回の飯島訪朝では、古屋拉致問題担当相と菅官房長官が協議を重ねていたという。一方で外務省サイドからは「預かり知らない」との声が漏れる。官邸主導外交の様相だ。
▼平壌に到着した飯島参与5月14日(共同)
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しかし、拉致問題担当の政府高官をモンゴルに派遣し、調整が進んでいたことも明かされた。旧来の北京ルートとは異なるウランバートル・ルートである。

安倍首相の信任が厚い国士・斎木昭隆が、外務省ナンバー2の審議官にまで昇進している。また城内実議員は大臣政務官だ。安倍首相が外務省をソデにする理由も必要もない。
▼出迎えられる飯島参与(KCNA)
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参照:平成18年11月2日付けエントリ『北朝鮮と闘い続ける男…斎木昭隆を国士と絶賛する』

2段構え、もしくは3段構えだ。複数ルートの同時作業は外交の常套手段だが、安倍首相は飯島訪朝という1枚目のカードを切った。既に揺さぶりは成功だ。北朝鮮指導部は、今、答えを迫られている。

飯島参与は安倍首相の親書を携えているはずだ。国防委員会第1委員長・金正恩宛の親書である。受け取るかどうか判らない。また、受け取りを公表するか否かも不明だ。全ては北の出方次第…
▼金正恩の視察スナップ(KCNA)
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ボールは投げられたのだ。そして、飯島訪朝で明らかになったのは、安倍政権が金正恩新指導部を「対話の相手」と認めたことである。中共と南鮮が絶句したのは、そこだ。

リミットは恐らく、今週金曜の夜。国際社会が29歳の“最高権力者”の出方に注目している。


  〆
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参考記事:
■産経新聞5月14日『なぜ飯島氏訪朝か』
■時事通信5月14日『飯島内閣参与が訪朝=官房長官らが了承-拉致問題協議か』
■毎日新聞5月14日『飯島参与訪朝:受け入れの北朝鮮「包囲網」突破狙う』
■共同通信5月15日『飯島内閣参与が訪朝 日朝関係打開へ接触か』
■朝鮮日報5月15日『飯島内閣参与の訪朝 韓国政府には事前通告せず』
■読売新聞5月15日『飯島氏、朝鮮労働党書記と会談…北メディア』
■スポニチ5月15日『飯島氏訪朝に警戒感 韓国紙「国際協調破る」』
■時事通信5月15日『首相主導の飯島氏訪朝=「日本単独」にリスクも』
■ZAKZAK5月15日『安倍首相 官邸外交による「6月電撃訪朝」の極秘計画画策か』

この記事へのコメント

風来坊
2013年05月16日 10:46
日本が久々に主体的外交を演じてくれました。それにひき替え“絶句”しているのが中韓。習近平もパク・クネも我が前政権のルーピーや管カラの姿に見えて仕方がありません。どうやらトップの資質の差が歴然となったようです。
経済・外交・安保などあらゆる面で第2次安倍政権には期待です。とはいえ北の三代目の“出来栄え”はさっぱりわかりません。安倍首相には2段構え・3段構えのしたたかな外交を展開して欲しいものです。
通りすがり
2013年05月16日 11:16
そんなに喜んでて良いんですか?
国とは日本だけではない
国際社会とはいろんなしがらみを調整してこそ成り立つもの。
諸外国との調整なしに喜んでばかりではねぇ
北朝鮮の宣伝に利用されただけでは?

2013年05月16日 14:11
>風来坊さま
本日の便で飯島参与が出国する可能性も残っているんですが、その後も取材に応じるのは囲み1回で殆ど喋らなさそう。田中均を使った小泉スタイルと違うけれど、トップ外交で進展図る点は同じですね。あとは、金正恩のキャラクターをどう捉えるかで、方向性が決まるでしょう。全くダメの場合もあります。

>通りすがり様
ご指摘の通り、南鮮の協調性のなさにはビックリですね。誤情報拡散の反省もなく、提案したのは自国権益のみ。そこに6ヵ国協議より上級のマルチを作るとかで大喜び。中共も、元から取引のない3銀行の「口座凍結声明」とか宣伝機関を通じたトリックが多すぎです。
ミーチャンハーチャン
2013年05月16日 14:53
今年のフジBSのプライムニュースの番組だったか、この飯島参与は、昨年12月26日に、政府内で金正恩の暗殺未遂事件があったとキッパリ言っていましたね。半信半疑だったが、どうやら彼の話は本当だろう。そのころから彼は北朝鮮政府内にかなり深く食い込んでいた。
女性交通警察官のわけの分からない表彰は、彼女がなんらかの暗殺阻止の功績があったのかもしれませんね。
ブウ
2013年05月17日 23:45
下朝鮮の捏造歴史に基づく政治が原因なのか、頓珍漢ぶりが際立っています。 中共と下鮮を牽制する為にも北を日本政府のコントロール化に置きたいですね。 将来、中共を潰す前線基地にできたらと夢想。

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