ユニバース事件と“在日2世”…闇に消えた「よど号」
新たな進展を見せる2児拉致事件。舞台となったユニバース社には「よど号」関係者との複数の接点が浮かび上がる。そこで鍵となるのが特殊事情を持つ“在日2世”の存在だ。
名著『宿命』で「よど号」グループの暗部を抉ったジャーナリストの高沢晧司氏は、謎めいた発言をしていた。「よど号」事件に関する取り扱いについてだ。
「北朝鮮問題の要するに…膿みが全部集まったところだ。だから皆、何と言うか、余り手を触りたがらない。
北朝鮮もそこに触られるのを一番恐れている。朝鮮総連もそう。日本政府もそうだ。知らんぷりしている」(昨11月12日放映TBS『報道特集』より)
「膿み」とは何か?
なぜ朝鮮総連ばかりか、日本政府も恐れているのか?
謎だ。答えは判らない。それが我が国と北朝鮮の間に横たわる「闇」なのだろうか?
渡辺秀子さんの2児が拉致された事件で、現在、脚光を浴びる「ユニバース・トレイディング社」。総連エリートの高大基(コ・デキ)が仕切っていたダミー商社だ。
▽高大基
そのユニバース社は「よど号」関係者に繋がる複数の人物が直接関わっていた…
渡辺秀子さんと高大基の長女・敬美ちゃんと剛君の拉致について、新聞各紙は、連日のように新情報を掲載している。だが朝鮮総連との関係性や「よど号」グループとの接点に関しては及腰で、殆ど露出していない。
テレビもそう、雑誌もそうだ。
高沢氏が発言していた通りの展開でもある…
【高大基の失踪直後に退社した】
「よど号」犯の1人・岡本武の妻にされた拉致被害者・福留貴美子さんが、ユニバース社がテナントとして入る西五反田の現TOCビルで一時、働いていたことは既に明らかになっている。
福留さんが、どのようにして北朝鮮と関わってしまったのか、これまで明らかになっていなかった。なぜ「モンゴルに行く」と言い残して出国した福留さんが北朝鮮に足止めされたのか…
▽福留貴美子さん(『宿命』より)
謎は少し明らかになってきた。
TOCビル内の勤務で、福留さんがユニバース社の工作員グループに出会っていた可能性は極めて高い。地元高知の高校卒業後に福留さんはSOK=総合警備保障に就職している。昭和45年4月だ。
開催中の大阪万博で会場勤務したが、その年の秋には万博が終了。次いで、福留さんは東京に勤務先が移り、上京した。いつからTOCビル勤務になったのかは不明だが、昭和46年6月にユニバース社は、テナントとして入っている。
その2年後、福留さんはSOKを退社。昭和48年7月と見られる。渡辺秀子さんの夫・高大基が失踪=本国召還された直後だ。ユニバース社はその後も存続したが、朝鮮総連内部の抗争から異変が起きたのはちょうどこの時期だ。
ただし昭和48年当時、北朝鮮が福留さんを必要としていたとは考えられない。“必要”となるのは、もう少し先のことだ…
【「結婚作戦」と福留さんの出国】
昭和50年暮れ、平壌の「よど号」グループに深刻な問題が生じる。
その年の11月、メンバーの1人・小西隆裕を追って交際相手だった福井タカ子が北朝鮮に入国する。福井タカ子は東大病院に勤務してた時、全共闘の活動家だった小西隆裕と知り合っている。昭和44年だ。
当時の小西の肩書きは、東大医学部共闘会議議長。
福井タカ子が小西を追って平壌に現れ、2人が睦まじく暮らすようになって他のメンバーは動揺した。男ばかりの宿舎に女性が現れた…簡単に言えば嫉妬だ。
メンバー内の亀裂を憂慮したリーダーの田宮高麿は、昭和51年春ごろ、結婚問題で会議を開く。
「我々も全員が女性を獲得していかなければならない。これは革命のための任務でもある」(『宿命』212頁)
▽故・田宮高麿
その“任務”は「結婚作戦」と名付けられ、田宮から朝鮮労働党側に提起され、了承される。申し受けたのは労働党内で「よど号」グループを指導・管理する56課。
金正日指揮下の特別工作員の手配によって『よど号』の花嫁となるべき女性たちは日本国内から選抜された(『宿命』214頁)
福留貴美子さんがパスポートを取得したのは、昭和51年6月。工作員グループが動き出した時期とほぼ重なる。恐らく、この特別工作員と密接に関わっていたのが、ユニバース社の社員だ。
TOCビルで接触していた福留さんに白羽の矢を立てたと考えられる。ただ、騙して日本から平壌に連行し、結婚させるのは余りにも強引で、大きな禍根を残したようだ。
福留さん以降の「よど号」妻は、殆どが総連傘下の「主体思想研究会(チュチェ研)」の関係者だった。女性たちは昭和52年初めに一斉にパスポートを取得し、相次いで日本を出国している。
その中の1人がユニバース社とただならぬ関係にあった。
【よど号妻の兄が社員だった】
2児拉致の舞台となったユニバース社と「よど号」グループの相関図を朝日新聞が掲載していた。判り易い図説だが、渡辺さん一家と死亡者を除き、実名が伏せられている。
▽ユニ社相関図(朝日新聞)
この図からも、ユニバース社の男性社員2人が「よど号」グループと関係していることが分かる。その中で点線で兄妹とされている部分があった。妹とされるのは、今年1月1日に日本国内で死亡した田中義三の妻。
水谷協子である。有本恵子さんの“教育”担当者として知られる女だ。
昭和31年生まれ、愛知県出身の水谷協子は、愛知大学在学中から北朝鮮に興味を持ち、サークル「朝鮮文化研究会」のメンバーとなった。
昭和52年3月中旬にパスポートを取得し、3月末に香港に向け出国。北朝鮮に入るまでのルートは不明だが、約1ヵ月後に平壌で田中義三と結婚している。
▽帰国した水谷協子(檀君Who's Who保管ファイルより)
その水谷協子の兄がユニバース社の社員だったのだ。ダイレクトに繋がっているケースである。
水谷には2人の兄がいる。長兄の水谷誠文(せいぶん)と次兄の水谷しんじ(漢字不明)だ。ユニバース社に勤めていたのがどちらの兄なのか明らかになっていない。
しかし、平成16年に帰国、逮捕された水谷協子の公判では、次兄の水谷しんじが「朝鮮文化研究会」に所属していたことが明かされている。ユニバース社に居たのは恐らく次兄の「しんじ」だ。
水谷しんじが工作にどう関わっていたかは不明だが「朝鮮文化研究会」に属していたことから、思想的な背景を元に同社に参加したと想像できる。
その一方、なぜ水谷兄妹がそろって総連系サークルに参加していたのか、疑問は残る。兄妹そろって北朝鮮にシンパシーを覚えたのか…
水谷協子は、日本の旅券を手にしていた事からも“日本人”だ。しかし、両親共に日本人であったかどうか?
【在日の父と日本人の母】
ユニバース社は、朝鮮総連に直結する在日朝鮮人が中心となっていたが、日本人も社員の中に含まれていたことが分かっている。
4月13日付け産経新聞で警察幹部は、こう指摘している。
「ユニ社は本国の指示で対韓国へのテロも画策していた。在日のうち、両親のどちらかが日本人で、日本国籍を取得できる者が集められた」
人材募集で入社した一般社員とは別に、ユニ社の中核であるドミトルグループには、特殊な国籍事情の要員が集められたというのだ。ユニ社との関係は不明だが、よど号妻の中には、そのような国籍ホルダーが1人判明している。
リーダー田宮高麿の妻となった森順子(よりこ)だ。
森順子は在日朝鮮人の父と日本人の母の間に生まれている。パスポートを取得していることからも日本国籍の所有者だったが、北朝鮮では“在日2世”として迎えられている。
▽森順子・中央と石岡さん・右
森順子は北朝鮮に入国した理由について、父親の遺骨を祖国に戻すことだと公言していた。自分は「日本人」だと言う一方、平壌でこうも語っている。
「ここはわたしにとって祖国でもありますからね」(『宿命』194頁)
国籍の取り扱いは難解だ。両親の国籍が異なる場合、厳格な国籍法とは別に、本人の言い様で“日本人”にもなれば“外国人”にもなれる。とりわけ特別永住権を持つ在日韓国・朝鮮人が絡むと複雑だ。
この辺りはマスコミが表現上、必要以上に神経を使う部分だろう。ユニバース社のケースでは、それを逆手に取っているようにも感じられる。
森順子を「在日2世」と表現するメディアはないが、実像は複雑なのだ。そして、石岡亨さんや松木薫さんは、そのような人物によって拉致された。
「よど号」事件をめぐって日本政府が触れたくない部分とは、国籍に絡んだ要素と密接に関係しているのかも知れない。
【国内潜伏「よど号」犯と消えた男】
警察庁は4月12日、高敬美ちゃん剛くん拉致で合同捜査本部を設置した。捜査本部に加わったのは、警視庁公安部と兵庫県警だ。
▽敬美ちゃんと剛くん
なぜ、兵庫県警が登場するのか?
それがユニバース社と「よど号」犯グループを直接結びつけるものだ。
昭和63年5月6日早朝。兵庫県警外事課は内定を続けていた人物を新宿区三栄町のアパート前で確保する。逮捕された男は自宅アパートに「A.NAKAO」の手書き表札を掛けていた。
「中尾晃」
兵庫県警外事課は「中尾晃」を北朝鮮の秘密工作員と見ていた。ところが身柄を神戸に移送して取り調べを続けた結果、公安に衝撃が走る事態となる。
中尾晃を名乗る男の正体は「よど号」犯・柴田泰弘だったのだ。ハイジャック事件から18年目の意外な逮捕劇だった…
【消えた中尾晃は何人だったのか】
柴田泰弘が注目される中、忘れ去られたのが「中尾晃」だ。実在する中尾晃は、柴田逮捕の10数年前に日本を出国し、北朝鮮に渡ったと見られている。
そして、この中尾晃の実の兄が、ユニバース社の社員であった。更に実兄の妻も同じく社員として働いていた。しかも、中尾晃の義姉にあたる、この妻が2児拉致に直接関わっている疑いも出てきている。
▽ユニ社相関図(産経新聞)
前述の13日付け産経新聞の記事に付随している相関図を見ると、2児を北朝鮮に移送した女が「よど号」グループに“旅券偽造に便宜”となっている。素直に読むと、この移送役の女は中尾晃の義姉だ。
移送役の女は、福井県小浜から2児を北朝鮮東部の清津(チョンジン)まで連れて行き、その後、再入国して都内で暮らしていることが分かっている。
そこで再び問題となるのが、中尾晃の国籍だ。
柴田泰弘に旅券を使わせていたことから、中尾晃が日本国籍の所有者だったことは明らかだ。しかし中尾晃もまた森順子と同じく二つの祖国を持つ者だったのではないか。
もちろんユニバース社に在籍した中尾晃の実兄も同様だ。国籍を使い分けられる境遇だったと考えられる。
ユニバース社の工作員には、日本人に成り済ますことが出来る“在日2世”が多く抜擢されていたようだ。工作が露見しても「日本人の犯行」に装えるメリットがあるからだという。
渡辺秀子さんの子ども2人は、拉致被害者と断定されたが、日本政府認定の被害者からは未だ漏れている。朝鮮籍だった為だ。
しかし、被害者が“在日”とされる一方で、加害者側の中尾晃や、石岡さん松木さん拉致に関与した森順子が“日本人”となっている。
大きな矛盾だ。
曖昧な朝鮮籍の存在にこそ問題の根があるが、二つの祖国を持つ者を悪用したのが朝鮮総連であり、北朝鮮だった。
国家と民族をクロスオーバーする特殊な“在日2世”…
メディアは今後も巧妙に避けるだろうが、そこにユニバース社事件の核心がある。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
クリック1つが敵に浴びせる銃弾1発 となります
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【side story】
「よど号」関係では、ほぼ全面的に高沢晧司氏の著書『宿命』(新潮文庫)の情報をベースにまとめた。9年前に世に送られた書物だ。そこで中尾晃など実名が挙げられているにも関わらず、現在メディアの殆どが封印してしまっている。飛ばし記事の多い雑誌も含めてである。
また国籍法は85年に改正されるまで父系血統主義を採用し、父親の国籍が子どもに付与されることが基本だったという。そうであれば森順子の国籍は朝鮮籍になるはずだが「在日」との表現は一切ない。この辺りの詳細は今後の課題だ。
参考記事:
産経新聞4月13日『2児拉致で捜査本部設置 女工作員は「洪寿恵」』
名著『宿命』で「よど号」グループの暗部を抉ったジャーナリストの高沢晧司氏は、謎めいた発言をしていた。「よど号」事件に関する取り扱いについてだ。
「北朝鮮問題の要するに…膿みが全部集まったところだ。だから皆、何と言うか、余り手を触りたがらない。
北朝鮮もそこに触られるのを一番恐れている。朝鮮総連もそう。日本政府もそうだ。知らんぷりしている」(昨11月12日放映TBS『報道特集』より)
「膿み」とは何か?
なぜ朝鮮総連ばかりか、日本政府も恐れているのか?
謎だ。答えは判らない。それが我が国と北朝鮮の間に横たわる「闇」なのだろうか?
渡辺秀子さんの2児が拉致された事件で、現在、脚光を浴びる「ユニバース・トレイディング社」。総連エリートの高大基(コ・デキ)が仕切っていたダミー商社だ。
▽高大基
そのユニバース社は「よど号」関係者に繋がる複数の人物が直接関わっていた…
渡辺秀子さんと高大基の長女・敬美ちゃんと剛君の拉致について、新聞各紙は、連日のように新情報を掲載している。だが朝鮮総連との関係性や「よど号」グループとの接点に関しては及腰で、殆ど露出していない。
テレビもそう、雑誌もそうだ。
高沢氏が発言していた通りの展開でもある…
【高大基の失踪直後に退社した】
「よど号」犯の1人・岡本武の妻にされた拉致被害者・福留貴美子さんが、ユニバース社がテナントとして入る西五反田の現TOCビルで一時、働いていたことは既に明らかになっている。
福留さんが、どのようにして北朝鮮と関わってしまったのか、これまで明らかになっていなかった。なぜ「モンゴルに行く」と言い残して出国した福留さんが北朝鮮に足止めされたのか…
▽福留貴美子さん(『宿命』より)
謎は少し明らかになってきた。
TOCビル内の勤務で、福留さんがユニバース社の工作員グループに出会っていた可能性は極めて高い。地元高知の高校卒業後に福留さんはSOK=総合警備保障に就職している。昭和45年4月だ。
開催中の大阪万博で会場勤務したが、その年の秋には万博が終了。次いで、福留さんは東京に勤務先が移り、上京した。いつからTOCビル勤務になったのかは不明だが、昭和46年6月にユニバース社は、テナントとして入っている。
その2年後、福留さんはSOKを退社。昭和48年7月と見られる。渡辺秀子さんの夫・高大基が失踪=本国召還された直後だ。ユニバース社はその後も存続したが、朝鮮総連内部の抗争から異変が起きたのはちょうどこの時期だ。
ただし昭和48年当時、北朝鮮が福留さんを必要としていたとは考えられない。“必要”となるのは、もう少し先のことだ…
【「結婚作戦」と福留さんの出国】
昭和50年暮れ、平壌の「よど号」グループに深刻な問題が生じる。
その年の11月、メンバーの1人・小西隆裕を追って交際相手だった福井タカ子が北朝鮮に入国する。福井タカ子は東大病院に勤務してた時、全共闘の活動家だった小西隆裕と知り合っている。昭和44年だ。
当時の小西の肩書きは、東大医学部共闘会議議長。
福井タカ子が小西を追って平壌に現れ、2人が睦まじく暮らすようになって他のメンバーは動揺した。男ばかりの宿舎に女性が現れた…簡単に言えば嫉妬だ。
メンバー内の亀裂を憂慮したリーダーの田宮高麿は、昭和51年春ごろ、結婚問題で会議を開く。
「我々も全員が女性を獲得していかなければならない。これは革命のための任務でもある」(『宿命』212頁)
▽故・田宮高麿
その“任務”は「結婚作戦」と名付けられ、田宮から朝鮮労働党側に提起され、了承される。申し受けたのは労働党内で「よど号」グループを指導・管理する56課。
金正日指揮下の特別工作員の手配によって『よど号』の花嫁となるべき女性たちは日本国内から選抜された(『宿命』214頁)
福留貴美子さんがパスポートを取得したのは、昭和51年6月。工作員グループが動き出した時期とほぼ重なる。恐らく、この特別工作員と密接に関わっていたのが、ユニバース社の社員だ。
TOCビルで接触していた福留さんに白羽の矢を立てたと考えられる。ただ、騙して日本から平壌に連行し、結婚させるのは余りにも強引で、大きな禍根を残したようだ。
福留さん以降の「よど号」妻は、殆どが総連傘下の「主体思想研究会(チュチェ研)」の関係者だった。女性たちは昭和52年初めに一斉にパスポートを取得し、相次いで日本を出国している。
その中の1人がユニバース社とただならぬ関係にあった。
【よど号妻の兄が社員だった】
2児拉致の舞台となったユニバース社と「よど号」グループの相関図を朝日新聞が掲載していた。判り易い図説だが、渡辺さん一家と死亡者を除き、実名が伏せられている。
▽ユニ社相関図(朝日新聞)
この図からも、ユニバース社の男性社員2人が「よど号」グループと関係していることが分かる。その中で点線で兄妹とされている部分があった。妹とされるのは、今年1月1日に日本国内で死亡した田中義三の妻。
水谷協子である。有本恵子さんの“教育”担当者として知られる女だ。
昭和31年生まれ、愛知県出身の水谷協子は、愛知大学在学中から北朝鮮に興味を持ち、サークル「朝鮮文化研究会」のメンバーとなった。
昭和52年3月中旬にパスポートを取得し、3月末に香港に向け出国。北朝鮮に入るまでのルートは不明だが、約1ヵ月後に平壌で田中義三と結婚している。
▽帰国した水谷協子(檀君Who's Who保管ファイルより)
その水谷協子の兄がユニバース社の社員だったのだ。ダイレクトに繋がっているケースである。
水谷には2人の兄がいる。長兄の水谷誠文(せいぶん)と次兄の水谷しんじ(漢字不明)だ。ユニバース社に勤めていたのがどちらの兄なのか明らかになっていない。
しかし、平成16年に帰国、逮捕された水谷協子の公判では、次兄の水谷しんじが「朝鮮文化研究会」に所属していたことが明かされている。ユニバース社に居たのは恐らく次兄の「しんじ」だ。
水谷しんじが工作にどう関わっていたかは不明だが「朝鮮文化研究会」に属していたことから、思想的な背景を元に同社に参加したと想像できる。
その一方、なぜ水谷兄妹がそろって総連系サークルに参加していたのか、疑問は残る。兄妹そろって北朝鮮にシンパシーを覚えたのか…
水谷協子は、日本の旅券を手にしていた事からも“日本人”だ。しかし、両親共に日本人であったかどうか?
【在日の父と日本人の母】
ユニバース社は、朝鮮総連に直結する在日朝鮮人が中心となっていたが、日本人も社員の中に含まれていたことが分かっている。
4月13日付け産経新聞で警察幹部は、こう指摘している。
「ユニ社は本国の指示で対韓国へのテロも画策していた。在日のうち、両親のどちらかが日本人で、日本国籍を取得できる者が集められた」
人材募集で入社した一般社員とは別に、ユニ社の中核であるドミトルグループには、特殊な国籍事情の要員が集められたというのだ。ユニ社との関係は不明だが、よど号妻の中には、そのような国籍ホルダーが1人判明している。
リーダー田宮高麿の妻となった森順子(よりこ)だ。
森順子は在日朝鮮人の父と日本人の母の間に生まれている。パスポートを取得していることからも日本国籍の所有者だったが、北朝鮮では“在日2世”として迎えられている。
▽森順子・中央と石岡さん・右
森順子は北朝鮮に入国した理由について、父親の遺骨を祖国に戻すことだと公言していた。自分は「日本人」だと言う一方、平壌でこうも語っている。
「ここはわたしにとって祖国でもありますからね」(『宿命』194頁)
国籍の取り扱いは難解だ。両親の国籍が異なる場合、厳格な国籍法とは別に、本人の言い様で“日本人”にもなれば“外国人”にもなれる。とりわけ特別永住権を持つ在日韓国・朝鮮人が絡むと複雑だ。
この辺りはマスコミが表現上、必要以上に神経を使う部分だろう。ユニバース社のケースでは、それを逆手に取っているようにも感じられる。
森順子を「在日2世」と表現するメディアはないが、実像は複雑なのだ。そして、石岡亨さんや松木薫さんは、そのような人物によって拉致された。
「よど号」事件をめぐって日本政府が触れたくない部分とは、国籍に絡んだ要素と密接に関係しているのかも知れない。
【国内潜伏「よど号」犯と消えた男】
警察庁は4月12日、高敬美ちゃん剛くん拉致で合同捜査本部を設置した。捜査本部に加わったのは、警視庁公安部と兵庫県警だ。
▽敬美ちゃんと剛くん
なぜ、兵庫県警が登場するのか?
それがユニバース社と「よど号」犯グループを直接結びつけるものだ。
昭和63年5月6日早朝。兵庫県警外事課は内定を続けていた人物を新宿区三栄町のアパート前で確保する。逮捕された男は自宅アパートに「A.NAKAO」の手書き表札を掛けていた。
「中尾晃」
兵庫県警外事課は「中尾晃」を北朝鮮の秘密工作員と見ていた。ところが身柄を神戸に移送して取り調べを続けた結果、公安に衝撃が走る事態となる。
中尾晃を名乗る男の正体は「よど号」犯・柴田泰弘だったのだ。ハイジャック事件から18年目の意外な逮捕劇だった…
【消えた中尾晃は何人だったのか】
柴田泰弘が注目される中、忘れ去られたのが「中尾晃」だ。実在する中尾晃は、柴田逮捕の10数年前に日本を出国し、北朝鮮に渡ったと見られている。
そして、この中尾晃の実の兄が、ユニバース社の社員であった。更に実兄の妻も同じく社員として働いていた。しかも、中尾晃の義姉にあたる、この妻が2児拉致に直接関わっている疑いも出てきている。
▽ユニ社相関図(産経新聞)
前述の13日付け産経新聞の記事に付随している相関図を見ると、2児を北朝鮮に移送した女が「よど号」グループに“旅券偽造に便宜”となっている。素直に読むと、この移送役の女は中尾晃の義姉だ。
移送役の女は、福井県小浜から2児を北朝鮮東部の清津(チョンジン)まで連れて行き、その後、再入国して都内で暮らしていることが分かっている。
そこで再び問題となるのが、中尾晃の国籍だ。
柴田泰弘に旅券を使わせていたことから、中尾晃が日本国籍の所有者だったことは明らかだ。しかし中尾晃もまた森順子と同じく二つの祖国を持つ者だったのではないか。
もちろんユニバース社に在籍した中尾晃の実兄も同様だ。国籍を使い分けられる境遇だったと考えられる。
ユニバース社の工作員には、日本人に成り済ますことが出来る“在日2世”が多く抜擢されていたようだ。工作が露見しても「日本人の犯行」に装えるメリットがあるからだという。
渡辺秀子さんの子ども2人は、拉致被害者と断定されたが、日本政府認定の被害者からは未だ漏れている。朝鮮籍だった為だ。
しかし、被害者が“在日”とされる一方で、加害者側の中尾晃や、石岡さん松木さん拉致に関与した森順子が“日本人”となっている。
大きな矛盾だ。
曖昧な朝鮮籍の存在にこそ問題の根があるが、二つの祖国を持つ者を悪用したのが朝鮮総連であり、北朝鮮だった。
国家と民族をクロスオーバーする特殊な“在日2世”…
メディアは今後も巧妙に避けるだろうが、そこにユニバース社事件の核心がある。
〆
最後まで読んで頂き有り難うございます♪
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【side story】
「よど号」関係では、ほぼ全面的に高沢晧司氏の著書『宿命』(新潮文庫)の情報をベースにまとめた。9年前に世に送られた書物だ。そこで中尾晃など実名が挙げられているにも関わらず、現在メディアの殆どが封印してしまっている。飛ばし記事の多い雑誌も含めてである。
また国籍法は85年に改正されるまで父系血統主義を採用し、父親の国籍が子どもに付与されることが基本だったという。そうであれば森順子の国籍は朝鮮籍になるはずだが「在日」との表現は一切ない。この辺りの詳細は今後の課題だ。
参考記事:
産経新聞4月13日『2児拉致で捜査本部設置 女工作員は「洪寿恵」』
この記事へのコメント
いままで日本政府も触れる事を恐れていたというその「膿」にもメスが入ろうとしているわけですね。
いよいよ「拉致」と「よど号」グループの関連がはっきりしてくるようです。
手術はかなり困難なように見えますが、ここで執行しておかないと我国の生命に関わる悪性腫瘍です。ぜひ大胆な決断を総理にお願いしたいと思います。
祖国朝鮮に忠誠を誓いながら、
都合によってはカモフラージュに『日本国籍』を利用する。
そろそろこのあたりにキッチリとした境界線を設けないと、
かえって在日全体に対する疑念が深まっていくことになると思います。
①拉致、殺人、政治・集金・宣伝工作が、北鮮の命令で実行されていた。
②その実行者は在日朝鮮人であった。
③混血在日2世が、日本人として表面に出て、日本国民を騙す役割を演じていた。
医師の日野原重明氏がよど号に搭乗しており、田宮高麿赤軍派軍事委員長の、機内での演説を聞いている。それは、この秋にも起こる東京での革命で、皆さんに再びお目にかかることになるだろう、という内容であったという。
田宮らが、北鮮を選んだのは、北鮮の体制を支持していたからではない。赤軍派は、北鮮を軍事基地とするつもりだった。北鮮の赤軍化が目的だった。ところが、彼らは、主体思想で撤底的に洗脳される。
若者を駆り立てた、共産妄想は、その後、ソ連崩壊、共産支那での物権法制定で、胡散霧消した。日本国内には、迷惑千万にも、その残渣、根拠を完全に失った反日だけが残された。
もう共産妄想で生きることは、害悪である。
安倍内閣にはサラ金、パチンコに税金を課し、これまでの不透明をっふ食させて欲しい。総連、民潭の解体も必要だ。
この時期を米ソの冷戦で頭を抑えられている日本人を見ていて、北朝鮮が躍進している、朝鮮人が経営する店には「金成日」のグラフが堂々と本棚に置いてある、税務署対策にも成る、共産党員で客も入る、之が当時の一般的な風景。
こんな事が継続して有れば「拉致」なども「自由」と考えるでしょう、多分「話の端緒」は在日の「金正日」への「入れ知恵」から始まったのでは無いかとも思えます。
「特別永住許可」が認可制でも、永久的処置でもないのに何処でも議論されない「不思議な世襲制」。「差別」の最大のもの、日本人、韓国人、外国人の全てが「差別」を日本でされている、先ず「普通」に戻すのが「普通」なのですが、戻らない原因???殆ど見えない。
下劣な民族に限って悪知恵ばかりが異常に発達している。
日本人が「膿」を完全排除するためにも、「膿」の事実を広く知らしめねば、と思うが、マスゴミは当てにはならない。
アネモネさんのようなネット論者の力にすがるしかない。頼りにしてます。
これ程「よど号」グループと在日犯罪組織が交差しているケースは過去になかったハズですが、メディアは及腰。悪性腫瘍のひとつが既成マスコミなのかも知れません。
>蓮華さま
拉致問題の解決とは一方で国内支援組織の壊滅でもあるべきです。反日勢力が拉致を側面支援したと見なしても良いでしょう。やはり「隣の工作員」に関わる問題ですね。
>お笑いお花畑さま
今後「偽装帰化」の問題が出てくると思います。その辺りをハッキリ処罰しないと、善良に暮らす多くの帰化者や在日社会に打撃を与えることになってしまうでしょう。
>名無しの経営者さま
『宿命』ではグループが金日成主義に染まっていく過程が専門的に描かれていますが、共産思想とは無縁のものです。完全に取り残されているのに支援組織が続いているのが不思議です。
ここでも在日特権の暗黒面が出てきます。戦後60年を経て以前よりも特権的な部分が強化されているようにも思えます。もう一度、政治信条から離れた部分で見つめ直す必要がありそうです。
>古田さま
確かに「よど号」事件以降の日本の世相的なものも重要ですね。70年代はまだ政治の季節だったはずです。「強制連行神話」が完全に崩れた今こそ永住問題を考え直すべきです。
>ごんべえ様
マスコミは知っていて書かないのだと思います。ピント外れの企業ジャーナリズムですね。まだハッキリしませんが、「世話役」の女も在日表記がなく“2世”と考えられます。
http://puka-world.com/php/upload/puka/img-box/1176811410942.jpg
「23」女性キャスター喪服ですか?それ以上にテロ朝は、2日も前に犯人から届いていた、長崎市長糾弾犯行声明を温存しておいて、犯行直後の番組冒頭で、フルタテ『独占スクープ犯行声明』ですか?http://vista.rash.jp/img/vi7682254614.jpg
犯人は、白正哲。在日朝鮮人の事は華麗にスルーだし。「報ステ」、23]、否、テロ朝、TBS、日本国民の正に敵。一思いにあっちに逝けよ!
是非、身元をきちんと調べて欲しいです。
なぜこんな公になっている事件の関係上が平然として社会に出ているのでしょうか?
事件の田中協子とも兄弟のようで間違いありません。
一人ではほぼ何もできない為、日本人の力で何か起きる前に動き出したいものです。
菅直人首相の資金管理団体が、日本人拉致事件の容疑者の長男(28)が所属する政治団体「市民の党」(東京、酒井剛代表)から派生した政治団体「政権交代をめざす市民の会」(神奈川、奈良握代表)に6250万円の政治献金をしていた問題で、鳩山由紀夫前首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」も平成19年に1千万円の献金をしていたことが2日、分かった。民主党の首相経験者がそろって多額献金をしていたことで、同党の拉致問題に対する姿勢が改めて批判されそうだ。
豊橋市の地元財閥のひとつ。
現在はこれまた赤軍からマル青同をつくり、岡山大学で殺人を犯し逃走した、現在は驚くことに新城市長になりすました穂積亮次の新城市に住んでいます。
これから出版の社長を水谷はしており、地元豊川海軍工廠慰霊イベントなど主催。
穂積亮次の兄は赤軍穂積右一。
穂積家も地元財閥で父親は社会党穂積七郎です。
市長戦で資金提供したサーラグループの神野財閥も含め、愛知県東三河は北朝鮮関係者の巣窟になっており、穂積亮次は市長でありながら公安の監視下にあります。