揺れる核実験の真偽…金正日の特攻作戦

核実験をめぐる評価は爆発確認から2日、微妙に揺れ始めている。米国が強硬な対北制裁案を提示す一方で否定的な情報も出回り始めている。果たして国際社会はどう裁くのか?そして金正日が放つ人間兵器とは何か。
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【米国が流す実験失敗説】

ワシントン・タイムズ紙(電子版)は10日「米情報機関は暫定的分析で、核爆発ではないとの疑いを持っている」と伝えた。この新聞は高級紙『ワシントンポスト』とは全く別物だが、CIA絡みのネタでスクープを連発するなど情報当局のリークが多いと言う。

つまり、記事の信憑性とは別に米政府部内の意思が反映されていると見られるのだ。だとしたら、今回の北朝鮮の核実験は、今週中にも一斉に「否定」の方向にむかう可能性も出てきた。また、こうした測定データから、関係国がやや態度を留保し、様子眺めに入る可能性も捨てきれない。

その中、安倍首相は10日夜、記者団に対し、経済制裁発動についてこう語っている。

「基本的には(核実験実施の)確認をとりたいが、確認に至るのは難しいという議論もある。北朝鮮は核実験を行ったと宣言しているわけで、そういうことも合わせて総合的に判断したい」

核実験を認めていないとも取れる慎重な発言だ。衆院の質疑でも同様の発言をしている。

これは日本政府に米国から否定的な情報がもたらされていることを物語っているのではないか。昨夜までは北朝鮮が核実験を行ったとして各国に乱れはなかったが、微妙な変化が生じている。
日本のメディアでも「核実験発表後に…」と、敢えて「発表」という言葉を挟みこ込んで断定を避けるケースもある。
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現在の状況を考えると、核実験失敗説の方が関係国にとって有利に働く。対イラン問題でヤマ場に差し掛かる米国と、6カ国協議の崩壊を恐れる中共にとって、現時点での切迫した危機は歓迎できるものではないからだ。

安保理の表面的な動きとは別に、米中ロ3国の間で水面下の交渉が進んでいるかも知れない。

その一方で日本のある外交評論家によれば、米国内では先の実験がプルトニウムではなくウランを使ったとする情報も流れ、専門家の間で騒ぎにもなっていると言う。

今回の実験発表でも各メディアに登場した専門家は、プルトニウム型の実験だったとほぼ断定していた。

なぜ、ウラン型だとしたら慌てるのか?

門外漢が専門的な化学知識を援用するのだから、より難解になりそうだが、検証してみよう。

注:以下延々と厄介な化学話が続きます

【第一次北朝鮮核危機】

北朝鮮は核弾頭に搭載することを目標に核開発を行ってきた。ウラン型よりもプルトニウム型の方が質量が小さく、ミサイル弾頭部に搭載するのに有利だからだ。

第一次米朝危機で問題になったのは原発稼働によるプルトニウム抽出の恐れだった。

ウラン以外の核分裂物質は原子炉で人工的に作られる。原子炉では天然ウランや低濃縮ウランを使い、制御された連鎖反応を引き起こし、エネルギーを産み出す。更に原子炉から使用済み燃料棒を取り出し、再処理プラントに持ち込む。そこで化学処理によってプルトニウムが抽出されることになる。

原子炉の稼働が続けば、大量のプルトニウムが入手できる。
わが国が密かな核大国と呼ばれるのは、大量のプルトニウムを抽出可能であるからだ。
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米国はいったん北の原子炉が稼働し始めれば、大量のプルトニウム入手に結びつくとして、なりふり構わず、止めに入った。大量の人工的な核分裂物質の入手によって、北が第三国に転売する可能性もあった為だ。
いわゆる核不拡散の立場だ。

これが第一次核危機の冒頭ストーリー。

そして小泉訪朝の直後、2002年10月のケリー米特使による平壌訪問から第二次核危機が始まり、現在に至っている。

【第二次北朝鮮核危機】

北朝鮮を訪れたケリー特使は、北の高官に対し、濃縮ウラン保有の決定的な証拠を突きつけ、北側が認める。この高官とは日朝首脳会談にも同席した姜錫柱外交第一次官である。

続いて北朝鮮は同年末にIAEA監視職員を国外追放、翌1月にNPT脱退を宣言して決定的な危機が到来。中ロを巻き込んで6カ国協議の開催に至る。

そのテーブルでは、途中から北が開発を進める核物質がウラン、プルトニウムを問わないという方向に流れる。カーン博士の核ネットワークが明らかになっても、その方向性は変わらなかった。

ウラン絡みの追及が途中で手緩くなっていることには違和感がある。
なぜ、米国の一部ではウラン型であることに動揺が広がっているのか?

鍵はウランではなく、高濃縮ウランであることだろう。

これまで北朝鮮による高濃縮ウランの製造は決定的な証拠が発見されていない。

02年の米政府の報告によると
▼1997年に北朝鮮はパキスタンから遠心分離器を購入
▼しかし、一部の部品欠損で濃縮施設は稼働せず

また別の情報では…
▼米情報筋は04年にもウラン型原爆完成の恐れがあると警告

核弾頭に搭載する場合、プルトニウム型では約5キロ。低濃縮のウランではその数倍の質量が必要となるものの、高濃縮ウラン型は10キロ程度で、弾頭部分に収納しやすいと言う。

また、北朝鮮国内にはソ連の調査で判明した有力なウラン鉱山が複数あり、自国で採掘、精製可能であれば、大量生産にも結びつく。
ちなみに北朝鮮がパーツで輸入し組み立てた遠心分離器の数は2000台という見方もある。

北朝鮮がプルトニウム型に加え、高濃縮ウラン型爆弾を完成させていたとすれば、確かに大騒ぎとなるだろう。

更に、高濃縮ウラン型では複雑な起爆装置は必要がないとも言われる。核分裂反応を引き起こす為の炸薬量はある程度必要だが、核弾頭搭載以外でも使用できるのではないか?

【北朝鮮の特攻に怯む】

北朝鮮で青少年は「銃と爆弾」にならねばならない…と教えられている。
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高等中学校の生徒は青年近衛隊員として正式の軍隊と同じ訓練を受け、大学生には6ヵ月間、教導隊(予備兵力)に参加して軍隊生活を送ることが義務づけられている。

その際に徹底して叩き込まれるのは、「金正日の銃と爆弾」になる覚悟だと言う。

こうした思想教育がどの程度、徹底されているのか識者によって見方は異なるが、特攻を命じられたら応じる者が少なくないと見て良いだろう。

つまり…高速艇や車両などに高濃縮ウラン型の核爆弾を積載して特攻を行うことも可能だと考えられのだ。

核を持った自爆攻撃だ。

北朝鮮の軍事力は「戦争博物館」と呼ばれるほど旧式兵器が多く、実戦では米韓連合軍の相手にはならないと言われる。だが、一方で核兵器を持ち、自爆攻撃で臨んで来るとすれば、世界最強の軍隊と呼べるかも知れない。
この辺りは、過小評価しない方がいいだろう。

金正日が自身の最終戦争と位置づけて戦いを挑んでくれば、必ず奴は自爆作戦を要求する。

そこで核爆弾が使用される可能性が微塵でもあれば、米国は開戦をギリギリで回避させ、94年のカーター訪朝形式で再び屈するかも知れない。

北朝鮮の工作船が奄美沖で海保の巡視船に追い詰められた時、工作船は巡視船に射撃を繰り返したあと炎上し、自沈した。
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一部には異説もあるが、工作船乗組員が証拠隠滅のために船内に予め容易された自爆スイッチを押したと推測される。

多くの北朝鮮ウォッチャーは軽視するが、この現代に迷わず自爆ボタンを押せる軍人がいたことに戦慄を覚えた。

あの国の軍事力には装備だけでは図り知れない恐ろしさと強さが秘められていると見る。
油断は禁物だ。

そして米軍は強い軍隊と戦った経験が殆どない。ベトナム戦争以降、勝てると分かっている戦争しか仕掛けていないことは明白だ。

金正日を追い込んだ末に本当に武力で解決を計るのかどうか、疑問もある。

この核実験は、意外にも別の方向へ進む可能性があるかも知れない。慎重に、慎重に、中米ロの動きを監視して行きたい。

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