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zoom RSS 砂漠の果てのディストピア…光彩を奪われたウイグル人

<<   作成日時 : 2018/07/11 00:43  

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大虐殺の爪痕は残り、100万人のウイグル人が消えた…民族浄化の最終段階に入った東トルキスタン。習近平が進める「文革2期」は、最先端技術が管理・支配する反理想郷を生み出した。
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2000人が殺傷され、1万人以上の行方不明者を出したウルムチ大虐殺から9年。今年も7月5日に世界各国でジェノサイドを実行した中共への抗議活動が行われた。

多くの亡命ウイグル人が暮らすトルコの最大都市イスタンブールを始め、ブリュッセル、パリ、キャンベラ。そして我が国では5日に前後して新宿と六本木の都内2箇所でデモ行進が相次いだ。
▽豪・キャンベラの抗議活動7月5日(WUC)
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「中華人民共和国は、やがては滅びる世界最悪の帝国主義国家です。今の21世紀にも18・19世紀のような植民地主義を公然と実行しているのは、この中華人民共和国だけです」

7月7日の六本木デモでは出発前の集会で、国際政治学者の藤井厳喜氏が、そう訴えかけた。ウイグル問題の核心を突いた発言。遠い未来であっても、中共の衰亡はソ連と同じく歴史の必然と説く。
▽出発前にスピーチする藤井厳喜氏7月7日(撮影筆者)
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「アジアの癌である中国共産党の政権から自由を勝ち獲るまで、私達が頑張って行くしかない」

拓大のペマ・ギャルポ教授は、1日の新宿デモに駆け付け、檄を飛ばした。塗炭の苦しみに喘ぐチベットと東トルキスタン。尖閣を巡り、中共の侵略は我が国にとっても遠い国の悲劇ではなくなっている。
▽集会で挨拶するペマ・ギャルポ教授7月1日(YouTube)
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我が国での東トルキスタン支援は、ウルムチ大虐殺の直後、欧米各国に先駆けて活発化した。既に10年近い実績になるが、今年の9周年デモは大きく様変わりした。

我が国に居住する大勢のウイグル人が集まったのだ。新宿デモでは、100人に迫る人数に上ったという。初めて参加したウイグル人男性は、こう理由を語る。
▽新宿デモに参加したウイグル男性7月1日(ch桜)
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「今、ウイグルが置かれている状況は、死ぬか生きるかしか選択の道がない。中国の弾圧が耐えられない所まで来たので、これからはもっと増えるのではないか」

ウイグル人をめぐる状況は、この1年で急激に悪化した。9年前のジェノサイドも、その後の大量拘束事件すらも「最悪の事態」ではなかったのだ。

【海外にも弾圧の恐怖が忍び寄る】

日本ウイグル連盟のトゥール・ムハメット会長がスピーチを始めて間もなくの出来事だった。デモ出発地点の六本木・三河台公園に数人の屈強な男が乱入。隠し持っていた横断幕を広げた。

突然、集会場に現れた妨害者。警備の警察官が速やかに排除し、大きな混乱には至らなかったものの、演説は一時的に罵声で掻き消された。中共による海外監視網の広がりを感じさせる実力行使である。
▽六本木デモに現れた中共の駄犬7月7日(撮影筆者)
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乱入者のうち2人は典型的な漢族の人相だったが、「地獄に堕ちろ」などと意味不明の言葉を叫んでいた男は発音から日本人の可能性が高い。不逞支那人だけがウイグルの敵ではないのだ。

大規模な7月1日の新宿デモに中共指導部が危機感を募らせたのか、在日工作機関が独自に動いたのか、詳細は判らない。だが、在外ウイグル人を標的にした弾圧は確実に強化されている。



昨年7月、エジプト在住のウイグル人留学生ら60人以上が一斉拘束され、強制送還される事件が起きた。中共の指示を受け、エジプト政府が不当な摘発に乗り出したのだ。

タイやカンボジアに続き、中共指導部の在外ウイグル人狩り指令は、イスラム諸国にまで及び始めた。正に査証なき惑星。そして、我が国で暮らすウイグル人にも魔の手は延びている。
▽六本木のデモ行進7月7日(撮影筆者)
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日本ウイグル連盟によると、大手企業に勤務するウイグル人ら少なくとも10人が一時帰国した後、戻れなくなっているという。ムハメット会長は、こう事態の深刻さを語る。

「自由な海外生活をしていれば、独立運動や政府による民族弾圧の情報にも触れやすいので海外に居る全てのウイグル人が疑われている」
▽出前に挨拶するムハメット会長7月7日
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ウイグル人という理由だけで監視・摘発の対象となる…地球規模の民族弾圧。日本政府が真剣に身の安全を守るべき在日外国人は、政治力を持った反日朝鮮人等ではなく、こうした普通の人々である。

各国で抗議活動に参加するウイグル人は、マスク姿がデフォルトになりつつある。これは、本人が自らの安全をはかる為だけの措置ではない。抗議に参加したことを理由に祖国の家族が危険に晒されるのだ。
▽EU本部前で呼び掛けるウイグル人3月(AFP)
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「私の親戚3名が収容所に送られています」

新宿デモを終え、インタビューに応じた男性は、力無い声で、そう話した。意を決して抗議に参加したウイグル人の中には、既に家族や親族が中共当局に捕らわれた者も少なくないのではないか…

祖国・東トルキスタンでは、海外の熱心な支援者ですら想像し得なかった凄惨な事態が進行している。

【絶望収容所に消えた100万人】

「100万人のウイグル人を収容所から解放しろ」

これまでになかったシュプレヒコールが副都心に響いた。100万人という膨大な数のウイグル人が強制収容所に押し込められ、殆どが無事の帰還を果たせずにいるのだ。
▽新宿デモ先導するイリハム氏7月1日(撮影:真さん)
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収容施設の急増と次々に消えるウイグル人の存在は、エジプト送還事件後に浮かび上がった。最初に告発したのは、米政府系メディアRFA(ラジオ・フリー・アジア)だ。

「帰国しなければ、代わりに母親が『再教育』を受ける」

RFAの記者は、そんな脅迫めいたメッセージがSNS経由で各国のウイグル人に相次いで届いている事実をキャッチした。再教育とは何か…中には「収容所」という単語が記されたケースもあった。
▽EU本部前で訴える亡命ウイグル人7月5日(WUC)
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現地からの断片的な情報を慎重に照合した結果、中共当局が東トルキスタン全域に強制収容所を新設している実態が判明。それらは表向き「技術研修センター」「再教育センター」を名乗っていた。

そして今年初め、亡命ウイグル人が運営するイスタンブールのネットメディアが流出した公的資料などを根拠に拘束者数を約90万人と推計。人数は今も増え続け、120万人に達するとの見方も出ている。
▽収容所と見られる施設の開所式(RNS)
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「当局は何も教えてくれない。家族は愛国者になる為の訓練を終えたら戻って来ると言うだけだ」

大規模な強制収容所送りの実態は、ウイグル人の妻を持つ外国人ルートからも浮き彫りになった。東トルキスタンに暮らす家族と連絡が取れなくなった者が相次いだのだ。

また著名なウイグル人サッカー選手や民謡歌手、慈善活動家らが消息を絶ち、今年2月には聖典の翻訳者として知られるイスラム学者の獄中死が判明。亡命ウイグル人社会に大きな衝撃を与えた。
▽拘束40日後に獄死したサリヒ師(RFA)
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更に今年7月、世界ウイグル会議のドルクン・エイサ総裁の母親が強制収容所に送られら末、帰らぬ人となったことが明らかになる。10代から高齢者まで問答無用で押し込まれる絶望収容所だ。

獄中でどのような拷問が行われているのか、詳らかではない。生還者が限られ、全体像を把握することは困難を極める。若い収容者の場合は無言の帰宅すら叶わず、臓器狩りの可能性も指摘される。

【文革の第2期が始まった】

RFAの後塵を拝する形で、欧米の通信社も僅かながら報じ始めた。ただし中共当局の受け売りに近い「再教育キャンプ」という紹介は論外。「政治犯収容施設」というネーミングも不適切だ。

連行対象者はテロリストやその予備軍ではない。海外に親族が居るなど「自由な情報」に触れることが可能なウイグル人がメーンと見られる。政治犯とは程遠い一般の東トルキスタン国民である。
▽カシュガルのモスク前行進する公安’17年(AFP)
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海外に亡命したり、難民として暮らすウイグル人は多い。しかし、中央アジア諸国への出稼ぎが厳しく制限されて以降、国外の安全圏に逃れる者は激減した。その中で、100万人超という人数は多過ぎる。

子供にムスリムの伝統名を付けたことで収容所送りになった夫婦もいる。長い髭やベールの着用禁止、未成年のモスク礼拝制限。個人の信仰に起因して連行されるケースも多いだろう。
▽中共スローガン掲げたモスク’17年(RFA)
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こうした宗教規制だけでも許されざる弾圧だが、更に恐ろしい「思想改造」が全域で進んでいる疑いも濃い。愛国教育というレベルではなく、共産党崇拝の強制である。

中共が死の収容所に掲げる「再教育」がキーワードだ。東トルキスタン各地では、共産党に忠誠を誓う地域集会が活発に開かれ、子供を含む集落の人々が出席を強要されている。
▽各地で催される党マンセー集会(file)
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AFP通信によると、中共当局が“規律違反”と決め付けた行為・風習は約100項目。「工作組」と呼ばれる私兵集団が、党の目や耳となって摘発に勤しみ、住民が丸ごと消え去った村もあるという。

参照:AFP5月15日「不穏分子」を毎日訪問、中国・新疆ウイグル自治区でさらなる弾圧』
▽騒動の現場を捉えた流出写真’17年1月(RFA)
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東トルキスタン国内で撮影されたトラブル現場の写真。黒い制服に赤い腕章を付けた漢族は何者なのか。「工作組」とは断定できないが、武警や特警または公安とも違う。まるで紅衛兵ではないか。

同様の弾圧に苦しむチベットでは、当局による僧院の破壊や乗っ取りを「プチ文革」と呼んで蔑む。だが、東トルキスタンの実情を垣間見ると、現地で進行しているのは本格的な文革の続きだ。

【光彩を奪われたウイグル人】

かつての文革は、沿岸部や漢族地域とは比較にならない大きな傷跡をチベットなどの植民地に残した。末期の頃、半ば制御不能になった紅衛兵の武闘派を送り込み、好き勝手に暴れさせたのである。

それから約40年、21世紀の文革2期は、暴漢が直接手を下す分かり易いバイオレンスよりも、陰湿で凄惨だ。最新のIT機器を用いて特定の民族を徹底管理・監視し、見えない鉄条網で取り囲む。
▽共産党旗を担いで歩くウイグル人'17年(CNN)
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中共当局はウイグル人が持つ全てのスマホに対し、「百姓安全」というアプリのインストールを義務付けた。スマホの中身を盗み見て、行動を監視するスパイウェアだ。

公安や特警が街中で抜き打ち検問を行い、アプリのインストを確認。手持ちのガジェットに接続し、内部をチェックする。特定の単語などが検出された瞬間、連行される。
▽カシュガル市内の検問所’17年11月(AP)
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雑用係の公安が特殊なガジェットを携帯しているのか…現地からの情報も一部の報道も、疑問符を付けざるを得ない。だが、英BBCのウルムチ潜入取材で、実在することが判明した。
▽特殊機器でスマホを検査する公安(BBC)
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検問所ではなく施設の中だが、黄色い服装の公安が問題のガジェットを手にしている。摘発対象になるのは、宗教的なコンテンツだけではないだろう。

またスパイアプリには、特定の人物が自宅から300m離れた際、感知して追跡するシステムも組み込まれているという。追尾して行き先を特定するのが、街中に大量設置された監視カメラだ。
▽カシュガル中心部にある監視カメラ群(RFA)
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拙ブログがウルムチ市内に増殖する監視カメラに言及したのは、8年前のことだ。以降、カメラは指数関数的に増え、都市部の裏通りや貧しい住宅街から、鄙びた集落にまで進出している。

参照:H22年7月7日『消えた1万人のウイグル人…民兵が徘徊する絶望都市』

過去に類例のないハイテク監視社会。例えスマホを持たなくとも、顔認証技術で特定個人の行動は記録される。そして今や当局がデータ化し、把握しているのは、全ウイグル人の「顔」だけではない。
▽侵略国の旗に覆われた裏路地’17年(RFA)
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昨年末、中共当局は東トルキスタン全域で、強制的な“健康診断”を実施。ウイグル人口の9割が受診を強いられ、指紋や血液から光彩に至る生体データを採取された。

なぜ幼い子の光彩までデータ化し、党が管理する必要があるのか? 既に常人には理解も想像も及ばない領域。何か、暗黒を極める壮大な実験が着々と進んでいるようにも見える。
▽五星紅旗を振るウイグルの子供’17年11月(AP)
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人口の1割以上が絶望収容所に送られ、外の居住区も監獄化。DNAサンプルも光彩も奪われた。大規模弾圧、民族浄化、恐怖政治…ありきたりの表現では、現状を正確に伝達できない。

中央アジアの片隅に誕生したのは、独裁政党が特定の民族全員をハイテク管理・支配するディストピアだ。



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参考動画:
□YouTube『【総集編】2018.7.1【フリーウイグル!中国政府の人権弾圧糾弾デモ】日本ウイグル協会@新宿駅周辺』
□YouTube『2018年7月7日ウルムチ虐殺9周年記念デモ出発前の集会』
□BBC2月1日『「いっそ妻と母を撃ち殺してくれ」亡命ウィグル男性』
□YouTubeチャンネル桜7月8日『【ウイグルの声#14】もう耐えられない…在日ウイグル人が100万人強制収容にNO!』

参考記事:
□ZAKZAK7月6日『【有本香の以毒制毒】77歳の老母を収容所送りにする中国と「友好」か 世界ウイグル会議・ドルクン氏の「悲しみと苦闘知ってほしい」』
□ニューズウィーク6月15日『サッカー選手もアイドルも ウイグル絶望収容所行きになった著名人たち』
□AFP5月15日「不穏分子」を毎日訪問、中国・新疆ウイグル自治区でさらなる弾圧』
□ニューズウィーク5月18日『イスラム教徒に豚とアルコールを強要する中国・ウイグル「絶望」収容所』
□産経新聞4月26日『中国の人権弾圧を非難「他の民族を同じ目に遭わせたくない」世界ウイグル会議総裁』
□ニューズウィーク3月13日『ウイグル絶望収容所の収監者数は89万人以上』
□ニューズウィーク2月16日『ウイグル「絶望」収容所──中国共産党のウイグル人大量収監が始まった』
□ロイター5月14日『コラム:中国ウイグル族を苦しめる現代版「悪夢の監視社会」』
□AFP2月28日『ビッグデータで「危険人物」特定、中国・ウイグル自治区 人権団体が指摘』
□ニューズウィーク2017年7月26日『中国、ウイグル族にスパイウエアのインストールを強制』
□大紀元2017年12月15日『中国当局、新疆で1900万人のDNA採集 「無料の全民検診」実施』
□大紀元2017年11月1日『中国公安部、声紋バンクを設立 音声通話も監視か』



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