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zoom RSS 毛沢東2世に平伏した金正恩…装甲列車でゆく敗者の旅路

<<   作成日時 : 2018/03/29 23:46   >>

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装甲列車で辿り着いた北京の25時間。毛沢東2世の前で金日成のモノマネ男は為す術もなく、全面降伏した。嘘も三度の“非核化”…朝鮮半島は胎動期から激動期に移行する。
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北京駅に向かう特別列車をNNNのカメラが捉えた。支那版SNSには走行する列車がアップされていたが、海外メディアが撮影に成功したのは、これが初めてだった。

スクープである。BBCやCNNも、日テレ映像を情報源に一斉に報じ始めた。金正恩の“電撃的訪中”。ただし、電撃の割にスピードはノロノロだ。
▽北京駅に入る特別列車3月26日(NNN)
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濃いグリーンに黄色のライン。金正日が外遊の際に常用した列車と同じで、金正恩が乗っていることは確実だった。それでも両国からの公式発表はなく、どの報道機関もウラを取りあぐねた。

「訪中した北朝鮮の要人を巡っては、金正恩氏や妹の金与正党第1副部長、崔竜海党副委員長が取り沙汰されている」(3月27日聯合ニュース)
▽立憲民主党と関係が深い崔竜海(KCNA)
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崔竜海(チェ・リョンヘ)が3代目を押しのけて特別列車の賓客になることはない。北京入りする場合は、高麗航空のファーストクラスだ。南鮮特使を務めた金与正も十中八九、有り得ない。

中共と北朝鮮の交流は通常の外交儀礼と違う。政府ではなく、共産党と労働党の接触なのだ。金与正は党中央委員会の政治局員候補。中共側の会談相手は、このランクに合わせる必要がある。
▽北京市内を走る北装甲列車3月26日(時事)
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何事にも党序列が優先する古色蒼然の共産国家。実妹を揉み手で迎える文在寅とは次元が異なる。習近平を引っ張り出すのは唯一人、金正恩しか居ない。

列車の徐行モードだったが、3代目にとっては助走を付けた上での覚悟の跳躍。これが、ジャンピング土下座である。

【“必死メモマン”の屈辱映像】>

「朝鮮情勢が急展開する中で、中国には一定の役割、存在感を保ちたいという焦りがあったのは間違いない」(3月27日JNN)

南北・米朝のトップ会談開催が確定する中、中共は旧属国の主導権を完全に奪われる格好となった。各メディアは、習近平サイドにも焦りがあったことを匂わすが、表面的な印象論でしかない。
▽栄誉礼を受ける金正恩3月26日(KCNA)
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中共は今も資源供給のバルブを握っている。精密なサージカル・ストライクを必要とする米国とは違い、中共が北朝鮮を干上がらせる作業は実に簡単だ。

2つの首脳会談が矢継ぎ早に決まった当時、中共は北朝鮮情勢に大きな関心を払っていなかった。中南海は政治闘争の最終局面。そして習近平は、終身国家主席の座を獲得した。
▽金正恩歓迎会の習近平3月26日(KCNA)
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5年後もそれ以降も、中共トップの顔は変わらない…ポスト習近平が盲目的な親北派のポスト習近平が現れる可能性はゼロ。退路を断たれた金正恩に選択肢はなかった。

金正恩ほど中共指導部をコケにした人物は他にいない。’16年の杭州G20サミットを皮切りに、昨年の厦門BRICS会合や南モンゴル閲兵式など習近平登場のタイミングを狙って弾道ミサイルを発射し続けた。
▽ミサイル発射に興奮する3代目’17年7月28日(KCNA)
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参照:H29年8月31日『「朝鮮有事」は禁断の言葉…金正恩が天仰ぐ米支急接近』

加えて、中共子飼いの張成沢と金正男の抹殺。本来なら演技であっても、習近平が熱烈歓迎できる相手ではない。中共側は全てを水に流すことで度量の広さを示したのか?

違う。金正恩は舞台裏で、中共に平伏したのだ。しかも全面降伏である。便所前の発言を必死の形相で書き記す3代目。中共宣伝機関は、哀れな首領の姿を容赦なく映し出す。皮肉たっぷりの嫌味な手口だ。
▽必死にメモする金正恩3月26日(CCTV)
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3月5日、平壌入りした南鮮特使団は、金正恩の言葉を一心不乱にメモ。その見苦しい様に南鮮国内で批判も起きた。だが3週間後、今度は3代目が醜態を世界に晒されることになった。
▽必死メモで嘲笑された南鮮特使3月5日(KCNA)
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金日成のモノマネ男が、毛沢東2世に勝つ術などない。ただ、この席で3代目が泣いて許しを請うたのでも、事実を認めて陳謝したのでもない。独裁国家ならではの血腥い案件処理法があるのだ。

近く金正恩は、金正男の暗殺実行犯と張成沢を罠に嵌めた者と設定した党幹部を銃殺刑に処す。情報を意図的に流すか否かは不明だが、スケープゴートの処刑で手打ちにするのが共産主義者の流儀である。
▽銃殺刑を宣告された張成沢’13年(KCNA)
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また2代目の時代、金正男は人質の役割を担っていた。中共が新たな人質役を要求し、3代目が受け入れた可能性も高い。夏頃には実兄の正哲がしれっと北京暮らしを始めているかも知れない。

【装甲列車の逃げ腰弾丸ツアー】

金正恩が外遊しないのは鬼の居ぬ間のクーデターを恐れている為だ…そんな論評を目にする機会も多い。今回の支那訪問で、従来の「反乱懸念説」は覆されたようにも見えるが、計測するとギリギリだ。
▽北京駅に停車する装甲列車3月27日(SCMP)
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特別列車の北京駅到着は3月26日午後2時頃。そして出発は翌日の午後3時過ぎだった。1泊2日の弾丸ツアー。北京滞在時間は約25時間で、命運を賭けた初外遊にしては日程が余裕なさ過ぎである。

やはり3代目は軍部の反乱を怖れているのではないか。分厚い装甲に覆われた特別列車。2代目の時代は、爆殺を避ける為にダミー車両を2本走行させるという念の入れ方だった。
▽04年に起きた龍川駅金正日爆殺失敗事件
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「故金日成主席と故金正日総書記の遺訓により朝鮮半島の非核化に尽力する」

便所前との会談で3代目は、そう語った模様だが、本当の遺訓は外遊の際に飛行機を使わないことだ。証拠隠滅が容易な航空機の空中爆破は、北工作員の必須訓練科目でもある。

シベリア横断鈍行列車の旅に懲りた先代は、2011年夏にロシア大統領をブリヤート共和国に呼び、露朝首脳会談を実現させた。果たして3代目はプーチンを極東地域に呼び付けることが出来るのか…
▽極東開催の中露首脳会談’11年8月(ロイター)
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中共がUN安保理で優柔不断な態度を取り続ける中、ロシアは断固として北朝鮮を擁護した。義理と人情と一般常識があれば、初外遊の最優先はロシアだったのだ。

中共関係者は、金正恩の訪支が具体化したのは3月に入ってからだと説明する。土下座外交にシェルパは不要だ。メディア連呼の「電撃訪問」とは裏腹に、金正恩は後手に回った。

【米軍撤退で拓く地獄への道】

「我々の努力に善意で応え、平和実現に向けて段階的で歩調を合わせた措置を取るなら、半島非核化問題は解決できる」

北京土下座会談で金正恩は、そう発言したという。「半島非核化」というキーワードを「非核化」に略し、北のプロパガンダに加担する動きが既に始まっている。
▽中朝首脳会談前の頭撮り3月26日(KCNA)
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「半島非核化」とは、北朝鮮の核放棄に直結しない。それは南鮮が米軍の「核の傘」からの離脱を意味する。大前提は米南軍事同盟の解消。60年代から北が主張していることだ。目新しさは何処にもない。

一方で習近平は「戦略的連携の強化」を金正恩に確約した。血の友誼と呼ばれる中朝軍事同盟は、この1年で破綻しかけたが、金正恩の土下座劇で復活の軌道に乗った。
▽一心不乱にメモする金正恩3月26日( CCTV)
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自らの軍事同盟強化を謳い、米国には南との同盟解消を要求…中朝首脳会談を要約すると、そうなる。余りにも身勝手な主張。これを和平・対話ムードと位置付けるメディアの論調は詐欺そのものだ。

交渉材料にも協議の叩き台にもならない片務的な要求。以前なら荒唐無稽と一蹴することも出来た。だが、トランプ政権の登場で事態は思わぬ方向に進む可能性がある。
▽宴会でソッポ向く李克強ら3月26日(KCNA)
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北の核・ミサイル全廃と引き換えに、米国は「在南米軍撤退」という大きなカードを切るかも知れない。トランプ大統領は3月14日、政治集会で、こう演説した。

「米国は韓国との間で巨額の貿易赤字を抱る一方で韓国を防衛している」
▽ミズーリ州訪問のトランプ大統領3月14日(twitter)
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演説は支持者を前にした非公開のもので、トランプ節炸裂の印象も否めない。だが、米国は選択肢の一つに「在南米軍撤退」を加え、金正恩の出方次第では、会談でチラつかせることも有り得る。

北の狂犬と南の駄犬。2人が共通して抱く悲願も「米軍撤退」で一致している。更に、習近平にとってはTHAADの無条件撤廃に繋がり、南鮮との関係もトゲが抜けて万々歳だ。
▽大手振りのし歩くがこの後に土下座…3月26日(KCNA)
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遂に金王朝3代の夢が叶えられるのか…しかし米軍撤退は、朝鮮半島安定化への一里塚ではない。90年代、クリントンが平壌空爆を直前で取り止めたのは、在南米軍の甚大な被害予測だった。

陸戦隊の存在が大きな地位を占めない今、前線の駐留米兵は“武装した人質”でもあった。また軍人・軍属家族の多くが、38度線に近いエリアで暮らす。クリントンのチキンハートも多少は理解できる。
▽在南米軍家族らの退避訓練’17年1月(CNN)
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仮に米朝合意で米軍人の総員出国完了後、金正恩が米国との約束を反故にすれば、待つのは地獄だけだ。対北サージカル・ストライクの環境が整った中での新たな挑発。ホワイトハウスは最早、躊躇しない。

「在南米軍撤退」とは、一方で“人質”の全員解放なのだ。



最後まで読んで頂き有り難うございます
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参考記事:
□産経新聞3月29日『「千年の宿敵」の中国に屈服した金正恩氏』
□ニューズウィーク3月29日『金正恩が習近平の前で大人しくなった…「必死のメモ」と強ばった笑顔』
□中央日報3月7日『眉をひそめさせた韓国特使5人衆の金正恩面前“必死メモ”(1)』
□AFP3月27日『衛星電話に宴会場、ヘリも完備… 金一族の「特別装甲列車」』
□NNN3月26日『“北の列車”北京到着か 要人乗る可能性も』
□BBC3月27日『「北朝鮮の列車」が北京に 金正恩氏訪中か』
□CNN3月27日『金正恩氏が訪中か「謎の」列車が北京に到着』
□BBC3月28日『金正恩氏が習近平氏と会わなくてはならなかった理由』
□AFP3月28日『金正恩氏が訪中、習氏と首脳会談 「非核化に尽力」』
□産経社説3月29日『金正恩氏の訪中 「非核化」の真意見極めよ』
□時事通信3月28日『金正恩氏、非核化に条件=習主席と初会談「段階的措置で解決」−中朝相互訪問で一致』

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